■スポンサードリンク


血の収穫(赤い収穫)



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

血の収穫(赤い収穫)の評価: 4.14/5点 レビュー 35件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.14pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全26件 1~20 1/2ページ
12>>
No.26:
(5pt)

田口俊樹の名訳

今、英文学翻訳家として一番優れているのはこの田口俊樹氏だと思う。
ローレンス・ブロック作品の翻訳などを主に手掛けているが、会話に独特の田口節というかテンポがあって楽しめる。

血の収穫は多くの翻訳が存在するが、原作も古く翻訳も古く、文体が文体なのでストーリーを追うのが困難だったりするが、今回の田口俊樹訳に関してはそういうことが全くない。
とても小気味いい探偵小説として、ハメット初心者にもオススメできます。
長らく絶版の創元版マルタの鷹やガラスの鍵も田口俊樹訳になるといいなと思います。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.25:
(5pt)

新鮮味がある

この作品は古典と思えぬ新鮮さがある
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.24:
(4pt)

ハードボイルド・ハメット派の原典

最近、ハードボイルドに凝っており、昔の作品に遡って読み始めました。
ハードボイルドは、ハメット派とチャンドラー派に分かれるそうです。
日本人の作家で言えば、大藪春彦、船戸与一、馳星周あたりがハメット派らしいです。
本書を読むと、それがよく分かります。
まず、作中で死ぬ人間の数が違います。20人くらい死にます。主人公も殺します。
マーロウに代表される私立探偵たちは、基本的には依頼者のために行動します。
しかし、本書の探偵は違います。どこまでも自分のために行動します。
思うに、主人公が人を殺す小説を、最近の日本ではハードボイルドとは呼ばないと思います。それはノワールとか、ピカレスクでしょうね。
したがって、現代の日本におけるハードボイルドの主流派は、チャンドラー派と言えそうです。
私も、どちらかと言えばチャンドラー派になると思います。
読む人を選ぶ作風と言えそうです。上に挙げた日本人作家の作品が好きな人にはおすすめです。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.23:
(5pt)

アメリカ文学史に名を遺す名作です。

ダシール・ハメットの『血の収穫』を表者が読んだのは何十年前だろうか。
 当然本棚を探してもあるはずがない。
 数年前にレイモンド・チャンドラーの作品を殆ど読み終え、ハメットの『マルタの鷹』など数作品を再読した記憶であるが、ハメットの処女長編である『血の収穫』を読むことを忘れていた。
 ハード・ボイルドという英語を直訳すれば「茹ですぎ卵」である。
 評者が若かりし頃英国ミステリの古典などを乱読した次期があったが、アメリカのハメツトやチャンドラー、ガードナーなどを読んでも知的な謎解き小説には程遠くその良さを理解することができなかった。
 ハード・ボイルド(茹ですぎ卵)が、乱暴すぎて好きになれなかったのだろう。
 今にして思えば若気の至りと反省しきりである。
 数十年ぶりにハメットを読みなおし、プロット構成も流れるように展開するストーリーも良く出来た小説だと感じ入ってしまった。
 田中西二郎氏の翻訳が少し今時に対応する単語を使っていないが、評者のような歳になると違和感なく読み進むことができた。
 ハメットは、アメリカ屈指の探偵会社であるピンカートン探偵社で1915年から1922年まで探偵として働いた経験をもとにしてこの『血の収穫』を書いた。
 主人公は「おれ」として名を秘したままで登場する。
 他人からは「オプ」として呼ばれるニヒルな40男だ。
 この物語は、ある鉱山街の悪徳一味と対峙する壮絶なバイオレンスドラマである。
 一見雑のようなストーリー展開と伺えるが、登場人物などの服装や顔形、そして性格まで微に入り細にわたって描写すりる手法はハメットの探偵時代の職業的習性を表しているなのだろう。
 なによりも登場人物どうしの会話が目の前にするように思えたのは評者だけではないだろう。
 屍累々の血なまぐさいストーリーながら、読み進むのが面白く昨夜遅く(正確には今朝早く)に読み終えた。
 アンドレ・ジードがヘミングウェイ、フォークナー、スタインベックらを称揚した時、ハメットも並べ本書『血の収穫』を称賛したことはよく知られていると、本書のあとがきで解説の中島河太郎氏が延べていた。(P309)
 アメリカ文学史に欠かせない作品として後世に伝える作品であることは間違いないだろう。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.22:
(5pt)

非常に良い。新品同様の商品でした。

未読のような状態です。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.21:
(5pt)

ハードボイルドものが苦手な人にもおすすめ

当方、ハードボイルドものはあまり好きません(一応、人並みには読んだ)。というのも、主人公は皆大概揃いも揃ってタフガイ、悪く言えば外も中身もマチズモの化身。そして、実際に言おうならば…というか読んでいてもこっちまで赤面してくるような臭い言動等が苦手です。
しかし、こんな私でもこのハードボイルドの元祖である本書、もといハメット作品(と他ごく一部)はなぜか何の気兼ねなくスラスラと読めます。
ハメット自身がピンカートン探偵社で働いていた経験が作品に生かされていることは、読んでいて素人の私にも分かります。
本書はハードボイルドものの元祖といわれながら、以降のハードボイルドものとは一線を画するリアルさがあるのです。
主人公はハメットのピンカートン時代にいろはを叩き込んだ上司がモデルだそうで。
低身長にメタボ体型の中年。基本冷めているが、たまに隙あり。というのが非常に人間臭い。
読んでいて、私がハードボイルドものに求めるのはこういった人間臭さなんだなと実感しました。
その他、個性豊かなキャラクター達も良し。
古くはありません。こんなハードボイルドが苦手な私でもすんなり入り込めました。
さすが名著です。
有名な話ですが、本書は、かの黒澤明監督の映画『用心棒』の原案でもあります。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.20:
(5pt)

おれ、ではなく、わたし

新潮文庫で1960年に訳された翻訳のものです。
主人公は自分のことを「わたし」というのですが、態度も雰囲気も、まさに慇懃無礼そのもので、むしろ「おれ」よりもクールに感じられるかもしれません。
それにしても、大変な名作でした。
血の収穫 (1960年) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (1960年) (新潮文庫)より
B000JAPJJ8
No.19:
(5pt)

明確なストーリー、個性的なキャラクター、稀有な名作

いくつも翻訳がある中でも今年新たに出版されたバージョンですが、認証が「私」になっているのが印象的です。「私」という一人称だとなんだか理知的な面が勝ちすぎて最初は違和感がありましたが、全体的に読みやすいからか、すぐに気にならなくなりました。

「血の収穫」を読むのはもう何度目かですが、ハメットの長編の中では、「マルタの鷹」と並んでストーリーにぶれがなく、文句なく楽しめる名作だと思います。
3つの殺人事件とギャング間の抗争に、町の浄化に暗躍する非情な探偵、金に執着する女と侮辱されながら同居するアヘン中毒の男、町の腐敗に手を貸す悪徳警察署長などなど、個性的なキャラクターが絡む物語は名作中の名作といっても言い過ぎではないと思います。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.18:
(4pt)

翻訳が丁寧

翻訳が丁寧で読みやすく、海外文学にありがちな「直訳すぎて何と書いているのかわからない」ということがほとんどありませんでした。読んでいて世界観に没入できる作品でした。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.17:
(5pt)

「チビ・デブ・中年」のハードボイルド探偵、”毒の市”を行く

初期ハードボイルドの私立探偵と言われたら、どんな人物像を想像するだろう?
代表格のフィリップ・マーロウ186cm86kg、リュー・アーチャー188cm86kg、同じハメット作のサム・スペードに至っては183cm以上84kgで肩幅と同じぐらいの分厚い胸板の”金髪の悪魔”・・・。
長身で男性美のタフガイ、と相場が決まっているようなものではないだろうか。

本作の主人公の名無しの探偵、通称コンチネンタル・オプはまるで違う。
5フィート6インチ190ポンドというから167cmちょっとで86kg超、適正体重より10キロ重いメタボ体型である。なにしろヒロイン役のダイナより1,2インチ背が低いのだ。
戦う相手からは「このクソでぶ」と罵られ、ヒロインからは「非情で頑固なでぶ中年探偵」と評され、本人も「190ポンドの身体も全部が全部脂肪というわけではない」などと言っているからけっこう気にしている(笑)。

中身の方も「汚れた街をさすらう現代の騎士」にはほど遠い。
街の悪党にけっこうシンパシーを寄せる割には平気で裏切るし、殴り合いを前に「コイツ俺より6つか7つ若いな、体重も・・・」と心配してしまう。物語中盤では自分で街の悪党どもに殺し合いをするよう仕組んでおきながら、「こんなはずじゃなかった」と女相手にクダを巻き、アヘンチンキ入りのジンをかっくらって前後不覚になって罠にはまる始末。そのあげく、倒そうとしている当の相手の一人に「アリバイ作って」とお願いに行く。情けないことおびただしい。

ハードボイルド探偵の看板と言うべき「自分だけの信条」に殉ずるストイシズムなど感じられない男なのだ。
彼と「カネが全ての女」ダイナの、人の命のかかるネタのニッケル貨1枚(10セント)の値切り合戦など、何度読んでも笑える。

そんな彼が引っ掻きまわすのが通称「毒の市」ポイズンヴィル。
禁酒法時代の無法の街(作品発表がセントヴァレンタインの虐殺と同年)で、いわゆる「名持ちキャラ」もモブもおかまいなしの殺人大パーティーが繰り広げられます。

他の方のレビューにもあるように黒澤明の「用心棒」、筒井康隆「おれの血は他人の血」、最近ではウィンズロウ「犬の力」シリーズ等々、ひとつのジャンルを形成するぐらい映画・小説を問わずオマージュ・パスティーシュされまくった名作ですが、そんなことは忘れて素直に読んでいただくのがいちばんだと思います。私はスプラッタ風味のサスペンスコメディ的に捉えているところがあるのですが、読む人によって色々な楽しみ方のできる作品です。
「不世出の名作」などという世評に惑わされるのは損だと思うのです。

大好きな作品なので旧い創元推理文庫版(田中西二郎訳)をずっと持っているのですが、なにしろ初版が1959年の旧訳(私のは1987年の第33版)なので用語が古い(Wisper がホィスパー、soup がスウプ等)上、悪役が股旅物のやくざみたいなしゃべり方をするのが90年代当時ですら気になって仕方がなかったので、今回新訳が出てうれしい限りです。

旧訳との最大の違いは、地の文の主人公の一人称が「おれ」ではなく「私」になってることでしょう。
私としてはここはハードボイルドの気取りのない主人公の性格を活かして、旧訳同様「おれ」で統一して欲しかったところなのですが、皆さんはどうでしょうか?
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.16:
(5pt)

20世紀に書かれたアメリカ文学の最重要作

何度読んでも、やはり凄い小説。
解説でも触れられているように黒澤明の『用心棒』を筆頭に数多の映画や小説の下敷きになったストーリーのダイナミズムとハメットによる発明といっても過言では無い、一人称による徹底した外見描写の冷徹さ、更に混沌と暴力の果てに訪れるミステリとしての明快な面白さ。20世紀に書かれたアメリカ文学の中でも最重要作品の一つ。
血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488130062
No.15:
(5pt)

不朽の名作

まさにハードボイルド探偵小説の始祖であり、不朽の名作です。スパイものを含むその後のハードボイルド探偵像は、この作品のコンチネンタル・オプと「マルタの鷹」のサム・スペードが原点といえます。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.14:
(5pt)

黒澤「用心棒」の原型

黒澤明がこの小説をもとに「用心棒」のシナリオを練り上げ、のちに「用心棒」をもとに「荒野の用心棒」を作ったイタリア映画人が、
黒澤もハメットを真似ているのだから盗作にあたらないと言い訳したのは有名な話です。
ただし、「荒野の用心棒」は誰がどう見ても「用心棒」のリメイクですが、この小説は読む人によってさまざまな解釈がありうる内容であり、
黒澤の解釈は一読書人としてのそれであって、インスピレーションを得たというのがピッタリに思えます。
コンチネンタル・オプはサム・スペード以上に非情に思え、乾いた荒っぽいリアリズムに徹しており、暴力も過激です。
「マルタの鷹」と並ぶハードボイルド黎明期の傑作であることに疑いの余地はありません。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.13:
(5pt)

馴れ合いを拒絶 他者を冷徹に評価して 利用 いざとなれば 平気で裏切る。

複数のギャング 悪辣な警察署長が極めて微妙なバランスの上ではあるが共存できていた町。
そこに殺人事件が発生 かっては町を支配していたこれまた一筋縄ではいかない老人からの依頼を
うけた私立探偵が登場。ポイゾンヴィル(町の名前)というごった煮の鍋は静かに煮立ちはじめる。
 ずいぶん前の作品ですがいま読んでも古臭さを感じることはありません。馴れ合いを
拒絶 他者を冷徹に評価して おのれの目的達成のために利用 いざとなれば 平気で裏切る これを
なんの躊躇葛藤もなしにおこなう主人公 日本人作家がなかなか造形し得ないタイプの人物像だと思います。否応なしに 世界の海千山千の人々と伍して生きていかなくてはならなくなった私たち日本人。
こういう風に生きなさいとかじゃなく こういう他者との関わり方がもしかしたら世界標準なんじゃないか?そいいうアプローチの視点からも ぜひぜひのご一読をお勧めします。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.12:
(5pt)

古典

ダシール・ハメット「赤い収穫」を読了。「コンチネンタル・オプ」シリーズです。荒れ果てた街「ポイズンヴィル」を洗濯するために、街の悪の実力者達を衝突させる。コンチネンタル・オプが行なったのはそんなことでした。それには知力・交渉力・腕力が必要で、生半可な実力では到底達し得ない世界なのです。他のレビューアの方が指摘していましたが、黒澤明が「用心棒」で参考にしたとのこと。三船敏郎の役が本作のオプの役ですね。
オプは苦悩しながら、このミッションを遂行していきます。ミステリーの要素もある冒険小説です。素晴らしい作品です。
赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))Amazon書評・レビュー:赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))より
4150773025
No.11:
(5pt)

ダイヤの原石です!

最近チャンドラーの長編七作を読破した。しかも人生で五度目。何度読んでも飽きない。村上春樹は「チャンドラーのある人生と、そうでない人生は確実に何かが違う」ということを書いていたが、まったく同感である。それで次に何を読もうかと本棚を探していたら本書が目に入った。実は15年くらい前に買ってまだ読んでいなかったのである。元祖ハードボイルドだし、行ってみるか!

 そしてあっという間に読み終わった。実に面白い。陰惨な殺人が次から次へと起こるのだが、胸がワクワクしてページをめくらずにいられない。「血沸き肉踊る」とは、まさに本書のためにある言葉である。文体もプロットの構成も、全体的に荒削りでチャンドラーのような緻密さはないが、読者を物語に引き込む不思議なリズムとダイナミズムを持ち合わせている。チャンドラーが完成された調金細工だとしたら、ハメットはまさにダイヤの原石である。

 さらに読んでいるうちに、一人の風来坊が見知らぬ町にやってきて、町に蔓延る悪党同志を戦わせて掃除する、というストーリーに見覚えがあるような気がするが、思い出せない。ラスト近くで愛すべき悪漢レノが敵陣に爆弾を投げ込んで、敵を燻し出すところでついに思い出した。黒澤の「用心棒」である!!それであわててウィキペディアの「用心棒」を検索したら、「血の収穫」だけでなく他のハメット作品からもアイディアをいただいています、という黒澤氏のコメントがバッチリ載っているではないか。ちなみにハワード・ホークスの名作「リオ・ブラヴォー」の有名なラストシーンもジョン・ウェイン一党が敵陣にダイナマイトを投げつけて燻し出す、という同じパターン。私が大好きなこの二本の映画に影響を与えているなんて、カッコ良すぎである。ハメットの残りの作品も読んで「用心棒」に影響をあたえているところをもっと見つけ出すぞ(笑)。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.10:
(4pt)

“ハードボイルドの創始者” ハメットのデビュー長編

“私立探偵小説の始祖”“ハードボイルドの創始者”といわれるダシール・ハメットのデビュー長編。大衆向けのパルプマガジン『ブラック・マスク』に1927年から連載され、1929年に単行本化された。
サンフランシスコの「コンチネンタル探偵社」の探偵である主人公は、小切手を同封した事件依頼の手紙を受け取り、ある鉱山町に出かけたが、入れ違いに依頼人は射殺される。利権と汚職と街のボスたちの縄張り争いに巻き込まれた彼は、街の顔役のみならず、警察署長や親しくなった高級娼婦までも含めて、巻頭の主な登場人物たちのほとんどが殺されるといった、血で血を争う抗争の真っ只中であくまでも非情で利己的に振る舞う。
そこでは従来の奇想天外なトリックを弄する謎解きパズラーでは決して見ることのできなかった“リアルで血の通った”人間たちを、もっぱら行動の面から目の当たりにすることができる。
また、もともとが連載ものであっただけに、やま場が随所にあって、残忍で殺伐な事件がこれでもかと起こり、それぞれの犯人も比較的早く判明する。読者は最後まで待たされることなく、物語を楽しむことができるのだ。本書の一人称叙述は、天才的推理能力非凡な探偵ではなく、非情・利己的・好色で、自己の信念を固く守り通し、しかも行動は敏速かつ凶暴な私立探偵をあらわしている。
低級なパルプマガジン出身とはいえ、ミステリー興味と心理的性格描写で、現代人というかその時代に生きる人間を的確に把握している点で、ミステリーの世界に革新的な作風をもたらした意味は大きく、低俗な読み物としてではなく本書が今なおハードボイルドの古典として読み継がれているのもうなずける。
赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))Amazon書評・レビュー:赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))より
4150773025
No.9:
(4pt)

“ハードボイルドの創始者” ハメットのデビュー長編

“私立探偵小説の始祖”“ハードボイルドの創始者”といわれるダシール・ハメットのデビュー長編。大衆向けのパルプマガジン『ブラック・マスク』に1927年から連載され、1929年に単行本化された。

サンフランシスコの「コンチネンタル探偵社」の探偵である主人公は、小切手を同封した事件依頼の手紙を受け取り、ある鉱山町に出かけたが、入れ違いに依頼人は射殺される。利権と汚職と街のボスたちの縄張り争いに巻き込まれた彼は、街の顔役のみならず、警察署長や親しくなった高級娼婦までも含めて、巻頭の主な登場人物たちのほとんどが殺されるといった、血で血を争う抗争の真っ只中であくまでも非情で利己的に振る舞う。

そこでは従来の奇想天外なトリックを弄する謎解きパズラーでは決して見ることのできなかった“リアルで血の通った”人間たちを、もっぱら行動の面から目の当たりにすることができる。
また、もともとが連載ものであっただけに、やま場が随所にあって、残忍で殺伐な事件がこれでもかと起こり、それぞれの犯人も比較的早く判明する。読者は最後まで待たされることなく、物語を楽しむことができるのだ。

本書の一人称叙述は、天才的推理能力非凡な探偵ではなく、非情・利己的・好色で、自己の信念を固く守り通し、しかも行動は敏速かつ凶暴な私立探偵をあらわしている。
低級なパルプマガジン出身とはいえ、ミステリー興味と心理的性格描写で、現代人というかその時代に生きる人間を的確に把握している点で、ミステリーの世界に革新的な作風をもたらした意味は大きく、低俗な読み物としてではなく本書が今なおハードボイルドの古典として読み継がれているのもうなずける。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.8:
(5pt)

均衡って何?と探偵はいう

ダシール・ハメットの古典的ハードボイルド小説。ハンフリー・ボガート主演「マルタの鷹」原作者のデビュー作。腐敗した鉱山の町に乗り込んだ探偵の「おれ」は、事実上町を支配する老人からの依頼を盾に、その老人の思惑さえも裏切って腐敗の一掃を図るというすばらしい作品です。

マフィアのボス、密造酒のボス、賭博のボスというトライアングルの均衡を破っていく「おれ」が、最初から計画的にではなく、とにかくなにか騒ぎを起こしてみる、すると何かが動きだすからそれに乗ってみる、というのがすばらしい。均衡はいかにつくられ、いかに崩れるかという極めて政治的な小説です。勢力均衡状態を誰もが当然と思って唯唯諾諾としたがっているから均衡が成り立っているのであって、そもそも均衡しているものなどないのだ、という「おれ」の感覚こそ、現実的で自由で冷徹なハードボイルドな男の感覚です。

とんでもなく早い展開にも関わらず、会話のきめ細かさ、描写のつらなりの巧みさがたまりません。一息で読みたい傑作。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011
No.7:
(5pt)

おれが法律になり潰す

この昂揚感はヤバイですよね。。大仰さはなく回りくどさもない徹底したリアリスティックな描写ははまると癖になります。また本当に簡潔に
して一瞬で興奮をかきたてられる極上のレトリックが気持ちええんですな。この人の文字を駆使した伝達能力は半端ない。

血しぶき...いや、血の雨が降るような文字どおりの血まみれ騒ぎのなかを、感傷に流されずにあくまで非情につきぬけながら《収穫》をこなす
コンティネンタル・オップ(おれ)に是非しびれてみてください!
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)Amazon書評・レビュー:血の収穫 (創元推理文庫 130-1)より
4488130011

スポンサードリンク

  



12>>
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!