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柔らかな頬
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柔らかな頬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全103件 21~40 2/6ページ
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桐野氏の作品は大好きでいつも読み始めると止まらないのですが、今回は中だるみが多かったです。 ただ、つい犯人探しをしてしまい、ミステリー調を期待してしまうような、不可解な事件を、アッサリと読者の期待を裏切り、日常の小さなボタンの掛け違いの末として描くあたりに、桐野氏の覚悟というか、意思を(勝手に)感じて、より好きになりました。こういうのを面白おかしさや、ワクワク感などよりも、いかにリアルにしていくか、というあたりに女性ならではの感受性を感じて、その書き手としての姿勢にとても共感、尊敬の気持ちをいだきます。 主人公のカスミには共感できないし、もう一回読むかと言われたら本作はたぶん読まないと思いますが、作家としての価値観が現れている気がして、他の本をもっと読みたくなる気持ちになりました。 「因果はめぐるのよ」と本文中にありましたが、その言葉を最後に思い出すと、日頃の小さな「逃げ」がいかに重たいかを感じて、実直に生きようと思わされました。 | ||||
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カスミの魂の遍歴が、主題の小説。 最後に誰が娘を連れ去った犯人か分からないが、そんなことはどうだっていいと思わせる筆力は圧倒的。 石山にせよ、内海にせよ、吐露された内面の分厚さは、一級の小説でのみ感じられるもの。 桐野は決して期待を裏切らない。 | ||||
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新聞で読んだ方の評を読み買いました。 10年くらい前に里帰りをしていた父親がもう一人の子供を 家に置きに行った間に幼子がいなくなった事件を思い出し 上手に取り入れたなーと感心しました。 恋に狂った時の女性のこのような状態は理解出来ることです。 本当の犯人が分からぬまま、夢の中で犯人を見るという 構想はフランス映画の様でした。 読みごたえのある作品だと思います。 | ||||
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いわゆる善人が1人も出ない。寂寥感・・・だから現代にはいいのかもしれない。 誰も殺す動機がある怖さもある。失跡した子の両親も、愛人関係にあった夫妻にも。 そして別荘の持ち主夫妻にも、その知人にも警官にも・・・その寂寥感。 現代社会の中の人々の寂しさからくる「殺意」「自分の存在を認めたいがために逆に名もない子を殺す」 それが一番言いたかったことではないだろうか。 だが私はこの少女が「 昔の主人公のように連れさられるけど生きていて、ふっと顔を出す」というラストでもよかったような気がする。 しかしこんなに一気に読めたのは久々。文章力でぐいぐいと引っ張られていった。 最後の1章は賛否分かれるだろう。書かなかったほうがいいような気がする。 | ||||
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ほとんど善人が「いない」「かげがあって、しかも影を引きずるながら、また暗部に行こうとする」人々の暗い世界。すべて暗い・希望がない。 いったいカスミは何を探していたのだろうか?もしかすると失踪した娘でなく「失踪した娘をあきらめた自分を探すために」ではなかろうか。犯人は見つからないし最後の1章も「私は個人的に好きでない」これでカスミの娘が死んだとか犯人が男とわかってしまうから。 あくまでカスミの失踪した娘は、昔のカスミのように戻ってくるかもしれない。どこかで生きているかもしれない最後の1章も、けしてカスミの娘が 殺されたと断定したわけでない。 文章力はすごい。一気にぐいぐいと引っ張っていく、それこそ桐野作品のすばらしさだ。あっという間に一晩で読んだ。 | ||||
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若者の「本当の自分探し」小説が文学賞の最終候補に残ると、 侮蔑に近いような拒絶反応を起こす選者のセンセイがいます。 またか! 本当の自分なんてモノは、実体のない、どこにもないものなのよ。 今現在の、他者との関係性の中にしか、自分というのはいないのよ、 てなかんじで。 そうした考えに触れると、私はいつも、本当にそうなのかなぁ、と少し疑問に思います。 そうした考えの方が、ある種の思想に安易に汚染されてるんじゃないかなぁって…。 ところで本作は、いい年をした中年男女の、「自分探し」の物語です。 最愛の娘を失って、あるいは間近に迫った確実に訪れる死を前にして、あるいは地位も名誉も金も家族も失って、 それぞれが「本当の自分」を能動的に、あるいは受動的に、模索していく物語。 そうしたことを真剣に始めると、世俗的な人間関係を断ち切らないといけない。 その果てに見えてくるのは…荒涼とした風景です。 読み応えがありました。 ただ、最後の失踪した娘の視点で語られる章(カスミの夢想でしょうが)は、ない方がよかったのでは…。 直木賞受賞直後にこの作品を手に取って、またか、と読み始めてすぐに本を閉じたのを覚えています。 この作者の描くヒロインは、いつもスペシャルワンで、しかも人の男を盗る。 ヒロイン以外の女の登場人物は皆、世俗的で魅力がない人物に描かれています。 ヒロインだけが、何とも言い難い野性的な魅力を持っているのです。 そういう設定が、なんだ、作者の自己認識というか、願望じゃないか、と思って、ちょっと幼稚だなぁ、なんて思っていました。 それに寒冷地の別荘って、よほどのお金持ちでない限り、こじんまりと造るものです。 居間が吹き抜けで、あとは四畳半の物置があるだけの別荘の2階に、 大きな寝室が三つあるというのは、ちょっと現実離れしています。 私は寒冷地と海のそばにそれぞれ別荘を持っているのでわかるのですが、 この間取りだと2階はロフトと6畳程度の寝室、あとトイレ、くらいでいっぱいいっぱいですよ。 なんだか小説の設定に<主婦の世間知らず>という感じが桐野さんんお初期の作品には散見するので、 それも私は嫌いでした。 でも、どの文学作品も、それぞれ瑕瑾があるものです。(ないものもありますが) そこに躓いて先を読まないのは、もったいないな、と今回しみじみ思いました。 私が年老いて、物事を受け止める間口が広がったからでしょう。 この作品世界は、今までの日本の女性作家が描いたことのない、桐野氏のそれこそスペシャルワンだと思います。 | ||||
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結末はすっきりしないが、そこまで読ませる筆力、構成力は素晴らしいと感じた。 引き込まれるような流れは見事。 ミステリーとしては、結末は頂けないが、プロセスを十分楽しめることが出来た。 | ||||
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この作品をミステリーとか犯罪小説という狭い枠組みで捉えて読む人は読み手を突き放したラストに対して低評価なのでしょう。しかし本作は、女性だけが持ち得るが如き「母性」の極限や、「喪失感」・「閉塞からの脱出」という普遍的な人間の情感が見事な筆力で表現された稀有な例のひとつであると感じます。その救いのなさこそが作家桐野夏生の特質のひとつではありますが、その読後感はリアルに現実に光をあてて、「生きる」ことを再考させてくれるのです。「犯人は誰か」などというレベルのスタンスでこの小説を読もうとするならば、素直に諦めて他のミステリーを探すべきでしょう。 | ||||
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このかわいそうな主人公に魅入られました。主人公の女性のファンになりました。 | ||||
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桐野夏生が自分で一番好きな作品と言う意味がよくわかった。決して読者にも誰にも妥協をしない作品。ミステリーのような 展開を見せる作品だが、もっと重くて人間の内面にまで踏み込んだ作品。不倫をしているカスミの娘が行方不明になる。 まるで作者を反映させるかのような強くて弱い女、カスミ。彼女は不倫相手のために一度は子供を捨てても良いと思う。 そして子供は測ったようにいなくなる。これを期に不倫相手の石山も彼女を去り、替わって出てくる元刑事の内海。彼は 末期がんに侵され余命いくばくもない。彼が一緒に娘を探してくれる。最後の100ページほどは作者はあえて読者をまどわ すかのようにカスミ、内海の夢と言う形をとって犯人を示唆する。別荘の持ち主、和泉。カスミの年老いた両親、そして村の 駐在警官、緒方。最後に娘が自ら死を選ぶような示唆でこの作品は終わる。この作品で娘の失踪は単に筋の枝葉に 過ぎない。大きなテーマはカスミや内海、そして石山の救いのない叫びだ。堕ちて行く人間達の救いは何か。容赦のない 作者は決して読者に迎合するようなエンディングを用意してくれない。親を捨て、娘も捨てたカスミの行く末は。巻末の解説を 福田和也が書いている。彼は桐野をロシアの小説家と比較し、その容赦の無さに注目する。桐野の骨太さは一体次に どのような作品を作り出すのか。高村薫とは一味違う骨太さ。こういった女流作家が時代の流れを作り、時代の本質を 見抜いていく。 | ||||
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面白くて止まらなかった。 一気に上下読みました。 家出、不倫、誘拐、娘を捜す日々。 死に向かう男と失った過去今現在へ。 出てくる人物も全部味があって面白かったし、 生も性も切り売りしない展開が良かった。 | ||||
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桐野夏生作品にはまり、最近続けてさまざまな作品を読んでいる。 東京島 緑の毒 IN OUT 残虐記 村野ミロシリーズ、、、、 この作品も最初から 男と女のドロドロ、そして、 女の暗い過去、娘の失踪、死にかけている元刑事 話のテンポが良く、あっという間に読み終えた、 早く下巻が読みたい。 | ||||
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上巻から一気読み。 死にゆく元刑事と娘を探して、故郷へ。 やがて 男の死で結末をむかえるが、最後まで犯人は解らずじまい。 自分で考えろということか。 どうも 最後に内海が見た夢が犯人のようだ。 | ||||
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よく皆さんが比較に挙げる『OUT』『グロテスク』の中では本作が一番良かった。 初めて桐野さんの作品を素晴らしいと思えた作品。直木賞受賞も納得です。 先述した二つも作品それぞれに疑問符があったし、ミロシリーズもイマイチだった。 でも本作は初めて「桐野さんはすごい」と思いました。 内容、テーマ、進行、テンポ、ラスト、全て文句なしの満点です。 ラストに関して賛否両論がありますが、私はこの形で良かったです。 良い意味でも悪い意味でも話題になったので、見事に出版社の担当者のもくろみ通りかと。 桐野さんの作品は細かい描写が繊細ですが、それによって読み手の想像が制限されてしまうという欠点があると思います。 それを今回は回避できたので、いろいろ想像・妄想したい読み手には満足な形でした。 個人的に真犯人は○○だと思っています。(ネタバレになるのであえて書きません。) 理由は全体の文章はもちろんのこと、決定的だったのは下巻のp.31の3行目、およびp.129に記載されているとある1文から推測しました。 もしかしたら2人いるかもしれません。 他の回想は全てただの夢だという見解です。 | ||||
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失踪した娘を追う母親と,事件によって生じた関係者のその後の人生を描いた作品. 母親を初めとして,関係者たちのどこかゆがんだ精神性を生々しく描いている. 前半は,事件後に宗教やTV出演などといった形で母親が狂騒する経過が描かれるが, この辺はどちらかといえばありきたりである. 後半は,事件現場に舞い戻り,捨てたはずの母親の故郷を訪れるという展開である. 母親だけでなく,元不倫相手や,末期癌で退職した元刑事など, 周辺人物のたちの壊れ方もリアルで,なんだか背筋に冷たいものを感じる. この種の人物像を描かせたら,桐野氏の右に出る者はいない. 真相が明かされない結末には批判もあると思われるが, 個人的にはこの結末は有りだと思う. この作品は真相が設定されていないわけではなく, そこにたどり着けるヒントが提示されていないだけで, 真相はちゃんとあるように感じられる. キャラクターたちの言動,状況設定は真相に沿って一貫性をもって動いているように思わせるだけの 雰囲気,説得力,あるいは筆力の高さがある. 未解決事件のもどかしさを読者にも共有させてくれる終わり方とも言える. ハードボイルドなミロシリーズは好みじゃない. OUTは猟奇的すぎるし,事件をモチーフにした最近の作品は理解不能, という桐野氏ファンにオススメの一作. | ||||
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初、桐野夏生でした。えぐいえぐいと聞いてはいましたが、噂通りの重たさ…。 筋立てとしては犯人探しのミステリーなのですが、本筋は娘の失踪によって変容していく各人の心の有り様。事件がそれぞれの心に落とした影が丁寧にかつ冷徹に描かれていきます。途中から捜査に加わる、末期ガンに冒された元刑事の内海が、関係者に事件の「手がかり」ではなく「感想」を聞いてまわるところが面白いです。 本書の陰の主役は、この内海だと言ってもいいんじゃないでしょうか。今まであくなき上昇思考から、犯罪を出世の道具としか考えずに生きてきた内海が、余命幾許もない状況の中でカスミの捜索を手伝いながら、初めて犯罪の心の部分に足を踏み入れようとする。しかし、残酷なのは、その自己の過ちを振り返る旅が何の免罪符にもならないことです。筆者は決して内海に安らかな死を与えません。むしろその最期は、これ以上惨い死があろうかというほど残酷。 残酷なのはまた、カスミにおいても同じ。衝撃のラストシーンは、カスミの苦しみ抜いた漂流の旅を全く顧みず、石山との逢瀬という原罪を拭えぬものとして断罪します。こんなに苦しんだんだからラストくらいは、なんて甘えは全くありません。本当にえぐい。 覚悟して読みましょう。傑作です。 | ||||
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話としてはまあ普通かな、という印象。ただあのラストの 後味の悪さは最高でした。きれいに終わらないのが人間の 最後と重なってぞっとしました。 ただこの小説の価値はむしろふとした文章の中に潜む「毒」にあると思います。 人間が持つ嫉妬や憎悪の部分をこれほどまでに表現できる作家は いるだろうか、ぐらいに感動できます。いろいろな負の感情を いろいろな登場人物が孕み続けながら怒涛のラストまで引っ張らせる 桐野先生の得意技に今回も脱帽。主人公のカスミもハードボイルド な感じがして、魅力的で格好よかったです。 | ||||
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ミステリーでありながら、誰が犯人かがわからない。 それは読者が自分で決めることもできるし どれでもあり得るのが人生だと意味付けることもできる。 犯人逮捕! その動機は? なるほど……人間は悲しいよね…… 共感! という志向の方にはお勧めできない。 が、あらゆることがおこる可能性が 生きることの中に含まれていると 捉える事の出来る人には 限りなき示唆に豊む作品と評価する。 | ||||
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暗く、哀しい・・・ しかし読み始めたら止まらない。 | ||||
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終わり方に賛否両論が、あるようですね、私は 余韻があってよかったと思います。 夫々が「幻視・夢」の世界で、このような犯人だとこうなりますというのが描かれていて面白い展開でした。 登場人物の一人一人が個性があり、事件をきっかけに人生が色々と動いていきます。 人間の執着心や悔悟の気持ちを、凝縮してよくえがいています。 不倫しなければ こんな事件は起きないのに・・と言ってしまうのは簡単ですが、主人公の心の中にある 満たされない思いや、生い立ちからくる何かがこのような人間性を生んだのでしょう。 登場人物の中では、「石山」の人間性がよく判りません。典子と長い付き合いであればもう少し違った形で「不倫」を すると思います。ばれるのを待っているような計画です・・ この作品の設定で無理があるのは、この辺りではないかと思います。 女性の心理は、描ききる作者ですが 男性の行動・心理は理解しきれないのでしょうか?? | ||||
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