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鬼はもとより
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鬼はもとよりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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愚問! | ||||
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読み易い。GDP二倍の負債を持ち、なお国債発行を続ける国。一方で有力者に近い法人への国有財産不詳処理を巡り、もみ消しを図った男が国税庁長官に抜擢され、他方日銀総裁に据えられた男は任期二期に渡り、国債買い上げに今なお狂奔する。当時首相は曖昧な理由で辞職するもなお隠然たる勢力を保ち院政の機会を窺う。巷にはMMTだの淫祠邪教蔓延。東欧の侵略は中露を軸とする新たな世界戦争危機を孕み、経済大変動は必至。不安な現実の状況の中、この小説は呼応するかのように、金に代わる藩幣の発行、流通、その適正な量、保証する金(きん)と経済・生産活動と関係等が考察される。脆弱な貨幣経済を数年の飢饉が襲い、信用失墜した藩幣、藩財政の失政、権力闘争、一揆も発生する。藩は取り潰し、家老は切腹。今後我国も、国家財政破産、円価値下落、インフレーション、保険・年金等社会制度崩壊など厳しい状況をこの小説は予感させる。作品は直木賞落選と聞くが、選者達は文学づいて鑑識目を無くしたか、書き手の達者振りに嫉妬したか。大衆小説は面白くなければ。元々屋台、赤提灯の支那そば、串焼き、コップ酒の品評会の直木賞が、何をミッシュラン並に気取るか? | ||||
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鬼になりたくてなったわけではない、けれども、それは周りの人に伝わらない。覚悟をもって生きるとはこういうことかと思った。登場人物が魅力的で、当時の状況も手に取るようによく分かる。 | ||||
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著者による「遠縁の女」、「つまをめとらば」、「かけおちる」と読んで本作品。18世紀半ばを舞台に構造的な貧窮に喘ぐ大名家での藩札発行と殖産興行を題材に「資本の本源的蓄積過程と武士の覚悟と男女の機微」が精密かつ滑らかに描かれている。結末は筆者が読みながら予想していた通りだった。全体に寂しくてスッキリしない後味である。このスッキリしなさはほとんど純文学だ。一方で結末そのものはなんとも潔く、結末としての座りも良い。この座りの良さにおいて本作品は娯楽小説として完成している。 他方、見方を変えれば本作は「鬼はもとより」という構えを欠いた資本主義・現代への痛烈な批判であるが、覚悟がこれだけ潔く人格化されてしまうと、そのままポピュリスト・全体主義的独裁者を後押ししてしまいそうだ。このような現実に対する毒性(その正体は人民の受動的な願望充足=水戸黄門的世界)こそが、「娯楽」の肝なのかもしれない。 昔読んだ、吉本隆明氏「共同幻想論」の中で「対幻想は共同幻想に逆立する」と書いてあって、岸田秀氏が吉本隆明氏と対談した際に「対幻想と共同幻想が別扱いなのはなぜか?」と食い下がっていた。本作品を読んでいてそのやりとりを思い出した。まさに本作品にあって「対幻想は共同幻想に逆立する」様子が描かれていたからである。 | ||||
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すべてが気に入った。近頃読んだ時代小説のなかでトップワンです。経済を物語化したのは、佐藤雅美「大君の通貨」以来ではないだろうか。感動した。 | ||||
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とても丁寧な包装でした。本の状態にも満足してます。好きな作家の本なので、安心しました。また、機会があれば購入したいと思います。 | ||||
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自分にとって5作目の青山文平だった。過去4作も至極と思っていたが、この「鬼はもとより」が頂き、ではあるまいか。 それほど多くの時代劇小説を読んでいる訳ではないが、平成の時代劇小説の最高峰と言いたい。藤沢周平を失った時代劇小説ファンにとって、青山文平と共に生きていけることを心のそこから喜びたい。令和でも本作を凌駕するさらなる高みを極めた作品を期待したい、とファンの勝手な願いだが、これを超えるのは容易くはないだろう。書き手はつらい。 | ||||
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とても面白かったです。 主人公が藩札を通じて当時の経済に己の命を賭す覚悟を決めるまでの描写はとても読みやすく、引き込まれました。 そして不意に姿を現す「鬼」 もちろん鬼とは比喩表現ですが、そこには文字通り鬼気迫るものがあり、読む手に拍車がかかります。 終わり方も好きです。彼らはみな同じ世界で違う生き方をしています。 じゃあ、自分は? という気持ちにさせられました。 | ||||
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女遊びが昂じた末の刃傷沙汰となり、藩札掛に回された奥脇抄一郎。有り体に言えば左遷だったが、頭の佐島兵右衛門について藩札とは何かを学ぶうちに、やがてはこれこそ武士が命を賭すに値する勤めと確信するに至る。 兵右衛門亡き後に藩札頭に就いた抄一郎だが、飢饉の際に家老が命じた刷り増しを頑なに拒み、遂には藩札原版を抱えて江戸に出奔してしまう。 万年青商いの浪人を装い、諸国からの藩札に関する万相談を請け負うようになった抄一郎。やがて、北の海に面する極貧の小藩から依頼が。その貧藩に赴いた抄一郎は、執政の梶原清明から、藩財政の建て直しをたのまれるが…。 清明が進める改革が苛烈を極めるにつれ、タイトルの意味が痛いほど伝わってくる。 この作品のテーマは、実に深い。国(藩)とは、経世とは何か。戦のない世において、支配層である武士は何に命を懸けるべきなのか。武士の覚悟とは。 国を担う政治家、企業を担う経営者たちに、手にとってもらいたい作品だ。 政治・経済面だけではなく、真剣での立合いや男女の間の機敏など、引き込まれるくだりが多かった。 | ||||
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少し理解しにくい、箇所もあるが、じっくり腰をおちつけてよみはじめれば、面白く読める一作。 | ||||
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難しいことを平易に説明するためには、難しいことについてよほど勉強し、その本質を理解し、伝えるための言葉を変換する必要があります。 作者はこの作品で直木賞を得られなかったのですが、今読み比べても、受賞作よりこちらがと思います。まあ、あの賞においてはよくある話ですが。 おそらく「藩札」を正面から取り扱った初の小説です。経済はもとより、死生観、女性に対する考え方等に関する金言が随所にちりばめられ、剣戟場面のサービスもあります。 これはまぎれもない大傑作で、こんな作品が1作書けたら死んでもいいという作家は多いでしょう。対照的にダメダメなのは粗筋を延々たどるバカ解説でした。 | ||||
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青山文平氏の小説は、一回読むと次も読みたくなる。海外某国への長期出張に備えてキンドルに何冊かをしまってあるが、一日前に読んだ「半席」に続いてまたもや青山氏のこの本を読んだのだった(まさに某国に出張中の身である)。 惹かれる理由はその文章のうまさにあるが、この度は藩札という、時代小説の舞台としては珍しい、経済を扱った話しである。しかしながら、文官の仕事とて武士としての一命を掛けて取り組む、が主題となっていて、重厚な読み応えのある内容となっている。 そもそも藩札などと言う言葉は、高校の日本史の授業でお目にかかってはいるが、真に地味な題材ではある、そこを小説にしてしまうところが目の付け所が違うと思った。よく資料を読み込んでいるものだと感心する。 | ||||
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すっきりと淡々とした描写や文章は、この著者の職人気質的な性格が現れているように思う。 この小説においてストーリーはさほど重要ではない。それよりも筆者の人生観がすべて(ごちゃ混ぜに)詰め込まれているところが面白い。 著者を投影したであろう本作品の主人公は、剣については"むさし"と呼ばれ、女については"鬼畜"と呼ばれ、 そして、藩札という仕事に自分のすべてを捧げることができる、そういう男です。 そして他の登場人物たちも、自らを忘れるほど何かにのめり込むことができる、そういう男たちです。 この小説の楽しみ方は、種々の出来事に対する、主人公の(著者の)職人的な好悪、見解に共感することにあると思う。 こういう生き方は本当に幸せだ、と思えるかどうかで評価は別れてくると思う。 | ||||
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青山文平の『鬼はもとより』を読みました。『つまをめとらば』で直木賞を受賞していらい、お気に入りの著者ですが、本作は、時代小説に経済の問題をもちこんで、面白い小説になっています。 物語の主題として、藩札(江戸時代に各藩が独自に領内に発行した紙幣のこと)が取り上げられています。わたしは、この藩札について知らなかったが、随分とたくさんの藩で発行されていたらしい。実通貨との交換を前提としていた藩札だが、実際には、それだけの実通貨を用意できた藩はすくなく、藩札の運用が行き詰った場合には、取り付け騒ぎや一揆、打ちこわしが発生したとも言われている。(wikipediaより) ストーリーは、期せずして藩札掛となった奥脇抄一郎が藩札掛りの頭である佐島兵右衛門亡き後、藩札の増刷を求める家老に反対し、脱藩し浪人となる。ただ、この時期に培われた藩札掛としての知見が他藩の目に留まり、東北の小藩、島村藩の財政の建て直しに赴く。今風にいうなれば経営コンサルタントとなる、と言うお話です。 『鬼はもとより』というタイトルは、藩政の改革のためには、心を鬼にするだけの信念と実行力が必要だという、執政の梶原清明の姿からきていると思われるが、どんな鬼ぶりかは、本書を読んでください。 ただこの藩札、中央政府が認めていない通貨という意味で、ビットコインなどの仮想通貨とも似た部分がありますね。 本書では、どちらかと言うと、藩札そのものよりに、藩財政の建て直しのための案(産業振興案)のほうが中心になっており、もう少し、藩札について掘り下げてあったらよかったのにと思います。 | ||||
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夏の日に、一気に読みました。私は、この本を夏の日に、一気に読みました。 | ||||
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時代背景などの設定こそ違えども、まさしく金融政策主導型の経済復興をテーマとした小説です。どのくらいの量、どのような経路で、どういう着火点を想定して、といった金融政策の本質へ至る疑問が主人公に投げかけられます。話の展開もスピーディでもっさりした部分がありません。後半からエンディングへの進み方はやや浅めで性急な印象を持ちましたが、テンポを重視してのことだと考えれば気にならないレベルです。買ってよかったです。 | ||||
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時代小説に慣れ親しんでいない私でも躓く事なくスラスラ読めました。 多少用語を調べはしましたが。 時代小説であり、プロジェクト遂行物というのがベースかも知れないが、つまをめとらばを事前に読んでいたので、単純な恋愛物というわけではなく、男と女の関係性とは?というテーマを感じる。 とにかく面白い。 | ||||
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ときどきわからない言葉が出てくるものの 文章が読みやすくて、どんな場面か想像することが直ぐにできて 読んでいてとても楽しい小説です。 ファンになりそう。 残酷な場面も出てきますが、、 時代背景は江戸時代、各藩が経済的に悪くなった時に打つ手立てを 主人公が考え、実行に移し、結果的にうまくいきます。 なんか、まちおこしみたいな感じ。 経済の基本に関わる、物流や需給の原理など、出資金を集めて 事業を始める時の腹のくくり方 色んな要素が出てきます。 テレビドラマ化が待たれます。 | ||||
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ずっと気になっていたけれど ハズレの可能性も考えられて 現在まで読まずに来たこの作品。 十頁ほど読み進めて感じたのは、 木内昇著(同じく直木賞受賞作) 「漂砂のうたう」 の時に感じた 物凄い文才と 作者の人生観からくる 重厚な奥深さ。 当たり ではなく 大当たり作品。 2015年10月8日追記 本日、読了。 星五つ以上の評価はありえません。 末文まで研ぎ澄まされて 余りのない文章、 堪能しました。 一人で勝手に 武士の身構えを分けてもらった気分でいます。 | ||||
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それを命令とは言え、果敢に挑戦したことのすばらしさを感じた。 | ||||
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