コンチネンタル・オプの事件簿
- コンチネンタル・オプ (6)
- 放火 (195)
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コンチネンタル・オプの事件簿の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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結局の所、ハードボイルドについて云えば、そのストーリーもしくはプロットの妙もさる事ながら、その纏う雰囲気、文体にのれるかのれないかによる所が大きい。 | ||||
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ダシール・ハメット「コンチネンタル・オプの事件簿」を読了。ハードボイルド小説のレジェンド、ハメットのコンチネンタル・オプシリーズはこれまで手を出していませんでしたが、本書との出会いがあり、体験しました。これがまた期待に違わぬ出来でした。一人称ハードボイルドの基本形ですが、オプの本名さえ明かされません。物語の構成も全ての基本形がここから生まれたのであろう、と想像させるものであります。ラストのどんでん返し、様々な構成上の組み合わせ、オプの推理。どれをとっても良い読書時間を経験できます。特に連作の「ターク通りの家」「銀色の目の女」の2作は素晴らしいです。ラストも期待通りのものです。震えますよ。 | ||||
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コンチネンタル・オプを主役とした短編・中編集。 禁酒法時代の1920年代を舞台に、コンチネンタル探偵社の「私」が単身で様々な事件やトラブルに対処する。 小鷹氏の訳のおかげでテンポの良さに拍車がかかり、あっという間に読破してしまうだろう。 初めてハメットを読むのであれば、読みやすい本書が一番かもしれない。 | ||||
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この短編集は小鷹信光編でもあるから、大変気のきいた構成になっていて、読みやすいし、初心者でも物怖じせずに取り組めるだろうと思う。 冒頭を飾るのは『放火罪および……』目次にもちゃんと<コンチネンタル・オプ登場>と紹介されている。 続いて連作が二つ。小鷹氏によるとコンチネンタル・オプの重要な作品ということである。 まずは今回の映画『ノー・グッド・シングズ』の原作になった『ターク通りの家』『銀色の目の女』。ハードボイルドを語るには避けて通ることのできない悪女ものということで、今回の映画も悪女を前面に出したPRを張っているようだ。もっともボブ・ラフェルソン監督の場合『郵便配達は二度ベルを鳴らす』でもジェシカ・ラングのキッチンでの荒っぽいレイプ・シ㡊ンから始まる悪女の微笑みがたまらないPR効果を呼んだものだ。 次なる連作は短編というよりも中編2作を合わせて長編で通るくらいに長いが、とにかく本書のハイライトでもある『血の報酬』。150人ほどのワルをアメリカ中から集めて町の一角を団体で襲撃し、銀行を二つ空っぽにするという、これ以上ないほどの活劇に始まる。あとは裏切りに裏切りが重なり、真犯人は玉ねぎの皮を何枚も剥かなければわからないと言ったところ。このスケールなら、本来もっとちゃんとした長編になってもおかしくないところ。ハメットが蘇って、高村薫のように完全リメイクを施してくれないものかと思ってしまう。探偵のラストの一言に味がある。 続いて『ジェフリー・メインの死』は他の短編集でもよく扱われているもち ラストはやはり退場編。これをもってオプは登場しなくなったという『死の会社』。ちゃんとオプのエッセンスを一冊でダイジェスト風に味わえる構成になっているのだ。 1920年代の作品たちに今お初でお目にかかって、80年という時のカーテンを透かし、なお楽しめてしまうハメット。味のあるセリフや、オプのほとんどいい加減とも思われる強引なかきまわし捜査。悪党の個性に、悪女の美しさ。日本がひたすら軍靴の響きを高めている間に、アメリカではこんなお楽しみな娯楽が印刷工場を忙しくさせていたのだと思うと、禁酒法時代とは言え、文化は文化であったわけで、そのあたりのお国柄は何とも羨ましい限りである。 | ||||
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本書は、言わずと知れた米国初期ハードボイルドの大家、ダシール・ハメットの連作集「コンチネンタル・オプ」ものの数編をおさめた短編集である。主人公はコンチネンタル探偵社所属の「名無しのオプ(調査員)」(全編とおしてズバリ一人称「おれ」のみ)。小太りの見た目は冴えない中年男だが、危機にのぞんではしたたかさと粘り強さ、そして冷酷さを発揮できる名調査員である。本書にはオプ初登場作である「放火罪および・・・」や、のちに長編「赤い収穫」(黒澤映画「用心棒」の元ネタになった)へと発展した中篇「血の報酬」など、オプシリーズのなかから「初登場」「連作」「中篇連作」「異色短編」「オプ最後の事件」とバランスよく取り揃えてある。この連作集が書かれたのは、急激な工業化と発展によって未曾有の繁栄を現出すると同時に、広がる貧富の差から激烈な犯罪が発生しはじめた、禁酒法とギャングに象徴される1920年代である。全編に暴力と殺人、血まみれた一攫千金の夢が満ちあふれ、しかもそれらをきわめて乾いた描写で放り出してあるハメットの作品に代表され、のちに「ハードボイルド」と総称される小説群がこの時期のアメリカに生まれたのは偶然ではない。こう書いていけば誰もが思い出すのが作家の船戸与一の指摘だろう。「ハードボイルドとは、帝国主義下の文学である。」すなわち、急激な工業化と次々に到着する移民労働力のすさまじい搾取、そこから生じる人種の多様化と莫大な貧富の差をかかえた「高度工業化社会と内部植民地を同時にもつ地域」であるアメリカにこそ、この過酷な文学が発生する土壌があったというわけである。事実、ヨーロッパでは「ハードボイルド」ではない探偵小説やスパイ小説がのちのちまで主流であった。明らかに「ハードボイルド」とその過酷な形式がアメリカ文化のものだったこと、やはりヨーロッパ人には違和感(それは「かっこいい」という激しい憧れともなる)があったことを知るには、英国の作家ジョージ・オーウェルが自国の穏健な怪盗紳士小説とアメリカからやってきた過酷なハードボイルドの形式とを対比したみごとな批評「ラフルズとミス・ブランディッシュ」(『オーウェル評論集』岩波文庫に収録)を一読すればわかる。本書におさめられた短編集を読み、ハメットの乾いた描写の向こうに透けて見えるのは、そうした「過酷な社会」アメリカが獰猛さを剥き出しにしていた時代だ。そしてそれはもちろん、「過酷な大地」だった西部が剥き出しにしていた獰猛さともつながっている。だが、ハメットの文章には突き放した非情さ、無機質な乾いた描写だけではなく、時としてまったく不釣合いなセンチメンタルさが顔をのぞかせることがある。例えば本書の「銀色の目の女」「血の報酬」のラスト(読んでくれとしか言えぬ)。しかし、ハメットの文体には一見まったく似合わない、中年男がもごもごと愛の言葉を口ごもっているような、そんな不器用なセンチメンタリズムがいっそうハメットの小説世界を引き立てているのだろう。 | ||||
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