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警部ヴィスティング 悪意
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警部ヴィスティング 悪意の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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刑事ヴァランダーに劣らず、クライマックスが凄くなって来ましたぁ~~~!! 前作「鍵穴」に続き、父親ヴィスティングは、またもや娘を窮地に立たせ、死を覚悟するほど・・。文中で、真犯人は「利他的で謙虚な人間を装い、自己中心的な動機を隠す事に長けた人間・・」と書かれているが、今の国会議事堂には、この様な奴はウヨウヨいるぞ・・「逮捕」!! | ||||
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今回はいきなり服役中の凶悪犯の逃走劇から始まる。 連続殺人事件の受刑者が別件事件の死体遺棄場所を告白すると欺いて、その現場で周到に準備された逃走を成功させたのだが、もちろん警察にとっては大失態であり、現場責任者として主人公が追及されることになる。 実はこの逃走劇は、未解明事件担当のあのスティレル刑事が共犯者「アザー・ワン」the other one逮捕のために仕組んだものだったのだが、結局、まんまと裏をかかれてしまい、スティレルは主人公と協力して捜査にあたることになる。 物語はこの警察の大失態から始まる異色の展開で、謎の共犯者の巧妙な陽動作戦に主人公らがキリキリ舞いさせられながらもなんとか解明を進め、最後はあっと驚くどんでん返しの結末となる。 捜査のディテールがリアルで説得力があるのは他のシリーズ同様で、ミステリーの手に汗握る推進力もよい。 ただ、スティレル刑事のあざとい手法や主人公の娘の捜査への危険な関わりはやはり気になるところだが、著者はストーリーの盛り上げに意図的に用いているようだ。 なお、ノルウェーの刑務所の自由な処遇は有名だが、本書でも受刑者が外部と自由に電話連絡できる(週20分、看守の立ち会いで)ことなどがわかる。 | ||||
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甘くて残念。 三作よみましたが、次はもう良いかも、と思う。 | ||||
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本書は、連続少女強姦殺人の凶悪犯の逃走という、まるで大団円のようなシーンで最初の100ページが費やされる。最初から手に汗握る設定である。凶悪犯に付き添い、割りを食う役が、我らが主人公ヴィスティングであり、撮影役を請け負うフリーランスの記者であり娘でもあるリーネが、共に冒頭の一大アクションに巻き込まれるという仕掛けである。 何者かにより、予め計画されたこの闘争劇には、スタン・トルネード弾までが使用され、複数の警察官の重症者も出る。責任問題と事件の収束と、どちらの責任をも双肩に背負うことになったヴィスティングは、世間の耳目を集めるスキャンダラスな脱獄ショーに続く悪夢のような時間を過ごすことになる。 事件が起こり、誰が犯人かを見極め、解決に至るという、いわゆるミステリーの定番から大きく外れ、本書はいきなりアクション小説としてのスタートを切り、それらの緊張感を伴うままに、過去事件の真相を掘削するという荒療治を行う、緊張感に満ち満ちた力作なのだ。 もちろん巻置く能わずのノンストップ・ストーリーなので、最後の最後まで、真相に辿り着くための迷路は続く。緊張を緩めることなく読まされてしまう超娯楽作品の仕上がりと言えよう。 巻末解説にもある通り、現役捜査官であった作者ならばこそ、およそあり得なさそうなアクションと緊張の連続シーンを、リアリズムとして描き切ることができるメリットは大きいように思う。 下手をしたら子供騙しに陥りがちなトリッキー過ぎる事件とその行方についても、警察捜査の経験という固い地盤を持つ作者だからこそ、説得力のあるプロットに落とし込めているように思う。 父と娘と、さらにその幼い孫娘と、だれもが見えない危険に曝されながらのリスキー・ホームドラマの要素を巻追う毎に高めながら、本書でもスリリングなエンディングや、意外な真犯人という結末等々、いつもながらのドラマティックな盛り上げぶりで、安定のエンターテインメントを作り出している。 映像化してほしいほどにスリリングなアクション作品なので、今後のヴィスティング・シリーズの躍動ぶりにさらに期待したい。本書でも、切れ切れの捜査官スティレルと彼を中心としたハイテクな捜査ぶりには、捜査小説の現代性どころか未来をも感じる。 また、とりわけスマホやその他オンライン機器、カメラ、動画解析技術等々、ハイテク機器が事件捜査に与える影響や効果は、より加速しているように思われる。今年はWOWOWでも『CSIヴェガス』の新ドラマが始まったが、科学捜査の技術スピードは速い。捜査新技術の作品への導入も1970年生まれの比較的若手作者であるホルストならではの特権と言えるかもしれない。未解決事件四部作最終作にも期待する。 | ||||
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「警部ヴィスティング 鍵穴」(2021/3月)に続く警部ヴィスティング・シリーズの新しい翻訳「警部ヴィスティング 悪意」(ヨルン・リーエル・ホルスト 小学館文庫)を一気読みしました。 開巻、シリアル・キラー、トム・ケルが未解決のもう一つの殺害を自供する見返りに世界一人道的だと言われる刑務所への移送を要求、被害者を埋めた場所へ警察関係者を案内するところからこのスリラーが開始されます。現場には、警部ヴィスティング、いつものラルヴィク署の刑事たち、国家犯罪捜査局捜査官・スティレル、ヴィスティングの娘・リーネも撮影スタッフとして同行しています。そして、読者にそうなるのだろうな?と思わせながら、現地に着くや、彼は事前に準備したシナリオに沿うかのように様々な手管を弄して、逃亡を図ります。役に立たなくなった手錠、外された足枷、炸裂するグレネード、弾ける9ミリの銃弾。ケルには共犯者、"Other One"の存在が不明のまま取り沙汰されていましたが、果たして彼がこれほどのことをやってのけたのか?いつにも増してストーリーを書けるのは、ここまでだと言っていいでしょう(笑)。 逃亡したケルは何処に消えたのか?共犯者は、果たして誰なのか?テオ・デルマンの正体は?ヴィスティングとハンメルらによって過去の事件が次第に洗い出されながら、この逃亡事件が新たな犠牲者を生み出してしまうのだろうか? 多くの謎が輻輳しながら高速で奏でられ、密度の濃いサスペンスが重層し、<Who-Done-It>がリバウンドしながら終局へと向かいます。今までのシリーズ二作以上にエキサイティングな警察小説に仕上がっていると思います。 また、娘の前では強気で振る舞うヴィスティングの姿とは対照的に、或る「罪悪感」に囚われるヴィスティングは、ヒーローでありながら、等身大の人間としての姿を垣間見せてとても味わい深い。 そして、ストーリーの肝を語らないように努めるならば、ジャーナリスト・リーナが考察する論文「悪意-動機としての悪意について」がすこぶる興味深く、その先にある自己愛性サイコパスへの洞察もまたこの物語の読みどころの一つなのだと思いました。 「権威の濫用、征服と服従、他人の意思の支配は悪の温床となる。それと同時に独裁支配への盲信的服従と無批判な忠誠は、平和的な民主主義国家をファシストの独裁国家に容易に変えてしまうおそれがある」(pp.230-231)という一文に、今日、今、この時、海の向こうで戦争が始まってしまったことが実感できてしまうような或る説得力を生み出していることも確かだと思います。それもまた、<Who-Done-It>。 | ||||
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