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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ
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【この小説が収録されている参考書籍】
ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.56pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全99件 81~99 5/5ページ
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読み始めて、最初から2ページ目で、もしや翻訳者は・・・と表紙を確かめてみると・・・あっちゃーあのK氏でした。 これは読破するのは厄介だ、と思いつつ、You Tubeにアップされていた、TV版(アレック・ギネス主演)を思い出しながら読み終えました。後半は一気にいけます。 それにしても、些細な部分ながら、「母親はバスで豪奢な生活をしており・・・」??? せめて、バースと表記して下さいな。 まるで廃バスの中で、飾りたてて暮らしているみたい。 | ||||
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スパイというと、現実から乖離した印象が強いけれど、本作品の英国諜報員は、会社員とか公務員といった職業と同等にリアルさをもって描かれている。彼らは、組織の中でしのぎを削っているものの、仕事を離れると良き(?)家庭人といった、極めて普通の生活を過ごす人々である。ただ、執拗といえるほどの用心深さと、常人離れした洞察力、国家の機密事項を商材としている点が、この職業の特殊性をあらわしているだけだ。 権力闘争の結果、引退した諜報員 スマイリーは、ロシアの2重スパイ ”もぐら”の正体をつきとめるべく、個人的な悩みを抱えながらカムバックを果たす。派手な銃撃戦や、生命を賭けての戦いは無縁であって、地味な作業の積み重ねで真相に迫っていくのである。 ”もぐら”の正体がなんであるか、事の真相がなんであるか、より、このじれったくもある捜査の過程と、スマイリーの人間くささに、読みどころがあるのだと思う。宿敵カーラと関わりなど、三部作がどのように展開していくか楽しみではある。が、日本語のまわりくどさもあって、時折、読むのが苦痛になったのは否めない。 | ||||
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スパイというと、現実から乖離した印象が強いけれど、本作品の英国諜報員は、会社員とか公務員といった職業と同等にリアルさをもって描かれている。彼らは、組織の中でしのぎを削っているものの、仕事を離れると良き(?)家庭人といった、極めて普通の生活を過ごす人々である。ただ、執拗といえるほどの用心深さと、常人離れした洞察力、国家の機密事項を商材としている点が、この職業の特殊性をあらわしているだけだ。 権力闘争の結果、引退した諜報員 スマイリーは、ロシアの2重スパイ ”もぐら”の正体をつきとめるべく、個人的な悩みを抱えながらカムバックを果たす。派手な銃撃戦や、生命を賭けての戦いは無縁であって、地味な作業の積み重ねで真相に迫っていくのである。 ”もぐら”の正体がなんであるか、事の真相がなんであるか、より、このじれったくもある捜査の過程と、スマイリーの人間くささに、読みどころがあるのだと思う。宿敵カーラと関わりなど、三部作がどのように展開していくか楽しみではある。が、日本語のまわりくどさもあって、時折、読むのが苦痛になったのは否めない。 | ||||
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スパイ小説の最高峰とも呼ばれる作品。一見冴えない主人公ジョージ・スマイリーが一流の分析により敵を追い詰めていくプロセスは遅々としてはいるが、読者を惹きつけるものがある。二重スパイは戦後のイギリスを苦しめ続けてきたものであり、本書を読むとその苦悩がどういうものだったのか、多少イメージをつかむことができるようになる。 ただ、他のレビュアーが評しているように、訳の質が極めて低い。おかげでプロットが分からない箇所が少なくない。いろいろ原因はあるのだが、私が気づいたのは指示代名詞(「彼」や「それ」等)の多用である。英語と同じ頻度で指示代名詞を使うと日本語はそれだけで分かりにくくなってしまう。原書で読むのも手かもしれない。 | ||||
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スパイ小説の最高峰とも呼ばれる作品。一見冴えない主人公ジョージ・スマイリーが一流の分析により敵を追い詰めていくプロセスは遅々としてはいるが、読者を惹きつけるものがある。二重スパイは戦後のイギリスを苦しめ続けてきたものであり、本書を読むとその苦悩がどういうものだったのか、多少イメージをつかむことができるようになる。 ただ、他のレビュアーが評しているように、訳の質が極めて低い。おかげでプロットが分からない箇所が少なくない。いろいろ原因はあるのだが、私が気づいたのは指示代名詞(「彼」や「それ」等)の多用である。英語と同じ頻度で指示代名詞を使うと日本語はそれだけで分かりにくくなってしまう。原書で読むのも手かもしれない。 | ||||
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昔から評価の高い作品ですが、fline117さんの意見に同意します。 どう考えても日本語がこなれていない。 例えば、本書の中にある 「その会合の初めから、スマイリーは、ターの話にも、レイコムとギラムがごくたまにさしはさむ短い言葉にも乱されることのない、仏像のような底知れぬ物静かな態度を維持していた」 などは、その典型でしょう。 わかりにくい訳文が多すぎて、読むのに非常に苦労しました。 | ||||
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以下は実際に小説中に使用されているテキストである。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ わたしは、『イエス、繰り返す、ノー』 ※書いてある意味が理解不能 配下の先任者サイ・ヴァンホーファと、ストックホルム駐在東ドイツ大使と愛人を分け合っているという、自称ロリマーなる下品な男の二人と昼食をすべく、チャリング・クロスから<シェ・ヴィクター>へ歩いて行った ※自称ロリマーに掛かる修飾子がいくらなんでも長すぎだろう ====================================================== 総評。内容はどうかしらんが、とにかく日本語がおかしいので読みたくない。新訳出してください。 | ||||
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以下は実際に小説中に使用されているテキストである。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------わたしは、『イエス、繰り返す、ノー』 ※書いてある意味が理解不能 配下の先任者サイ・ヴァンホーファと、ストックホルム駐在東ドイツ大使と愛人を分け合っているという、自称ロリマーなる下品な男の二人と昼食をすべく、チャリング・クロスから<シェ・ヴィクター>へ歩いて行った ※自称ロリマーに掛かる修飾子がいくらなんでも長すぎだろう ======================================================総評。内容はどうかしらんが、とにかく日本語がおかしいので読みたくない。新訳出してください。 | ||||
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昔読んだときは、何がなんだか分からず、ル・カレはつまらないと思い込む原因となった作品です。 再読してようやく面白さに気づきました。 派手なアクションは回想シーンで一度、ほんの少しだけで、後は淡々と事実関係の確認作業が関係者の証言とファイルを読み返す中で行われていきます。その中でも示唆だけで終わって、明確に語られていない部分も多く、読者も与えられる情報をただ読み辿るだけでは、最初に読んだ私のように訳が分からないまま、終わると思います。この手の作品には珍しいことだと思いますが、読者にも積極的に物語を読み解くことを要求しています。そこがこの小説の面白さでもあるので、是非読んでみてください。 | ||||
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昔読んだときは、何がなんだか分からず、ル・カレはつまらないと思い込む原因となった作品です。 再読してようやく面白さに気づきました。 派手なアクションは回想シーンで一度、ほんの少しだけで、後は淡々と事実関係の確認作業が関係者の証言とファイルを読み返す中で行われていきます。その中でも示唆だけで終わって、明確に語られていない部分も多く、読者も与えられる情報をただ読み辿るだけでは、最初に読んだ私のように訳が分からないまま、終わると思います。この手の作品には珍しいことだと思いますが、読者にも積極的に物語を読み解くことを要求しています。そこがこの小説の面白さでもあるので、是非読んでみてください。 | ||||
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真実というものを描出するために、人の記憶・人の話などというあいまいで主観的なものに頼らざるを得ない情報業者の、それでも真実をつかみたいという執念が、本書に最も表れていると思います。スマイリー三部作の他の二作(「スクールボーイ閣下」、「スマイリーの仲間たち」)でも、そしてル・カレの他の作品でも、人に話を聞いて回り、ファイルを読み込んで真実をつかもうとする登場人物が描かれますが、その作業自体でほぼ全編とする本作は圧倒的です。会話・ファイルの中の文章たちが、確たる・そして求めている情報の上に、どれだけたくさんの上着を着てオブラートで包んでいることか。真実全体の、いかに少ない部分しかそれぞれが語っていないことか。そしてその一々を精製して組み立て、真実と呼べるものまでたどり着けるか。延々と続く先の見えない登り道にも似たその過程を支える、静かなエネルギーの一部は不幸な結婚生活に在って、グリンメルスハウゼンの本(阿呆物語そのものかもしれませんね)をレストランに置き忘れ、雨に降られてずぶ濡れで帰ると、若く美しい妻は他所で情事の最中なのか、誰もいないだだっ広い自宅。そして夜眠らずにファイルを読み、昼間に聞いた話を思い返し、また読む。疲労と不眠の極みで生じる確かな興奮の中で、ロンドンの町外れの夜更けに毎晩必ず訪れる、何分間かの完璧な静寂のひとつの中で、最終的にたどり着いてみれば単純な話。そしてそれを実証する過程で突然告げられる、一人の二重スパイの名前でしかないゴール。この大変な仕事はしかし誰にも祝福されず、成し遂げた後の満足感ももちろんない、静かな終幕です。 二重スパイの話の筋自体はごく簡単でも、それを長編に編み上げる細部のかずかず。老いの坂の、錆の浮いた輝きが最も似合うイギリス国内に作品の場をほぼ限定することで、非常に成功していると思います。高校の寄宿生徒たちの口ぶり。リッキー・ターの夢見る粗暴さ。アン・スマイリーが吐いた(とスマイリーが思い浮かべる)預言者的なせりふの数々。特に、コニー・サックスの鬼気迫る老女ぶり。三部作のそれぞれでコニーの描写が際立っていて、作品を追ってコニーもまた老いていくのですが、その書き分けが、スマイリーの老いと好一対で、好きです。 | ||||
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真実というものを描出するために、人の記憶・人の話などというあいまいで主観的なものに頼らざるを得ない情報業者の、それでも真実をつかみたいという執念が、本書に最も表れていると思います。スマイリー三部作の他の二作(「スクールボーイ閣下」、「スマイリーの仲間たち」)でも、そしてル・カレの他の作品でも、人に話を聞いて回り、ファイルを読み込んで真実をつかもうとする登場人物が描かれますが、その作業自体でほぼ全編とする本作は圧倒的です。会話・ファイルの中の文章たちが、確たる・そして求めている情報の上に、どれだけたくさんの上着を着てオブラートで包んでいることか。真実全体の、いかに少ない部分しかそれぞれが語っていないことか。そしてその一々を精製して組み立て、真実と呼べるものまでたどり着けるか。延々と続く先の見えない登り道にも似たその過程を支える、静かなエネルギーの一部は不幸な結婚生活に在って、グリンメルスハウゼンの本(阿呆物語そのものかもしれませんね)をレストランに置き忘れ、雨に降られてずぶ濡れで帰ると、若く美しい妻は他所で情事の最中なのか、誰もいないだだっ広い自宅。そして夜眠らずにファイルを読み、昼間に聞いた話を思い返し、また読む。疲労と不眠の極みで生じる確かな興奮の中で、ロンドンの町外れの夜更けに毎晩必ず訪れる、何分間かの完璧な静寂のひとつの中で、最終的にたどり着いてみれば単純な話。そしてそれを実証する過程で突然告げられる、一人の二重スパイの名前でしかないゴール。この大変な仕事はしかし誰にも祝福されず、成し遂げた後の満足感ももちろんない、静かな終幕です。 二重スパイの話の筋自体はごく簡単でも、それを長編に編み上げる細部のかずかず。老いの坂の、錆の浮いた輝きが最も似合うイギリス国内に作品の場をほぼ限定することで、非常に成功していると思います。高校の寄宿生徒たちの口ぶり。リッキー・ターの夢見る粗暴さ。アン・スマイリーが吐いた(とスマイリーが思い浮かべる)預言者的なせりふの数々。特に、コニー・サックスの鬼気迫る老女ぶり。三部作のそれぞれでコニーの描写が際立っていて、作品を追ってコニーもまた老いていくのですが、その書き分けが、スマイリーの老いと好一対で、好きです。 | ||||
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真実というものを描出するために、人の記憶・人の話などというあいまいで主観的なものに頼らざるを得ない情報業者の、それでも真実をつかみたいという執念が、本書に最も表れていると思います。スマイリー三部作の他の二作(「スクールボーイ閣下」、「スマイリーの仲間たち」)でも、そしてル・カレの他の作品でも、人に話を聞いて回り、ファイルを読み込んで真実をつかもうとする登場人物が描かれますが、その作業自体でほぼ全編とする本作は圧倒的です。会話・ファイルの中の文章たちが、確たる・そして求めている情報の上に、どれだけたくさんの上着を着てオブラートで包んでいることか。真実全体の、いかに少ない部分しかそれぞれが語っていないことか。そしてその一々を精製して組み立て、抽象的な真実というものまでたどり着けるか。延々と続く先の見えない登り道にも似たその過程を支える、静かなエネルギーの一部は不幸な結婚生活に在って、グリンメルスハウゼンの本(阿呆物語そのものかもしれませんね)をレストランに置き忘れ、雨に降られてずぶ濡れで帰ると妻は他所で情事の最中なのか、誰もいないだだっ広い自宅。そして夜眠らずにファイルを読み、聞いてきた話を思い返し、また読む。疲労と不眠の極みで生じる確かな興奮の中で、ロンドンの町外れの夜更けに毎晩必ず訪れる、何分間かの完璧な静寂のひとつの中で、最終的にたどり着いてみれば単純な話。そしてそれを実証する過程で突然告げられる、一人の二重スパイの名前でしかないゴール。この大変な仕事はしかし誰にも祝福されず、成し遂げた後の満足感ももちろんない、静かな終幕です。 二重スパイの話を長編に編み上げる細部のかずかず。老いの坂の、錆の浮いた輝きが最も似合うイギリス国内に作品の場をほぼ限定することで、非常に成功していると思います。高校の寄宿生徒たちの口ぶり。リッキー・ターの夢見る粗暴さ。アン・スマイリーが吐いた(とスマイリーが思い浮かべる)預言者的なせりふの数々。特に、コニー・サックスの鬼気迫る老女ぶり。三部作のそれぞれでコニーの描写が際立っていて、作品を追ってコニーもまた老いていくのですが、その書き分けが、スマイリーの老いと好一対で、好きです。 | ||||
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この作品は1987年ごろに一度読んでいる。スマイリーの活躍を描く3部作の第一作として非常に面白かった記憶はあるものの、細部の描写や筋書きはあまり覚えていない。そこで今回また20年ぶりに再読。ルカレの作品は評論家が言うように非常に展開が遅く、退屈なくらいに細部にこだわるため、ゆっくりと味わって読まないと肝心なポイントを飛ばしてしまい、結果として意味がわかりずらくなる。ただ、最後の展開を読み始めるとその細部にこだわった理由が良くわかる。手が込んでいるのだ。いわゆる隠し味の利いた味わい深い料理に似ている。徹底したスローフードである。この作品も英国諜報部の中に潜り込んだ「もぐら」、いわゆる二重スパイをスマイリーが追い詰め探し出すと言う展開だ。このモグラによって完膚なきまでにソ連諜報局のボス、カーラに叩きのめされた英国諜報部、いわゆるサーカスをスマイリーが立て直し、カーラに逆襲するこの3部作の始まりだ。ルカレの作品は出るたびに世界的にベストセラーとなると言われている。一方、読み始めの退屈感はきっと誰もが感じるはずだ。と言うことは、世界中にそのスローフードの醍醐味を知るマニアックなファンがたくさんいるということであり、小生も間違いなくその一人である。 | ||||
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この作品は1987年ごろに一度読んでいる。スマイリーの活躍を描く3部作の第一作として非常に面白かった記憶はあるものの、細部の描写や筋書きはあまり覚えていない。そこで今回また20年ぶりに再読。ルカレの作品は評論家が言うように非常に展開が遅く、退屈なくらいに細部にこだわるため、ゆっくりと味わって読まないと肝心なポイントを飛ばしてしまい、結果として意味がわかりずらくなる。ただ、最後の展開を読み始めるとその細部にこだわった理由が良くわかる。手が込んでいるのだ。いわゆる隠し味の利いた味わい深い料理に似ている。徹底したスローフードである。この作品も英国諜報部の中に潜り込んだ「もぐら」、いわゆる二重スパイをスマイリーが追い詰め探し出すと言う展開だ。このモグラによって完膚なきまでにソ連諜報局のボス、カーラに叩きのめされた英国諜報部、いわゆるサーカスをスマイリーが立て直し、カーラに逆襲するこの3部作の始まりだ。ルカレの作品は出るたびに世界的にベストセラーとなると言われている。一方、読み始めの退屈感はきっと誰もが感じるはずだ。と言うことは、世界中にそのスローフードの醍醐味を知るマニアックなファンがたくさんいるということであり、小生も間違いなくその一人である。 | ||||
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初めて本書を読んだのは随分以前になりますが、非常な衝撃を受けて以来何度も三部作を通して読んでいます。 結末は当然わかっているのだけれどもそれでも再読しながら毎回興奮するのは、登場人物たちの心の動きを感じるのがとてもスリリングだからです。例えば、通常の推理小説というのは犯人探し等の結論に向かって行くのかもしれませんが、ル・カレの作品は極論すれば犯人がわかっていても、網の目のように絡まった人間関係を描き出すことによって、人間社会の不思議さと不条理さを描き切っているとも言えます。 最近英国BBCのDVDを買い、アレック・ギネス扮するスマイリーを見ました。英国人が心に抱くスマイリーはやはりこういう感じなんだな、と妙に納得しました。本書もDVDも私の生涯の宝物です。 | ||||
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初めて本書を読んだのは随分以前になりますが、非常な衝撃を受けて以来何度も三部作を通して読んでいます。 結末は当然わかっているのだけれどもそれでも再読しながら毎回興奮するのは、登場人物たちの心の動きを感じるのがとてもスリリングだからです。例えば、通常の推理小説というのは犯人探し等の結論に向かって行くのかもしれませんが、ル・カレの作品は極論すれば犯人がわかっていても、網の目のように絡まった人間関係を描き出すことによって、人間社会の不思議さと不条理さを描き切っているとも言えます。 最近英国BBCのDVDを買い、アレック・ギネス扮するスマイリーを見ました。英国人が心に抱くスマイリーはやはりこういう感じなんだな、と妙に納得しました。本書もDVDも私の生涯の宝物です。 | ||||
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ル・カレの作品には不思議な魅力を湛えた人物がよく登場しますね。作者自身イギリス情報部で働いていたことがあったそうですが,これまで出会った沢山の個性的な人物が作品にも投影されているんだろうと思います。この作品冒頭から(主人公より前に)登場するジム・プリドーも素敵ですね。寄宿学校の臨時教員として斡旋されてきたのだが,前歴は詳細不明。学校当局はうさんくささを感じているが本人はあっというまに生徒の信望を集めて,そしていつのまにか自分の周辺を「監視し,見守る」,こどもによるネットワークを築いてしまう(その子供達もまた見事に描かれています)。彼はなにを怖れ,何から身を守ろうとしているのか?そのジム・プリドーの物語は,主人公のジョージ・スマイリーがイギリス情報部に潜んでいる二重スパイ探しの秘密の探索(彼はすでに退職しており,二重スパイは現役で要職にあるらしいのです)と平行して語られ,いつしか二つの物語はからまっていくのですね。3部作の竿頭を飾る作品で,ソ連の情報組織の長とされるカーラなる人物もスマイリーの口から詳しく語られます。スマイリーの,そしておそらくはカーラの,そしてもしかすると作者自身の冷戦に対する見方がさりげなく述べられていますが,それが今も全く色あせるものではないのが見事です。 よい小説を読む楽しみを十分に味わわせてくれる本です。 | ||||
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スパイ小説の金字塔。イギリスの引退したスパイが、イギリス、ソ連の二重スパイ(もぐら)を追い詰める物語である。表題は、もぐらの可能性がある4人のコードネーム。その中の一人、探し出す相手は、老スパイの諜報生活のみならず、私的な生活をも壊した男だった。静かであるが切迫した雰囲気が横溢する傑作。 | ||||
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