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クリスマスに少女は還る



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【この小説が収録されている参考書籍】
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

クリスマスに少女は還るの評価: 3.67/5点 レビュー 45件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(4pt)

衝撃と感動のラスト。長い物語の末に待っていたものは・・・

ニューヨーク市警女性刑事キャシー・マロリーをヒロインとするシリーズを持つキャロル・オコンネル女史が’98年に発表したノン・シリーズ大作。’99年、「このミステリーがすごい!」海外編で第6位にランクインしている。クリスマスまであとわずかと迫ったニューヨーク州の片田舎でふたりの少女が姿を消した。ひとりは州副知事の娘グウェンで、もうひとりはその親友の問題児サディー。さっそく州警察、FBI、法心理学者たちによって特別捜査班が組織され、地元警察からはルージュが臨時州警察捜査官として抜擢される。実は、彼は15年前に似たような状況で誘拐されて死体で発見された少女の、心に傷を負った一卵性双生児の兄だった。彼は自らのトラウマとなった記憶を紐解くと同時に捜査にのめりこむ。この長い物語は、映画のカットバックのような手法で、外部の警察捜査の動きと、内部の監禁されたグウェンとサディーの勇気と友情に溢れた、犯人への果敢な反撃と脱出行動が交互に描かれる。そしてそれぞれがクリスマスというデッドラインに向けて緊張を高め、意外な真犯人の登場という1点で交叉し、一応の決着を迎える。個性的・独創的な登場人物たちの強烈なキャラクター造形。乾いてクールな語り口でありながら描写の隙間から零れ落ちる感傷。一種独特な幻想感。そしてどんでん返しともいえる終章とエピローグ。読者はここにおいて邦題が『帰る』ではなく、『還る』であることの真の意味を知るのだ。本書は、私にとって過去にあまり読んだことのない、超絶技巧のサスペンスであると同時に、読後になんとも言えない余韻を残す、愛と救済と贖罪の、奇蹟のような物語である。
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)より
4488195059
No.7:
(5pt)

不思議な感動

読後、心に残るミステリーは以外と少ない。
そんな中、この本は 心に余韻を残す一冊だと思う。
ストーリー自体は、そこまで筆舌するほどのものは無い。
唯、登場人物達がとても魅力的だからなのかもしれない。
主人公ともいうべき、新米捜査官ルージュ。
彼は、幼いころ双子の妹を誘拐された上、殺されるという過去を持つ。
双子というものの、その血の濃さを ルージュは決して自らは語らないが
周りの者達の話から垣間見ることが出来る。
その傷が、どれだけ深いのかは ルージュの寡黙で淡々とした行動が
静かな怒りとして、哀しみの深さが相乗されて伝わってくる。
そして、冒頭で謎の女として登場したアリ。
顔の半分に、醜い傷を持ち、それを隠そうともしない。
整形をしようともせず、まるで「見て」と言わんばかりのアリ。
若くて教養もあるアリの過去が、気になって仕方が無い。
その傷の意味が最後の最後に明かされる。
アリの背負ってきた哀しみがわかった時、思わず目尻が熱くなった。
そのアリの叔父も、どうしようもないものを背負って生きている。
そして、特筆すべきは 誘拐された2人の少女、サディーとグゥエンだ。
この2人の会話は、必死に生きることを考えて行く強さがある。
10歳の少女達の逞しさ。
弱気になり、もうダメだと挫けそうに何度もなりながらも
「戦う」ということを持ち上げる強さに、心を打たれる。
囮として使われたサディーが、何よりも魅力的だ。
そして、その母のベッカ。
こんな母親はそうそういない。
決して優等生ではないサディー。
それでもみんなが愛さずにいられないサディー。
「みなさんは、あの子を愛さずにいられなくなるわ」
この一言に、母としてのすべての愛情が現れ、読んでいる者の胸を打つ。
ラストは、決してハッピーエンドとは言えないけれども
不思議な感動を貰えた。
何年か経って、又 読みたいと思わせてくれる本のリストに
加えらました。
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4488195059
No.6:
(5pt)

原題の意味

ミステリと思って読んでいたんだが、途中から真犯人や過去の謎解きは二の次になってしまった。
この物語の主人公は、間違いなく誘拐された少女たち、サディーとグウェンだ。
ホラー映画マニアの二人の会話がめちゃくちゃ楽しい。
薄味な 「大人たち」 の中にあって、一際魅力的なのが、サディーの母親ベッカ。あの母にしてこの娘あり。
あと、警察署の女性職員マージ。なんとも、「抱かれたい」 女性たちだ。
「巧緻を極めたプロット」 だの 「超絶の問題作」 だのという過剰な宣伝文句はどっかにおいとくとして。
「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」
はい、愛おしくなりましたとも。
こうくるとはな。泣かされてしまった。
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No.5:
(5pt)

傷の深さゆえ快復が美しい

いわゆるミステリーの多くは、読者を驚かすトリックに重きを置くゆえ、人間ドラマとしての感動は浅くなりがちである。名作と呼ばれるものであっても、読後、心の深い部分に響くものはほとんど無い。それはそれで、何かしらの知的楽しみがあれば十分役割を果たしているのであろう。しかし、まれに、ミステリーとしてもきっちり成立していて、なおかつ謎を最後まで明かさない事が文学的必然になっている、奇跡のような作品が存在する。本書がまさにそれである。少女の誘拐事件を縦糸に、現代の宗教観や医師の守秘義務、登場人物たちの深い心の傷等を横糸に折込み、涙なしには読めない最後の衝撃までなだれ込んでいく。スケールは違うが、神の不在を宗教者が噛み締め、しかし神を否定できないリアリティなどは、あの「薔薇の名前」にさえ匹敵する。あ、決して、とっつきにくくないですよ。連れ去られた少女たちのホラー映画趣味なんかは、なかなか笑わせてくれます。
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No.4:
(5pt)

余韻を残すミステリー

この小説を読んだのは、あるミステリーの同好会で話題になっていたのがきっかけだった。斬新なプロットの組み立て方には賛否両論あるようだったが、それでも著者の大胆な挑戦は、概ね好意的に受け入れられていた。読み始めて感じたのは、いわゆる情景描写にたけている小説家だということ。人物の心を通して感じる物語中の天候や景色が、これから起こるであろう出来事を予測させ、読者に対しても不安やかすかな希望をもたらす。また、癖のある個性的な登場人物も、魅力たっぷりに描かれている。最後は何とも不思議な終わり方をするが、それが却って読了後の余韻を長く残す。これで事件が解決したと言われると納得のいかない感もあるが、これほどにサディーという少女の印象を強く植えつける終わり方はないだろう。二人の少女の間に何が起こったのか決定的なことは分からない。しかし彼女はたしかにそこに存在した、という事実に思わず涙が出た。
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No.3:
(5pt)

ラストよりもエピローグに愕然

 まず各キャラクターの個性がとても個性的。 「この人が主人公かな」「あ、こっちが主人公か?」というかんじで最初はとまどいましたが、(今思うと主人公が一人ではなく、主人公格が4人)物語の展開にはまってページを繰る手がどんどん早くなりました。 主人公にだけ感情移入するのではなく、この個々の個性に対応しながら読み進めるので、海外ミステリー初心者(名前を見ても誰だか分からなくなるとか)だと若干とっつきにくさがあるかもしれません。 通常、小説のプロットとしては、ラストは最高潮に盛り上がり、エピローグで幸せ感やしんみり感といったものを感じるものですが、はっきり言ってこの小説はラストよりもエピローグが衝撃的でした。 このエピローグには、作者のサディズムを感じたほどです。 謎解きが醍醐味というミステリー愛好者には、この結末は納得いかない方もいらっしゃるかもしれません。 が、私は涙が止まりませんでした。この本を偶然手にした自分に拍手です。
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No.2:
(4pt)

残ります・・・

後をひく作品でした。サディーはほんと愛される子ですね。ラストはびっくりするよりも、余韻として残りました。
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No.1:
(4pt)

囮の子

2人の少女が誘拐された。連続少女誘拐殺人犯の犯行だが、ルージュ・ケンダル刑事の双子の妹を10才の時に殺害した人物と同一犯なのだろうか。 探偵役のケンダルの心の傷となっている妹の殺害事件と、今回の事件を絡ませていく二重構造の作品。最初は冗長で「こんな分厚い本、最後まで読めるかな」と感じたが、途中からがぜんテンポがよくなり、一気にラストまで走れた。 なんと言ってもサディーのキャラクターがいい! 彼女がいるからこそ、この作品が面白くなっているのだ。 ラストに興がそがれたと感じる読者もいるだろうが、私はちゃんと昇華した、読み甲斐のある作品だと思う。
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