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柔らかな頬
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柔らかな頬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全103件 41~60 3/6ページ
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自分の家族と不倫相手の家族と休暇を別荘で過ごしていた時、 双方の家族に内緒で逢引をし、その間に娘が行方不明になります。 非常に興味をそそられる設定で、話の構成もうまい為、 ぐいぐい惹きつけられます。 怪しい人物が何名か出てきて、誰が犯人なのか、 気になって気になって、一気読みしてしまいます。 | ||||
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終わり方にびっくり。「そ、そんな、、」という終わり方。衝撃的。 | ||||
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桐野さんは心理描写のうまさがやっぱり際立っています。 陰鬱な雰囲気の作品なので、雨の日の薄暗い部屋で読みたいですね。 ただあらすじにもあるように「娘が謎の失踪を遂げる」なんて 書いてあるものですから、「いかに鮮やかにその謎を解くのか?」 ということは誰しも期待するところなのではないでしょうか。 しかし本作ではその謎に対する明確な解答はありません。つまり、 謎の提示があり最後にタネ明かしがある、というミステリー作品だと 期待して読むと最後に肩透かしをくらったような気分になってしまいます。 (その「肩透かし感」が著者の狙いなのかもしれませんが・・・) いち読者としては冒頭になんらかの形で、「この作品はミステリーでは ありません」とはっきり伝えてほしかったところです。 しかしこの不満を鑑みても、桐野さんの後の傑作「グロテスク」に通じる、 人間の心を深くエグる名作であることに変わりはありません。 ちょっとネガティブな気分に浸りたい方におすすめしたい一冊です。 | ||||
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ミロシリーズやOUTなど、作者の本はけっこう読んでいます。重い、暗い、固いという指摘もありますが、文章力があって人間の暗い一面をうまく表現するところが好きです。この本も、続きが気になってすぐ読み終えてしまいました。ですが、個人的には、主人公カスミに感情移入できなかったし、同性としてはまったく魅力を感じませんでした。ラストは賛否両論あるようですが、どうともとれるあいまいなラストはフランス映画みたいで余韻があってよいのではないかと思いました。 | ||||
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これはすごい。 圧倒的な構成力。読ませる読ませる。 浮気がもとに始まった大事件。濃密な恋愛関係もさることながら、 登場人物が織り成す幾通りもの推理、人間描写。 本当にいい本に出会うと、読む手が止まらなくなり、読み終わる とそこにジッとしていられなくて、ウロチョロしてしまう。 まさにそうなった。すごい・・。取るべくして取った直木賞。 でも、逆に直木賞で良かったの?とすら思わせられる。 | ||||
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あまりにも他の人のレビューが低いのに驚愕しました。私は桐野作品で一番大好きな作品です。四年前これを読んでフアンになり今は桐野さんの全作品をすべて購入しました。柔らかな頬はミステリーでもあるが、登場人物のカスミ、石山が絶望の中孤独を早迷い、その中で始めて自由を手に入れる…そんな人間の悲しさを見事に書き上げた物語である。 それぞれの心の動き、心理描写の素晴らしさに感銘いたしました。 たぶんこれを読んで共感できる人は孤独の中を生き抜いていきたいと願う人だと思います。(私も含め) 人生の中の孤独を、自由を考えさせられる、非常に深い一冊です。 | ||||
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子供の失踪によって翻弄される大人たちの人間模様が読み応えあります。 人間の弱さと力強さが交差しながらも人間社会の脆さまでも浮き上がっていてドラマ性があって面白い。 | ||||
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第121回直木賞受賞作。 本作にあるものは「語り手の移ろい」「過去と現在の錯綜」「ゆめとうつつの混濁」 本作にないものは「まとな人間性の持ち主」「カタルシス」 そんな本を読まされた側、つまり我々は、 自我が移ろい、昔を回顧し現在を嘆き、居場所のなさを思い知り。 自分の人間性を疑い、精神的浄化とは真逆の何処かへおいてきぼりにされる。 最後に論理的解決があるようなミステリー好きの方にはお勧めできませんが、 人間の心の闇(あるいは淵)を覗いてみる、そんな心理モノが好きな方はぜひ。 | ||||
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煩悩に翻弄される、人間の本質を捉えた小説です。 「それから」以降の、夏目漱石を思わせる作風だと思います。 透徹した文章で、現実の虚飾を容赦無く剥ぎ取り、登場人物の行動の裏の心理を、暴露して行く筆の冴えを、楽しめる作品です。 作品の大きなテーマは、「脱出」或いは「逃走」と言って良いでしょう。 現実から、生活から、環境から、状況から、そして生からの。 読み手に応じて、多彩な読み方を許容する小説でもあります。 ある人は、ミステリとして読むでしょうし、また、因果応報の物語とも読めます。 放浪小説だとも言えるし、心理小説とも言えます。 そこも魅力であり、何度も読み返すことになりそうです。 | ||||
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ミステリーというジャンルにおいては解答は常に1つであるということが大前提です。 しかしこの作品はそんな常識に反旗を翻し解答を複数用意するという非常に斬新な手法がとられています。私はそのようなミステリーをこの本以外で読んだことがありません。 シチュエーションの問題があるから仕方ないことですし、実際最初にやったもん勝ちな感じもありますが書き方としては面白いです。 この本では真相は読み手にお任せという救いのないまま投げっ放しジャーマン的に終劇しているので理不尽に感じる人もいるかもしれません。しかし身近に読んだ人がいれば真相を巡って議論ができるという面白みがあります。一読後は是非周囲の人にも読ませることをお勧めします。 | ||||
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大人として社会で生きて行くにあたって、私は多くの事を辛抱して生活しています。 主人公カスミは決して自分を抑圧ません。本作では、人が社会で生活していく上での抑制を 取り払ったら、その人に何が起こるのか?それゆえに起こる悲劇、地獄の苦しみを ノンフィクション作家が取材を基に評伝を書くように、カスミと彼女に関わる人々を俯瞰し、 見たままを克明に描写していきます。一点違うのは、評伝に見られるような 取材対象に対する思い入れや、共感を排除している点でしょうか。 その点を読者に託している点で、むしろ完全なフィクションと言えます。 作者と同じ「神の目」で彼らがもがき苦しむ姿を見せられた読者は、 どんな感情を持つのでしょうか。 私は登場人物のように魂の自己規制を解き放って立ち回る事はできそうもありません。 しかしか彼らを見ていると、もう少し抑制を開放しても良いのではないか という気持ちになってきます。 彼らの姿はこだわりを捨てずにひとつの事に打ち込むアスリートを思わせます。 自分には見る事にできない世界を、たとえそれがどんな結果であろうとも、 大きな犠牲を払って体験している彼らに畏敬の念を禁じえないのです。 本作にはもうひとつ、親子関係が大きなウエートを占めています。 血が繋がっていても修正できない親子の断絶。子供に対する親のエゴ、 そのエゴを子供は本能的に見抜く事ができてもそれを受け入れる事でしか 存在しえない弱者と言えましょう。 彼らは自分を傷つけることでしか復讐できません。 子である事の悲劇が本作では散りばめてあります。 親である私はどう自分の子供たちと向き合っていけば良いのか 考える機会になりました。 | ||||
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1、物語 桐野氏の物語には、基本的に救いはない。他の作品も安易なハッピーエンドは意図していなかった。ユーモア・情感に溢れ、収まりのいい、腑に落ちる物語を書く人は他にいる(もちろんそういう話も大好きだけど)。私は、桐野氏にそのようなことは望んでいない。彼女にしか書けない、人間観察・人のエグさ・人の情念・どうしようもない現実があると思う。彼女の物語には、絵に描いたような善人は出てこない。でも、打算と自分のことにかまけている人が、ふっとみせるやさしさ、思いやりは時に魅力的だったりする。 2.内容 前半は、カスミと石山との不倫。後半は、不倫の最中、5歳の我が子を原因不明の事件で見失い、生死不明の子供を捜し彷徨うカスミとガンを宣告され、余命いくばくもない死を待つ元刑事(内海)との話を軸に物語が展開する。今まで、不倫を扱ったものをいくつか読んだことがあるが、呆れかえるというか、自業自得というか、よくそんな事するなと同情の余地なしだった。 しかし、この話は違った。氏特有の人間観察のおかげで、不倫に走る主人公カスミに説得力があるのだ。彼女は、現状からの脱出を望んでおり、それを場所や人に求めてしまう。そして、彼女はどの脱出にも失敗している。現状から脱出するには、外に飛べるだけの翼を養わなくてはならない。だが、人はあの場所に行けば「とりあえず」自分は変わるれるかもしれない、あの人といればとりあえず違う自分になれるかもしれないと安易な希望を持って行動してしまう。その人の弱さの描写が上手い。 この事件の発端は、この人の弱さであるように思う。 また、内海という人物も興味深い。こいつは、出世のことしか頭になかった刑事で、自分の最後に子供失踪事件に手を貸そうと考える。その理由も、人助け・正義感という立派なものではなく、利己的なものである。人には「自分が死ぬまでの暇潰しっすよ。」と冗談ぽく、悪ぶってみせても、内心では自分の死を受け入れきれないでいる。思い半ばなのに、病気で死ななくてなはらない自分、世の中は不公平だと思っている。自分の最後にかいがいしく心から寄り添ってくれる人もいない。この苦難する様子がなんともリアルである。 2人とも、現実を受け入れられず、彷徨っている。 主人公の心情をメインにして、様々な人の思惑・思いが絡み合い、物語は、水が支流し、蛇行するがごとく進行する。それは、混沌として、腑に落ちない現実そのものである。 奇怪な事件が次々と発生し、華麗にこれを解決する探偵が登場する小説には、楽しんで読みながらも違和感を感じていた。人の心は、簡単に片付けられるものじゃない。 華麗な解決や救いなんて容易にあるもんじゃないと。 最後の「流れて暮らしていれば、いつかは心を充たすものも現れるかもしれない。自分は生きていく。」というカスミの決心と、そうカスミに思わせた内海の存在がずしんと重かった。 | ||||
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最後までハッピーエンドを期待して上下巻通して一気に読みましたが、 読後感としては悲しく辛い貌で終わってしまいました..。 ストーリーや展開は大変面白く、だからこそ一気に読み切ったわけですが、 5歳の女の子(主人公の長女)があまりにも可哀想で何だか..。 | ||||
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読み終わった後でどっと疲労感が出る、とにかく重たい小説。 ただのミステリーじゃなくて人間模様や暗い感情を堪能したい人向けですね。 徹頭徹尾太陽の気配のしない、暗く寒く、今にも雨が降り出しそうな雰囲気でした。 なにが気分悪いかって、只のフィクションじゃなくてモデルの事件があるっていうのが 救いが無い。 | ||||
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本作品で桐野氏の文章を初めて読みましたが、読み終えて、重厚な文章であるというイメージを受けました。豊富な語彙力と、巧みな言い回しは、粘度の高い液体の中を行進しているような重みがあり、引き込まれるような迫力もありました。扱っているテーマとの兼ね合いも考えると、非常に完成度の高い作品であったように思います。 登場人物の心情や行動の描写だけでなく、場面場面の移り変わりや、それらの背景の描き方にも、他の小説家にはない重厚感と、オリジナリティーに溢れており一つの作品として、とても好感が持てました。 ミステリーという分野が、どうして人間の暗い部分を描きがちになってしまうのは致し方ないことなのでしょうが、それでも、やはりミステリーのこのような重厚な文章を読むと、どっと疲れてしまう印象は否めません。上下二段にわかれた構成で、それなりに量のある文章なので、そういった意味での達成感としての疲労感を得られることは、むしろ私は賞賛されるべき特徴であるような気がします。 個人的には、結末を読者に予想させながら、最後まで緊張感を保つように仕向ける氏の筆力は素晴らしいと思いますが、ただ釈然としない思いが残ったことは事実です。 ミステリーという分野への、個々人の価値観によって変ってくる部分だとは思いますが、私はこれほどの長編を期待しながら読んできたので、最後にすっきりしたかったです。 | ||||
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故郷の北海道から家出した浜口カスミと、デザイナーで夫の友達の石山。その情事の結果...謎のゆかの行方不明。いったい誰が!!?懸命に娘の優香を探す一方、自分たちが北海道にいかなければ、などの自己嫌悪。偶然が偶然を呼びそれが必然になるという物語ではないのかと私は思想する。4年間、なにも掴めないままではいるが、まだ懸命に娘の無事うぃ〜いや、無事を信じて追い続ける、事件の真実を。そして病魔に襲われ、余命を宣告された刑事内海(刑事はやめた)がTVで事件について興味を覚え、暇つぶしと称して事件を捜査することになったのである。直木賞受賞のこの桐野氏作の柔らかな頬。実に桐野ミステリー特有のドロドロ感、人間の本当のトコロの暗い部分を公にした作品ではないのかと思う。下巻では元刑事、の内海の心情心理が見れるのでとても良作な出来ではないのかと思う。カスミ目線で進んでいくが、いきなりそうだったのか!!と思って読んでいったら夢だったり...しかし...最後の内海の感じたこと、優香の事、人によっては偉く中途半端に終わるではないか!と怒るひともいるかもわかりませんが、私はこれはアリだと思います。ミステリ、ホラー、恋愛、そして千里眼。これを読んだあとの不倫情事はキツイのではないのか... | ||||
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「OUT」以降桐野夏生氏は、主に人間の暗部に焦点をあて、それがどんな愚直で安直で平板に見える人間にも存在し、そしてそれは簡単な、ちょっとした、なんでもない事で突如はじけ、暴走する、という内容の小説を書いてこられた。 今回。 「柔らかな頬」では、「愛」「家族」「親子」「自分」…それら暗部に焦点が当たる。 本当ではない愛。見せかけのある家族。通じ合わない親子。理解できない自分。 不調和に錯綜したそれら暗部が、多様な結末、真相を万華鏡の如く幻視させ、観察する者を(あるいは、読者を)翻弄する。 無い物は無い。不必要なものはいらない。人間なんて無様だ。 そのような企みの元に、精緻な心理描写で人間を怠惰に、醜悪に描いた場合、読み手はそれを「嫌悪」で受け取る。 読書における大いなる誤解として、嫌悪される文章ゆえに、あるいは嫌悪される度合いに応じて、評価を下げる、見下す、というものがあると思う。 不愉快な内容であるから、駄作であるとは大いなる誤解だ。 本当の駄作とは、どんな醜怪な描写を目指そうと、読者になんの感慨も呼び起こさないもののことである。 有り体な不倫、悲劇、死。 それら一つ一つに眉をひそめる程の「醜さ」を感じ思わず眉を顰めてしまう本作は、間違いなく、傑作であろう。 ただ。 自分はは人間の暗部を見せつけられるのが、ことのほか苦手だ。 もう一度読め、と言われたら、逃げ腰になるだろう。 | ||||
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北海道の別荘地での不倫から始まり、思考が流れるように情景が進んでいく。 消えた娘を探し続け、ヒロインはつかれきっていく。その中で末期癌をかかえる刑事と心が結ばれていく。。。 ほかの著作では見せない実験的な文体が印象的。 ストーリー自体はとくに変わったものではないが、この文体が作品に厚みをもたらしている。 ミステリーファンだけではなく純文学を読んでいる人たちも楽しめると思う。 | ||||
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大人の欲望とか人生とか人間のダークな部分が とてもよく書かれていると思います。 欲望に忠実になることで引き起こされる出来事。 すべての生きるということが何かしらの犠牲の元に なりたっているんだなぁ・・・と思います。 言葉があっているのかどうかは分かりませんが 人間のエグさが凄く描かれてる話だと思います。 | ||||
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人は色々な束縛やしがらみの中で生きています。ある場に居ることが本来の自分を損なうからと逃避したとしても、別な場は再び時間とともに自分を拘束し始める。この束縛と解放の、再生と崩壊の無限運動。「解放」に向う個は、自分が自分であることに強すぎるため自己中心的であり他者への思いやりは極めて希薄です。 死ぬまで自分が何者なのか確認し続けることの虚しさと哀しさ。その確認する作業そのものが生きる証でもあるかのように、他者を傷つけ、ひたすらに走り続ける主人公たち。自分と他人の絶対的な差異の自覚、いや過去の自分と現在の自分さえ、そこには異質なものが横たわる。他人とは分かち合えないことを自覚したときの、他者が絶対に介在できないギリギリの孤独。極めて個人的な存在である「肉体」というもの、肉体を貫く「性」の意味。しかしそれでも人は求めてしまう、その果てしない虚無を埋めるために。 第十章 砂岩は唯一作者が読者におもねた蛇足と感じたものです。作者のコメントを読むと、そういう意図ではなかったようです。 | ||||
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