悪い弁護士は死んだ
- 北欧ミステリ (199)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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スウェーデンを代表するミステリー作家の「ベックストレーム警部」シリーズの第3作。全く関係がないような3つの事件が奇妙につながり、複雑に絡み合うのだが、ベックストレームが独自の勘と欲得とで事件を終わらせてしまう、ユーモア警察ミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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とにかくベックストレームのキャラクターが面白すぎて楽しい 似たキャラの「フロスト警部」は完結したし「犯罪心理捜査官セバスチャン」は日本で訳されなくなってしまったようなので このシリーズには期待が大きいです | ||||
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これは、与太話だ。 だが、シニカルに笑える。 期待と全く違っていたが、逆に楽しめた。 たとえば、ジェフリーディーヴァー、たとえば、ダン ブラウン、そういう与太話よりも、ずっと楽しい。 ベックストレームシリーズ、疲れるくらい長いが、やめられない。 | ||||
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この作家を読み始めたきっかけは『許されざる者』だったが、その作品はヨハンソンという警察長官のシリーズ主人公であり、しかもシリーズ最終作だった。物凄くシリアスで読み応えのある感動作だったのでかなり気になる作家となって記憶に刻まれた。 同じ作家の別シリーズである本書ベックストレーム警部シリーズが今や、次々と翻訳されているので、期待して読んでいるのだが、このシリーズは、実はユーモア・ミステリー。誰が見てもアンチヒーローな助平ジジイイなベックストレーム警部だけが、喜劇役者のような主人公を演じる。生前のヨハンソンが顔を出してくれるシーンでは、複雑な想いとともにこの別シリーズのヒーローの個性の強さに改めて感銘を受けたりもした。 ベックストリーム警部は、ヨハンソンと同じ地平にいるくせに、かなり際どい類いの主人公である。悪徳警官とは言わないまでも、私腹をこやし、女性を性の道具として利用、それ自体性差別なのだが、人種差別を含め、あらゆる差別の亡者でもある。 それでいて彼を取り巻く警察組織の各部署のキャラクターは生真面目な普通の警察小説の地味眼な主人公たち。あくまで捜査責任者であるベックストレームだけが、エロじじいであり、アル中であり、昼寝大好きであり、私腹をこやすための努力を惜しまないダーティ極まりない漫画チックな主人公なのである。 この手のミステリーで有名なのは、セクハラやパワハラも共通するワーカホリック警部として一世を風靡したあのR.D.ウィングフィールド描くシリーズ主人公であるフロストであろう。どちらも中年の下品男、それでいて事件解決能力の高い主役刑事をヒーローにしたミステリーの双璧と言えるのではないだろうか。 フロストがどちらかと言えば、一気に沢山の事件を解決してゆくモジュラー型小説とすれば、本編のベックストレームは一つの事件の裏に重なる分厚い謎を運よく、結果的に解いてしまい、最終的に美味しいところをものにしてゆくという皮肉型主人公であるように思う。 本書でもベックストレームの下品さや強欲さは全開極まりなく、ストーリーはオートマティックに進んでゆくのだが、スウェーデンらしく歴史の世界に入り込んでゆくエピソードの長さには、聞き役であるベックストレーム同様、読者としてもやたら退屈させられた。また歴史上の人物相関図が及ぼす現代の事件への難解度が半端じゃなく、これまでのシリーズ作としては最も長い、と言われる部分がこれのせいだったか、と思うと、ミステリー読者としては辛すぎる構成と感じた。 作者が、犯罪学教授で、国家警察委員会顧問などの肩書を持っているとのことなので、ともすればストーリーテリングよりも楽屋落ちに近い蘊蓄方面に語りが入ると厄介、という印象がないでもない。 このシリーズを読み続けるべきか否かを問われるぼくにとっては分岐点的作品である。中盤で100ページ余を費やしての面倒くさいエピソードの集積さえなければ、あれよあれよと解決に雪崩れ込む展開は魅力だ。何よりベックストレームの日常に関わるストーリーテリングの楽しさと、事件の時空スケールの退屈な奥深い語り口を秤にかけると、結論に至らずというのが、現在の私的心境である。あなたはこの怪作を如何、ご判断されるだろうか? | ||||
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この作家を読み始めたきっかけは『許されざる者』だったが、その作品はヨハンソンという警察長官のシリーズ主人公であり、しかもシリーズ最終作だった。物凄くシリアスで読み応えのある感動作だったのでかなり気になる作家となって記憶に刻まれた。 同じ作家の別シリーズである本書ベックストレーム警部シリーズが今や、次々と翻訳されているので、期待して読んでいるのだが、このシリーズは、実はユーモア・ミステリー。誰が見てもアンチヒーローな助平ジジイイなベックストレーム警部だけが、喜劇役者のような主人公を演じる。生前のヨハンソンが顔を出してくれるシーンでは、複雑な想いとともにこの別シリーズのヒーローの個性の強さに改めて感銘を受けたりもした。 ベックストリーム警部は、ヨハンソンと同じ地平にいるくせに、かなり際どい類いの主人公である。悪徳警官とは言わないまでも、私腹をこやし、女性を性の道具として利用、それ自体性差別なのだが、人種差別を含め、あらゆる差別の亡者でもある。 それでいて彼を取り巻く警察組織の各部署のキャラクターは生真面目な普通の警察小説の地味眼な主人公たち。あくまで捜査責任者であるベックストレームだけが、エロじじいであり、アル中であり、昼寝大好きであり、私腹をこやすための努力を惜しまないダーティ極まりない漫画チックな主人公なのである。 この手のミステリーで有名なのは、セクハラやパワハラも共通するワーカホリック警部として一世を風靡したあのR.D.ウィングフィールド描くシリーズ主人公であるフロストであろう。どちらも中年の下品男、それでいて事件解決能力の高い主役刑事をヒーローにしたミステリーの双璧と言えるのではないだろうか。 フロストがどちらかと言えば、一気に沢山の事件を解決してゆくモジュラー型小説とすれば、本編のベックストレームは一つの事件の裏に重なる分厚い謎を運よく、結果的に解いてしまい、最終的に美味しいところをものにしてゆくという皮肉型主人公であるように思う。 本書でもベックストレームの下品さや強欲さは全開極まりなく、ストーリーはオートマティックに進んでゆくのだが、スウェーデンらしく歴史の世界に入り込んでゆくエピソードの長さには、聞き役であるベックストレーム同様、読者としてもやたら退屈させられた。また歴史上の人物相関図が及ぼす現代の事件への難解度が半端じゃなく、これまでのシリーズ作としては最も長い、と言われる部分がこれのせいだったか、と思うと、ミステリー読者としては辛すぎる構成と感じた。 作者が、犯罪学教授で、国家警察委員会顧問などの肩書を持っているとのことなので、ともすればストーリーテリングよりも楽屋落ちに近い蘊蓄方面に語りが入ると厄介、という印象がないでもない。 このシリーズを読み続けるべきか否かを問われるぼくにとっては分岐点的作品である。中盤で100ページ余を費やしての面倒くさいエピソードの集積さえなければ、あれよあれよと解決に雪崩れ込む展開は魅力だ。何よりベックストレームの日常に関わるストーリーテリングの楽しさと、事件の時空スケールの退屈な奥深い語り口を秤にかけると、結論に至らずというのが、現在の私的心境である。あなたはこの怪作を如何、ご判断されるだろうか? | ||||
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2021/1月に読んだ「平凡すぎる犠牲者」に続く〈ベックストレーム警部シリーズ〉の新しい翻訳「悪い弁護士は死んだ 上・下」(レイフ・GW・ペーション 創元推理文庫)を読み終えました。大部のため、少し時間がかかりました。そして、上巻を読み終え、下巻に入った途端、物語のスケールが拡大され、面白さが加速していく醍醐味を味わいました。 以前より悪名高き弁護士が自宅で殺害されます。前作でギャング三兄弟を弁護したエリクソンが殺されたことで、ベックストレームは勇んで捜査に乗り出します。何故、誰が、どんな方法で? 一方、老婦人によるペットの飼育放棄、宮殿の駐車場で男爵がオークションカタログによって暴行を受け、そんな小さな事件がベックストレームが所属する凶悪犯罪課へと持ち込まれます。果たして、それらの事件は関連があるのか、ないのか?(笑) パズラーとしては、複雑に、或る意味きめ細やかに構築されていて、事件に対してソルナ署のいつものメンバーが、その謎を少しずつ解明していくプロセスが読みどころではありますが、今回は、スウエーデンから物語がダイナミックに飛び出します。イタリア、ロシア、英国へと広がりを見せ、その仕掛けられた大きな「嘘」もまた、「大人のためのおとぎ話」として印象深い。本作は2013年に上梓されていますが、現時点、2022/3月、曰く言い難い結末へと収斂していくペーションの筆致には、作家としての大いなる「現実認識」を見出すことにもなりました。詳細は書くことができません。ロシアのある著名な人物が、ピノキオの鼻が伸びることを賞賛している? もう一点は、いつものことですが、破天荒な警部・ベックストレームとどう付き合っていくかということなのでしょう。昭和の時代を経験したオヤジたちは、何の違和感もなく受け止め、Z世代にとっては、何のことはないにしても、かなりのムカつきを覚える探偵小説史上最低な人物の一人であることは間違いないような気がします。 私は、どうか?私は、私の中の「ベックストレーム」と向き合ういい機会だと思い、その機会を喜んで受け止めています。次作を楽しみにしています。 | ||||
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