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それまでの明日
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それまでの明日の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全60件 1~20 1/3ページ
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「そして夜は甦る」から始まった探偵・沢崎シリーズの最後の作品。 チャンドラーのマーロウ物を好んだ筆者が、その日本版の如く描いた沢崎物は、まさに珠玉。 何気ない描写の中や、キレのある会話の中に散りばめられた僅かなプロット等、近年よくある稚拙な単なる謎解き推理物とは毛色が全く異なる。 沢崎の吐く言葉、その行動所作の一つ一つすら至高であった。 練り上げるが故に遅筆であった筆者が、世に残した作品はとても少ない。 そして、これが最期の作品となった事は、とても残念。 ある日、何の前触れも無いままに姿を消したマーロウと同じ様に、沢崎も消えてしまった。 また、「男の話」を読めなくなりました。 | ||||
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老眼が進み、最近本を読むことが少なくなりました。しかし原さんの本を見つけ、久しぶりに読書することにしました。久しぶりに読みましたが、以前と変わりなくテンポよく読み進めることができました。登場人物が複雑に絡み合っており、だんだんと分かってくることもあり、最後まで楽しかったですね。 ハードボイルド小説という括りでなく、単純に楽しめる本だと言えます。多くの人に読んでもらいたいです。 | ||||
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14年の不在から沢崎が帰ってきた。そこから立ちのぼるタバコの香り、独特の間のある語り。息づかいまで伝わるようで、ムリがあっても、老いが感じられても、それだけで良かったんだけど。。。 「さらば沢崎」といわなければならない時がきてしまったんだな。 | ||||
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もう「渡辺探偵事務所の沢崎です」が読めないのは、残念です。合掌。 | ||||
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その依頼人は、<なぜだかこちらの気持まで紳士的にさせる不思議な能力を持ってい>た。彼は、望月皓一と名のり、依頼の内容は、<赤坂の料亭の女将の私生活を調査して>ほしいという凡庸なものだった。しかし、望月皓一という人物は別に存在し、依頼人はまったくの別人であった。そして、調査対象の女将はすでにその時点で亡くなっていた…。 これが、探偵、沢崎の最後の事件なのか、という感慨ももちろん湧くが、それ以上に、いったいこういう小説を何というのだろう、という疑問もわいてくる。何と呼ぼうと作者にとっても沢崎当人にとってもどうでもよいことだろうから、勝手に呼ばせてもらうが、いわば、“奇妙な味の小説”の範疇に入ってしまうのではなかろうか。江戸川乱歩や吉行淳之介の名を出さなくとも、例えば、ここで沢崎は、依頼人に一度しか会うことはなく、結局、彼の名も知らずじまいなのだ。しかし、最期のいわば“解決篇”にあたるパートで沢崎は、この名無しの男と―32と33の二章分をタップリ使った―長電話をかわす。つまり、巻頭の[登場人物]欄にある「望月皓一」の説明書きにある<金融会社の新宿支店長、依頼人>というのは“虚偽”記載であるということ以上に、名前を書けない人物であるということだ。しかも、沢崎の次に書かれているほどの重要人物。彼が渡辺探偵事務所を訪れた動機が、<五年経っても、十年経っても><何事もなかったかのようにいつもちゃんとそこにある>看板だったというのも“らしい”配慮だ。もちろん、3番目に書かれた“調査対象の女将”平岡静子も非在の人物でありながら、名無しの男に劣らず物語の核心に存在している―田中絹代、山田五十鈴、原節子、高峰秀子(彼女の“平岡静子”評が最高!)に伍するほどの美貌でありながら、武勇伝も残すというレジェンドも効いている―これだけでも、“奇妙”であることは間違いないだろう。少なくとも、今まで書かれた“沢崎”シリーズのどれとも異なる味わいを持った作品だ。 [登場人物]の順番では、6番目ではあるが、海津一樹という青年が実際には沢崎の相棒役を務めることになる。<就職・求人ネットの代表>というのも何気なくではあるが、効果的だ。海津との出会いは、沢崎が依頼人と接触しようと訪問した<ミレニアム・ファイナンス>新宿店で、“偶然”銀行強盗事件に遭遇したことが機縁となる。このときの強盗の主犯・河野というのが、俳優の河野秋武に似ていたというのが笑わせる。「姿三四郎」「続姿三四郎」をはじめとした黒澤作品などにも出ていた名わき役だ。その海津に、<あなたはぼくの父親かも知れない>と言われるのだが、一方で、<あなたはぼくの父親だったら言うだろうことを決して言わないし、ぼくの父親だったら言わないだろうことはかならず言う>とも言われてしまう。この微妙な距離が沢崎という男の在り方を十全に表してもいる。常連の橋爪や錦織、相良との腐れ縁ともいえる距離も今回的確に測定されている。 <交番の中年の巡査は><はるか彼方にある犯罪者のいない世界でもながめているように見えた。>だの、<ゴム紐を売りに行って、タワシを買わされた押し売りのような気分>だの、<依頼人に会うことさえできない探偵が事務所に持ち帰ってきたのは、消費期限の切れた炭酸飲料のあぶくのような徒労感だけだった。>だのといった章はじめの冴えたレトリックも健在だ。そうそう、<二人の女は共通の電源につながっている機械のように、同時にうなずいた>というのもこの際入れておきたい。そして、警句というのではないが、平岡静子が経営していた料亭・業平の“家訓”にも感心した。<まず第一に政治家に諂わざること、次に会社経営者に媚びざること、最後に、自分のお金で飲食しない文化人にも媚びざること。><お客様はすべて“さん”>付けで平等に呼ぶことを徹底したというのだ。こういう話が延々と続くハードボイルド小説というのもほんに乙なもの、ではなかろうか。5つの長篇小説と1冊の短篇小説集。その一切を沢崎という探偵を主人公にして30年間書きつづけた著者の最期の長篇が、『それまでの明日』というタイトルになったこと。そして、その最後の一行が<私はどうやらまだ生きているようだった。>で終っていること。これ以上のものは考えられない。 | ||||
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素晴らしい作品です | ||||
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ということで間違いなくおっさん垂涎の大好物です。 もはや初期作品とは全くの別物ですが、我々読者も歳を重ねて枯れてきており全然OK。 もちろん若者にも白黒映画の感覚で楽しんで欲しいけどね。 | ||||
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原寮氏の著作は30数年振り。 直木賞受賞作品というだけで購入した「私を殺した少女」のタイトル名が30年以上も脳裏から消えなかった理由がわかりました。 金にも名誉にも執着なく、こだわるのは自分自身の矜持だけという姿を当時は理解できなかったとはいえ、どこかで感度の鈍い琴線には触れていたのでしょう。 沢崎の渋さを理解するに30年の歳月を要した私が未熟だっただけですが、著者の作品すべて(寡作ゆえ高が知れてますが)を読むハメになりました。 晩年の沢崎、スポンサーの援助を固辞して守衛でも駐車場の交通整理でも黙々とこなしていそう。 | ||||
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もはや時代に置いていかれている。このシリーズは大好きで10年くらい前から読んでいるが、今回は作者が歳をとりすぎたせいか、完全に時代に付いていけてない。無理やり携帯電話を出したって感じだが。なくても成立するするし、時代を今にしているならもっと今の時代背景を投影して欲しい。物語は複雑にしすぎ感はあるがいとも通り面白い。 | ||||
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14年ぶりの新作楽しみました。 連作との事で次作も近い将来読めるのを 楽しみにしています | ||||
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前作の「愚か者死すべし」から14年経ってこの作品「それまでの明日」が刊行された。もともと寡作の作家 である原尞にとっても些か長すぎる「長き眠り」であったかも知れない。寡作ゆえに、彼の作品の主人公 である探偵の沢崎の再登場を待ちに待った多くのファンもいることであろう。今回の作品では、沢崎は 金融会社の新宿支店長からその会社が融資を検討している赤坂の料亭の調査を依頼されるところから 物語が始まる。そして、何とも締まりのない強盗事件に巻き込まれたり、それに絡んだ暴力団抗争が起きたり するが、この物語の大きなテーマは父と子の愛憎であると言ってもいいかもしれない。原の作品に共通する やや複雑な筋書きと謎解きはあるが、彼がずっと登場させたいと考えていたと言う副主人公も出てくる。 沢崎自身の年齢設定は、本来の時の流れとは関係なく50歳ほどに設定されているが、全体的に過去の作品 に比して、いわゆるハードボイルド感が減じているように思うのは気のせいか。あるいは、設定とは関係なく 沢崎が老けたのか。テーマが父と子の葛藤や愛憎(と私が勝手に言っているだけだが)の為か、やや 盛り上げりに欠けた作品になっているような気がしてならない。 | ||||
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謎解きが主じゃない。主人公の生きざまを読むもの。 世の中の謎に対して全て答えられるほど万能ではなく、能力も時間も財力も限りがあるものとして、それを承知しながら、提示された課題に予断を排除しつつ勇気と知恵で挑んでいく主人公の生きざまを愛でる。いとおしむ。それが、この本との付き合いかただと思う。 | ||||
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初版本でとっても綺麗な本で、大変気に入りました。 | ||||
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内容については、登場人物に感情移入してしまいすぎるので、冷静にみれない。 でも、自分は好きだと断言できる。 文庫化されて、いつものようにあとがきが追記されたのだが、今回のはこの物語が生まれるまでの長い時間を詳細に語っていた。 そして、次作というか、次作も含めての連作であることが明かされている。 その事実だけで自分は感動する。 平行して構想されているようなので、それほど時間を置かないで読めることを期待しています。 | ||||
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最初の著書からのファンです。今回購入したのはプレゼントです。いいにつけ悪いにつけ昭和の薫りがします。 | ||||
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原さんの本は、今回、2冊目を読みましたが、前回登場した人物がまた登場して、楽しく読みました | ||||
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ううむ、これで完結って空気も感じてしまうのだけど、続き、あるよね?と思いつつも、沢崎以外も読んでみたい気もするし、悩ましいね。作中の人間模様は大きく変わったような、そうでもないような。渡辺が他界していたり、相良の実に人間らしい面が描かれたり。読みやすさは変わらず、一気に読めた。裏を歩きに、再読します。 | ||||
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糸の張り切った緊密な構成になっております。この手のものが好きな方は、キャサリンとかマーロウとかに慣れているなら、上二文字だけの人間の羅列なので、しっかり、ちゃんと読む必要あります。考えてみればアタリマエの話ですが、よくよく練られたストーリーなので、読み飛ばしが勿体ない。結末まで行ってから戻ると切れ味が落ちます。で、追いかけている段階で 追っている男と同じ糖尿病で、鍵を利用して入り込んだ沢崎に見つかるたまたま居た目の見えなくなりつつある無関係の浮浪者に関して(こちらの先読みは外れましたが) 俺ならこうしたなあ、とか、ちょっと更なるトリック盛り込めたのに!とか思いました。で、沢崎シリーズの恒例で、好きなシーンは、いつも、棋譜の全集を読むとこなんですが、 それこそ、これも長く残る(そして本当の一部の好事家だけに)愛される、この作品そのものの構成のように思います。唯一不満なのは、終わってから無駄に変に長い。あんなあれこれ要りますか?(だったら中盤のヤクザどものヒリヒリしたやりとりを長回しすればいいのに、あの辺は最高にしびれる)ギュッとして、かなり薄い本にした方が、ドルジェル泊の舞踏会のような、遥かにカッコいいものになるのに、とか思います。それはいつもです。 | ||||
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私立探偵沢崎シリーズの6作目で、著者にとって14年ぶりの著作である。 これまで沢崎シリーズをすべて読んできた読者としては読まないわけにはいかない。 14年も待たされたわけだし。 ストーリーは、まあいつもながら少し無理はある。 が、彼のハードボイルドはストーリーそのものよりも、匂いとか雰囲気とか、そういった要素の方が強い魅力を放っている。 その点は、レイモン・チャンドラーも同様であると思っているのだが、本作でも変わらぬ世界を味わうことができた。 元ジャズピアニストだったという著者は、直木賞受賞後に田舎の佐賀県に戻り、前の作品で得た原稿料が無くなるまで次の作品を書かないという生活を続けていると、前作が書かれたころ、つまり14年以上前に読んだ記憶がある。 どうでもいいことだが、前の作品の印税だけで14年もの暮らしが凌げたとはとても思えないのだが、ピアノでも弾いて暮らしていたのだろうかw | ||||
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原寮さんの14年ぶりの最新作、変わらぬ懐かしい味わいでした 老舗料亭の美人女将の素行調査から始まるミステリアスな事件。 和製マーロウの変わらぬ探偵ぶりの活躍に堪能しました。 ハードボイルドには女性がつきものだが、どうも筆上手な著者にしてはあまりうまく描かれていなかった理想の美人が登場する。 遅筆で高齢な作者だが熱烈なファンは多い 、次作を期待してます | ||||
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