影の子
- 歴史ミステリ (189)
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全1件 1~1 1/1ページ
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東西ドイツを舞台にしたミステリーです。 | ||||
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1970年代の東ドイツを舞台として、その東ベルリン(東ドイツ内にある都市ベルリンが、さらに東西に分割されていたというなかなかややこしい構成だった)における2つの殺人事件をめぐる物語。原題タイトルStaci ChildのStaciとは要するに秘密警察の意味で、その秘密警察の指示を受けて主人公が捜査を行う、という流れである。加えて「事件の9カ月前」の「青少年労働施設」におけるある少女のエピソードが随所で語られるが、それゆえ物語の焦点はその少女が事件の被害者なのか、というところに絞られてゆく。最終的には社会主義国家の暗部、とは言い難い少々下世話な解決に落ち着くのだが、決してハッピーエンドとは言えない結末と、東ドイツ(または社会主義国家)特有の言葉遣いあるいはそれを意図した作者の文体によって、何とも陰鬱な気持ちにさせられる一冊である。 | ||||
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これぞページターナー、傑作です。舞台はかつて地球上に存在した悪名高き監視国家、東ドイツ。警察組織に属する体制側の中尉と、体制側から支配される未成年者。時間差で展開する主人公ふたりの物語が収斂してすべてのピースがきれいに嵌まったあと、戦慄のエピソードが読者を闇に引き戻す。非人間的な国家体制の中で、欲望に忠実に生きる主人公たちの姿がリアルで読ませる。 | ||||
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1975年の東ドイツを舞台にしたミステリー。日本では、ペヤングソース焼きそばが発売され、米国ではマイクロソフトが設立されたころだ。その時代にはベルリンの壁があり、東ドイツでは社会主義体制に反対する(という疑いが持たれる)人々を弾圧し、拷問し、処刑していた。少女の死体が見つかった事件で捜査をすることになったカーリン・ミュラーは複雑な立場にある。夫が反体制派の嫌疑をかけられ、カーリンも部下の副官と浮気をしている。どちらも東ドイツでは重大な犯罪となる。一方で、少しずれた時間軸で進行する話があり、殺害された少女たちの物語が進行する。こちらも悲惨な話だ。体制に振り回されて人生を狂わされる。二つの時間軸が統合され、犯人は暴かれ終幕となる。その後はストーリーとしては面白くなるが、何とも後味が悪い。1975年というのは、2019年から見て、昔の話し始めではあるが、まだ歴史上の話にはならない。ちょっと前に、改めて東ドイツが存在していたことを改めて考えることとなった。 社会主義というのは、個人よりも国家が優先される体制のようだ。つまり、国家を維持するためであれば、個人を犠牲にできる。個人は尊重されるのではなく、国家を維持するための部品に過ぎないのだろう。 | ||||
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原題は"Stasi Child"(シュタージ・チャイルド)。シュタージとは、旧東独の国家保安省≒秘密警察。 東西冷戦真っ盛りの1975年に、ベルリンの壁の東側で、無惨に顔を潰された少女の死体が発見される。少女は壁に背を向けて倒れており、背中にはいくつもの銃創が。 西から東側に壁を越えようとして、西側から撃たれたのか?そのようなことが現実に起きるものか?そもそも、この少女の身元は? 人民警察中尉の主人公ミュラーが副官と共に捜査にあたるが、シュタージの中佐が自分たちより現場に到着し、捜査状況を逐一中佐に報告しなければならなくなるなど、不可解なことばかり。 やがてミュラーたちは、この事件に政府の大物がからんでいるという匂いを嗅ぎ付けるが…。 ネタがバレるため詳しくは書けないが、当時の社会主義国の権力層の腐敗と人権を無視した強権政治、そしてそれを支える相互密告体制が生々しく描かれている。 原題の意味が明かされたときには、そのおぞましさに慄然となった。 著者は西側の人間だが、主人公のミュラーを西側に憧れている人物とはせずに、西側の繁栄を堕落と評価し、東独に対する忠誠心のある警察官として描いている。このあたりが、本書の高いリアリティにつながっている。 夫との諍い、ハンサムな部下からの誘いへのよろめき、そして過去に負ったらしい心の傷と、ミュラーは決して完璧なヒロインなどではない。公私の様々な事項に苦悩し、失敗もする人物として描かれているところも、本書の魅力である。 | ||||
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冷戦下の東ベルリンで見つかった少女の遺体。シュタージ(国家保安省)の指示を受けながら、同僚と捜査する人民警察の女性刑事という、異例な設定が無理もなく、緊張感を持たせながら、物語が展開する。 この作品を含めて、シリーズは三作が出版されているそうだから、翻訳されるのが待ち遠しい。 | ||||
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