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方舟さくら丸
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方舟さくら丸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 21~25 2/2ページ
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初期の作品と比べるとアイテム数が断然豊富で日本の経済的繁栄を如実に映していると思いました。 核戦争を生き延びるための方舟という舞台設定も時代を映しているのですが、船長の切実さは作品全体をおおうところまでいっておらず、どこか子供の遊戯めいた雰囲気の中物語が進行します。 侵入者のせいで夢、希望、計画がけっきょくはかなく裏切られ頓挫してしまうというのは安部公房のいつものパターン。数々の短編と「飢餓同盟」を連想しました。ただ方舟の目的自体が現実的であると同時に非現実感を伴なうものであるせいか、物語の結末は明確な絶望までには至っていません。希望を裏切る現実そのものが生気を失っていて半透明であるところが安部公房の新境地だった気がします。 | ||||
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近々起こるかもしれない核戦争の脅威、その中で生き残るための地下シェルター、「ぼく」はその地下シェルターで「生きのびるための切符」を配る船長なのだが、、、 現実の世界とは隔離されたシェルター内は、一種のユートピアのようにも思えるのだが、そこに人間が集まれば、結局地上の世界となんら変わりのないものとなってしまう。むしろ、より人間のエゴが醜くむき出しになり凝縮され、グロテスクなものとなってしまう。安部氏のブラックユーモアがよく表されているように思う。しかし、氏特有のシュールな世界が好きな人にはちょっと物足りないかもしれない。とにかく、一読を。「ユープケッチャ」をお一ついかがですか? | ||||
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安部氏の作品の特徴は、超現実的な設定を、あくまで現実的な迫力を持って描ききることにある。そういう意味では、本作品はシュールレアリズム的なツールは他の作品に比べ登場しないのだが、その分逆により我々の世界をより痛烈に描いているといえる。 本作品の焦点は何といっても、地下の「方舟」とそこに集まる人間同士の関係性にあるのではないだろうか。「方舟」というタイトルは、かの有名な「ノアの方舟」を自然と想起させるが、ノアの乗船者は動物たちなのに対し、安部氏の描く方舟は人間同士が乗り合わせている。人間は集団でなければ生きられないが、集団であるがゆえにその内部の葛藤や混乱は避けられない。そこに人間という動物のアイロニーを感じさせる。 ところで本書に登場する「ユープケッチャ」という虫は、自分の糞を餌にして生き続ける閉鎖体系の象徴である。人間のむなしさは、この虫のように生きられないことなのかもしれない。 | ||||
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この小説ではトイレがかなり重要な位置を占めている。特製の巨大なトイレ、人の死体までをも流してしまうトイレは、「水に流す」といった浅はかで馴れ合いの日本人の感覚を風刺しているものであるように思われる。そしてシェルターを作った男自身がそれに嵌まり込んで身動きを取れなくなってしまう。それが現代の日本の行く先を象徴しているように思われて仕方がない。 | ||||
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まずユニークな小物に物語冒頭からぐいぐいと惹きつけられる。同じところをぐるぐる回り続ける不思議な虫ユープケッチャ。”ぼく”がありあわせの物を工夫して作った侵入者撃退装置。これらの小物の設定はアイデアが豊富で多彩な安部ならでは。こうした細部の設定に拘るからこそ巨大な地下壕といった設定も生きてくる。核戦争を想定しての地下壕はやや時代遅れの感もあるが、地下壕での人間関係は現代的で飽きさせない。 | ||||
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