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厭魅の如き憑くもの
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厭魅の如き憑くものの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 41~48 3/3ページ
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民俗学色の濃い伝奇ホラーと本格味の融合が持ち味の作者の本領発揮の作品。「刀城言耶」シリーズの第一作。舞台の神々櫛村は、谺呀治家と神櫛家の二つの旧家が対立し、厭魅を初めとする憑き物が跋扈する異郷。谺呀治家は憑き物筋で、神櫛家は非憑き物筋。物語は谺呀治家の巫神堂で、巫女の老婆叉霧と孫娘の憑座紗霧が神櫛家の分家の娘千代の憑き物落としをするシーンから始まる。憑座紗霧は千代が生霊に憑かれたと告げるが、その相手の名は何と「さぎり--」と言う衝撃。神々櫛村ではカカシ様が崇拝(畏怖)の対象。舞台設定も名前も禍々しい。物語は刀城の一人称、三人称、紗霧の日記、千代の従兄の漣三郎のノートで構成される。尚、文庫版では冒頭に神々櫛村の見取り図が付いている。 谺呀治は蛇神の家筋。その筋の家では代々双子の女児が産まれる由だが、紗霧も姉の小霧と双子。9歳の時の九供儀礼で小霧は亡くなるが、この儀式で亡くなった者は山神(=カカシ様)になると信じられている。紗霧が見た亡くなる寸前の小霧は厭魅そのもの...。一方、千代の母千寿子は本家の漣三郎を巡って、紗霧を千代のライバル視している。これが冒頭の生霊騒ぎに繋がるが、漣三郎は憑き物を信じない合理主義者で千代に関心は無く、小霧は叉霧に殺されたと考えている。千代は漣三郎に紗霧の生霊を見たと訴えるが...。更に、漣三郎の長兄聯太郎を初めとする子供達の神隠し談、巫神堂で紗霧を襲った偽山伏の首吊り見立て殺人、邑寿川での紗霧の大叔父の見立て殺人、谺呀治家の客間での紗霧の叔父の見立て毒殺と畳み掛ける。漣三郎の戦慄回想談との相乗効果で迫力満点。民俗学的考察も深くて興味をそそる。そして、紗霧の叔母、父と見立て殺人は続く...。 大胆なヒントのお陰でミステリ的趣向は容易に分かってしまうが、綿密な民俗学的調査の下、数々の怪異譚の連携の巧みさと濃厚な伝奇ホラー味で独自の世界を築きあげた魅惑的作品。 | ||||
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民俗学色の濃い伝奇ホラーと本格味の融合が持ち味の作者の本領発揮の作品。「刀城言耶」シリーズの第一作。舞台の神々櫛村は、谺呀治家と神櫛家の二つの旧家が対立し、厭魅を初めとする憑き物が跋扈する異郷。谺呀治家は憑き物筋で、神櫛家は非憑き物筋。物語は谺呀治家の巫神堂で、巫女の老婆叉霧と孫娘の憑座紗霧が神櫛家の分家の娘千代の憑き物落としをするシーンから始まる。憑座紗霧は千代が生霊に憑かれたと告げるが、その相手の名は何と「さぎり--」と言う衝撃。神々櫛村ではカカシ様が崇拝(畏怖)の対象。舞台設定も名前も禍々しい。物語は刀城の一人称、三人称、紗霧の日記、千代の従兄の漣三郎のノートで構成される。尚、文庫版では冒頭に神々櫛村の見取り図が付いている。 谺呀治は蛇神の家筋。その筋の家では代々双子の女児が産まれる由だが、紗霧も姉の小霧と双子。9歳の時の九供儀礼で小霧は亡くなるが、この儀式で亡くなった者は山神(=カカシ様)になると信じられている。紗霧が見た亡くなる寸前の小霧は厭魅そのもの...。一方、千代の母千寿子は本家の漣三郎を巡って、紗霧を千代のライバル視している。これが冒頭の生霊騒ぎに繋がるが、漣三郎は憑き物を信じない合理主義者で千代に関心は無く、小霧は叉霧に殺されたと考えている。千代は漣三郎に紗霧の生霊を見たと訴えるが...。更に、漣三郎の長兄聯太郎を初めとする子供達の神隠し談、巫神堂で紗霧を襲った偽山伏の首吊り見立て殺人、邑寿川での紗霧の大叔父の見立て殺人、谺呀治家の客間での紗霧の叔父の見立て毒殺と畳み掛ける。漣三郎の戦慄回想談との相乗効果で迫力満点。民俗学的考察も深くて興味をそそる。そして、紗霧の叔母、父と見立て殺人は続く...。 大胆なヒントのお陰でミステリ的趣向は容易に分かってしまうが、数々の怪異譚の連携の巧みさと濃厚な伝奇ホラー味で読者に鳥肌が立つ程の戦慄を与える衝撃的作品。 | ||||
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横溝正史的世界観を持つものの、あまりに過剰な民俗学的ガジェット や登場人物の非現実的なネーミングのため リアリティが希薄な本作 は、一種のパラレルワールドものといえるかもしれません。 本作は、全七章あり、各章は探偵役の刀城言耶の取材ノート、憑座(よりまし) である沙霧の日記、怪異を認めたくはないが否定しれきない漣三郎の記述録、 そしてその三人以外のもう一つの視点からの語りという計四種類のテクストに よって、それぞれ構成されています(最終章だけは別)。 この構成には、作者による周到な騙りの仕掛けが凝らされており、 終盤で真相が明かされた時の意外性と衝撃には、圧倒されます。 また、関係者を一堂に集め、探偵役が推理を披露する、といった本格ミステリでは お約束な場面も用意されていますが、探偵役である刀城が示す推理は度々否定 されてしまいます。刀城はその都度、推理を練り直し、新たな仮説を再提示すると いう過程を繰り返すので、多重解決ミステリとしても楽しむことができます。 一気読みするには、いろんな意味で重たい作品ですけれど、完成度 の高さは折り紙つきなので、じっくりマイペースで読んでみてください。 | ||||
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文庫に際して村の地図が入りました。これで迷わず村を歩けます。舞台は戦後の山奥の村。古き因習が残るなか事件は起き…定番な筈が何故か巧く仕上がってます。いや、とにかく面白いです、推理小説なんですが、民俗学的ホラーも入り、メタ的なストーリーも何故か納得させられる、かと言って論理が失われてるわけでないです。真実のぼかし方が最高。ホラー好きな方には本格推理を読むきっかけに、本格推理が好きな方にはホラーを読むきっかけに。憑き物信仰に関する本一冊分の知識が入ってるのがやや気になるから星四つにしました。(佐藤大)。 | ||||
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書店の平積みで購入したが、平積みされているものでは珍しく(失礼) 思わず人に薦めたくなるほど面白かった。 ジーンズが珍しい時代の昭和、 陸の孤島の寒村で起こる連続変死事件、 対立する二つの名家、 土着の伝説、呪われた血筋、薄幸の美少女… 非常に「お約束」な道具立てのミステリであるが、 あえてホラーとして推薦したい。 クトゥルー的かつクトゥルー以上だと思う。 視界の隅に映った夕闇の畦に佇む祠。 その陰に見えたあり得ざるもの。 何だ今のは? あんなものはあり得ない。 見て確かめたい。 ダメだ! あれを理解したら人間のままではいられない… … そんな怖さです。 最後に明かされるメタ的なネタも「やられた」という感じでした。 | ||||
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刀城言耶シリーズの第1作です。 私は読む順番が逆で、 第4作「山魔の如き嗤うもの」を最初に、 次に第3作の「首無の如き祟るもの」と 読んできまして、 本作「厭魅の如き憑くもの」を 読むに至りました。 こうして遡ってみるとわかるのですが、 第1作はなかなか読みづらいです。 逆に言うと、シリーズを重ねるごとに 読みやすくなっています。 でも、民俗学的ホラーの雰囲気は、 読みづらい分、 この第1作が一番かもしれません。 作品の舞台のおどろおどろしさを醸し出すのに 随分とページを費やしているといえます。 実際、事件が起きるのは、 物語も半ばになってからです。 でも、心配ご無用。 驚愕のラスト、 つまりミステリとの融合は 本作品でも果たされていますから。 「カカシ様はいつでも見ている。」 −−帯広告のこの文言が、 読み終わってみるととても身に沁みる作品でした。 | ||||
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迷信やしきたりが多く残る閉鎖された村で突然起こった憑物騒動、そして神隠し。 対立が続く、村の名主の息子と憑物一家の巫女、そして推理作家の目を通して出来事が語られる。 次々起こる怪奇現象は、読者の背筋をぞっとさせ、まるで不気味な視線が自分を見つめているような錯覚さえ覚える。 物語が進むにつれて、不気味さはどんどん増していき、先が闇に取り込まれそうな感を受けたが、最後のストーリー展開は何ともいえなかった。 しかし、謎が解き明かされた時残るのは、更なる恐怖 | ||||
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作者の以前の作品である「蛇棺葬」「百蛇堂」と同系列の作品。直接的にではないが、作者の以前の作品の登場人物や触れられていた人物も登場している。 ホラーミステリーであり、この作者が得意とするテーマではあるのだが、話が盛り上がるたびに視点が変わり、なんだかテレビでドラマが面白くなってきたところでCMを入れられたような気分になる。 また、以前は「家」が中心だったのに対して、今回は「村」が中心となり登場人物が増えたためか、個々のキャラは希薄である。 しかし、ホラーミステリーとしては、決してつまらない作品ではない。 作者なりの世界を構築しようとしている点に好感がもてるし、何よりも良く考えられて伏線が張られている。 少なくとも、ムチャクチャなことを書いて「メタミステリ」と称する最近の作品群よりははるかによい作品である。 「蛇棺葬」「百蛇堂」のファンならば、読んでも決して損はしないと思う。 | ||||
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