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大いなる眠り



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大いなる眠りの評価: 4.02/5点 レビュー 60件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.02pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 21~40 2/3ページ
No.40:
(5pt)

想定どおりの品質。でも良い。

好きなものを期待どおりに味わいながら、でもスリルを楽しめる。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.39:
(4pt)

人物描写は見事だが謎解きミステリとしては今一つ

双葉氏の旧訳を十代の頃読んだ時はどこがいいのかわからなかった。同じ旧約を今回再読して名作と言われる所以がようやく理解できた。現実性に富んだ人物描写が見事で特に大金持ちのスターンウッド老将軍の二人の娘、姉のヴィヴィアンと妹のカーメンの強烈な個性が鮮やかに描き分けられている。ただ登場人物はチンピラやペテン師が多く人間的魅力のある人物があまりいない。強いて挙げれば終盤に登場する「銀鬘(シルバー・ウイグ)」くらいであろうか。ただ彼女も善良な常識人でしかなく他の偽悪的な人物たちの中ではそれが目立つだけという感もある。

物語は前半が3つの殺人事件の解明、後半はヴィヴィアンの失踪した夫リーガンの行方を追うという展開で生き生きとした会話やスリリングなアクションの中で名探偵マーロウが鮮やかに真相を解明していく。

ただ、前半は事件としては通俗で格調は低く真相が判明しても特に感心するものはなかった。後半は凶悪な殺人鬼との対決となるがこれも事件としては結果的には本筋とは直接関係が無いためやや興ざめであった。

前半の最後で事件の新聞記事をマーロウが読むシーンがあるがこれはマーロウが解明した真相とは若干異なっておりこのへんも皮肉がよくきいている。終盤でマーロウがスターンウッド将軍に語るセリフ「僕はシャーロック・ホームズでもファイロ・ヴァンスでもない」(p253)には驚いたがこれも本格物への皮肉であろうか。またラストにタイトルの「大いなる眠り」という言葉が出て来るが、これも人間の死という尊厳なるものをネタにしてヒーローを気取る従来の名探偵たちへの痛烈な批判となっているのではなかろうか。

なお、中島河太郎氏の解説が非常に参考になった。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.38:
(4pt)

石油で財を成した大富豪とそのカルマを背負った娘二人を描いた探偵ミステリの佳作

レイモンド・チャンドラーの全7長編の記念すべき第一作。

石油会社の副社長を勤めたチャンドラーが故に垣間見た闇かどうかは分かりませんが、ロックフェラーよろしく石油で財を成した大富豪とそのカルマを背負わされた歳の離れた娘二人が、ミステリを舞台に描かれています。

精神疾患、精神薬=ドラッグが、戦前のアメリカを既に蝕んでいたことを我々はこのチャンドラーの小説から学ぶことができます。

優れた小説は読者にその時代性を感じさせるものとするならば、『ロング・グッドバイ』や『さよなら、愛しい人』に及ばずとも、本書は探偵ミステリの傑作だと思います。

また原文に忠実にチャンドラーの文体を現代の日本語に復刻頂いた村上春樹さんに感謝です。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.37:
(4pt)

死者は大いなる眠りの中にいる

チャンドラーのマーロウは清水俊二氏訳のハヤカワ・ミステリ文庫「長いお別れ」「高い窓」「湖中の女」「プレイバック」を何度も読み返したものでした。
以前にはこの4冊くらいしか手に入れることが出来なかったからです。
最初の作品である「大いなる眠り」も読んでみたいものの手に入りませんでした。
今回2012年初版発行のハードカバーで村上春樹さん訳のものを読みました。
私は村上春樹さんも好きで全ての作品を読んでいます。
村上春樹さん訳のチャンドラーは「くすくす」「やれやれ」など村上春樹さんの作品の主人公が口にするような言葉も多いですね。
「背が高いのね」「それは私の意図ではない」と不自然なせりふもありますが…クールでいいです。
村上春樹さんは訳にかなりこだわりがあるのだと思います。
「グレート・ギャツビィー」の「old sport」などもいい例です。
普通は「親友」と訳しますが村上春樹さんは日本語には訳しようがないとそのまま英語で載せていました。
長編第1作目ですが本当にすでに完成されています。
「まるで失業中のショー・ガールが最後の無疵のストッキングをはくときのように」など比喩もおもしろいし文体も乾いたハードボイルドそのものです。
ヘミングウェイやコーマック・マッカーシーに似ています。
1日25ドルプラス経費で法執行組織を敵にまわしても依頼人を守る。
まるでゴッサムシティの「ダークナイト」バットマンのようです。
自作には「あとがき」は書かない村上春樹さんですが本作では詳しく解説してくれています。
映画化の際に監督の「あの運転手を殺したのは誰ですか?」の質問にチャンドラーが「私が知るわけない」と答えた話は興味深くおもしろい話です。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.36:
(3pt)

そんなに…。

万人向けか?という問いにノーでしょう。ストーリー自体が時代背景も考慮しないといけないし。主人公は魅力的ですし、村上春樹自身が好きそうな作品というか、例えが巧みに施された文体も面白いので、氏の作品が好きで、ハードボイルドが好きで、という人にはオススメの作品ではないかと。ただストーリーはさほど驚くこともないし、普通の小説かな。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.35:
(5pt)

訳者に敬意を表して☆5ヶ進呈。

レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』の映画DVDを入手する前に、400ページ以上の本ではあったが、本の方を再読してからDVDを観たら、あまりにも原作と異なる物語に脚色されていたのでがっかりしてしまった。  
 チャンドラーが1939年発表の処女長編『大いなる眠り』が気になり探してみたが処分したようで見付けることが出来なかった。
 この『大いなる眠り=原題:The Big Sleep』を、どうしても再読してみたくなりAmazonで入手して読むことにした。
 評者の手元に届いたのは、創元推理文庫の1959年(昭和34年)初版であり、訳者は双葉十三郎氏である。
 少し調べてみたら1956年(昭和31年)に、東京創元社(のち創元推理文庫)から出版されたのが初出だったようである。
 読みはじめてかなり物語の粗筋を思い出したが、やはり翻訳に隔世の感を覚えてしまった。
 この本だけ読んでいたらマーロウは、かなり乱暴者のような感じを受けてしまうのは、翻訳がマーロウの話す言葉の訳に起因しているようである。
 「うふう」(原書でどう書いてあるか興味津々だが)とマーロウが唸ったり、土砂降りの雨のなかで車を運転しながら、「窓拭装置はあっても、ガラスは絶えず曇り」などと訳している。(P219)
 窓拭装置?まあ、ワイパーと訳せばだれでもわかるのだが、なんだか面白く読んでしまったのである。
 「車庫」なども気になった。
 これは英語で「garage」と書いてる直訳だと思うが「自動車整備工場」としたほうがよいだろう。
 本邦初登場したフィリップ・マーロウだから仕方がないが、この後の『さらば愛しき女よ』から清水俊二氏がほとんどマーロウものを翻訳してマーロウ像を修正(インテリ探偵として)している。
 清水俊二氏が双葉十三郎氏から面白いから『さらば愛しき女よ』読むよう勧められ、この本を読んでから、どうしても自分が翻訳したくなった経過をなにかで読んだ記憶がある。
 古くは田中小実昌氏も何冊か翻訳しているが、最近では村上春樹氏がマーロウもの全作翻訳している。
 が、粋な翻訳本を読むより二葉氏や清水氏の翻訳本で十分楽しめるから評者などは、それでよしとしておきたい。
 フィリップ・マーロウは、ハードボイルド派の中で最も有名な探偵といえる。
 その末裔として数多くの探偵が登場しているが、ローレンス・ブロックのマット・スカダーなどへと受け継がれていると思うのは評者だけではないだろう。
 大昔名画座で観たボギーがマーロウを演じている『三つ数えろ』のDVDも入手して、もう一度映画も観たくなってしまった。
 双葉十三郎氏訳『大いなる眠り』を楽しみながら読み終えました。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.34:
(5pt)

チャンドラーの世界観を日本語で見事に再現している

最初に読んだときはストーリーを追うことだけに意識が集中してしまったのですが、時間をおいてから再読してみたら、村上春樹氏の翻訳のすばらしさに気づかされました。

何がすばらしいかと言うと、レイモンド・チャンドラーの文体や文章の味わいを、可能な限り日本語で再現しようという翻訳の取り組み方です。

多くの読者にとっての「良い翻訳」というのは、日本語の文章として読みやすく、意味がわかりやすいことだと思いますが、本書における村上氏の翻訳は、多少意味がわかりづらくなってもチャンドラーの原文に忠実に訳している部分があります。

例えば、タキシードではなくディナージャケットという言葉を使ったり、カジノのディーラーのことをクルピエと呼んだりしているところです。

それはレイモンド・チャンドラーがイギリスで教育を受けていて、イギリス英語を使う作家であり、原文でそのような単語を使っているからです。

日本の読者としては、タキシードやディーラーという言葉に訳してもらったほうが読みやすいですが、意味がわかりづらくなってもあえてディナージャケットやクルピエという言葉を使うことで、村上氏はチャンドラーの文章の雰囲気を残そうとしているのだと思います。

このことで、アメリカ人がチャンドラーの本を読んだときに感じるであろう、異国の作家が書いた英語のような雰囲気を、我々も日本語の文章で感じることができるのです。

原文に忠実な翻訳は、単語のレベルだけではなく、もう少し長い文章に関しても当てはまります。

例えば物語の前半の会話の中の下記の文章です。

原文
「The Sternwoods have money. All it has bought them is a rain check」

村上氏の訳文
「スターンウッド家はお金を持っている。でもそれで買うことができたのは雨天順延券だけ」

※「雨天順延券」に「レインチェック」とルビがふってあります。

rain checkという単語には、文字どおりの雨天順延券の意味だけじゃなくて、物事を実行しないときの言い訳というニュアンスもあります。

ですので、意訳するなら、
「スターンウッド家はお金にものを言わせて、いろいろな問題を先送りにしてしまった」
という感じになるでしょうか。

しかし、村上氏はあえて意訳はせずに、レインチェックというルビまでふって雨天順延券という日本ではちょっと馴染みの薄い言葉を使っています。

村上氏がそうまでして
「The Sternwoods have money. All it has bought them is a rain check」
という原文にこだわったのは、これが本書のテーマだからじゃないかと思います。

テーマというのは、タイトルやあらすじのことじゃなくて、「描こうとしていた世界」とでも言い換えればいいでしょうか。

チャンドラーはこの本で、金持ちが金の力で何でも解決してしまおうとする不条理な世界のモヤモヤ感を、雨の情景に重ね合わせて描いているのだと思います。

雨が少ないはずのロサンジェルスでやたらと雨のシーンが続く理由もそこにありますし、最終的にそれはエンディングのシーンにも関係してきます。

この文章を意訳したり、あるいは端折ってしまっても、物語の展開には影響はないかもしれませんが、チャンドラーの文章の味わいは失われてしまいますし、チャンドラーが物語を通して描こうとしたテーマそのものが曖昧になったはずです。

こんなふうに原文の細部にまで忠実な翻訳をするということは、下手すると「直訳っぽい」とか「意味がわかりづらい」という批判を受ける危険性すらあると思います。

しかし、村上氏が勇気を持ってその方針を貫いてくれたおかげで、チャンドラーの文章の味わいを現在の日本語で楽しめるようになりました。とにかくそのことには感謝したいです。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.33:
(1pt)

星一つにも価し無い

この村上春樹は

〝誤訳家〟で有る。職業作家で有るのに
文を書くのが拙(つたな)い

 劣って居て
下手で有る

 この村上春樹は「英語」を知らない。

米英語の本を翻訳する「資格」が無い。

 春樹ファン殿は
  甘えるな
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.32:
(5pt)

本格ミステリとしても,意外に高度

ミステリとしての謎が,表層のものと深層のものとの,二層構造になっている。深層の謎の方が古く, 物語開始時点では事態は一応落ち着いていて,「大いなる眠り」の中にあるが,これを遠因にして,表層の謎で扱われる事件がリアルタイムで起こる。物語の3分の2が終わった時点で,表層の謎が一件落着するが,その翌日に情報屋が現れて,深層の謎の一端が顔をのぞかせ, 事件として再起動する。
物語前半で感じた微妙な違和感の半分は,深層の謎の伏線になってる(まあ,違和感の残り半分は,単に小説のアラだろうが)。この構成が面白いのは,この深層の謎の向こうに,さらなる深層が存在する可能性が(原理的,潜在的には)存在することで,メタミステリ的な方向性さえ感じさせる試みと思う。

で,事故車から死体で発見されたお抱え運転手の死因が,最後まで明言されないことが,本作のミステリとしての駄目さ加減の象徴として良く取り上げられるが,これって,彼が極度の興奮状態で人事不省に陥って運転を誤った事故,または衝動的な自殺でしょ。最後の目撃者も「(奴は)神経がおかしくなっていた」と言ってるし。
早い話,彼もメンヘラ。だから,彼が将軍の次女にピストルを贈ったこと自体,(やや文学的な)伏線・・と思う。あと,長女が運転手を雇い続けた理由も,色々想像が膨らむ。

確かに,プロットの錯綜は見られるが,これは単純に,著者の力量不足やミステリ要素への無関心ではなく,「エヴァンゲリオン状態」と言うか,豊富な裏設定を用意しておきながら,それを明かしていないせいもあると思う。
誰か,評論家か英文学者に ちゃんと分析して欲しい。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.31:
(3pt)

クソビッチ娘に振り回される若き日のマーロウ

村上春樹新訳の「大いなる眠り レイモンド・チャンドラー」を読了。新訳と言っても、チャンドラーの長編処女作と言うこの作品、私自身は読んだことがないはずなので(適当)あまり関係はない。
 ファンとしてはチャンドラーと言うより、フィリップ・マーロウがいよいよ表舞台に登場した作品として興味深かった。そもそもかなり歳を食ってから作家に転身したチャンドラーだけに、この作品執筆時は既に50代。凄まじい早さで書き終えてしまったそうだが、この作品自体スピード感溢れる展開で私が読むのも速かった。処女作と言っても、チャンドラー節と言うか彼の独特なスタイルは完全に確立していて、マーロウも自分の信念を貫き、権力におもねる事を拒否するいつものマーロウ。ただし、後年の作品ではどんな苦境でもじっと耐える不屈の男というイメージの彼が、アクション映画ばりのタフな行動をとっているのは少し驚きだった。やむを得ないとは言え、敵役を射殺してしまっているし。それも手錠を掛けられた危機一髪の状況で。
 この作品、結局何が事件の中心だったのかよくわからず、人は沢山死ぬのだけど全ての殺人がスッキリと解明されてるわけでもない。そこは処女作ゆえでもあるだろうけど、チャンドラーの作品は大体そうなのだ。本格ミステリとしてはまずかろうが、アクションを楽しむハードボイルドなら十分と言うスタイル。そしてそれ以上に、マーロウはもちろんのこと、個性的な人物造形とその描写が素晴らしい。
 本作で印象に残るのは、何と言っても将軍のとんでもない2人娘の妹。マーロウが自宅に帰ると、何と裸でベッドに忍び込んでおり、彼に関係をせがむ。拒否したマーロウが服を着せておっぽり出すのだが、これ以前にも殺人現場に裸で気絶していた彼女をマーロウがかばって将軍宅に送り届ける、と言う前科があったのだ。ところが抱いてもらえなかったのが不満なこの娘、後日マーロウに射撃を教えてくれと寂しい場所に誘い出し、射殺しようと試みる。ある程度魂胆を読みながら、どうせまともに撃てないだろうと見切って付き合ってやるマーロウも大胆だが、小説でなければ確実に殺されてるな(笑)。
 どうしてもこのクソビッチ娘の印象ばかり強く残るので、そういう意味ではチャンドラーもこの作品ではまだまだ。マーロウも、チェスプロブレム(注;将棋で言えば詰将棋)に頭をひねり、酒場で静かにギムレットを口にしている方が似合うと思うな。

[・・・]
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.30:
(3pt)

マーロウは納得行くまで調査の手を緩めない探偵

例え依頼分の仕事が終わっても、マーロウは自身が納得するまで調査の手を緩めない。
それが例え一部の人間にとって不利益なものであり、その所為で自身が窮地に陥っても関係ない。
その一部の人間が例え依頼人側の者であっても容赦しない。
だがそれは彼が真実を公にしたいという、勝手な正義感から始まることではなく、あくまでも依頼人の名誉は守った形で終結するので納得出来る。
しかし依頼人はマーロウがそういう探偵であることをよく承知した上で依頼をした方が良い。そうでないと、自分も痛い目に遭う。

村上春樹氏の翻訳にもだいぶ慣れてきた。個人的には清水氏のクールな訳が好きだったが、こちらの丁寧な翻訳も良い。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.29:
(5pt)

マーロウなら

マーロウならこういうことはしないよな。マーロウならこうするよな。
それが最近この本を読んでから、持つようになった思考の癖だ。
この本などマーロウを読むと、マーロウというタフな行動規範が出来上がる。
そして惨めで弱い自分とマーロウの距離が測れるようになる。
自然と自分の行動や思考をマーロウに近付けようとする。
村上春樹を始め、多くの人間が同じ経験をし、このシリーズに病み付きになったのだろう。
読書で強くなる、という経験は初めてだった。チャンドラーってもの凄い。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.28:
(5pt)

〈私立探偵フィリップ・マーロウ〉シリーズ第1作

レイモンド・チャンドラー(1888 - 1959)による〈私立探偵フィリップ・マーロウ〉シリーズ第1作 “The Big Sleep”(1939)の邦訳。村上春樹さんによる新訳です。

皮肉屋で、権力におもねらず、権威を挑発し、誰にも理解されない矜持を胸に秘め、ユーモアとタフネスだけを頼りに理不尽と戦う私立探偵。本作において、そうしたマーロウのキャラクター造形は確立しており、これ以後シリーズをとおしてそれは一貫されることになります。内面描写をストイックに削るチャンドラーの文体も完成の域に達してもいます。
それでも本作には、後期にはない若さとエネルギーがうかがえます。マーロウの騎士道精神にもほとんど諦観の影は見あたりません。それゆえにシリーズ後期とは異なる醍醐味を味わえる作品だと言えるでしょう。

残念ながら本作はチャンドラーの代表的翻訳者である清水俊二さんが訳されていなかったため、わりと長いあいだ絶版状態が続いていました作品です。手許にないため旧版である双葉十三郎訳との比較はできませんが、村上さんの訳はいつもどおり、あえて翻訳調を残した硬めの日本語という印象です。
ちなみに以下の原文と訳文は、自らが汚れた世界にいると考えるマーロウが(本作のタイトルである)「大いなる眠り=死」について語る箇所のものです。

“What did it matter where you lay once you were dead? In a dirty sump or in a marble tower on top of a high hill? You were dead, you were sleeping the big sleep, you were not bothered by things like that. Oil and water were the same as wind and air to you. You just slept the big sleep, not caring about the nastiness of how you died or where you fell. Me, I was part of the nastiness now.”(原文)

「いったん死んでしまえば、自分がどこに横たわっていようが、気にすることはない。汚い沼の底であろうが、小高い丘に建つ大理石の塔の中であろうが、何の変わりがあるだろう?死者は大いなる眠りの中にいるわけだから、そんなことをいちいち気をもむ必要はない。石油や水も、死者にとっては空気や風と変わりない。ただ大いなる眠りに包まれているだけだ。どんな汚れた死に方をしようが、どんな汚れたところに倒れようが、知ったことではない。この私はといえば、今ではその汚れの一部となっている。」(本書、p.364)
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.27:
(5pt)

読みやすく、面白い。

双葉さんが翻訳したものと両方読んだが、こちらの方が読みやすく、不可解な和訳に躓くこともなかった。村上春樹さんの小説は正直好みではないが、この本は作品に対する愛を感じ、とてもよかった。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.26:
(3pt)

面白いけど、なんか読みにくい

チャンドラーのフィリップ・マーロウ物の記念すべき第1作。20年前、大学時代に清水俊二氏のハヤカワ文庫版の作品を何度も繰り返し読み、フィル・マーロウは、当時最も好きなヒーローの1人でした。その時点では、この「大いなる眠り」はハヤカワ版では訳されておらず、別の出版社の翻訳でトライしたものの、今一つ楽しめず、途中で止めてしまいました。その時は、清水氏のマーロウ物と雰囲気が違うからだと思っていました。今回、村上春樹氏の翻訳で読めるということで、再チャレンジしました(村上氏も大学時代に大好きだった作家の1人です。)。
読んでみて、20年前に途中で止めてしまった理由が必ずしも翻訳の問題ではないと思いました。面白いには面白いのですが、なんとなくストーリーのテンポが悪いのか、なかなか読み進められませんでした。私は、この手のミステリー物は、のめり込んでくると、何時間も読み続けてしまうのですが、この作品はそうしたスピード感で読むことができませんでした。
ミステリーとしてもなかなかだと思いますし、登場するキャラクターもなかなか良いので、それなりに楽しめますが、なんとなくのめり込めないのが残念、という評価になります。大学時代にトライした双●氏の翻訳が合わなかったわけではないことが、今回、分かりました。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.25:
(3pt)

セリフの訳し方があまり良くありません。

旧約版ではあえて省略していた文章まで翻訳した完約版としては評価できますが、それにこだわり過ぎたのかセリフが人の話す言葉として不自然な所が多々あり、生々しさがありません。所謂ハードボイルドのイメージではないのです。
村上春樹が絡んだ物なら何でも読む、という方以外にはお勧めできません。ハードボイルド小説が読みたい方には、多少翻訳が古いですが創元文庫の旧約版をお勧めします。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.24:
(4pt)

マーロウの仕事観

それっぽっちの報酬のために、君は...との問いかけに、マーロウは答えます。簡潔に、自信を持って。彼の美意識に打たれました。シリーズ1作目の本作品を先に読んでおけば、他の作品がもっと味わえたことでしょう。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.23:
(3pt)

まあまあ

スタートだからだろうか文章の木目が粗い感じで、雰囲気描写がいま一つ
大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)より
4488131018
No.22:
(5pt)

とても気に入りました。

チャンドラーの他の長編作品同様、大変楽しみながら読むことができました。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643
No.21:
(4pt)

面白かった

表現が詳しく、デコラテイブですが、描写が多少クドく、凝ってり。
大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704643

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