十二人の抹殺者
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縁戚関係で隣り合う二家族の中で起こる連続殺人を描いた表題作の長編と、同じ敷地内に五つの家を持つ一家の中で一晩の間に起こる連続殺人を描いた中篇「人間掛軸」を収録。どちらも探偵の江良利久一もの。 表題作は幻の探偵小説として名前が残っていたと云われるが、「人間掛軸」の方は一晩の間に次々と殺され、しかも探偵と警部、それに警察官達が右往左往している中で起きる連続殺人を扱っている為、こちらの方がスピーディでサスペンスのキレも良い様に感じられる。ついでに云ってしまえば、こちらの方がより映像向きだ。 | ||||
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まず動機がどうしても納得出来ない。このような理由でそれまでの自分の歴史を全て否定するような大量殺人を犯すとは到底思えない。又、古い時代の小説だから仕方ないのかも知れないが、強盗殺人鬼の殺人直後の悪血を受け継いだ劣勢因子というのが納得いかない。犯罪者の子は犯罪者となって当たり前、犯罪は遺伝するという様な考え方にはどうしても反発を覚えてしまう。又、強盗殺人鬼に陵辱された女性のことを男が見捨てるのは当然というような考え方も、現代においては古くさすぎる考え方だろう。小説に流れる思想そのものが古くさい偏見に満ちている。さらには密室のオンパレードだが、わざわざ非常なエネルギーをかけて密室殺人をする理由がどうしても分からない。犯人にとってはリスクが非常に大きい割にメリットは殆どない。ストーリー自体は面白いのだが、以上の様な理由から長い間廃盤になっていた理由も分かる。 | ||||
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ミステリ専門古書店やヤフオクで十万という暴価で取引されてきたこの超レア本が、やっと誰にでも入手できる時が来た。 本全集第一巻『忍法相伝73』は、作者の山田風太郎が徹底して再刊を拒んだだけの事はある内容だったが、この第2巻は体温が上がる程にエキサイティング。 メインの大長篇「十二人の抹殺者」(昭35)は、隣接する邸に住む親戚同士の結城家と鬼塚家の12人全員に禍々しい謎の年賀状が届くところから幕が上がる。 矢継ぎ早に繰返される下手人が逃げ場のない筈の殺人。トリック解明が後半で一気になされず各事件ごとに行われるのが本格の定石からすると風変わり。 ピアノの上に椅子を置く?とか施錠のからくりは本当に可能?とか状況設定が所々気にかかる。確かにトリックに強力な独自性はないかも。 しかし意外に丁寧な描写とフーダニット興味で存分にクライマックスまで引っ張ってくれる。 もう一つの中篇「人間掛軸」(昭27/単行本初収録)、こっちはいろんな意味でヤバイ。「十二人…」にエロがあれば、本作は猟奇ムードに満ち、グロもあり。 「十二人…」の中盤過ぎで僅かに感じる冗長さがなく、一体真犯人は誰なのか?終盤のうねりが凄まじい。 2作ともジェットコースターのような連続殺人発生に対し、捜査陣と探偵・江良利久一は食止める事ができない。 少々歪な面が見られようが、探偵小説の鬼達の大好物な要素がこれでもかと詰め込まれている。カルトではあっても破綻した珍作の感じはしない。 文句があるとすれば、内容が相変わらず自己アピールなだけの芦辺拓と日本語が変な若狭邦男の「月報」寄稿だけ。 読者は輪堂寺耀その人についてもっとよく知りたいのに。 これは尾久木弾歩その他の別名義分も含め『論創ミステリ叢書』でも輪堂寺を出さないとダメでしょ。 『ミステリ珍本全集』は第5巻に大河内常平、第6巻は大阪圭吉が予定として控えており、今後の展開が非常に楽しみになってきた。 | ||||
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