ウサギ狩り人
- 北欧ミステリ (199)
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ラーシュ・ケプレルは、迷路のような小説を書く。一匹狼の警部ヨーナ・リンナは、前作で獄舎に囚われてしまったが、それは本書への周到な伏線だったのだ。そう本作はシリーズ第6作。全部で8作を予定していたシリーズは10作まで計画そのものも膨張したらしく、世界での人気が伺われる。 覆面作家として登場したラーシュ・ケプレルは、翻訳時点で既に、普通小説の夫婦作家の共作ペンネームであることが明かされているが、よほどケプレル作品の性格や方向性までお二人の息が合うらしく、相当の生きの合わせ方が伺われる。事件のサイコ性、不気味なまでの残虐性、スピーディな展開、ヨーナのスーパーな捜査能力と対になった一匹狼的野性&知性、などなど。 本書は捜査側の各行政機構、警察、軍その他の混乱まで呼び込み、陸海空に及ぶ派手なアクションや戦闘シーンなども散りばめられるなど、娯楽小説が大好きな愛読者をさらに倍増させそうだが、そのサービス精神が、最近の北欧ミステリー全体に蔓延する病原体のようで、食傷気味になっているというところがぼくの個人的な本音である。 アルネ・ダール、ベルナール・ミニエ、などどの作家もページターナーで読みやすく、一匹狼の刑事と相棒の女性捜査官、サイコな敵と残虐で劇場的な殺人風景、などなど、劇画チックなもの、スリラー映画を想起させるものが増えているように思う。 刑事バランダー・シリーズのような、かつての北欧ミステリーが見せた地道な刑事人生や孤独、単純な地方の殺人事件や風光明媚な国土などはあまり見当たらなくなっているように危惧する。 本書も殺戮のディテールが吐き気を催すほど血なまぐさい。最初は国家的政治的陰謀が関わる事件と思わせながら、どうも個人的な怨嗟が基になっているかと思われるいつもの連続殺人のようでもある。 本書の残酷性は、犠牲者に19分間苦しませた上で死に至るような細工である。連続殺人の原因となったらしい少女の集団強姦事件。狙われる犠牲者たち。心が乾燥した土地の冷たい人間模様ばかりが浮き彫りになって、鳥肌立つ思い。生理的な不快感に満ちている。 主人公のヨーナ・リンナはそれらの不快のすべてを直線的に解決してくれる一種の天才捜査官であるのと、孤独さと弱さも持つ人間的な刑事でありながら、どこか厭世的な負の影を持つために、人気を呈している。このシリーズの最後まで読みたい気持ちと、犯罪の残忍さが安易に増幅する物語への嫌悪感とが擦れ合うような読書体験を本書はぼくにもたらし。素直に人に勧められるかどうか自信を失いつつある複雑な心境の作品であります。 | ||||
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ラーシュ・ケプレルは、迷路のような小説を書く。一匹狼の警部ヨーナ・リンナは、前作で獄舎に囚われてしまったが、それは本書への周到な伏線だったのだ。そう本作はシリーズ第6作。全部で8作を予定していたシリーズは10作まで計画そのものも膨張したらしく、世界での人気が伺われる。 覆面作家として登場したラーシュ・ケプレルは、翻訳時点で既に、普通小説の夫婦作家の共作ペンネームであることが明かされているが、よほどケプレル作品の性格や方向性までお二人の息が合うらしく、相当の生きの合わせ方が伺われる。事件のサイコ性、不気味なまでの残虐性、スピーディな展開、ヨーナのスーパーな捜査能力と対になった一匹狼的野性&知性、などなど。 本書は捜査側の各行政機構、警察、軍その他の混乱まで呼び込み、陸海空に及ぶ派手なアクションや戦闘シーンなども散りばめられるなど、娯楽小説が大好きな愛読者をさらに倍増させそうだが、そのサービス精神が、最近の北欧ミステリー全体に蔓延する病原体のようで、食傷気味になっているというところがぼくの個人的な本音である。 アルネ・ダール、ベルナール・ミニエ、などどの作家もページターナーで読みやすく、一匹狼の刑事と相棒の女性捜査官、サイコな敵と残虐で劇場的な殺人風景、などなど、劇画チックなもの、スリラー映画を想起させるものが増えているように思う。 刑事バランダー・シリーズのような、かつての北欧ミステリーが見せた地道な刑事人生や孤独、単純な地方の殺人事件や風光明媚な国土などはあまり見当たらなくなっているように危惧する。 本書も殺戮のディテールが吐き気を催すほど血なまぐさい。最初は国家的政治的陰謀が関わる事件と思わせながら、どうも個人的な怨嗟が基になっているかと思われるいつもの連続殺人のようでもある。 本書の残酷性は、犠牲者に19分間苦しませた上で死に至るような細工である。連続殺人の原因となったらしい少女の集団強姦事件。狙われる犠牲者たち。心が乾燥した土地の冷たい人間模様ばかりが浮き彫りになって、鳥肌立つ思い。生理的な不快感に満ちている。 主人公のヨーナ・リンナはそれらの不快のすべてを直線的に解決してくれる一種の天才捜査官であるのと、孤独さと弱さも持つ人間的な刑事でありながら、どこか厭世的な負の影を持つために、人気を呈している。このシリーズの最後まで読みたい気持ちと、犯罪の残忍さが安易に増幅する物語への嫌悪感とが擦れ合うような読書体験を本書はぼくにもたらし。素直に人に勧められるかどうか自信を失いつつある複雑な心境の作品であります。 | ||||
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強烈な復讐心のラビット・キラー。 殺人の描写は、細かく怖くて身震いするくらい壮絶に書かれてます。 読者によっては、読み進める勇気が必要かな(苦笑) ヨーナの鋭い判断と行動力、公安警察を表だって出すストーリーは珍しいかも一気読みしました。 次回作が待ち遠しい終わりかた、早く読みたいです。 | ||||
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翻訳者のカタカナ語へのこだわりが不愉快だ。 日本語に翻訳しているのだから日本人にわかるように配慮すべきだと思う。 | ||||
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<ヨーナ・リンナ>シリーズ6弾。 とある中年男性が、自宅で売春婦(コールガール)に手荒なレイプまがいをしかけたところで目出し帽をかぶった男が現れ、処刑まがいの方法で惨殺される。その男性は政府の重要人物であったことからコード・プラチナ(国家最高レベルの脅威)が発令され、公安警察警部サーガが駆け付ける。 一方、ヨーナは前作『つけ狙う者』ラストで収監されてからほぼ2年。刑務所内で筋力トレーニングに励み、内部の力関係に順応した日々を送っていた。 警察は、囚人の一人が前述の事件に関わっている可能性があるとして、ヨーナに減刑と引き換えに協力を依頼してくる。 次々と発生する残虐な殺人事件。犯人の動機は何なのか?登場人物たちはどう繋がるのか? 前作序盤のよれよれ状態から一転し、心身ともに力強く頼もしいヨーナの活躍がうれしい。 美人で魅力的なサーガの登場もうれしい(元カレと別れ切っていないところにはがっかりだが)。 ブランクがあってもヨーナは相変わらず冴えわたっていて、綿密な分析とひらめきからそれぞれの事件の接点をみごとに見つけ出していく。さすがだ。ヨーナの能力は現役警官の誰をも凌ぐ。 特権階級に属する少年たちの傲慢さと歪み、父子関係の再生などもテーマになっている。 犯人の動機には共感でき同情の余地はある。ただ、子供の頃からの残虐な行いでそれが打ち消されてしまうが。 序盤からスピード感ある退屈しない展開で、期待通りおもしろかった。 ラストは次作の展開を漂わせて終わっている。あとがきによると今後は、#04『砂男』が蘇るようなことを示唆しているし、当初シリーズは8作とされていたがさらに続くようで、うれしい限りだ。 | ||||
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