墓から蘇った男
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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国際的ベストセラー?「ヨーナ・リンナ警部」シリーズの第7作。タイトルから分かる通り、生きていた怪物ユレックとヨーナの最終決戦である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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このシリーズを最後まで読みたい気持ちと、犯罪の残忍さが安易に増幅する物語への嫌悪感とが擦れ合うような読書体験を本書はぼくにもたらし、素直に人に勧められるかどうか自信を失いつつある複雑な心境の作品であります。 以上の段落は、ラーシュ・ケプレルの前作ヨーナ・リンナ・シリーズ第6作『ウサギ狩り人』に関するぼくのレビューのエンディング。上の段落が、今回の新作に対するものにそのまま当て嵌まってしまい、それ以上でもそれ以下でもないところが、何とも残念。 例によって例により、過去作品のあの日あの時、死んだのか生き延びたのかわからないエリック・マリア・バルクの影が作品全体に投じられる。そうあのハンニバル・レクター博士を彷彿とさせる万能的な悪のコンダクターだ。なので本作はサーガとかシリーズであるというよりも、連続した大きな長編作品の一章というイメージが加速度的に強まってきたように見えてきた。従って本書を最初に手に取った読者には、物語の展開や過去事情を含め、人間関係やシチュエイションが全くわからないだろう。そんな方たちにこの手の作品は一体どう受け取られるのだろうか? また、それで良いのだろうか? かく言うぼく自身、前作までの人間関係図の過去の経緯のすべてを完全記憶しているわけでもないので、過去作に叙述が及ぶシーンの頻繁さは、かなりストレスを感じた。本来、シリーズぶっ通しで読んで初めて完全な面白さが得られるような造りなので、間を空けたり、途中を抜いたり、途中から読み始めたりでは、どの作品においても多くの部分がわかりにくい、あるいはまったく理解不能に陥るだろう。 以上の事情もあっての、訳者を変えてでもトライしてみせた、5か月目という異例の早さでの続編出版であったか? とは、深読みに過ぎるだろうか。 それでもスピーディかつショッキングな展開の多いバイオレンスの連鎖と、捜査側・犯罪者側間の駆け引きのスリリングさで、ページターナーぶりを失わないでいる筆力は流石と言わざるを得ない。 個人的には過去作や次作に引き継がれる点が多いことで、本書単独での評価がし難いという、生殺しに近い状況を押し付けられるタイプのこの手のシリーズはあまり好みではない。最近富みにスウェーデンを中心とした北欧ノベルに於いて、単独作品としての価値を失ってしまっているシリーズ作品が多いことに、少なからぬ抵抗を覚えつつ、何ともたじろいでいる次第。 とは言え、あと一作。本作で決着のついたあの人のことを背後に置いて、本作前篇をその個性で主に牛耳っていたもう一人のあの未決着な人物との最終ラウンドを何とか早めに見せてもらわないことには寝覚めが悪い。じりじり、ひりひりとするエンディングに、眠れなくなりました。 | ||||
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このシリーズを最後まで読みたい気持ちと、犯罪の残忍さが安易に増幅する物語への嫌悪感とが擦れ合うような読書体験を本書はぼくにもたらし、素直に人に勧められるかどうか自信を失いつつある複雑な心境の作品であります。 以上の段落は、ラーシュ・ケプレルの前作ヨーナ・リンナ・シリーズ第6作『ウサギ狩り人』に関するぼくのレビューのエンディング。上の段落が、今回の新作に対するものにそのまま当て嵌まってしまい、それ以上でもそれ以下でもないところが、何とも残念。 例によって例により、過去作品のあの日あの時、死んだのか生き延びたのかわからないエリック・マリア・バルクの影が作品全体に投じられる。そうあのハンニバル・レクター博士を彷彿とさせる万能的な悪のコンダクターだ。なので本作はサーガとかシリーズであるというよりも、連続した大きな長編作品の一章というイメージが加速度的に強まってきたように見えてきた。従って本書を最初に手に取った読者には、物語の展開や過去事情を含め、人間関係やシチュエイションが全くわからないだろう。そんな方たちにこの手の作品は一体どう受け取られるのだろうか? また、それで良いのだろうか? かく言うぼく自身、前作までの人間関係図の過去の経緯のすべてを完全記憶しているわけでもないので、過去作に叙述が及ぶシーンの頻繁さは、かなりストレスを感じた。本来、シリーズぶっ通しで読んで初めて完全な面白さが得られるような造りなので、間を空けたり、途中を抜いたり、途中から読み始めたりでは、どの作品においても多くの部分がわかりにくい、あるいはまったく理解不能に陥るだろう。 以上の事情もあっての、訳者を変えてでもトライしてみせた、5か月目という異例の早さでの続編出版であったか? とは、深読みに過ぎるだろうか。 それでもスピーディかつショッキングな展開の多いバイオレンスの連鎖と、捜査側・犯罪者側間の駆け引きのスリリングさで、ページターナーぶりを失わないでいる筆力は流石と言わざるを得ない。 個人的には過去作や次作に引き継がれる点が多いことで、本書単独での評価がし難いという、生殺しに近い状況を押し付けられるタイプのこの手のシリーズはあまり好みではない。最近富みにスウェーデンを中心とした北欧ノベルに於いて、単独作品としての価値を失ってしまっているシリーズ作品が多いことに、少なからぬ抵抗を覚えつつ、何ともたじろいでいる次第。 とは言え、あと一作。本作で決着のついたあの人のことを背後に置いて、本作前篇をその個性で主に牛耳っていたもう一人のあの未決着な人物との最終ラウンドを何とか早めに見せてもらわないことには寝覚めが悪い。じりじり、ひりひりとするエンディングに、眠れなくなりました。 | ||||
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読み進める度に主人公ヨーナ、そしてサーガの追い詰められた緊張、そして恐怖が伝わってくる‼ シリーズを読んできた人にはタイトルからまさか⁉の思い…そしてこれがシリーズ最初の本になる方には、物語前半に登場人物の口からごく簡単にこれまでの経緯が語られていますが、やはり第一冊目から読んだ方が楽しみ倍増、いや無限大・・・ 最初の数冊は出版社が違って手に入れにくいのが難点ですが、本当におすすめです!!! | ||||
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<ヨーナ・リンナ>シリーズ7作目。 シリーズのこれまでの作品は単独でも楽しめたが、本作は4作目『砂男』とかなりリンクしているので、そちらを読んでからの方が理解しやすいと思う。 ノルウェーで殺害された男の自宅の冷蔵庫には多数の人間の遺体があり、その中には埋葬されていたヨーナの亡き妻スンマの頭蓋骨が含まれていた。さらに別件で、ドイツで殺害された男の携帯電話にはヨーナに発信した(不在着信)痕跡があった。ふたりの身体には皮砥で鞭打たれたような傷があり、これらは数年前に抹殺したはずのユレック・ヴァルテルに繋がる。遺体は一部しか発見されていない。奴は生きているのか…⁉ ヨーナはユレックの仕業だと確信し、娘ルーミとともに身を潜める。だが、いくら過去に自分の生活をめちゃくちゃにされ、ユレックの恐ろしさを十分認識しているとはいえ、任務を放棄し雲隠れしてしまうヨーナに、前半は違和感があった。 加えて、周りの女たちはヨーナの助言を真剣に受け止めず、揃いも揃って頑固で愚かな印象を抱いた。まあ、自我が強い女性はこうなのかもしれないが。それをいうなら警察組織も半信半疑で協力不十分だったが。 ヨーナに代わって前半活躍していたサーガだが、堪え難いまでの苦難が自分に及ぶと、彼女までもが感情が先立ち冷静さを失った行動をとってしまう。 そして謎の大男による残虐な連続殺人事件。 後半はいよいよヨーナが出てくるが、時は既に遅く―――。 『砂男』に匹敵するほどの緊迫感に満ちた内容だった。 一警官の背景など冗長に感じるところがあれば、敵がなぜここまで巧みに情報をつかむことができるのか説明不足に感じるところもあったが、中身がここまで濃ければそれらも些細なことに思える。 続きが気になる。 当初、本シリーズは8作までとされていたが、前作『ウサギ狩り人』のあとがきでは10作目くらいまで延長されるようだと記述されていた。だが、本書のあとがきではまたも「8作で完結」とある。 果たして…? | ||||
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