長いお別れ

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長いお別れの評価:

4.34/5点 レビュー 290件。 A ランク

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平均点4.34pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全547件 441〜460 23/28ページ
No.107
(5pt)

村上春樹訳が出ているが清水俊二訳で十分

村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」が話題になったようだが、私は清水俊二訳のハヤカワ文庫
版の「長いお別れで十分」である。私にとっての表題は「ロング・グッドバイ」ではなく「長い
お別れ」なのだ。確かに今、初めて読む人にとっては、村上の新訳が今風で良いかもしれない
が、昔からのチャンドラー・ファンの者にとっては、清水訳を支持するのではなかろうか。
両者の訳に多少違いがあるようだが、瑣末な問題に過ぎない。昔の作品であるし、時代背景を
考慮すれば、むしろ清水訳の方がノスタルジーがあっていいと思うのだが。つまらいこだわり
かもしれないが、ミステリは文庫がいいのだ。「ロング・グッドバイ」の装丁画もマンガ的で
気に入らない。ま、しかし、村上春樹の新訳が出たことによって、若い読者にチャンドラーの
名作が見直されることになったことは良いことかもしれない。また、いつの日か購入すること
になっても、私は文庫版の「長いお別れ」を選ぶだろう。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.106
(4pt)

何重にも重なった結末

この作家の作品は初めてだったが フィリップ・マーロウの名前は 聞いていた。
あ〜この作家が生みの親なんだ。
やっと巡り合えたと思った。

ハードボイルドはあまり読むこともなく、この作品もそのジャンルに入るらしいことから、
最後まで読めるかと懸念していた。
が・・・取り越し苦労に終わったし、それどころか結構な厚さの文庫はあっという間に最後
のページにたどり着いた。
単なる殺人事件ではない。男の友情が絡んだ事件。
これが結末か・・いや違う。
本当に奥が深かった。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
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No.105
(4pt)

何重にも重なった結末

この作家の作品は初めてだったが フィリップ・マーロウの名前は 聞いていた。あ〜この作家が生みの親なんだ。やっと巡り合えたと思った。ハードボイルドはあまり読むこともなく、この作品もそのジャンルに入るらしいことから、最後まで読めるかと懸念していた。が・・・取り越し苦労に終わったし、それどころか結構な厚さの文庫はあっという間に最後のページにたどり着いた。単なる殺人事件ではない。男の友情が絡んだ事件。これが結末か・・いや違う。本当に奥が深かった。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.104
(4pt)

何重にも重なった結末

この作家の作品は初めてだったが フィリップ・マーロウの名前は 聞いていた。
あ〜この作家が生みの親なんだ。
やっと巡り合えたと思った。
ハードボイルドはあまり読むこともなく、この作品もそのジャンルに入るらしいことから、
最後まで読めるかと懸念していた。
が・・・取り越し苦労に終わったし、それどころか結構な厚さの文庫はあっという間に最後
のページにたどり着いた。
単なる殺人事件ではない。男の友情が絡んだ事件。
これが結末か・・いや違う。
本当に奥が深かった。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.103
(5pt)

評価は難しいです

村上チャンドラーの本書。これまで、清水訳「長いお別れ」を3回程読み直している自分としては、村上訳でどのように生まれ変わるのか、期待十分で本書に望んだ。でも読了後の感想は、比較は難しい、というものである。清水訳は誤訳や省略が多い、との噂が多々あったが、村上訳との明確な違いを感じることが出来なかった。それより村上訳のほうが、淡白な読み心地であった。これが正直な感想です。しかしながら本書はまさに「男の教科書」である為、読んだ年齢や重ねた年月で読了の感じ方が違うのは当たり前である。それは清水訳/村上訳の違いではなく、読み手である自分の居る立ち位置の違いなのである。
まさに、男は男に生まれたからで無く、男になるのです。永遠の私の道しるべである本書。
ただ読み方の選択肢が増えたということを素直に喜びたい。清水訳/村上訳とも、読み続けていくのであろう。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.102
(5pt)

血の通ったマーロウに会える

私の知っているマーロウはこんなくだけた男ではなかった気がする。初読は十代で読んだ記憶は曖昧だが、なんだか小説に温度があるというか、人間臭さがあるというか、読んでいくうちにタイトルの「ロング・グッドバイ」もしくは「長いお別れ」が胸に沁みてくるようだった。なによりマーロウとそれぞれの会話が新鮮だった。私は、テリーよりもリンダとの会話が好みだった。
マーロウが深入りしなければ真相はわからなかったし、なぜ踏み込んではいけないのかの謎も読者側に提示しつつ、クエスチョンマークがついた部分を最終的に答えてくれる。読み深めていくうちにマーロウの悲しみが伝わってくるそんな村上版の訳だったと思う。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.101
(3pt)

1950年代の北米西海岸ロス・アンジェルスが舞台

巻末に村上春樹さんの訳者あとがき「準古典小説としての『ロング・グッドバイ』」が延々45ページにわたって掲載されています。フィッジェラルドのグレート・ギャツビーとレイモンド・チャンドラーのロング・グッドバイの作家間、作品間の対照などです。訳者のこれらの作品に対する愛着と思い入れがよく分かります。
ストーリーは殺人事件に思いがけなく関わりを持った私立探偵フィリップ・マロウを語り手として、実質的な主人公テリー・レノックスの物語です。
金持ちたちの、非生産的でものうげ、そしてアルコールに毒され退廃的な男女の関係、戦争を引きずりまたトラウマを抱えた日々が描かれています。訳者が述べてるようにグレート・ギャツビーとの共通点を感じますが、この手の小説は好きになれません。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.100
(2pt)

清水訳をお勧めします

 旧・清水訳は省略も多く、語学的な問題も少なくない。では、新・村上訳を買うかと言えば、答えは否である。「グレート・ギャツビー」の翻訳はこれまでのものに比べて村上訳が圧倒的に優れていたが(なにせ、初めて最後まで読み通すことが出来たというだけでも価値がある)、チャンドラーのこの傑作に関して言えば、清水訳を読むことをお勧めしたい。
 村上氏は、翻訳には賞味期限があると主張しているが、現代風の表現を用いればそれで作品そのものが新しく生まれ変わるかと言えば、そう単純な話ではない。歳月を経て味に深みが出たり、透明度が増したりする酒のように、優れた翻訳もまた同じ言葉によって成り立っている以上、時によって成長しうるのである。村上氏の訳は正確で省略はないかも知れないが、味わうにはコクも薫りも足りなさすぎる。要は、成熟度が不足しているのである。
 清水訳を読んだら、かつての友人(あるいは恋人)を思ってコーヒーを入れ、そのかたわらに火をつけた煙草を置きたくなるだろう。
 もちろん、作品それ自体は文句なしの傑作である。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.99
(5pt)

読後100%ギムレットが飲みたくなります

大学生の時にハヤカワ文庫の「長いお別れ」を読んだ後にもギムレットを飲みたくなりましたが、
この「ロング・グッバイ」を読んでもやっぱりギムレットが飲みたくなりました。当たり前ですが。
で、実際にギムレットを飲むと、すこしだけ大人になったような気がするのです。
そういう本です。
ついでに書くと、文章もプロットも完璧。村上訳も悪くない。
時間がある人は読んで損はないです。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.98
(4pt)

お勧め

恥ずかしながらこの本でチャンドラーを知った人間です。
この本を知らなかったのが「(本好きとして)恥ずかしい」と思える一作です。
まだよんだことのない人はこれが機会、読んでおきましょう。
読んだことがある人も、思い出すのを含めて悪くありません。あとがきの春樹解説読むと、春樹小説の理解がいっそう深まるかもしれません。
今私は清水さん訳の「高い窓」を読んでおります。全部読み終わるまでは当分マーロウ漬けの日々を送りそうです。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.97
(4pt)

あとがきは後から読みましょう

ギャツビーの時もそうだったが、はじめの数十ページは文章の重厚さと直訳具合に違和感を覚えたがだんだん慣れていった。「ロールズ・ロイス」でまず洗礼を受け、「ぐさりと刺さって背中から十センチは突き出そうな視線」など過激な比喩の数々は村上ワールドのデジャヴュのようだ。10代の頃、当の村上が薦めるがままに清水訳を読み、原書も手にして、あらすじは概ね頭に入っていたつもりだったが、村上訳ではマーロウの印象はちょっと変わり、村上が「仮説的」というのも納得がいくようなエキセントリックなほどに挑発的に感じた。「ハードボイルドワンダーランド」の「私」が、僕にとってのマーロウに置き換わっていたからかもしれない。また作品の長さも「こんなに長かったっけー」という印象。村上の言う「寄り道エピソード」がまた長い長い。確かに「思い切って削りましょう」と言いたくなりそうだ。でも一番驚いたのはエンディング。村上訳になっているからなんだろうけど、「まんま『羊をめぐる冒険』じゃん!」 当時両方読んでたのに、ぜんぜんそんなふうには思わなかった。それにしても締めの文句はクールだねぇ。絶品です。
(その後、清水訳を読み直した。ひっかかりなくすらすら読めるし、マーロウが良い人のように見えてしまう。村上はあえて直訳調にしごつごつとしたひっかかりを加えることで、小説のテンポを抑えようとしている。たぶんそれは小説家としての村上がチャンドラーから読み取ったものなのだろう。その抑えたテンポが最後に効いてくる。ラストのしみじみした味わいは、清水訳からはでてこない)
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.96
(5pt)

古典的作品だからこそ読んで欲しい

 ロング・グッドバイは、フィリップ・マーロウという探偵が主人公のハードボイルド小説です。村上春樹さん翻訳にさきだって、清水俊二さんという方の名翻訳版が長年あり(そちらでのタイトルは「長いお別れ」)、長い年月の間に110万部も売れている有名な一冊です。とはいえ、イメージ先行で読んだ事がないという方も若い年代の方には多いと思いますので、あえて改めて紹介します。
 ストーリーは、マーロウという探偵が、とある夜の酒場でテリーレノックスという青年と出会うとろから始まります。泥酔した彼を家まで運ぶマーロウ。なぜそんなところまで面倒をみたのかわからない彼ですが、数ヶ月後、マーロウのもとに再び現れた彼は、国境の外へ逃げだす車の運転を彼に依頼します。時をおいてマーロウには、別口の依頼でアル中になっている有名作家のボディガード(といっても誰かに狙われるのではなく自殺しようとする作家自身から)の依頼があります。
 二つの事件は思いがけないところで絡み合って、予想しない結果へと繋がっていきます。
 さて。ストーリーの方はそこまでとして、この小説、シーンシーンや台詞、行動が極めてかっこ良く、ダンディズムに溢れています。とにかく、気障であったり、洒落すぎているのですが、それが鼻につかず板についている感じで魅力的です。有名な、「男はタフでなければ生きていけない 優しくなければ生きている資格がない」という台詞も、このマーロウの台詞です。
 また、この小説が長く語り継がれている理由の一つには、ストーリーや、台詞まわしもさることながら、描写や比喩の多さ巧みさがあげられます。ある意味、古典文学作品の域にまで高まっている作品です。いい悪いではなくて、向いている向いていないでいうと、そういう高め方の難しいミステリ小説でここまで完成された小説も珍しく、間違いなく傑作だと思います。
 村上春樹さん訳のこの「ロング・グッドバイ」も、清水俊二さん訳の「長いお別れ」もどちらもいい作品ですので、訳の読み比べをする楽しみもあります。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.95
(4pt)

作家として…

翻訳家・村上春樹氏には頭が下がる。
同時代にいてくれて「ありがとう」という思いが強い。
チャンドラーやフィッツジェラルド、サリンジャー、カポーティもそうだけど、
レイモンド・カーヴァーやポール・セロー、
ティム・オブライエン、ジョン・アービングなどの
これまで知らずにいた優れた作家を紹介してくれた。
思い入れのある丁寧で素晴らしい仕事をしているし、
それについては文句のつけようがない。
しかし、氏は創作が本業であるはず。
翻訳なんかしていていいの?そんな時間あるの?
という気がしないでもない。
比較すべきではないかもしれないが、
どうしても“翻訳作品>村上作品”ということになってしまうからだ。
翻訳作品は歴史に燦然と輝く名作ばかりではあるけれど…
どこかで、
「翻訳はオードブルをつくるようで楽しい。
冷蔵庫のありものをテキパキと調理するようなもの。
メインディッシュ(創作)はそうはいかない…」
というような事を述べていた。(あやふやですが)
村上ファンとしては「メインディッシュ頑張らんかいっ!」と言いたい。
頑張っても出来ないのかも知れないけれど…
素晴らしい翻訳が出る度に
氏の作家としての炎が小さくなっていくようで、
少々寂しい気分になる。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.94
(3pt)

マーロウは誰が訳してもいいのだ

10代からのマーロウファン。ギムレットにあこがれて、酒を覚えました。
マーロウの男らしさやストーリーのすばらしさは、従来の清水訳と比べても、ひけをとらないと思います。
もちろん細かいところの描写は違いますが、どちらがよいかは好みの問題でしょう。
村上さん訳だから、マーロウが知られる。なんだか私から見ると本末転倒な気もしますが、これも時代の流れなんでしょうね。
村上春樹も大好き。マーロウも大好き。な私にとってはうれしい一作です。
でも、わざわざ村上訳っって騒ぐほどもないかな。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.93
(4pt)

さよならを言うのは・・

このところ通勤電車の中でしか本を読めなかった者にとってあのぶ厚さは殺人級で、
発売直後に買ったは良いものの、ずっと本棚に放置していました。
やっと本日読了です。
フランクフルト空港といえば「ノルウエイの森」を思い出しますが、
フランクフルトから成田に戻る機内で読み始めたら止まらなくなって、
トイレにも行かず一気に読んでしまいました。
正直、チャンドラーは初読でして、原文も清水訳も読んでいません。
だから村上訳の巧拙はサッパリなのですが、とにかくチャンドラーの文章力に
衝撃を受けました。明らかにミステリの範疇を超越しているというか・・、
昔フィリップ・k・ディックの「ヴァリス」を読んだときのような、強烈に個性的な
世界観への吸引力を感じます。面白い。
ただし、幾つか難点もあるかと思います。
物語の内容に関して言えば、本来終わりにするべき地点は
もう少し早かったほうが良いのでは?なんて思いました。
あるいは、51章の後に49、50章を入れる構成のほうがカッコ良かったかも、なんて。
村上訳について言えば、概ね素晴しいと思いますが、「新訳を問う」という割には
少しばかり古めかしさが残りすぎている気もします。
まあそんなに気にはならない程度ですけど。
そもそも新訳が必要かどうかはケースバイケースですよね。
ヘミングウエイなら大久保康雄訳のままが良いと思うし、
カラマーゾフなんかだと光文社が出した新訳があることで、
旧訳をギブアップした人には助かるし。
最後の難点は、装丁が比較的ダサいことでしょうか・・。
物語としては☆5つですが、そんなわけで☆4つにしておきました。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.92
(4pt)

村上春樹に感謝!

レイモンド・チャンドラーという名前は知っていたが、その作品は通俗的な探偵小説というイメージがあったため、これまで素通りしてきていた。しかし、先日、本屋で村上春樹が翻訳した『ロング・グッドバイ』が山積みされているのを発見し驚いた。村上がチャンドラーを読んでいるというようなことはまったくの予想外だったからだ。そのときは村上の「あとがき」をパラパラと立ち読みしたのだが、村上が引用しているJoyce Carol Oatesの言葉(この言葉はVintage版の裏表紙にも載っている)にただならぬものを感じ、すぐさま原書を注文することになった。読み始めてみると、「格調高い」というのとは少し違う気がするが、たしかに文章はうまい。自分の頭にあることを淀みなく書くことができるという点では、ポール・オースターなどにも同じものを感じる。また、ほとんどの章の始まりと終わりには感情を抑制した静的な描写が使われており、1つ1つの章がまるで1つの完結した小宇宙を形成しているかのような構成は見事である。もう1つ感じたのは、女性の描き方が非常にうまいということだ。例えば、第13章のバーで待ち合わせをしている場面で、Eileen Wadeがさりげなく登場してくる。この女性の描写はまさに息をのむ文章である。字面を追っていくだけでもその艶めかしさがこちらに伝わってくる。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.91
(4pt)

村上春樹に感謝!

レイモンド・チャンドラーという名前は知っていたが、その作品は通俗的な探偵小説というイメージがあったため、これまで素通りしてきていた。しかし、先日、本屋で村上春樹が翻訳した『ロング・グッドバイ』が山積みされているのを発見し驚いた。村上がチャンドラーを読んでいるというようなことはまったくの予想外だったからだ。そのときは村上の「あとがき」をパラパラと立ち読みしたのだが、村上が引用しているJoyce Carol Oatesの言葉(この言葉はVintage版の裏表紙にも載っている)にただならぬものを感じ、すぐさま原書を注文することになった。
読み始めてみると、「格調高い」というのとは少し違う気がするが、たしかに文章はうまい。自分の頭にあることを淀みなく書くことができるという点では、ポール・オースターなどにも同じものを感じる。また、ほとんどの章の始まりと終わりには感情を抑制した静的な描写が使われており、1つ1つの章がまるで1つの完結した小宇宙を形成しているかのような構成は見事である。もう1つ感じたのは、女性の描き方が非常にうまいということだ。例えば、第13章のバーで待ち合わせをしている場面で、Eileen Wadeがさりげなく登場してくる。この女性の描写はまさに息をのむ文章である。字面を追っていくだけでもその艶めかしさがこちらに伝わってくる。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.90
(5pt)

他の作品もぜひ村上訳で読みたい!

まだこの小説の翻訳を読んでいない方はもちろん、従来の訳ですでに読んだという方にも強くお奨めします。理由はあとがきで村上氏が書いているのですが、従来の翻訳「長いお別れ」ではかなり多くの文章の細部が意図的に省かれている、とのことで、いままで数回この小説を読んだことがありますが、「あれ、こんな場面あったっけ」と、新鮮な驚きがありました。
かなり分厚い本ですが、村上氏の語り口のうまさでぐいぐいと一気に読み進んでしまいます。
こうなると他のチャンドラーの作品もぜひ村上訳で読みたいところです。
また、この小説を読むと村上氏の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」や「ダンス・ダンス・ダンス」がこの小説から強い影響を受けていることがわかります。村上氏のファンの方は必読です。
特に「ダンス・ダンス・ダンス」での刑事との会話の場面などは「ロング・グッドバイ」そのままです。
唯一の難点は最後に明かされるプロットが現代からみればあまりに古臭すぎる、ということでしょうか。
また、フィリップ・マーロウが最後に「徳義」というあまり聞き慣れない言葉を語る(ちなみにこの徳義という言葉はあとがきと帯にも使われています)のですが村上氏がなぜあえてこの「徳義」という古臭い言葉を選んだのか、がこの訳の最大の謎です。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.89
(5pt)

サスペンスを題材とした純文学

 岐阜の多治見駅前の本屋で17時頃に購入し 多治見ー名古屋ー東京ー国立と読み続け 家に帰ってもそのまま読み続けて 23時に読み終えた。普通なら車中では眠ることにしているのだが 眠る機会を逸した。
 まず 原作が面白い。本作はうかつにも初めて読んだ。抜群に面白い。チャンドラーの本は 数冊を20年前に読んだ程度だった。20年前の僕は尻が青かったということが良く分かった。
 洒落た会話や描写が有名なのが チャンドラーだ。それは分かっていたが チャンドラーがそもそも持っていた 乾いた叙情性を 今回初めて感じた。これは 高村薫にも感じるものがある。高村がチャンドラーを好きだという話が出てもおかしくないと思う。両者は似ている。サスペンスという題材を選んだ純文学者という点で。
 次に 当然の事だが 村上春樹とチャンドラーの関係である。
 本書を読んでいて いくども 村上の本を思い出した。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」や「ダンスダンスダンス」に出てきた 尋問の場面などは もうそっくりである。村上は以前から チャンドラーから受けた影響について 語ってきたわけだが 今回 村上が本書を訳した事で そのことがはっきりと見えた。
 その意味では 村上にとっても いささか「ネタを明かす」というようなリスクはあったのではないかとも思う。しかし それを超えた部分で 村上がチャンドラーをいかに敬愛し 尊敬しているのかという事だと思う。 実際 本書を読んだ事で チャンドラーを読むきっかけになる人は きっと 凄く多いと思う。それは 極東の島で 村上という作家にして訳者を得た チャンドラーの幸せなのだ。
 読み終える事が本当に惜しかった。そう思える本も そうざらにはない。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.88
(5pt)

マーロウという探偵の魅力

僕は何故、こんなにもマーロウに惹かれるのだろう。
偏屈で、強情で、己を通すことに周りをかえりみない。
そんな人間に、何故惹かれるのだろう?。
マーロウは強い。肉体のみならず、何よりも意志が強い。
マーロウは弱い。財産は全く無く、誰の後ろ盾も持っていない。
マーロウは自由である。
マーロウは束縛されている。己の稼業(しょうばい)に、束縛されている。
マーロウはスーパーヒーローではない。やれる仕事は高が知れているし、
家賃を払うためには、気の進まない仕事もやらざるを得ない。
とても不完全な男。フィリップ・マーロウ。
だがそれ故に、鈍く光る刃物のような魅力を放ち、人を惹きつけるのだと思います。
マーロウの中にある、堅く揺るがない精神。
その強さは生きて行くために必要なだけだと割り切り、
それでいてなお、優しくなければ生きている資格がないと言い切る、男。
故に、ハードボイルドである。
そして僕は、生き方に迷ったとき、マーロウを思い出す。
マーロウという強い男の、強さを。
弱い人間が、挫けそうになったとき、
その強さに少しでも近づける勇気を、分けてもらうのです。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001