三年間の陥穽



    ※タグの編集はログイン後行えます

    ※以下のグループに登録されています。


    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    8.00pt (10max) / 1件

    8.00pt (10max) / 1件

    Amazon平均点

    4.00pt ( 5max) / 9件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    1pt
    サイト内ランク []B総合:1078位
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    69.00pt

    38.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)2023年05月
    分類

    長編小説

    閲覧回数460回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数2

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)

    2023年05月23日 三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)

    子どもの人身売買を防止する団体に届いたのは、全裸で犬のリードを巻かれた少女の写真だった。グレーンス警部は、写真の手がかりを元にデンマークへ向かう。そこで明らかになったのは、ダークネットを通じた世界8カ国、21人にのぼる小児性愛者の存在だった。一斉逮捕のためには、グレーンス警部が小児性愛者を装い、ネット上でリーダーと接触する必要があった。残されたのは24時間。〈グレーンス警部〉シリーズ最新作。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

    三年間の陥穽の総合評価:8.00/10点レビュー 10件。Bランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (8pt)

    完全に壊れてしまったけど信頼できる、矛盾の塊になったグレーンス警部

    グレーンス警部シリーズの第10作、というか、グレーンス&潜入捜査員ホフマン・シリーズの第5作。ネットの闇に隠れた小児性愛グループを壊滅させるために二人が手を組む、アクション・サスペンスである。
    十年前に亡くなった愛妻の墓前でグレーンスが出会った女性は「我が娘」と銘された墓に参って来たのだが、そこに遺体は入っていないという。三年前に誘拐され姿を消したという少女が気になったグレーンスは捜査資料を読み、担当者と話をするうちに、同じ日に同じ4歳の別の少女が誘拐されていたことを知った。35年前の愛妻の事故で流産してしまった自分の娘と重なり、少女のことが頭を離れなくなったグレーンスは自ら再捜査しようとするのだが、娘の死亡宣告を申請した両親からは関与を拒否され、警察内部でもグレーンスの体調、それ以上に精神状態を憂慮する上司から休暇を取るように強制された。一切の警察力を使えなくなったグレーンスだが独力での捜査を決意し、天才的なIT専門家のビリー、デンマーク警察のIT専門捜査官ビエテの協力でダークネットに暗躍する小児性愛者グループの存在をつかんだ。グループを壊滅させるにはリーダーの正体を暴く必要があり、グレーンスは「家族のために、二度と潜入捜査はしない」と宣言したピート・ホフマンを必死で口説き、小児性愛者を演じて会合に出ることを承諾させた。だが、ホフマンは素性を暴かれてしまい・・・。
    これまでもずっと意固地で偏屈で怒りっぽく、全く協調性がないグレーンスだったが、本作での壊れっぷりは凄まじい。こんな同僚がいたら絶対に一緒に仕事したくないだろうが、被害者の思いを取り込み、犯罪を憎み、全身で怒りを現しながら進める捜査には絶対的な信頼を寄せるだろう。この特異なキャラクターがいかにして形成されたのかというのが明らかにされたのも、シリーズ愛読者にとっては読みどころである。
    本作だけでも読み応え十分だが、登場人物のバックグラウンドが分かっている方がさらに面白いので、是非ともシリーズとして順に読むことをオススメする。

    iisan
    927253Y1
    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.9:
    (3pt)

    普通。

    普通。
    三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)Amazon書評・レビュー:三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)より
    4151821651
    No.8:
    (3pt)

    普通。

    普通。
    三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)Amazon書評・レビュー:三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)より
    415182166X
    No.7:
    (5pt)

    悲しみしか無い

    警部、同居の家族が出来て良かったね
    三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)Amazon書評・レビュー:三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)より
    415182166X
    No.6:
    (5pt)

    現代的な情報小説の側面も持ち、なおかつ時代と世界への警鐘を忘れない骨太の作品

    グレーンス警部シリーズはついに終章を迎えつつあるのだろうか? そんな心配が胸を駆け巡る。それほど、しっかりと主人公の現在の日々、そして彼が過去に残した禍根から響いてくる痛みが、のっけから描かれてゆくからだ。亡き妻と、彼女が胎内に抱きかかえていた生まれなかった娘。グレーンス警部が毎夜、警察署の個室のコーデュロイのソファの上に身を横たえながら心に彷徨わせる孤独。帰って来ない家族への想い。

     本書では、傷つけられる子供たちというテーマが描かれる。聞いたこともないほど残酷な性被害を受ける、少年少女たちの存在が浮き彫りにされる。子供たちを犠牲にして自らの歓びや商売に結びつける鬼畜の如き親たち。彼らを結びつける悪魔のネットワークの存在。グレーンスが亡き妻の墓参りの後で出会ったのは、行方不明のままの娘のための空っぽの墓に花を捧げる女性だった。

     そしてその出会いにシンクロするかのように、行方不明の娘を三年間待ったという夫婦が、娘の捜索を諦め、その死を認め葬儀を行うことになったという報道を、グレーンス警部は耳にした。何故? 何故? 何故? グレーンスの頭の中で鳴り響く疑問が、その行方不明の娘の葬儀に、執拗に待ったをかける。行方不明の娘の双子の少年もまた、グレーンスに、彼女は生きていると思うと告げる。双子特有の直感のようなもの?

     この物語の導入部は、警察が認めてしまう捜査終了に抗い、個の力で子供たちを性の奴隷として商品化する悪のネットワークを暴こうと決意するグレーンスのある意味、心の物語だ。相変わらずテーマは重く、そして世界レベルでもある。

     もう金輪際潜入捜査はやらないはずのピート・ホフマンは、またもグレーンスの訪問を受ける。否、ピート個人ではなく、ホフマン一家がである。敢えて家族をも巻き込んでのグレーンスの説得に、ピートは暴力の形で激しい怒りをぶつけるが、何と妻がピートを説き伏せる。許し難い犯罪ネットワークをぶっ潰すよう要請するグレーンスのためではなく、失踪した娘とその母たちのために。

     前半は、この状況の構築だけで、ぐいぐい読まされる。後半は、お馴染みのダブル主人公のうち、ピートの潜入シーンが例によって核心部となるが、彼自体の命も脅かされるほどの敵方の慎重さと疑い深さに、我らが主人公は、シリーズ最大の危機を迎える。

     いつも思うのは、この作者の現代的なテーマの確かさと重さ、そして構図のしたたかさである。本書も、スピード感のある描写と共に、心の揺らぎや、状況の不安定感が全編を包むことで、全編、絶え間ない緊張が走り続けるものである。読者側の感情に訴えかけてくる人間性という救いが作品の中に見え隠れしなければ、あまりに過酷な物語として生理的にも受け付けられないテーマですらある。

     それでもグレーンス警部に関わる深い人間描写と、ピート・ホフマンという人間の運命性とを梃子のように使い分け、作品全体に強烈な力学を加えてゆくその小説作法は、いつもどの作品でも極めて素晴らしい上に、現代的な情報小説の側面も持ち、なおかつ時代と世界への警鐘を忘れない骨太の作品ともなっている。それがこのシリーズのいつもながらの特徴なのである。

     構成はこの上なく素晴らしく、プロローグで偶然に出会う忘れ難き名無しの女性との出会いのシーンが、ラストシーンに置いてグレーンス警部の心の中の状況として奇妙な響きを持つようなエンディングとなってゆく。一種不思議な感覚で終わるこのラストシーンもまた、この手練の作家の持つ魅力なのだ、と言って良い気がする。

     一気読み必須の語り口と、作者の健在ぶりを間近に見てしまうと、この先のグレーンス警部やピート・ホフマンとの再会がますます楽しみになる。そんな興奮冷めやらぬ読後を、ぼくはいま、多少の微熱とともに持て余しているのだと思う。
    三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)Amazon書評・レビュー:三年間の陥穽 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-15)より
    4151821651
    No.5:
    (5pt)

    現代的な情報小説の側面も持ち、なおかつ時代と世界への警鐘を忘れない骨太の作品

    グレーンス警部シリーズはついに終章を迎えつつあるのだろうか? そんな心配が胸を駆け巡る。それほど、しっかりと主人公の現在の日々、そして彼が過去に残した禍根から響いてくる痛みが、のっけから描かれてゆくからだ。亡き妻と、彼女が胎内に抱きかかえていた生まれなかった娘。グレーンス警部が毎夜、警察署の個室のコーデュロイのソファの上に身を横たえながら心に彷徨わせる孤独。帰って来ない家族への想い。

     本書では、傷つけられる子供たちというテーマが描かれる。聞いたこともないほど残酷な性被害を受ける、少年少女たちの存在が浮き彫りにされる。子供たちを犠牲にして自らの歓びや商売に結びつける鬼畜の如き親たち。彼らを結びつける悪魔のネットワークの存在。グレーンスが亡き妻の墓参りの後で出会ったのは、行方不明のままの娘のための空っぽの墓に花を捧げる女性だった。

     そしてその出会いにシンクロするかのように、行方不明の娘を三年間待ったという夫婦が、娘の捜索を諦め、その死を認め葬儀を行うことになったという報道を、グレーンス警部は耳にした。何故? 何故? 何故? グレーンスの頭の中で鳴り響く疑問が、その行方不明の娘の葬儀に、執拗に待ったをかける。行方不明の娘の双子の少年もまた、グレーンスに、彼女は生きていると思うと告げる。双子特有の直感のようなもの?

     この物語の導入部は、警察が認めてしまう捜査終了に抗い、個の力で子供たちを性の奴隷として商品化する悪のネットワークを暴こうと決意するグレーンスのある意味、心の物語だ。相変わらずテーマは重く、そして世界レベルでもある。

     もう金輪際潜入捜査はやらないはずのピート・ホフマンは、またもグレーンスの訪問を受ける。否、ピート個人ではなく、ホフマン一家がである。敢えて家族をも巻き込んでのグレーンスの説得に、ピートは暴力の形で激しい怒りをぶつけるが、何と妻がピートを説き伏せる。許し難い犯罪ネットワークをぶっ潰すよう要請するグレーンスのためではなく、失踪した娘とその母たちのために。

     前半は、この状況の構築だけで、ぐいぐい読まされる。後半は、お馴染みのダブル主人公のうち、ピートの潜入シーンが例によって核心部となるが、彼自体の命も脅かされるほどの敵方の慎重さと疑い深さに、我らが主人公は、シリーズ最大の危機を迎える。

     いつも思うのは、この作者の現代的なテーマの確かさと重さ、そして構図のしたたかさである。本書も、スピード感のある描写と共に、心の揺らぎや、状況の不安定感が全編を包むことで、全編、絶え間ない緊張が走り続けるものである。読者側の感情に訴えかけてくる人間性という救いが作品の中に見え隠れしなければ、あまりに過酷な物語として生理的にも受け付けられないテーマですらある。

     それでもグレーンス警部に関わる深い人間描写と、ピート・ホフマンという人間の運命性とを梃子のように使い分け、作品全体に強烈な力学を加えてゆくその小説作法は、いつもどの作品でも極めて素晴らしい上に、現代的な情報小説の側面も持ち、なおかつ時代と世界への警鐘を忘れない骨太の作品ともなっている。それがこのシリーズのいつもながらの特徴なのである。

     構成はこの上なく素晴らしく、プロローグで偶然に出会う忘れ難き名無しの女性との出会いのシーンが、ラストシーンに置いてグレーンス警部の心の中の状況として奇妙な響きを持つようなエンディングとなってゆく。一種不思議な感覚で終わるこのラストシーンもまた、この手練の作家の持つ魅力なのだ、と言って良い気がする。

     一気読み必須の語り口と、作者の健在ぶりを間近に見てしまうと、この先のグレーンス警部やピート・ホフマンとの再会がますます楽しみになる。そんな興奮冷めやらぬ読後を、ぼくはいま、多少の微熱とともに持て余しているのだと思う。
    三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)Amazon書評・レビュー:三年間の陥穽 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMル 6-16)より
    415182166X



    その他、Amazon書評・レビューが 9件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク