捜査線上の夕映え

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捜査線上の夕映えの評価:

3.61/5点 レビュー 36件。 B ランク

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平均点3.61pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全36件 1〜20 1/2ページ
No.36
(4pt)

エモーショナルな有栖

さすがの有栖川有栖…というべきでしょうか。時間があるとき一気読みが出来れば一番おすすめ。
トリックに少し無理がありそうな気もしますが。
作家有栖が挑む一番のミステリーは、火村英生の過去と内面。これからもこの二人を読み続けたいです。
捜査線上の夕映え Amazon書評・レビュー: 捜査線上の夕映えより
4163914846
No.35
(3pt)

読ませる力はありますが…

結末がやや不自然かと…
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4163914846
No.34
(3pt)

残念ながら期待はずれ

月光ゲーム』に続き、有栖川有栖の作品として二作目に選んだのが本作。評価が高く、筆者のベストランキングにも常連の一作だが、残念ながらあまり楽しめなかった。連載作品だったためか、物語全体にどこか継ぎはぎの印象が最後まで拭えない。でも最大の問題は次の二点。(1)犯人の意外性の欠如。最初から疑っていた人物がそのまま犯人で、驚きがなかった。(2)トリックの奇想天外さ。実際の場面を想像すると、サーカス団員でも不可能ではないかと思われるほど無理のある展開である。というわけで、どこかすっきりしない読後感が残った。とはいえ、これはあくまで好みの問題で、特にトリックの感じ方は読者それぞれだろう。
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4163914846
No.33
(2pt)

「新本格」ではなく、いわゆる「社会派」寄りのミステリなのが残念でした

有栖川有栖氏といえば新本格の旗手のひとりですが、他のレビュアー(特に低評価の方々)が指摘しているとおり、それを期待して読むとかなり肩透かしになってしまうのが本作ではないかと思います。私自身、横溝正史は好きでも松本清張は興味がない人間なので、だからこそこれまで有栖川氏の作品を多く読んで楽しんできたのですが、この作品は宣伝文句にも「シリーズ新境地」とあるように、著者自ら意識して作風を転換しているということなのでしょうか。あるいは出版社がやはりそう感じて、いわば予防線的にそう謳っているのかわかりませんが・・・。

確かに犯罪の不可能性や意外な真相はあるものの、どれも「新本格的」な魅力には乏しく、言ってはなんですがテレビの2時間サスペンス程度の謎とトリックでした。説明不足な点もあり、唐突に「実はこういう特技がありました」と言われてもそれはないでしょ?と。読者にとって事件解決や犯人特定のヒントとなる伏線がかなり少なく、それは隠し方がうまいというよりは、単にわかりにくすぎるという気がして残念です。しかしこれが「新本格」ではないのであればそれもありなのかもしれません。ただ、エモーショナルなものを書きたかったと著者の弁にありますが、風景や状況の描写など、ミステリの真相部分にほとんど関係ない描写が延々と続き、退屈になりました。コロナ禍であることをうまく用いた部分もないことはないのですが、やはりそれを利用したトリックのひとつもあまりにしょぼく。少しネタバレになるかもしれませんが、たった1件の事件に対して全体の分量もあまりに長すぎますし、警察小説ではないのに捜査が遅々としてまったく進展しない展開も冗長に感じました。

有栖川氏の作品なので、長年のファンとしてはやはりどうしてもクローズドサークルでの連続殺人や不可解な状況、魅力的な謎の提示、あっと驚くどんでん返しなどを期待してしまいますが、それはもはや「学生アリスシリーズ」のみに特化して、「作家アリスシリーズ」は今後このような社会派ミステリでいくということなのでしょうか。逆に言えばどちらの作風も書けるというのは著者の力量を示しているのかもしれません。毎回匂わせている火村英生の謎についても一向に進展することもなく・・・本当に完結するのかどうか(笑)
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4163914846
No.32
(3pt)

冒頭から2/3の膠着状態を乗り切れば…

長年このシリーズを追い掛けている。
が、畳まれる気配は一向にない。
少しずつでも火村の素顔を知ることが出来る展開はないのだろうか、ということを求めるのは半ば諦め掛けている。

読む前は表紙も美麗で、分厚くて読み甲斐がありそうだと喜んだ。

だが、開いてみて「コロナ禍」真っ最中の話と聞いて、何となく嫌な予感に襲われた。
有栖川作品は、旅行先や雪深い山中で起こる事件が多く、その舞台が事件を華やかに彩って来た。
予感は的中した。

ステイホームの時代を残したかったのかもしれないが、既に数年前の事象ですら、人々の記憶からは薄れかけている。
時事ネタを扱う書き物に多いのが、月日が経っていないことが多く、時代の中でも著者の中でも、まだ何らかの落としどころが見つかっていない、という場合。
客観として扱うには主観が入り過ぎ、主観として扱うには、エンタメとして不足ということが多い。
恐らく20年先に産まれた子が本作を読んだとしたら、何のことかと首を傾げるのではないか。
コロナ禍と書いてある割にコロナの悲惨さや異国でのロックダウンの模様が殆ど描かれておらず、その点については先々の未来の読者への描写不足を感じた(素顔だった、マスクを外した、という描写が少々くどいと感じた箇所も多い)。

推理ものがゆえにコロナ禍の事情ばかり書いていられない、ということであれば、無理に時事ネタを扱わなくても良いのではと個人的には感じた。

上記はともかく、辟易したのは冒頭から2/3までの物語の膠着状態についてだった。
家と現場(警察)のみの行き来で、あれでもないこれでもないと話が進まな過ぎて、「ずっとこの調子なのだろうか…」と舞台の華やかさや、探偵のキャラクター性でもって物語を追い掛けて来た読者にとっては、読み進めることが非常に億劫になる場面も多い。

また、頼りにしている探偵が弱気なことを言い出し(たように見え)、事件も遅々として進まないのだから、先を知りたいという気持ちよりも「先を読んで、面白いと思えるのか」という心配が勝ってしまいそうになる。

ようやく、事件が動き出した、話が面白いと感じたのは既に339頁付近だった。(それまでは本当に惰性で読んでいる)そこからは今まで何だったのかと思うほど、一足飛びに話は展開し、解決にまで漕ぎつけるのだが、如何せんそれまでが長すぎる、というのが主な感想でもある。

旅に出るまでの舞台設定があまりに地味で、火村とアリスの軽妙洒脱なセリフ回しがこのシリーズの良いところなのだが、それも振るわない印象で漸く筆が乗ったところが終盤なのかと思わないでもない。
コロナ禍の中での自由の効かない捜査模様を徹底して書くものかと思えば、結局終盤で旅に出てしまうし、安楽椅子なのか、フィールドワーク重視なのかどちらつかずの印象を受けた。

とはいえ、仲島に着いてからの情景描写や、序盤、終盤での夕映えのシーンなどは心惹かれるものが多く、過去回想にも興味をそそられたので「やはり出先での事件の方が良いのでは」と思わせられた。実際に行ったとしか考えられない、リアリティのある採掘場や島の中の話は良かった。(島の中での、雑談に見せかけた聞き込みは「本当にそんなことまで話して貰えるのか」「二人とも泥酔していたり記憶が虚な場合どうするんだ…」と別の意味でハラハラさせられる)

願わくば、過去の事件と現在の事件についても、犯人の自供が欲しかったところ。有栖川作品が動機について重視していないとはいえ、この分厚さの本で確固とした動機が語られず「きっとそうだった。いやそうだったのだろう」的に語られる部分は曖昧さを免れない。犯人は貴方です、という探偵の一番の見せ場がないことは展開上仕方ないとはいえ、その辺りはもう少し確固とした証拠を持って語るシーンが欲しい、と長文を読んだ読者の特権を主張したい。

今作はエモ、という部分に振り切ってしまったのか、カタルシスがもっと欲しいと感じた。
探偵が頼もしく(弱音を吐かず)、びしりと決めるシーンが欲しかった、と思ってしまうのは、推理小説好きとして過ぎたる願いではないだろうと思うのだが……。肝心かなめの火村の影がどうにも薄かった印象がある。

舞台が一つところで、キャラに因らない日常的なロジックから埋めていくことを楽しめるタイプの人には、良いのかもしれない。旅先での派手な舞台や、始終大きく動く展開、キャラクターの活躍を楽しみにしている人にとっては、同様の感想を抱く方もおられそうなものだ。

今後はシリーズとしても新たな進捗があることを願っている。
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4163914846
No.31
(5pt)

円熟の有栖川有栖

有栖川さんの作品は、熱烈なファンというほどではないが、なんだかんだ言いながら30年近く読み続けている。有栖川さんの初期の作品は、クィーンの熱烈なファンらしく、終盤で読者への挑戦が挿入されるなど、まるで読者と対決するような、推理とトリックの切れ味の鋭さが売りだった。設定にしても、孤立した山荘など、それこそ今なら名探偵コナンのマンガでしか出てこないような、非日常的なものも少なくない。松本清張に代表される社会派とは対極にある、人間ドラマよりも論理やトリックを重視したその作風は、新本格の旗手と呼ばれるにふさわしいもので、ずっと好きだった。

しかし、「鍵の掛かった男」もそうだったが、最近はその作風がずいぶん変わったように思う。新本格の欠点は、推理とトリックに傾注するあまり、往々に人間ドラマの部分を軽視したために、できのいいパズルの域を出ない作品が多いことである。そういう作品は、トリックが凄いと思ってもその時だけで、同じパズルを二度解く気にはならないように、作品を読み返すことはまずなくブックオフに売り払った。有栖川さんの作品は、これまでも新本格と言われる中では、人間ドラマの部分にも面白みがあったので、ブックオフには1冊も売り払っていない。しかし、1冊の作品のなかで、推理とトリックが突出していたことに変わりはない。それが、最近の作品では推理とトリックの鋭さは健在ながらも、それが突出することはなく、1冊の作品のなかで人間ドラマといい具合に共存している。だから、二度目も読みたいと思うし、パズルではなく小説として楽しめる。

「鍵の掛かった男」の陰の主役は私は中之島という街だと思っているが、この作品の陰の主役はコロナだと思う。マンガや小説、映画といったエンタメは、コロナを取り上げていないものが大半である。しかし、この作品を読むと、コロナ禍の社会の窮屈さを思い出す人が多いのではなかろうか。たしかに、少々ネタバレかもしれないが、推理やトリック、動機などにコロナが直接絡むことはない。しかし、コロナ禍だからこんな事件が起きたのではと思わせるような感じを私は持った。

他のレビュアーの方が指摘するように、刃物のような推理とトリックのキレ味をこの作品に求めると、少々物足りないと感じるかもしれない。しかし、この本は推理小説としてはもちろん、コロナ禍を描いた1冊の小説としても十分に楽しめる。私は初期の作品と最近の作品、どちらも好きだが、強いて選ぶとすれば、最近の円熟した有栖川さんの作品を選びたい。
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4163914846
No.30
(3pt)

作家ファン向けです。

内容は複雑ですが良かったです。
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No.29
(2pt)

事件パートは退屈

共通の警察官が登場する『鍵の掛かった男』と同じく
世相や風景の描写には力が入っていましたが、事件そのものは
チープで退屈でした。
*「収束」とすべきところを一貫して「終息」と表記していたのは
 何か意味があるのでしょうか?

関係者とレギュラーメンバーの意外な(?)関わりが明かされる部分が
クライマックスなのでしょうが、終盤にようやく出てくるエピソードなので
「もっと突っ込んで捜査しておくべきでは?」という感じが否めませんでした。

トリックなどに関しても偶然だよりや不自然な部分が多く、
火村がこじつけ気味の推理をハイテンションで捲し立て強引に押し切る
雑な部分が目立っていたように感じました。
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No.28
(3pt)

イマイチかな。

なんとなく良い雰囲気、物憂げな物語に持っていこうとしてますが、犯人はなかなかの自分勝手で最低な人物。私的には胸糞悪かったです。
しかもトリックはすぐにわかってしまった。ジャッキーチェンが好きなので。
作者の、火村英生のファンなのでそこそこ楽しめましたが、期待したほどではなかったかな。
捜査線上の夕映え Amazon書評・レビュー: 捜査線上の夕映えより
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No.27
(2pt)

内容が浅い

たった一つの殺人事件について、延々とアリバイ崩しとチープな仮説の量産。第二の事件も起こらないし、退屈の一言。コロナ禍の描写はリアルで面白かったが、エモーショナル=懐郷的、夕映えとか、孔雀が飛翔したとか、結末も、凡庸な発想と思った。米澤穂信は自身を天才ではない、として技と頭で、大量の参考文献で世界観を練り上げていますが、対してこの本は筆をすらすら〜と思いのまま滑られた日記のようだった。味がない。
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No.26
(3pt)

瀬戸内の島の旅情

途中までは事実の提示だけだったので読んでいて退屈で退屈で。

でも、瀬戸内の島、仲島の場面になってからはとてもおもしろく読みました。
仲島のモデル広島を知っていたからです。
登場する心経山(作中では昇経山)へも王頭山から青木へ抜けるルートで登ったことがあります。作中にもありましたが、あのあたりは岩がゴツゴツしていてなかなか変わった風景で。
「そうそう、ここはこんな景色が広がっていたなぁ」と思い浮かべながら読み進めるのはとても楽しいものですね。
夕映えはまだ見たことがないので、見に行ってみたくなりました。
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4163914846
No.25
(4pt)

普通に面白かった

このシリーズは全作読んでいますが、クオリティとしては過去作品には及ばないものの、普通に面白かったです。トリックが意表を突いているとか、凝っているとかはないですが、話のロジカルさがしっかりしていました。ただ、コロナを意識させすぎていたり、これがエモーショナル?と疑問に思うような点もあり、満足のいく内容ではなかったので星4つでした。
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4163914846
No.24
(1pt)

おすすめできません

このシリーズは好きで、このたび賞にランクインもされたということで読んでみましたが面白くありませんでした、というか最後までもちませんでした。
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No.23
(5pt)

夕映え

シリーズファンなら唸るでしょう。コロナ禍を生きる2人に希望をもらいました。本当によかったです。
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4163914846
No.22
(5pt)

圧巻

とにかく面白くて最後まで飽きることなく読み切った。一見単純に見えるのに、なかなか真相の見えない事件。少しずつ絡まった糸がほどけるように明らかになっていくのを、わくわくしながら追いかけた。
そして途中の瀬戸内の島の景色の美しいこと。ここが一番作者の描きたかったところじゃないかな。大いに郷愁が沸き起こり、タイトルにもなっている夕映えの景色を思い描きながら読み進めた。
火村英生シリーズはほぼ読んでいるが、これが一番のお気に入り。電子で買ったけど紙も欲しい。お馴染み大阪府警の刑事たちの活躍も嬉しい。
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4163914846
No.21
(4pt)

まだ判っていないんですか?

このミステリーがすごい2022 第3位
死者1人の殺人事件の捜査で一冊持たせるのは
大変なのか途中で四国の捜査旅行がでてくる
ミステリーとしてはちょっと厳しいですが動機は納得できていい感じ。
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4163914846
No.20
(2pt)

普通の殺人事件が普通に解決するだけでした。

話が普通に進んでいくだけでした。後半に「そうだったのか」というものが待っていますが、別にそれも…。
「このミス2023年」3位ということで期待しましたが、ハードルが上がってしまいました。1位と2位は抜群に面白かったのですが、2位と3位との間には大きな差があるように思います。
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4163914846
No.19
(3pt)

カメラ

隣のビルから犯行現場のマンションにジャンプして侵入したんだ。あれ?じゃあ出て行く時はどうしたんだ?
駅のカメラに映ってるから容疑者にはアリバイがあるっぽい。映ってたのは実は容疑者ではなく似た別人でしたっておいおい。別人がそこを通るのも事前に調べて狙ってたってそりゃ無理だよ。ご丁寧に切符じゃなくてICで通過してるからばれるだろ。
コロナ禍のマスクでわかりにくいとかかけてるのかもしれんが無理矢理すぎる。
捜査線上の夕映え Amazon書評・レビュー: 捜査線上の夕映えより
4163914846
No.18
(5pt)

作者もキャラクターの過去について「知る」

読み終わってひとまずの感想は、「読者への挑戦状」がなくて残念だった、に尽きる。新本格派としての最後の希望である有栖川先生もついに挑戦をしなくなったのかと悲しかった。ただ、今回はキャラクターの過去を知る、そして読者をキャラクターと同じ目線にさせてくれた。新しいアプローチだと思った。

いつものような、火村の推理に置いていかれ、あそこで気づいたのか、そこが伏線だったのかか、と気づく楽しさはない。でも今回は火村が見ている目線で謎を解くことができた。とてもおもしろかった。
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4163914846
No.17
(2pt)

いろいろ後付けに思える

「読者への挑戦状」を出していた頃の有栖川有栖はいなくなってしまったのだと、新本格派という立場は終わったのだと感じました。
 それが悪いというわけではなく、読者が面白いと思える小説を書くことが小説家という仕事であると思いますので、けなしているわけではありません。レビューを見ると楽しんでらっしゃる方が多いようです。ただトリックと犯人探しを目的として本を読んだ自分にとっては期待外れだったというだけです。

 あとがきまで読んで納得したのですが、今回は描き下ろしてではなく連載だったのですね。おそらくではありますが、アリス先生。犯人もトリックも考えないで連載始めたんじゃないですか?スーツケースに入った死体、出入りが監視されているマンション、スーツケースの指紋、そして仲島旅行しか決めていなかったのではないかと思います。段階的に発表したために、序盤の設定を後半で無理やりこじつけている感じがします。連載のデメリットですね。

以下ネタバレありますので、ご注意ください

(レビュー方法はひとそれぞれだとおもいますが、ネタばれ嫌な方の気持ちもわかるので、ネタバレ嫌いな人は読まないでください。)

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今回、トリックも犯人も決めないまま連載を始めたのではないかと思う大きな理由。それは「監視カメラでみはられたマンションの出入り」トリックです。トリックを考えないまま始めたはいいが思いつかなかったため、結局は「実はこんなルートがあった」と言い出すしかなかった状況が目に浮かびます。もし最初からこのルートをトリックとして考えていたのなら、なんらかしらの示唆は序盤にあったはずです。

結果として、隣のビルから飛び移りそこから非常階段に降りたわけですが、後付でしょう。連載でなければ序盤を修正をしたと思いますが、発表後であったため修正できなかった。

犯罪捜査のプロである警察が何十人と何回も調べて思いつかなかった侵入ルートが「実は」あったって、都合がよすぎるでしょう。ミステリーでそれやっていいの?どうやって隣のビルの屋上にあがったの?

コマチさんは気づいていたようなことを言っていましたが、「出入口はカメラで監視されている」のであれば、監視カメラのない場所からの侵入を疑うのは当然のことです。素人である犯人や共犯者が思いついたことを警察が見逃しますか?無理やりパルクールを持ち出していますが、パルクールだろうが何だろうが、要は身が軽い人間ならできることです。警察が一度検討したけど「まさかこんなところは通れないだろう」と否定したならまだしも、まったく気づいてなかったなどありえないし、ミステリーとしてもありえない。

また推理小説と言えないなと思うのは、読者に対して全く情報がないまま「実は…」とやっているところ。推理できるわけがない。読者への挑戦状を出すほどに「本格派」であったはずなのに、もうそれはやめたのだと実感しました。

スーツ内の指紋についても結局は火村が序盤で否定した「捜査のかく乱」が正しかった。
いや、正しかったと言うよりも、もっとなにか理由を考え付くだろうと否定してみたものの結局は考え付かず、自分で否定した結論となったように感じました。ここも連載ゆえですね。

他にもいろいろひどいな、と思うところが多々。

出入口はカメラにより監視されていて、そこを通った不審な人物はいるがアリバイが証明されている。

こんな状況で、なぜ住人を疑わないのですか?なぜ外部犯と決めつけているのですか?

住人であれば出入り口でカメラに写っていても不自然ではないし、カメラに映らずに部屋に出入りできる。スマホの発信も同じ建物内からであればいくらでも偽装できる。

「何年も前から被害者が引っ越してくるのを待ち伏せていた…ありえない。」

そうですね、ありえませんね。もっと簡単な考え方は「住人同士のトラブル」です。騒音とかゴミ出しとか、恋愛トラブルもあり得ますね。

「ずっと誰かの部屋にかくまってもらっている。ありえない。」

そうですね、住人なら会社や学校に行っているでしょうから、部屋にかくまってもらう必要はないですね。とっくに出かけています。

なぜ犯人を外部からの侵入者と決めつけているのでしょうか。全く理解できません。

警察は不審人物のアリバイ崩しよりも住人同士のトラブルの聞き込みをすべきでしょう。実際の事件であれば、間違いなく住人が疑われていますよね。住人調査と監視カメラ外の侵入ルート調査を警察は並行してやっていると思います。

登場人物があまりにも頭の悪い行動をするのは、最近のなろう小説ならまだしもデビュー30年にもなる推理小説家としてどうでしょうか。

また、被疑者の故郷をなぜ火村とアリスが訪ねるのかも意味不明。そんなの現地の警察に依頼してもいいし、大阪府警から出張してもいい。被疑者たちの交友関係を調べるために故郷を訪ねる。十分警察の調査対象でおかしくないと思います。捜査権限のない二人だけで行く必然性がない。しかも行ったら行ったで事件のことは伏せたままの調査。さらに都合のいいことに被疑者たちの同級生が民宿経営。しかも口が軽い。コマチさん本人が気づかなかった恋愛感情まで気づいている。ちょっとあまりにも都合がよすぎる。二人で旅行をさせたかっただけでは?

文章力と確立された二人のキャラクタで、ちゃんと成立しているように見えますが、ミステリーの観点からするとあまりにも粗が多すぎる。
今までこのシリーズ結構読んでいるんですが、今回はくどすぎるキャラクターばかりが前面に押し出されてるばっかりで内容は大したことない作品に思えました。

と、ここまではミステリーとしての評価。★☆☆☆☆

小説としては★★★☆☆
共犯者が事後処理を請け負うに際しての心情がもう少し欲しかった気もします。
同性愛関係も、うん、まあ。いいですけど。そんな感じは文章から受けませんでしたね。読み終わってから再読したんですが、最初からそういう目で読んでもそんな感じは受けませんでした。
「それは相手にバレないように行動してるから」
そうじゃないです。登場人物同士は気づかれないように行動していても、読者には匂わせる必要があります。じゃないと、取ってつけた後付け設定にしか思えないから。実際そうだと思いますが。
ここも連載の弊害が出てる感じです。
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