犠牲者の犠牲者
- 北欧ミステリ (199)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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スウェーデンでベストセラーになったという、54歳の遅咲き作家のデビュー作。すさまじい拷問を受けた男の発見をきっかけに判明した、猟奇的な連続殺人事件をテーマにしてサイコ・サスペンスである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1/3まで読めば、結論は予想できます。 ドンデン返しはありません。 翻訳は上手いなぁ、と感心したので、星二つ。 | ||||
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最初は翻訳が固くて読みにくいスタートとなったが、徐々にこなれてきたのと物語が面白すぎて、ページを繰る手が止まらなくなった。 全体が三部構成となっている。第一部では、ろくでもない犯罪者たちが、世にも残酷な方法で殺されてゆく連続殺人事件という派手なスタート。追跡し始める捜査陣のヒーローと癖のありそうな男女の刑事、報道陣のヒロインとその経歴などの独特な個性を、通り一遍ではなく語ってゆく丁寧な章で、実に良い感じ。第二部は、事件を犯罪者側の一人称で語ったものなので、いきなり犯人がわかってしまうから、間違えても巻半ばを開いて飛ばし読みしてはいけない! そして第一部と第二部を合わせて、さらにひと捩じりした驚愕の結末に雪崩れ込むサプライズ終章。 まずは人間関係のあれこれを仕込んでおいて、それを丁寧に解きほぐしてゆく、という手法で描かれた犯罪絵図。徹底しているのは、悪玉たちはいずれも情け容赦ない100%完璧な悪党であるということ。それが、タイトルにも絡む要素であり、本書を成り立たせている基本図式であるように思う。誰が読んでもこいつは生きててはいけないという悪玉が多いが、中には巻き込まれて泣きを見る半端者悪玉もいたりして、その者たちにとっては辛すぎる仕打ちかな、と思われる面もあり。司法側に捕まっておけばこれほどの刑に処されずに済んだろうにとの疑問は残る。 勧善懲悪に見えて、どこかその隙間を縫う中庸のキャラも多いように思えるところは、この作品の空気抜きだろうか。それとも単純な人間だけを描きたくないという作者の趣向だろうか? 面白さや過激さを目指し過ぎたゆえに、リアリズムから遠のく感のある物語だから、そこに少しだけ現実らしさを求めて人間の個性という調味料を加えた感じもある。それもこれも北欧ミステリーのサービス精神と割り切れば、本書は全体でよくできたエンターテインメントであり、精巧な玩具であると言える。 本書の主軸となる第二部、即ち殺人者による独白は、ここにページをかなり費やしているために第一部の疾走感にブレーキをかけ過ぎという中弛み感を覚えないでもない。でもそれが最終章のどんでん返しに生きてくるとも言えるので、全体像を読後に俯瞰するとそこも納得。読んでいるうちは第二部は少し辛いです。 新人作家だが、元は新聞記者であったそうである。作家の勤めていた新聞社がそのまま、作中に実名で出てくるというのも一興であり遊び心であり作者にとってのノスタルジーなのか。 最後に、本書を血なまぐさいだけの面白ミステリーに終わらせなかったのは、キャラクターたちが抱える背景として重要となる家族ドラマの一面なのだろう。この新人作家はシリーズ二作目、三作目と書き継いでいるらしく、そちらの家族ドラマとしての今後も捨て置けない気がする。ミステリーのアイディアのみならず、この辺りの微妙な人間描写にも相応に重心を置いている作風には大変好感が持てる。続編の翻訳が切に待たれる。 | ||||
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内容は三部に分かれている。 第一部は、次々に起こる凄惨な殺人事件に対して、警察が真相を探っていく場面であり、一般的な警察小説の構成だ。終盤で犯人が明かされる(意外な人物)。 第二部は、その犯人の立場から一人称で語られていく。タイトル通りであり、共感と同情を覚える。残虐な殺人を犯しているが、犯人を応援してしまう読者は少なくないだろう(私を含め)。 だが、ここで中だるみを感じた。その犯人の背景が長くて多い。これほど必要か?と。おそらくこの作者は女性なのだろう。女性でなければこの分野に関してここまで語れないと思う。事件と関係があるようで、ない内容だ。 そして第三部でどんでん返しが――!のフレ込みだが、結果としてうやむやなところが個人的好みでなかった。モアモアした、何だか綿のようなものをつかむようだ。 主人公の警部の立場をみても、公的にはどうかと思うし、私的には中途半端だ(あとがきによると続刊があるらしい)。 第一部で違和感を感じたのは、ウザいマスコミ記者が、事件を担当している多忙な警部に何度も直接電話して聞き出そうとするところ。普通は警察の広報とかが対応するのでは?と思うところだが、スウェーデンでは違うのか?(あとがきによるとスウェーデンは警官の数が少ない上、作者は記者だったというから、きっとそういうシステムなのだろう) 本国スウェーデンではヒットしたとのことなので、作品の可否は読者によって意見が分かれるところなのだろう。 殺害方法などは鋭く残虐で、女性作家だとしたら、なかなかの描写だと感じた。特にレイプ場面については、女性だからこそ描けるのかもしれない。 | ||||
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