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血の収穫(赤い収穫)
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【この小説が収録されている参考書籍】
血の収穫(赤い収穫)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 21~35 2/2ページ
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ダシール・ハメット「赤い収穫」を読了。「コンチネンタル・オプ」シリーズです。荒れ果てた街「ポイズンヴィル」を洗濯するために、街の悪の実力者達を衝突させる。コンチネンタル・オプが行なったのはそんなことでした。それには知力・交渉力・腕力が必要で、生半可な実力では到底達し得ない世界なのです。他のレビューアの方が指摘していましたが、黒澤明が「用心棒」で参考にしたとのこと。三船敏郎の役が本作のオプの役ですね。 オプは苦悩しながら、このミッションを遂行していきます。ミステリーの要素もある冒険小説です。素晴らしい作品です。 | ||||
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ハードボイルド小説の古典中の古典で、言い換えれば骨董品です。黒澤さんが「用心棒」を作るにあたって参考にしたそうですが、ハッキリ申し上げて、この小説はあまり面白くありません。登場人物の行動が説明されるばかりで、心理的葛藤が無さ過ぎます。主人公も、頭の回転が速くて機転が利くのはいいですが、どうにも行き当たりばったりというか、あまり戦略的には動いていないような。もっとも、「それこそが純正ハードボイルドだ」と言われりゃ、それまでですが。 | ||||
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もはや説明不要のハードボイル小説の金字塔。 現在の目から見ると、アクションシーンが味気ない感じがするかもしれない。 しかし、洒落た会話と無駄を排した表現描写など未だに色あせない書き方には舌を巻くこと間違いなし。 後世に読み継がれるのも納得の出来である。 | ||||
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最近チャンドラーの長編七作を読破した。しかも人生で五度目。何度読んでも飽きない。村上春樹は「チャンドラーのある人生と、そうでない人生は確実に何かが違う」ということを書いていたが、まったく同感である。それで次に何を読もうかと本棚を探していたら本書が目に入った。実は15年くらい前に買ってまだ読んでいなかったのである。元祖ハードボイルドだし、行ってみるか! そしてあっという間に読み終わった。実に面白い。陰惨な殺人が次から次へと起こるのだが、胸がワクワクしてページをめくらずにいられない。「血沸き肉踊る」とは、まさに本書のためにある言葉である。文体もプロットの構成も、全体的に荒削りでチャンドラーのような緻密さはないが、読者を物語に引き込む不思議なリズムとダイナミズムを持ち合わせている。チャンドラーが完成された調金細工だとしたら、ハメットはまさにダイヤの原石である。 さらに読んでいるうちに、一人の風来坊が見知らぬ町にやってきて、町に蔓延る悪党同志を戦わせて掃除する、というストーリーに見覚えがあるような気がするが、思い出せない。ラスト近くで愛すべき悪漢レノが敵陣に爆弾を投げ込んで、敵を燻し出すところでついに思い出した。黒澤の「用心棒」である!!それであわててウィキペディアの「用心棒」を検索したら、「血の収穫」だけでなく他のハメット作品からもアイディアをいただいています、という黒澤氏のコメントがバッチリ載っているではないか。ちなみにハワード・ホークスの名作「リオ・ブラヴォー」の有名なラストシーンもジョン・ウェイン一党が敵陣にダイナマイトを投げつけて燻し出す、という同じパターン。私が大好きなこの二本の映画に影響を与えているなんて、カッコ良すぎである。ハメットの残りの作品も読んで「用心棒」に影響をあたえているところをもっと見つけ出すぞ(笑)。 | ||||
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“私立探偵小説の始祖”“ハードボイルドの創始者”といわれるダシール・ハメットのデビュー長編。大衆向けのパルプマガジン『ブラック・マスク』に1927年から連載され、1929年に単行本化された。 サンフランシスコの「コンチネンタル探偵社」の探偵である主人公は、小切手を同封した事件依頼の手紙を受け取り、ある鉱山町に出かけたが、入れ違いに依頼人は射殺される。利権と汚職と街のボスたちの縄張り争いに巻き込まれた彼は、街の顔役のみならず、警察署長や親しくなった高級娼婦までも含めて、巻頭の主な登場人物たちのほとんどが殺されるといった、血で血を争う抗争の真っ只中であくまでも非情で利己的に振る舞う。 そこでは従来の奇想天外なトリックを弄する謎解きパズラーでは決して見ることのできなかった“リアルで血の通った”人間たちを、もっぱら行動の面から目の当たりにすることができる。 また、もともとが連載ものであっただけに、やま場が随所にあって、残忍で殺伐な事件がこれでもかと起こり、それぞれの犯人も比較的早く判明する。読者は最後まで待たされることなく、物語を楽しむことができるのだ。本書の一人称叙述は、天才的推理能力非凡な探偵ではなく、非情・利己的・好色で、自己の信念を固く守り通し、しかも行動は敏速かつ凶暴な私立探偵をあらわしている。 低級なパルプマガジン出身とはいえ、ミステリー興味と心理的性格描写で、現代人というかその時代に生きる人間を的確に把握している点で、ミステリーの世界に革新的な作風をもたらした意味は大きく、低俗な読み物としてではなく本書が今なおハードボイルドの古典として読み継がれているのもうなずける。 | ||||
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“私立探偵小説の始祖”“ハードボイルドの創始者”といわれるダシール・ハメットのデビュー長編。大衆向けのパルプマガジン『ブラック・マスク』に1927年から連載され、1929年に単行本化された。 サンフランシスコの「コンチネンタル探偵社」の探偵である主人公は、小切手を同封した事件依頼の手紙を受け取り、ある鉱山町に出かけたが、入れ違いに依頼人は射殺される。利権と汚職と街のボスたちの縄張り争いに巻き込まれた彼は、街の顔役のみならず、警察署長や親しくなった高級娼婦までも含めて、巻頭の主な登場人物たちのほとんどが殺されるといった、血で血を争う抗争の真っ只中であくまでも非情で利己的に振る舞う。 そこでは従来の奇想天外なトリックを弄する謎解きパズラーでは決して見ることのできなかった“リアルで血の通った”人間たちを、もっぱら行動の面から目の当たりにすることができる。 また、もともとが連載ものであっただけに、やま場が随所にあって、残忍で殺伐な事件がこれでもかと起こり、それぞれの犯人も比較的早く判明する。読者は最後まで待たされることなく、物語を楽しむことができるのだ。 本書の一人称叙述は、天才的推理能力非凡な探偵ではなく、非情・利己的・好色で、自己の信念を固く守り通し、しかも行動は敏速かつ凶暴な私立探偵をあらわしている。 低級なパルプマガジン出身とはいえ、ミステリー興味と心理的性格描写で、現代人というかその時代に生きる人間を的確に把握している点で、ミステリーの世界に革新的な作風をもたらした意味は大きく、低俗な読み物としてではなく本書が今なおハードボイルドの古典として読み継がれているのもうなずける。 | ||||
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ダシール・ハメットの古典的ハードボイルド小説。ハンフリー・ボガート主演「マルタの鷹」原作者のデビュー作。腐敗した鉱山の町に乗り込んだ探偵の「おれ」は、事実上町を支配する老人からの依頼を盾に、その老人の思惑さえも裏切って腐敗の一掃を図るというすばらしい作品です。 マフィアのボス、密造酒のボス、賭博のボスというトライアングルの均衡を破っていく「おれ」が、最初から計画的にではなく、とにかくなにか騒ぎを起こしてみる、すると何かが動きだすからそれに乗ってみる、というのがすばらしい。均衡はいかにつくられ、いかに崩れるかという極めて政治的な小説です。勢力均衡状態を誰もが当然と思って唯唯諾諾としたがっているから均衡が成り立っているのであって、そもそも均衡しているものなどないのだ、という「おれ」の感覚こそ、現実的で自由で冷徹なハードボイルドな男の感覚です。 とんでもなく早い展開にも関わらず、会話のきめ細かさ、描写のつらなりの巧みさがたまりません。一息で読みたい傑作。 | ||||
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この昂揚感はヤバイですよね。。大仰さはなく回りくどさもない徹底したリアリスティックな描写ははまると癖になります。また本当に簡潔に して一瞬で興奮をかきたてられる極上のレトリックが気持ちええんですな。この人の文字を駆使した伝達能力は半端ない。 血しぶき...いや、血の雨が降るような文字どおりの血まみれ騒ぎのなかを、感傷に流されずにあくまで非情につきぬけながら《収穫》をこなす コンティネンタル・オップ(おれ)に是非しびれてみてください! | ||||
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新潮文庫・1960年5月刊「血の収穫」能島武文訳と読み比べました。 本書は89年発行ですから、約30年後の新訳です。抗争に荒れ果てた ポイズンヴィルの雰囲気やオプの会話も直截でストレートに伝わります。 ただし本書は、ひねくれ者同士の会話が多いためストーリーの展開を 忠実に追うには前書の能島武文訳に軍配が上がります。 | ||||
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形容詞を無闇に多用する現代の作家に消化不良を起こしているの方に お薦めな、ハードボイルドの名作。 ハードボイルド小説にも「古典があるんだ!」と感じる作品。 品切れとなっている「講談社文庫」の田中小実昌訳や 「新潮文庫」の能島武文訳の版を古書で手に入れて、読み比べたくなります。 ちなみに、小鷹信光訳では「赤い収穫」とタイトル[red harvest]を 直訳しています。 | ||||
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黒澤明の『用心棒』の元ネタとしても有名な作品だけれど、オプのやり口があんまりヒドイので、なかば自業自得とはいえ、悪党たちがかわいそうになってくる。 どうやらオプはこの町がとことん気に入らなかったらしい。 あるいは腕試しにはもってこいだと思ったのかも。 例によって悪女っぽい女性も登場するけれど、ハメットの他の作品と比べるとかなりかわいげがあって、それなのに不幸な目にあってしまうので、こちらもかわいそうだった。 主人公がちっともヒーローじゃないっていうのはハメット作品の特徴ですね。 | ||||
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「マルタの鷹」の淡々とした語り口には驚かされたが(今頃かよ)、本作はコンティネンタル・オプの一人称の形をとっており、「マルタ〜」ほど乾いた文体は用いられていない。あくまでオプの視点であり、それは終始一貫しているので、馴染むことが出来た。 それにしても、チャンドラーやアメリカのハードボイルド界は言うに及ばず、大藪春彦にまで影響を与えたハメットだけはあると感心。町の主権を握る老人、走り回る探偵、娼婦、賭博師、ギャングなど人物配置が豪華なのだ。そして舞台が鉱山町。そこで起こる抗争。久々に興奮できる小説と出会った。ジェイムズ・カルロス・ブレイク以来だろう。 約80年前発表とは思えないエンターテインメント色が強い。車が駆け回り、銃が咆哮するアクションシーンはかつてのマカロニ・ウェスタンを彷彿とさせる。 マーロウやアーチャー、スペイドのようなタフな探偵とオプのキャラクターを比べてみるのも面白い。そうすると、決してオプはただの小太り男ではなく頭の回転が速い優秀な探偵だということが改めて確認できる。そして、なぜだかオプが魅力的な人物に思えてしまう。 | ||||
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まず『ポイズンヴィル』の設定に痺れてしまう。 老獪な実力者が君臨し、複数の暴力組織や腐敗しきった警察が よってたかって利権を貪る陰鬱な町。 文字通り魑魅魍魎どもが跋扈するこの悪徳の町で、 クールでドライなオプが、危険極まる遣り取りを繰りひろげながらの大掃除。 決して愉快なお話とは言えないのに、 矢鱈とワクワクしてしまうのは なぜ? | ||||
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言わずとしれた黒沢明「用心棒」の原作。鉱山の町の利権を、場末の宿場町のやくざの争いに置き換え、コンチネンタル・オップを三船の用心棒「桑畑三十郎」に置き換えた手腕がみごとだった。こちら原作はハメットの代表作だけに、マーロウのように甘さに流れない硬派の主人公のハード・ボイルドぶりが痛快。 | ||||
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ハードボイルド派の雄として知られるダシール・ハメットの処女長編です。 依頼主に会うために鉱山町パースンヴィルにやってきた「おれ」が依頼主の死をきっかけに町を牛耳っているギャングを壊滅させようとするというお話です。鉱山町に死体の山が築かれていくわけですが、その描写もあっさりとしていてほとんど余計な感傷が入り込んでおらず、ハードボイルドとはどういった文学なのかを示す良い例だと言えるでしょう。 物語の進行と共に謎が出てきたり解決したりして、推理小説としても十分楽しめます。この時代のアメリカの不安やごちゃごちゃした感じが良く出ていて、アメリカの作家としての特徴を遺憾なく発揮しているのではないでしょうか? 同時代のイギリス系のミステリと比較してみるとあまりに雰囲気が違うので面白いです。 | ||||
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