それまでの明日

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No.1
(8pt)

もはや、様式美の世界

「沢崎イズバック!」と興奮し、狂喜乱舞する読者も多いだろう。14年ぶりになる、探偵・沢崎シリーズの新作長編小説である。
多くの読者の期待を裏切らない、まさに沢崎シリーズの作品である。ただ、それ以上のものではない。決して出来が悪い訳ではないが、想像を超えるような興奮は得られない。とてもいい意味でのマンネリというか、古典落語の名人芸を聞いているような良質な満足感が得られることは間違いない。今どき、これほどチャンドラーの世界を受け継いでいる作品は珍しい。
ストーリー展開の意外性、スリルやサスペンス、アクションなどは関係ない。ただひたすら、沢崎のセリフの滋味を味わってもらいたい。
沢崎シリーズのファン、古典的ハードボイルドのファンにはオススメしたい。

iisan
927253Y1