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王とサーカス
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王とサーカスの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全106件 101~106 6/6ページ
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| ミステリとしては著者の他の作品に近く大仰なトリックなどはない。 けれど文章に丁寧に撒かれた伏線を回収していく流れは相変わらず見事。 『さよなら妖精』の太刀洗万智が主人公だがこちらはライトな感じはなく、 ページ数もそこそこあり、多少冗長なところもある。 しかし万智の記者としてのスタンスに共感ができ、 とても魅力的な主人公になっている。 終わり方的に彼女が主人公の物語は以降なさそうではあったが、 もっと読んでみたいと思った。 しかし『王とサーカス』というタイトルにはなるほど考えさせられた。 ストーリー、舞台、結末、登場人物、どれも良かったが、 展開が地味めで冗長なところがあったため、星はマイナス1で。 | ||||
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| 米澤穂信の著作はすべて読んでいるので期待して読みました。 感想を率直に言えば「米澤穂信ってこんなに下手だったっけ?」。 登場人物の心理も言動も取ってつけたようでわざとらしい印象を受けました。 この作品が小説の”ガワ”の部分を重視する純粋なエンターテイメントであればそれでも構わないのですが、本作はジャーナリズムをめぐる主人公の成長が主題に置かれているために、人物描写を軽視して読むわけにはいきません。 作者は自分が設定した「ジャーナリズム」というテーマに引っ張られすぎてしまったのではないでしょうか。 満願もそうでしたが、今までの米澤穂信作品にあった胸を締め付けられるような切実さが失われつつあるように思います。 | ||||
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| 私は米澤先生の著作は全て読んできたので、本書も速攻で予約。特に「さよなら妖精」は米澤作品にのめり込むきっかけとなったので、期待大でした。 物語の舞台はネパール。 王族の大量殺害と言う異常事態の中、太刀洗は警備の国軍軍人の死に遭遇します。限られた時間の中(原稿の締め切りが有るので)、制約された行動の中で(外出禁止令が出るので)、見るべきものを見て、伝えるべき事を絞り込んでいきます。 探偵としての太刀洗は、軍人の死の謎を追いかけます。王族の大量殺害と言う異常事態を、殺害の動機、時間・行動の制約として生かすだけでなく、ジャーナリズムの観点から事件をどう捉えるべきかの判断を迫らせる構成は、非常に丁寧にまとめられており、流石だと感じました。様々な背景を持つ登場人物たちも、それぞれの立場の言動を通して、多面的な見方を与えます。特に「本当の敵」の救いの無さは、平和な日本のニュースで取り上げられるサーカスそのものであり、やるせなさを感じさせます。 高いレベルでまとめられたミステリで、一気に読む事が出来ました。 ただ、それでも、高い点数は付けられない・・・。乙女だったのがセンドーの大きな魅力だったのに、この作品では殆ど表れません。29歳で乙女というのも、微妙ではありますが。僕は「さよなら妖精」の続編が読みたかったのですよ。次は仕事に誇りをもって、しかし恥ずかしがってそれを表に出せないセンドーさんを読みたいです。 | ||||
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| 序盤こそは異国でのロードノベルというのか,『軸』の部分が見えづらくもあるのですが, 何気ない一言での始まりと,その地や人々を見るかのような雰囲気に一気に引き込まれます. また,記者としての仕事や信念を激しく揺さぶられ,自問自答を繰り返す主人公の姿は, 早々に知らされるタイトルの意味と,そこでのやり取りも重なり,内側を鷲づかみにされ, 混乱や恐怖に戸惑いながら,記事と自身の『完成』を求めてあがく姿は強く印象に残ります. 中盤過ぎからのミステリ展開も,メインではないためかいささか易しめではあるものの, 伏線や立てては覆される推理,犯人との対峙まで,どれも充分楽しめるものとなっており, その犯人が残した一言,『本当の敵』の正体や真意と,苦々しさが上塗りされていく終盤は, 主人公だけではなく,サーカスをはやし立てる『観客』の我々にも大きな問いを投げ掛けます. なお,内容紹介や巻頭で綴られた『言葉』,そして何度か挟まれるあの少女のことなど, 『さよなら妖精』を意識させる要素は見られますが,本作との直接の繋がりはありません. それでも,知ること,伝えることなど,あの時から始まった主人公の根底にあるのは確かで, 十年前の出来事,作品自体はさらに昔のものですが,やはり繋がっているように感じられます. | ||||
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| 「さよなら妖精」刊行から11年。 ベルーフシリーズとして短編はいくつか発表されてきましたが、妖精ファン満を辞しての長編の刊行です。 「~妖精」の本質は守屋路行の物語であると思っているので、今作を正当な続編と称していいのかは分かりませんが 献辞のあの1文が『彼女』へ向けた太刀洗万智の感情だと思うと胸が締め付けられます。 作品への評価、でなくこの書籍へのレビューを素人の自分が書いていいものか、読み終えた後も随分迷いました。 「日記帳」などと揶揄されることのあるAmazonレビューにおいても、この作品を読んだ後では、他人に向けて言葉を 発することの意味や重さについて深く考えさせられたからです。 「報道・ジャーナリズムの在り方」がテーマと言ってもいい今作、作家とジャーナリズムではその性質は全く違うものの、 人に伝えることに自らの人生を賭している米澤さんの文書は痛いほど心に響き、また恐ろしくも感じました。 私自身は決してミステリに明るくありません。米澤作品以外ではいくつかの有名作を嗜む程度です。 そういった人間から見てもこの作品は(悪い意味でなく)ミステリらしいミステリには思えません。 ただ氏がデビュー作である「氷菓」からずっと書いてきたように、謎が見える裏には必ず人や物の介入があり、 そこで垣間見える人の感情や信念や業と呼べるものが、どんなに小さくとも謎を、ひいては事件を生んでいく。 その感情をフィクションとしてではあっても人の心に訴えかけるのが作家という仕事であり、 その感情のもつれを遡って紐解いて解釈し、他人に伝えるのが報道という仕事なのかと思うようになりました。 この作品では前作のユーゴスラビア紛争と同じく、2001年に実際に起こった「ネパール王族殺害事件」をモチーフとして扱っています。 恥ずかしい話ですが、私はこの作品を読んで初めてこの事件があったことを知りました。 私が無知なのは別として、時間と共に人の記憶や関心は風化していく。けれど何かのきっかけに、昔こういうことがあったのだと、 過去に目を向ける意味はあるのだと、日本の戦後70年を迎える今になって改めて気付きを与えてくれるきっかけになりました。 「さよなら妖精」を読み終えた後に、いくつかユーゴ関連の書籍に目を通したのを思い出します。 本質を理解できたとは冗談でも言えませんが、それでもそこに何があり、何故それが起こったのかを誰かが残してくれたからこそ、 数十年、もしくは数百年前の当時の記憶を、読み取る機会になり得るのでしょう。 決して報道そのものを全肯定しないし、出来ません。 それでも巻末での万智の言葉は、自分がその当事者にも、或いはそれを与えてしまう側にも成り得るのだという事実を示してくれた、深い1冊でした。 | ||||
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| 米澤先生のファンなので、星五つです。 内容は歴史上の事件関わる架空の事件を扱っています。 ミステリとしてはびっくりするようなトリックはありませんが、それも含めて先生らしい物語で楽しめました。 | ||||
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