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愚者の毒
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愚者の毒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.28pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 1~20 1/2ページ
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初めての作家さんはデビュー作から順に読むようにしています。その方が作風がどこで変化したかとか、うまくなったとかがよくわかるからです。 が、この宇佐美まことさんに関してはなぜか前後してしまい、最初に読んだのが「入らずの森」。それから「虹色の童話」「死はすぐそこの影の中」「骨を弔う」「少女たちは夜歩く」と読んできました。「骨を弔う」で”一回り大きくなったなあ”と感じたのですが、この「愚者の毒」はその2年前の作品だったんですね。この作品が今までで一番よかったです。 理不尽な逆境を必死に生きてきた登場人物たちに圧倒されました。とても日本とは思えない貧しさ、けれどこれは江戸や明治などではなくほんのひと昔前、これから日本はどんどんよくなっていくと考えられていた希望に満ちた昭和の高度成長期のことです。このような貧困や不遇に苦しんだ人たちがいたというのはまったく知らず、自分の無知を恥じました。 九州の廃止になった炭鉱の村。高利貸しに搾取される希望のない生活。炭鉱事故で不自由な身となり暴力を振るうようになった夫を捨てて母親は出奔し、残された子供たちはどん底で生きてきました。 一方東京では、障害児を残して事故で死んでしまった妹夫婦、その借金を背負わされる姉。どうしょうもない不幸から這い上がりたいと願った彼らが出会ったのは職安でした。 第一章、武蔵野陰影。住み込みで働くことになった武蔵野のお屋敷、風景描写が大変美しいです。飄々とした学者である主の元でしばし穏やかな日々が続きます。がそこにまで過去の亡霊はついてきて・・。 第二章、筑豊挽歌。のどかだった第一章との対比が凄まじいです。陰鬱で凄惨な内容ながら読むのが止まらなくなりました。 作者は四国の愛媛県の方ですが、筑豊地方の方言で書かれた文章が効果を上げその独特の響きが凄みを増しています。 そして第三章の伊豆。表向きは幸せな生活なのにその空虚さは・・ネタばれするのであまり書けませんが・・。 読んでいて東野圭吾作「幻夜」や「白夜行」を思い出しました。雰囲気がよく似ています。 人間の描き方といい、ストーリー展開といい、最後のオチといい、しっかりとした構成で文句なしの星5つです。文学とも見まがうような素晴らしい作品でした。 | ||||
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倒叙ミステリの妙味もある、非常な(非情な?)サスペンスに満ちた作品。 第一章「武蔵野陰影」の81頁、《私たちは恐ろしい罪を犯した。一生許されることのない罪を。そのことを片時も忘れるわけにはいかない。私たちは、それを共有するために夫婦になった。》の文章を読んで以降、ずぶずぶと沼地に沈んでいくかのように、首までずっぽり浸かって、頁をめくっていきました。 アガサ・クリスティーのミステリに『ゼロ時間へ』て作品がありますが、取り返しのつかない、ある決定的なことが起きるポイントを〈ゼロ時間〉とするならば、本書の〈ゼロ時間〉は第一章のラストにあります。その辺りからはもう、ぞくぞく、ぞわぞわとした思いに掴まれながら読み進めていきましたよ。 若かりし頃、夢中になってあれこれ読んでいったウールリッチ(またの名を、ウィリアム・アイリッシュと言う)サスペンス作品に近い雰囲気もあったかなあ。とにかく、半端ないサスペンスの空気にしびれました。 杉江松恋の巻末解説文が、実に読みごたえのある充実したものです。読み出す前と読後の二回、解説文を読みましたが、舌を巻く出来栄えに唸りました。 | ||||
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3日で一気に読みました。 しばらく余韻が残りました。 オススメです | ||||
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不幸の連鎖が各々絡み合った話だと思います。 生まれてきた以上、皆もがきながら本能で先に進む故。 炭鉱の事故、廃坑、それらの陰で病気や貧困に苦しんだ方が沢山いた事を知りました。 勉強になりました。 もう一度読み直します。 | ||||
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ストーリーが無理やりで、先が読めてしまいあまり楽しめませんでした | ||||
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すごい作品に出会えた。かつて筑豊の炭鉱で最底辺に生きた人々の人生と、現代の東京で仮面を被って生きる人々の人生を交差させながら、運命に翻弄されながら必死で生きる人々を秀逸なストーリーで描く。基本的には悲劇だが、読後感は悪くない。 | ||||
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私にとっては、ここ数年で読んだミステリーの中では恐らくベストの1つと言っていい。なかなか読者が 想像できないプロットの巧みさ、最後まで惹きつけるストーリー展開、そして、何よりも人間の罪と業を 描き切った筆力、どれをとって一級品である。1985年職安で知り合う二人の女性。一人は妹夫婦の 残した借金のため逃げ惑う日々。何より妹夫婦は心中したため、発達障害の5歳の男の子を 育てることになる。不幸のどん底にいる彼女にとって知り合ったもう一人の女性は眩しいほど 明るく美しい。だが、このもう一人の女性にはもっと悲惨な過去と消せない大きな罪があった。 2015年の場面が何回か挿入される。ここで、老年の女性が高級老人ホームで暮らす様が描かれる。 そして、夫と二人大きな罪を背負って生きていることが述べられる。何が起きたのか、そして これから何が起きるのか、二人の悲惨な過去の描写もあり、読者は二人に幸せになって欲しいと 思うものの、何が起きるか、あるいは起きたのか心配でページをめくる手が止まらない。 解説で「また1冊、良い本を読んだ」と締めくくられているが、まさに同感である。 | ||||
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まず、題名の「愚者の毒」とは本作中のある人物が発する以下の言葉に由来する。「自分の考えに従って生きる愚者こそ、毒を有用なものに転じる事が出来る」。これが「愚者の毒」の意味だが、本作はミステリと言うよりは"有用なものに転じる事が出来なかった"「愚者」の凄まじい因果応報譚を描いた作品と言える。 まず、冒頭、伊豆の高級老人ホームで暮らす"わたし"の2015年の様子が描かれる。"わたし"の夫は週一回は"わたし"に面会に来ると言う。その後、2015~6年年と1985~6年をカットバックに妹の借財のために発達障害の甥の達也を抱えた香川葉子(結局、事情があって葉子は達也を手放してしまう)、葉子が家政婦として働く事になった難波家の跡取り息子の由紀夫(に葉子は恋心を抱く)、由紀夫と特別な関係にあるらしい石川希美、難波家の当主の"先生"の人間模様が描かれる(冒頭の言葉を発したのは"先生")。そして、高級老人ホームで暮らしているのは葉子らしく描かれているが、実は希美である事は直ぐに分かる。由紀夫は悪徳弁護士から自分達を守ろうとして、弁護士と共に誤って葉子を殺してしまう。更に、話は1985~6年の筑豊の炭鉱を舞台として、希美と由紀夫とがどんな悲惨な境遇に逢ったか、そして、親殺しという苛酷な共犯関係にあったかが昭和の高度成長時代との対比で描かれる(実はこの描写の中に後の悪徳弁護士が居て脅迫のネタとしていた)。希美と由紀夫とは裁かれ様として死を待っているのである。実は希美は癌で余命幾ばくも無い。そして、ラストは2016年に戻り、希美の眼前で由紀夫がボート中で死亡するが、その犯人は老人ホームの職員となっていた達也という絵に描いた様な因果応報譚。 人間ドラマとしては良く描けているが、ミステリとしては寂しい出来。読者にとって分り切っている事をクドクドと描いた凡作としか映らなかった。 | ||||
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3つの時代を丁寧に描き、 張り巡らせた伏線も順序よくわかりやすく回収し、 とてもしっかりと練られた内容でした。 丁寧に描かれてたからこそ、もうちょっとスピード感が欲しかった。 それぞれ描きすぎに感じることが多かったため、 「読む手が止まらない」ことにはならず、読むのが面倒くさくなる場面も。 でも「人生の帳尻」についても考えさせられた良い作品でした。 | ||||
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先日「黒鳥の湖」をTVドラマで見て、初めて作者を知りました。上手く言い表せませんが、物語全体に肌になじんだ”昭和”の香りを感じて、サスペンスを楽しみながらどこか安心して最後まで視聴出来ました。 宇佐美氏のプロフィールを見ると私と同い年。感性が似ているかなと期待して、早速本作を買って読んで見ました。二日で一気読み、面白かったです(^^♪ 私としては初めて出会った斬新な語り部手法で驚かされました。ただ新鮮ではありましたがさすがに少し頭が混乱もしました。楽しませてはくれましたが、この手法、評価は分かれるのではないかとも思います。 | ||||
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大変よくできた小説で面白いことも間違いないですが、読んでいるとだいぶ切なくもなります。解説に書かれていた、優れた犯罪小説が読む人の闇を思い出させる・・というのがよくわかります。 これも解説の通り、その中で、スラムダンクの藤原先生を思い出させる、難波先生の存在が救いとなってます。 良い小説でした。 | ||||
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この作者の作品は好きでよく読みますが,本作はかなり読みづらく,残念でした・・・ | ||||
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今まで読んだ本の中で1番夢中になった本でした。通勤で読んでいましたが、1度読み終わり、再度すぐにもう1度読んじゃいました。映画を見ているように引き込まれます。 語り口が私にはすごく合っていて、良い本に出会えました。他の作品も1つづつ読んでいるところです。楽しみが増えました。 | ||||
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きれいな状態で届きました。 | ||||
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宇佐美先生の作品は最近読み始めたのですが、今回の作品はとにかく先が読めない! 明るい希望の要素というより、ツライ状況が描かれている作品ですが、読んでいて気分が悪くなったり 落ち込んだりする事がないのが不思議でした。 むしろ「この先どうなるの?」というドキドキ感から読む手が止まらずに一気に読んでしまいました。 | ||||
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宇佐美まことさんという作家を全く知りませんでしたが、今回初めて読んでみて、すっかり魅了されました。保険証やクワコなどの小道具や伏線が絶妙に活かされており、隙がありません。また、特に第二章の厳しい現実の描写が心に残りました。唯一気になったのは、庭師の間島さんが事の真相に気づいていたのに何故か見逃したことでしょうか。ただ、それを差し引いても読み応えのある作品であることは確実です。未読の方にも是非お勧めしたいと思いました。 | ||||
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最初はわからず読んでいたが、途中からグイグイ引き込まれた。なんとなく先がわかるのだが、作品の構成がよくて飽きない。でも最後はどうなんだろう。気持ちが沈むのは確か。 | ||||
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かつての日本にはエネルギーは石炭頼りで炭鉱で働く人々が多かった時代があった。それから次第にエネルギーは石油へとシフトしていく。そんな時代…。 炭鉱で働いていた人々の暮らしはどうだったのか。もっと世に知らしめてもいいのではないだろうか。 劣悪な環境、落盤事故、一酸化炭素中毒、廃鉱による失業。貧困。 この本では、最初はこういった話とは無縁な時代から始まる。 しかし、物語の根底にあるのは、極貧に身をおいた青年・少女の生き抜く様である。 登場人物の描写も細かく、読み手を物語に引きずり込む。 ミステリー・サスペンスの体をなしているが、重厚な人間ドラマであり、一読をおすすめしたい。 | ||||
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この小説にサイコパスって言葉は似合わない、出てくるたびに違和感がある。ラストのトリックはちと無理じゃないでしょうか。あれとあれを結びつけるためのトリックという必然性は感じますけどね。 | ||||
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過去にやったことは間違いなく「悪」。だけどどうしようもない理由でそうするしかなかった。 だけど過去からは逃げられない、どれだけ今を生きよう、もう忘れようとあがいても、事実は事実。 ずっとビクビクおびえて暮らしてきたユウとハコ。 多分心から楽しい、解放されたとおもう時間なんてなかったと思う。 貧困が諸悪の根源なのかなとも思うけど、どうしようもなかった二人に同情せずにはいられなかった。 読後もスッキリ晴れ晴れとはいかないが、じっくり読んで満足な作品です。 | ||||
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