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暗幕のゲルニカ
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暗幕のゲルニカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全191件 181~191 10/10ページ
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この本を読んだ感想を申し上げますと、華麗さがあり、なおかつスリリングな美術小説であって、まことに満足できる内容だったと感じる次第であります。 | ||||
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1937年のパリ。ピカソとその愛人との描写から物語は本格的にスタートする。当時、ピカソの母国スペインはスペイン共和国対ファシストであるフランコ将軍との内戦状態になっており、ピカソは共和国から「壁画」を描くように頼まれていたのだ。それが描けないうちに、スペインのゲルニカが空爆される・・・ そして舞台は現代へ。ニューヨークに住む八神瑤子(やがみようこ)はニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター。夫のイーサンはアートコンサルタントである。2人は幸せに暮らしていたのだが、あの出来事・・・米国同時多発テロを経験する。 この小説はピカソの時代と現代とが交互に入れ替わりながら進行する。 瑤子は9.11のテロで夫を失ってしまう。そして、戦争の愚かさを描いたピカソの「ゲルニカ」をMoMAで展示し、「ピカソの戦争展」を開こうと試みるが、うまくいかない。ニューヨークタイムズ記者の友人が彼女に国連安保理議場に飾られている「ゲルニカ」のタペストリーを借りるようにアドバイスする。しかしその後、瑤子はテレビでそのロビーにあるはずのタペストリーが消えているのを知る。代わりに掛けられていたのは「暗幕」であった。そのテレビ番組では、アメリカのイラクに対する武力行使の決定を国務長官が発表していた。反戦の意味を持つ「ゲルニカ」があるとまずい、との判断だったようだが、それを指示したのは瑤子だ、と言う噂が広まっていたのだ。 そして瑤子は「本物」のゲルニカを貸してもらうためにスペインのマドリッドへ飛ぶ。世界で巻き起こっている「負の連鎖」に歯止めをかけ、暴力では何も解決しないというメッセージを伝えるために。しかし、ゲルニカを狙っている連中は他にもいた。 再びピカソの時代に戻って、高貴な家柄の青年、パルド・イグナシオは「ゲルニカ」に出会って変わる。精神的にたくましくなったのだ。名画にはそれだけの力があると言うことかもしれない。 そして、過去と現在がしっかりとつながる。パルドは、ピカソと親交があり、ファシズムが台頭する不穏な時代にMoMAに「ゲルニカ」を避難させ、そして現在、瑤子の「ゲルニカ」を借りたいという頼みを拒否したのだ。しかし、この作品にはもう一波乱ある。エンターテインメント要素も十分だ。 果たして瑤子は、ゲルニカをMoMAに持ってくることができるのか?そして、この物語の行方は-? 作品全体を貫くテーマは「反戦」である。戦争は絶対にすべきではない。たとえ、テロとの戦争であっても。しかし、人種、文化、宗教といった壁を乗り越えない限り戦争はなくならない。それが非常に困難であることも事実だ。だからこそ、この小説のメッセージはより重く、より切実に私たちの胸に迫ってくる。 | ||||
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『楽園のカンヴァス』が好みなら読んでみてもいいかもしれない。 ラストはオチ自体は衝撃ではあるのだが、ストーリーの流れが唐突に終了という感じがし、余韻はなかった。 ラストもう少しヒネリ欲しかった。 | ||||
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9・11事件後、イラク攻撃の気運の高まる中、MOMAのキュレータ、瑤子が企画する ピカソの展覧会にぜひとも必要な作品があった。 かつてドイツの行った、バスク地方ゲルニカへの無差別爆撃に対する抗議の意思を表明 した作品「ゲルニカ」だ。 門外不出とされる作品の借り出しに、瑤子とMOMA理事長ルース・ロックフェラーが 奇想天外な戦略を立てる。 2003年国連安保理決議によるイラク攻撃を伝えるコリン・パウエル国務長官の背後にあった 反戦のシンボルともいうべきゲルニカのタペストリには、幕がかけられていたという。 「戦争はいけない!」というばかりでなく、人はそのために何かをしなければいけない。 平和は、革命と同じく、常に血をもって贖われる。 だからこそ、平和は貴い。 でも、アーティストは作品をもって平和を贖うのだ。 奇しくも今日、オバマ大統領が広島を訪問している。 たった2発の原爆が一瞬にして20万人の一般市民の命を奪った。 その非人道的なこと、ゲルニカの比ではない。 | ||||
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「楽園のカンヴァス」の如くスリリングなアートサスペンス。 舞台は9・11後の2003年NYと、ピカソが「ゲルニカ」を書き上げた大戦前夜のパリ。 二つの時代のストーリーが並行して進んでいき、ある点から集約し、時代が事象に結びつきつながっていきます。 そのストーリーは、”芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ(パブロ・ピカソ)”から始まります。 ピカソとドラ・マールと「ゲルニカ」。 「ゲルニカ」を書いたのはだれなのかと兵は問う。 武器の代わりに絵筆を握ってたたかう。 鳩が自由な空へ羽ばたくとき。 史実が語っていきます。 ”ピカソの戦争”声にして、「ああ、平和な世界であれ」と願います。 | ||||
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ピカソの作品の中でも、極めて特異な位置にあるゲルニカ。 そして、白いハト。 2つの画題をからめ、第二次世界大戦当時と、現代をつないで描く。 たいそう面白く読めた。 ただ、ミステリー仕立てにする必要はこれといって見当たらない気はした。 ゲルニカに込められた、ピカソのメッセージはつたわってきた。 小説であることを考えれば、ピカソがゲルニカ制作に携わっていく過程とか ドラのピカソへの愛情をもっと前面に出すか、 ピカソの芸術を理解しようとするドラを もっと前面に出して書き込んでもらえたらより素晴らしい小説になったような気がする。 とはいうものの、この小説は原田マハさんだからこそ書けるものだったとは思う。 | ||||
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1930年代後半のパリ、2000年代前半のニューヨークを主な舞台として、「ゲルニカ」をめぐるストーリーが交互に展開する。物語の視点となるのは、前者ではピカソの愛人のドラ・マール、後者ではニューヨーク近代美術館のキュレーターの八神瑶子で、2人の女性の恋愛心理や仕事に対する熱意の描写はいつものように巧みである。パルド・イグナシオなど脇役も存在感があり、重厚なドラマを盛り上げている。 一方、平和への祈りを強く訴えたメッセージ性は、従来の作品と一線を画するように思う。パブロ・ピカソは絵画、原田マハは小説という武器によって、暴力と戦争の負の連鎖を断ち切ろうとしたのだ。作者十八番のアート小説の極北ではないだろうか。 | ||||
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フィクションが史実にうまく組み込まれていて、美術史に明るい人でも、さてどこまでが本当であるのかいい意味で迷ってしまう物語構成だ。安易にETAとテロとが結びつく誤解を与えているのではないかという危惧や、ラストの飛躍しすぎる展開に距離を感じてしまうものの、こうあってほしいという願いは共感できる。 著者が発する、美術と社会の関わり合いを考えさせてくれる作品群はいずれも楽しみだ。やはり人なんだと思うし、ゲルニカという絵もある意味一個の人なんだろう。 | ||||
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ピカソが「ゲルニカ」で描こうとしたのは人間(男)の獣性のように思えます.男の獣性に蹂躙され,犠牲になる人間(女)たちを絵にしたかったのだと,本書カバーのゲルニカを見て感じました.ゲルニカに惹かれる多くの方々に本書を推薦します. 2016-04-12 追記 ピカソに「泣く女」があります.「ゲルニカ」完成後に何度も繰り返し描きました.この女,顔中涙でジトジト.これ以上に泣けないくらい顔全体でに泣いている.名前はドラ.ピカソに愛され,自分も愛した.そしてピカソの女遍歴に泣かされた.ゲルニカに見る雄牛はピカソ,現れる女たちはどれもドラではないですか. | ||||
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アートサスペンスと謳われているけれど、きっとこれは原田マハさん流の〈ゲルニカ〉なのではないでしょうか。 『平和を語り合う』きっかけになるような、平和への強い想いを感じ感動しました。 | ||||
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パリ、ベルギーでの爆破テロ、シリアの内戦とISへの空爆…未だ世界からは、憎しみしか生まぬ戦争は無くならない。だからこそ、これは世界中の人に読み継がれていかなくていけない作品だ。ピカソがゲルニカ空爆に激怒し、ファシストに対する怒りから生まれた最高傑作『ゲルニカ』。私はスペイン旅行の際、迷うことなくソフィア王妃美術センターに向かった。今でも『ゲルニカ』に対峙した瞬間の事は忘れない。とてつもない迫力とメッセージ性に圧倒された。本作ラストの事が実現したらいいと切に願う。だって『ゲルニカ』は"私たち"のものだから。 | ||||
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