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ヘヴン
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ヘヴンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全156件 141~156 8/8ページ
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普段は哲学などに全く関わりのない僕なので、 後半部分の考えは自分の考えを広げてくれました。 また、社会問題をこの様に描写する事で、 自分なりの答えを出す機会を読者に与えてくれていると思いました | ||||
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薄汚れ周りから汚され続けたコジマ、後半、服を脱ぐというよりは脱皮というほうが正しいかもしれない彼女の姿は、周りの風景を凍らせ、言葉を奪い、セピア色のスローモーションが展開する。この場面、臨場感があり、ほかを圧倒して美しい。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョーク演じるセルマの躍動感が近いかもしれない。彼の自慰の描写も新鮮で、三島由紀夫の「仮面の告白」の類似の場面と比較しても表現力に遜色はない。言葉にするのは難しい表現をわかりやすく伝達しているところ、彼女は、人知れずブルペンで言葉の投げ込み練習をしてきたのだ。非常に的確な性描写に驚く。わかりやすいテーマで、彼女の過去の作品にいまひとつ馴染めなかった方、結果、彼女から距離をおいてしまった方がいるならば(私もその一人だが)この本を基点に、彼女の世界にもういちど飛び込んでみる価値は充分にあると申し上げておきたい。 | ||||
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「乳と卵」同様、今回もココロゆすぶられる力作だったけれど、今回は読み進めるのがとてもキツかったです。 前作の快いせつなさと違って、読後でさえ、どこか暗いやるせなさが重く残りました。村上龍さんみたく、いい気になってたガキ共が爆風で血だるまになって吹き飛ぶ、とかそういうのがあればよかったのだけれど。 でも、世界の圧倒的な美しさとすさまじい暴力の世界を同時に描く川上さんの力量に触れて、今後の活躍を期待せざるを得ませんでした。 | ||||
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川上さんの書く文は短編や詩などのほうが旨味が出る。今回は初めての長編にしては良さが見受けられたが少し物足りなさもあった。まだ若いしこれからに期待。 | ||||
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前作「乳と卵」を読んだときは、可もなく不可もなくといった感じの印象だったが この作品は前回とは比べ物にはならないくらい完成されており、その成長度合いに感服です 特に主人公とクラスメイトの百瀬との病院でのやり取りは、哲学を勉強した著者らしく その世界に引き込まれ、目をみはるものがあった。 しかし文中に出てきたいくつかの謎が最後まで語られることがなかったのはちょっと消化不良だったので 4点にしました。まぁ、それが純文学といわれれば、それまでだけど あと関係ないけど、この作品を執筆している様子を某テレビで拝見したけど 作品を横書きで書いているのには、縦書き世代にはちょっと幻滅した | ||||
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前半三分の一くらいはとてもよかった。 主人公がコジマに髪を切らせるシーンまではぐいぐい引き込まれた。 説明っぽさがなく、説教臭さもなく、行間から登場人物たちの息吹が伝わってくるような豊かな世界が描き出されている。 後半はこれとまったく反対の理由でつまらない。 理屈や説教が多い。登場人物にだらだらと語らせすぎ。読者に頭で理解させようとする下手な小説になってしまっている。 ラストにいたっては、興ざめすることはなはだしかった。 途中から、作者が自分の脳みそを制御し切れていない印象を強くうけた。 前半の抑制が続かず、息切れしていると思う。 緻密に制御された「緊張感のある疾走感あふれる世界」と、収拾のつかない混乱をご都合主義によって終わらせることとはまったく別。 酔うのは作者ではなく読者でなければだめでしょう。 この作家には長編を書ききる力量は(まだ?)ないのでは。 悪という悪について、善という善について、本当に掘り下げて人の心を打つものを書きたいのなら、もっともっと勉強し人生経験を積むべき。 これで何かを書いたと思うのはまったくお門違いだと思う。 | ||||
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そもそもこのひとの面白さは、ことばの選び方とリズムにあったのであって、普通の文体にしてしまうと、瑕疵が目立つ。 哲学的、なんて評価もあるらしいけれど、自分の言葉になっていない受け売りを垂れ流しているだけ。 とくに百瀬との問答部分は、哲学を囓ったことのあるものなら、聞き飽きた議論でしかなく、寒々しい。 最後の場面が書きたかったらしいけれど、表現力の貧困さで、かえって引いてしまった。 このひとは、「哲学」から離れて、まず自分の言葉を獲得する努力から始めなければならないだろう。 こんなものが評価されるなら、もっと評価されていい作品は、ごまんとある。 本を出す毎につまらなくなっているのが、気になる。次回作がましになってなければ、僕はもう、彼女の作品を読むことはないだろう。 | ||||
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長編小説ということでかなり期待して読ませていただきました。始めからイメージの違う雰囲気で物語りは進んでいくのですが、何となく違和感を感じながらもいつの間にか引き込まれていきました。 コジマという存在がどんどん大きくなっていってこの後どうなるのか?とかなりワクワクしながら進めていきました。 しかしながら予想を裏切る?展開になり(良いと考えるのか?ハズレと考えるか?は読者次第)、いったいコジマはなぜああなったのだろうか?考えてもわからない結論に??? そのあたりの意味を著者に聞いてみたいと思いました。読んで悪くはないと思います。 | ||||
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物語の大半は陰湿で執拗な苛めのシーンに費やされ、読み進めるのに覚悟がいる。 最後には劇的変化と美しいシーンになるものの、それまでの比重が簡単に切り替えてくれず重く残り、最後の数行では内容と同じく読んでる気持ちも劇的には晴れないのだ。ある月刊誌で絶賛されてたので期待して読んだが、どうも納得できない読後感。けっして誰にでも「おすすめ」とはいいがたい。 | ||||
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主人公に逃げ場を用意してある事が救いになってしまっている。 本当の苛めでは、絶対に有りえない。 苛めの場合、絶対に親には言えないし、心を開く友達などいる訳も無い。 子供の心の中では「親には絶対判らない・・・」という意識があるからだ。 だから、「自殺」が起こる。逃げ場があるのだから本文中の 主人公が考える「自殺」も全くの意志薄弱にしか感じ得ない。 想像の範疇では限界があるからそうなったのだろう。 「リアル」が無いぶんこれはファンタジーでしかない。 もう少し「本当に苛めにあった人物達」の意見を訊いたのならこのような ファンタジーのような文集にはならなかった筈である。 まぁノンフィクションであれば、辛くて読めないが フィクションなので、『軽く読め、読み応え』は皆無である。 徹底的にいじめにあった人物からすれば 「何よ、コレ・・・」って感じだが、平和に生きてきた人には 辛辣な文章に映るだろう。 現場はこんなに平和では無い。 | ||||
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とにかく前半2/3くらいは、 主人公たちがいじめられてる描写が読んでて辛くて疲れた。 文章が上手で余計に疲れた。 私には良く分からない。 最後も、帯では煽ってるし、カタルシスを感じろ、と言う空気はこう、 分かるけど…。読んでる私は取り残された気がした。 文章とかの熱さというか、、、最後のとこは特に取り残されて終わった感じがした。 前半とかの辛さが報われるのを期待して読んだけど、そーでもなかった。 私には良く分かりませんでした。 | ||||
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著者の前作までの特徴的な文体に期待をして今回のヘブンも購入したので、最初は少し残念でした。 次回作はどうなるのかなあ。どうなっても彼女の作品は全部読むけど。基本的にファンだし笑 内容は、面白かったのは確かだけど、なんとなく既視感を感じました。まあ善悪について問うような物語は、大体に百瀬君と僕の対話のような場面が出てくるからでしょう。 川上未映子らしいなあとは思いました。 | ||||
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いじめについて哲学的に考察された、とてもいい作品だと思う。 筆者は、世の中において強い者が弱い者に対して力をふるう悲しき現実を、 いじめる側の人間である百瀬の言葉を通して淡々と書き、読者に問いかけている。 百瀬の考え方は冷たく、無機質で残酷で、ぞっとするところがある。 犯罪や戦争の歴史を見る限り、人は誰かに暴力をふるわずにはいられない存在なのだろうか。 現実を変えようとする「僕」。 何をされても耐え続け、<ヘヴン>にたどり着こうとするコジマ。 14歳の少女ゆえの潔癖さ、高潔で美しい考え方だとは思うけれど、 彼女が少しでも周囲を受け容れていたら……世界も変わっていたかも知れない。 「僕」、コジマ、百瀬の考え方がそれぞれ対照的で、 ラストシーンの余韻や、<ヘブン>の描写も含めて結末を読者にゆだねる終わり方も良かったと思う。 | ||||
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今までの川上さんの作品はやはり読みづらく、好き嫌いがわかれるものだったと思いますが、この作品はとても読みやすいです。 でもわたしは少し物足りなさを感じました。 ストレートすぎるというか・・・。 ラストの方の、主人公といじめる側との対話、主人公といじめられている者同士の対話にすべてがかかっていると思います。 人と人との対話の重要さを感じましたが、そこを読めばこの小説がだいたいわかってしまう。 ストーリーがあまりない。ただ、いじめられてるだけ。(嫌な言い方ですが・・・。) 対話の印象が強すぎて小説としての魅力が減ってしまっているような気がします。 でも風景描写というか、主人公の目線の描写がやっぱり綺麗で好きだなぁと思いました。 | ||||
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大阪弁で書かれてはいないが、『イン歯ー』や『乳と卵』と同じく、川上未映子の哲学が前面に押し出されている。 『歯』、『乳』に続いて、今回も主人公の体がこの物語のキーになる。 いじめの描写が痛々しくて胸がチクチクするが、それがまた心象風景を鮮やかにしている。 哲学的な問いかけが主題なので、"哲学"に興味のないひとには、痛々しいだけかもしれない。 話の中心は"いじめ"なのだが、ただ単純にいじめる側といじめられる側の心理を描いているわけではない。 大げさに言えば"人間とは何か"。 弱さのゆえに苦しみ、弱さのゆえに愛される。 まだ見たことはないが、その先に"ヘヴン"があるのだという。 主人公を取り巻く人間の、目に見えない弱さや強さに、揺さぶられる心。 失ってしまった大切なものの先に、彼が見たものとは・・・ 愛や憎しみや、苦しみや喜びや、あれやこれや。 それとどう向き合うか、あるいは、どう向き合わずに過ごすか。 "生きる"ということは、そういうことかもしれないと思った。 川上未映子の作品は、哲学するには持ってこいだ。 | ||||
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著者のこれまでの独特な文体から離れて、いわゆる「普通」の小説の文体で書かれた作品。でも著者らしさは、いじめをする側の論理に集約されていた。これは決して著者がいじめを肯定している訳ではない(ある作家は批評家から、あなたは昔いじめをした側の人間だというのが文章から分かる、と指摘されて、その作家がその通りだと答えていたのを読んで以来、その作家のことは、作品は別として、好きになれない)。むしろ、いじめる側の人間の非道さや「バカの壁」的な物の考え方を明確に表現していて、その分、余計にリアルさを増しており、そうだから、人のことを同じ人間とは思っていないのだ、というのが嫌というほどよく分かった。 それと今回も『乳と卵』のように、ある手術が登場する。どうも精神と肉体は切り離せないものらしい。前回は女性、今回は男性なのだが・・・。だけれど、肉体を変えることで今回は心の支えとなるものを失ってしまう(そのあたりは仄めかされているだけだが)。そのあたりも丁寧に書かれていて、唯一ほっと安心できるものを得た喜びと失う喪失感があまりにも対照的で(逆に、そのために受ける苦痛が、この対照と並行して、なくなるはずでもある)、その辺のバランスも絶妙だった。 最後の最後まで読んでいて、胸が痛くて、辛くて、しんどいのだが、面白くもあり、読み終えるまでは寝る気になれなかった。コジマの猛烈な強さに圧倒され、人間の尊厳という言葉も思い浮かべながら読んだ。 | ||||
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