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(短編集)

アイの物語



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【この小説が収録されている参考書籍】
アイの物語
アイの物語 (角川文庫)

アイの物語の評価: 4.66/5点 レビュー 92件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.66pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全86件 61~80 4/5ページ
No.26:
(5pt)

人工知能・ロボット好きにはたまらない一冊

短編集です。シンギュラリティ系のSFです。
小飼弾氏も大絶賛のようです。
そうでなくても、個人的に大好きなでおすすめな本で文庫化されて良かったです。読んでいて普通に涙がでそうになりました。
SFは結構いろいろ読んでますが、読後感がこんなに爽快なSF本は久しぶりでした。
この本に似た系統の本としては瀬名秀明の「ハル」(あしたのロボット)や、菅浩江の「I am」とかかなと思います。この本を読んで面白いと思った人は読んでみるといいかもしれません。
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No.25:
(5pt)

ただひたすらに感動的

著者はトンデモ物の大家でもあるが,この作品はゲームとメカに強いことを最大限に生かした真剣なもので,足掛け10年の歳月を費やして完成された.余り遠くない未来に,ヒト形ロボットが完成するが,それを実用に耐えるものに改良してゆく過程で,ロボットは自意識を獲得する.その後は急速にロボットのヒト離れが進み,人口の減少とともにアンドロイドが支配的になる,という歴史の流れを説得的かつ美しく描く.このために7編 (うち5編は旧作で短編) のそれ自身完結した物語が教材として用いられ,同時に作品の実体を形成する.人類の宇宙への見果てぬ夢を叶えるために,アンドロイドたちは今 (作品の終了時) も銀河系全体をあまねく旅している,と美しい女性アンドロイドは '僕' に語るのだった.そうか.人類はもう休んでよいのか.進化の最先端はもともと人類が創造した,ヒトよりハイスペックの アンドロイドが引継ぐのか.何とも形容しがたい感動に満たされて物語は終る.強く推薦.
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No.24:
(5pt)

山本弘、最高!

『神は沈黙せず』は、すごく面白かった。なので、それから注目している作家なのだが、まだそんなに出版されていない。

とにかく、最近では珍しいSFの王道を行く作家だと思う。あまりSFでもスペースオペラは好きでない。こういうAIものや宗教もの(ってSFのジャンルはないか)が好み。

早く読みたいが、とりあえず、読むべき本がたまっているので、後回し。

山本弘『アイの物語』角川書店を読み終えた。まだ読んでいない本は、いっぱいあったけど、どうしても読みたくて、読み始めたら1日で読んでしまった。

今のところ、今年度のSFベスト1だ。

はじめはよくあるAI、人口知能ものと考えていたが、まるっきり違っていて、違和感を覚えた。しかし、深く納得した。

AIは、人間にはどうやってもなれない。それはAIが不完全で、人間が完全であるからではなく、人間が知的生命として倫理的にも、論理的にも不完全であるからであるという考察は、鋭い。

この不完全な現実の社会を見れば、人間がこの地球上の支配者であり続けることの不自然さは当然のように思える。

AI論は人間とは何かを問うものである。著者が投げかけた問いは、恐怖に満ちたこの世界への深い絶望と、それでも「語る」ことにより、世界を変えうるという希望を含むものであり、私たちは、絶望に打ちひしがれ滅びるのを座して待つのか、希望を捨てず救済を追求するのか、選択しなければならない。
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No.23:
(5pt)

いい話だった。

アンドロイドが人間に語るこの物語。数世紀先の新宿が発端だ。6つのフィクションと7つ目の真実の物語。それが語られて、主人公の人間とAIのアイビスが現実で理解し合うのだ。この世界では人間の人口は2500万人くらいまで減っている。最終的には人間は滅ぶかもしれないし、細々と生きるかもしれない。そしてAIたちは・・・・。いい話だった。
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No.22:
(5pt)

やさしくて冷たい人工知能

地球の未来を背景に,7編の短編と,それを語るアンドロイドと聞き手のヒトからなる物語.
短編の前半はあまり人工知能とは関係がないが,
中盤辺りから意識のハードプロブレムに関する著者自身の回答を踏まえた人工知能のストーリーになっている.
この領域についてwikipedia程度の基礎知識があるとより楽しめるだろう.

ハートウォーミングなストーリーの連続で,
SFとしてはやや物足りなさを感じる向きもあるかもしれないが,
人工知能が誕生するためのブレークスルーが,
それに関わるヒトのある種の愛情だとする設定からは,
著者自身の持つ科学への愛情や信頼が感じられる.

人工知能同士のシュールな会話や,未来におけるヒトと人工知能の関係から,
ヒトを超えてしまった人工知能のやさしさが見られる一方,
合理的な思考から導き出される冷たさもうまく表現されている.
この対比もなかなかうまい.

人工知能を少々美化しすぎているいるきらいもなきにしもあらずだが,
一読の価値のある作品.
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No.21:
(5pt)

いい本をありがとう!

山本弘さんと言えば、「トンデモ本」の人としてのイメージしかなかった。
たまたま店頭に並んでいたのを発見して、あまり期待もせずに読んでみたのだけど本当に素晴らしい作品だった。

個々の物語はどれもAIやらVRだの現代的なテーマを上手く使いこなしつつ、あくまで人間の物語としてさわやかな読後感を持つ作品。とにかく読んでいて気持ちがいい。
そして何と言っても最後のアイの物語。
人間が自分たちより上位の人工知能に取り変わられて惨めな生活をしている世界、それは今まで否定的に描かれていた世界観のはずだった。しかし、最後に明かされた真相はそうではない。
人間がずっと夢見ながらも自らの持つ限界に夢やぶれて挫折した様々な事、その意志を引き継いで旅だっていく者たち。
人間からすれば惨めな状況なはずなのに、何故これほどまでに清々しいのだろう。

このような美しい物語を贈ってくれた山本氏に感謝する。
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No.20:
(5pt)

短編集を長編に

自分の感想として、夜の種族と似た手法だなと思いました。
短編と短編を短編集としてではなく、間につなぐストーリーを追加することで、一つの物語として成立させるもの。
収録の短編作品はどれも面白かったです。
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No.19:
(5pt)

完璧に本書を言い表した書名

もともと5つの別の短編を単行本化にあたり、2つの書き下ろしを加え、ひとつの物語に構成し直したものらしい。ところがこれが抜群にうまくいっている。遠い未来、人類は極端に減少し、ロボット(TAI)が地球の支配者になっていた。人間である「僕」はアンドロイド「アイビス」に捕らえられた。しかし、捕虜生活とは思えないもてなし。そしてアイビスは「僕」に7つの「物語」を語って聞かせる。。すべて人間とマシン(ロボット、コンピュータ、AI)の物語。。というお話。コンピュータという理論的な思考回路がブレイクスルーして、人間の命令よりも自らの思考が正しいと思ったとき、どういう言動をするのか。本書はそれを媒介にして人間の限界を痛いほど指摘し、しかし美しく心地よい結末を迎える。そしてもうひとつのテーマである、物語(フィクション)の意味や存在理由までもストーリーのなかで昇華させている。本を読むことが好きな自分にはなんだかうれしくてたまらなかった。物語はそれぞれ小テーマがあり、読みやすく、ヴァリエーションがあるので飽きさせない。とくに「詩音の来た日」は珠玉の一品。最後の物語はAIの言語がちょっと読みづらく、長い気きがしたが、温かく壮大な結末まで読めば、満足感があった。タイトルもいい。「アイ」はアイビスの愛称であり、AIの「I」であり、虚数の「i」であり、本書ではロボットには絶対に持ち得ない感情とされているけど、きっとこの物語に溢れている「愛」なんだろうな。
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No.18:
(5pt)

SFに興味ない人にも

海外出張の際、時差ぼけで眠れない時のために何となく持って行ったのだが、読み始めたらやめられなくなって、よけいに睡眠時間が短くなってしまった…。各作品とも楽しめたが、やはり「誌音…」が秀逸。この手のSF(敢えてジャンル分けするなら)を普段読まない人も是非読んでみてほしい。SFファンも変に斜に構えないで素直に感動すればよいと思う。
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No.17:
(5pt)

サイエンス・フィクションの底力

こちらの評価がとても高いので、ほとんど騙されたつもりで読んでみました。
この作者の小説を読むのは、この作品が初めてです。普段、SFはほとんど・・・というか、全く読まないのですが、読了して、本書は「SF」というジャンルに閉じ込めてしまうには、あまりに勿体無いと思いました。

皆さん書かれていますが、特に後半の「詩音が来た日」から「アイの物語」は、強いメッセージ性が嫌味にならない心地よさで提示され、最高の幕切れを迎えるエピローグに至るまで、久しぶりに小説というものを堪能させて頂きました。

読み終わって、前半の5つの物語はそれぞれ書かれた年代の異なる短編で、最後の二編「詩音が来た日」「アイの物語」が本書のための書き下ろしなのだと知りました。
一番発表時期の古い短編は、1997年の「ときめきの仮想空間」で、これ一編だけを読む限り、良くも悪くもマニア向けのSF小説の枠を脱し切れていない印象を拭えません。
けれど、書き下ろしの「詩音が来た日」「アイの物語」に至っては、ストーリー、テーマ、構成、表現、どれをとっても感服せざるを得ず、さらに、10年前に発表した短編も含め、バラバラに発表された短編を、一つの「アイの物語」として昇華させてみせた作者の力量そのものにも、唸らされました。約10年をかけて、作者が作家として真に力をつけて来たことがヒシヒシと感ぜられ、「サイエンス・フィクション」というジャンルの可能性にまで思いを馳せる読書体験となりました。

ぐだぐだと書きましたが、普段SFなんて読まない!とい方にも、強くおススメします。
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No.16:
(4pt)

思い込みの、落とし穴

アイが語った物語も、アイ自身の物語も、どの話もよかったのですが、SFに登場する用具や言葉が、こんなにも人の心理をついたものだとは知らなくてすごく驚かされました。
物語では、けっこう現実の世の中への皮肉が交じっているような気もしますが、アイの視線がすごく優しく感じられました。
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No.15:
(4pt)

「詩音が来た日」の為だけにでも買うべし!

「詩音が来た日」が最高です。泣きました。
むしろ、この単品が欲しかった。
最終話の「アイの物語」は、「詩音が来た日」ほどの感動は正直無かった。
ヒトとマシンの過去に何があったのかということも思った程のインパクトとカタルシスが無い。
普通にアンソロジーとして最終話に「詩音が来た日」持ってきたほうが読後の満足感があったのではないかと思う。
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No.14:
(5pt)

人間のスペックとは?人類の壮大な夢、ここに完結

適切に形容する言葉がない。山本弘氏に敬意を表するのみ。

内容については多くは述べない。『機械とヒトの千夜一夜物語』と帯にあるコピーがぴったりで、人間という知的(?)生命体のスペックで到達できる限界はどこなのか、に正面から挑戦した作品(と思う)。ラストはかつてない壮大な夢の完結を予想させると同時に清々しい感動を覚えた。

個人的には『と学会』の書をよく読んでいたが、文学(SFというカテゴリーでくくるべきではなくこれは文学である)としての山本氏の作品は初めて読んだ。SF小説を読むこと自体が星新一や小松左京以来、20年以上も遠ざかっていたのは、SF作品が紙媒体の本で読むよりも映画の方が優れているのではないかと考えていたせいかもしれない。氏がこれほどすばらしい作品を書いていたと驚くと同時に、自分自身はひどく反省した。どんなSFも映像化できると高をくくっていたが、この作品は映画にできない、というよりは文章であるが故に輝いている点が多いように感じる。当然読みながら情報を頭の中で映像化している訳で、内容を単純に映画にすることは可能かもしれないが、本小説を読んだ瞬間の感動は映画では再現不可能な気がしており、小説のすばらしさと奥の深さを再認識させられた。

前後逆になるが、本書を読む前に同氏の『宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?』を読んでいたところ、この本は本書を読む前のよきウオーミングアップになった。まだ本書を読んでいない方は先にそちらを読むことを勧めたい。『宇宙は...』はレイヤー0であり、『アイの物語』はレイヤー1より先の話だ(この意味は『アイの物語』を読めばわかる)。

似非学者にツッコむ資格十分で、『SFはこんなに面白いんだぞ!(宇宙はくりまんじゅうで...)』と叫ぶ氏の集大成であり、その主張を支持したい。SF好きにしか本書は売れないのかもしれないが、そうでない読者にも広く勧めたいと感じる懇親の作品であった。文句なく最高点。
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No.13:
(5pt)

山本弘の構成力に脱帽の傑作SF

アイビスが青年に聞かせる物語は、山本弘が過去に発表した短編で、それらを構成し直し、長編を一本作ってみせる構成力に脱帽。
 この長編の為に始めから用意していたみたいに、それぞれの短編がかっちり嵌って、一本の長編として機能しているのが素晴らしい。
 物語もぶれることなく、山本弘らしい前向きで力強い主張に満ちあふれてる。
 書き下ろしの短編「詩音が来た日」と「アイの物語」はどちらも良く、特に「詩音が来た日」は白眉の出来。
「人間とロボットは分かり合えるのか?」という問いに真っ向から向き合い、山本弘らしい暖かみのある答えを出している。
詩音の出した結論には、ほろりと来ましたよ。

 「神は沈黙せず」も素晴らしかったけど、完成度ではこちらの方が上じゃないかな?
 何はともあれ、傑作です。
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No.12:
(5pt)

世評にたがわぬ名作

いくつかの雑誌に発表した5つの短編に、更に二つの書き下ろし短編を加え、全体を一つの物語に仕上げている。未来版の千夜一夜物語。素敵です。第一話以外は、すべてAIがらみで、統一感があります。書き下ろしの第6話「詩音が来た日」が秀逸。「ヒトは程度の差こそあれ、すべて認知症である」という命題は、論理的に全く正しいと思います。

 AI言語の二次比喩とか虚数iとかが、おもしろい。よくわからないところが面白い。理解できないということが良く理解できる。

 ただ私は、作中作として少々おとしめられた扱いの「ブラックホール・ダイバー」が、とても気に入った。女性宇宙冒険家シリンクスが、クールでスマート。かっこいいよう。シリンクス外伝希望!
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No.11:
(5pt)

ラストで一気に繋がる「物語」

小説は好きですが、小説で泣く事はほとんど無い私。
特に有りがちな人間讃歌的内容や、感動のハッピーエンドには(映画だと演技や音楽でつい泣いてしまう事はありますが)泣くより逆にしらけてしまう方が多いです。
多分、ストーリーに感動するよりも文体に惹かれたり文章そのものの美しさを重視するタイプなので。この本も書評や装丁に惹かれて読み始めたものの、前半はほとんど退屈でした。
"マシンがヒトに反旗を翻し、人工が減って文明も退廃した未来の地球"という設定もありがちだし、アイビスというアンドロイドが少年に「フィクションである物語」を話して聞かせながら進行していくんだけど、作中で語られる物語達もありがちSF的設定だったのと文章もシンプルなので少しつまらなさを感じて、前半部分読んだ時点でもう読むのやめようかとも思いました。けど第六話の「詩音が来た日」からはもう、止まらないです。一気に読んでしまいました。
それまで退屈に思えていた個々のストーリー達も、最後には必要不可欠のピースとして繋がった瞬間、この本の構成力の高さに驚かされました。
SFで何万回と使われ続けてきた「ヒトとマシンの共存」というモチーフを敢えて使って創られた世界。その狭い世界で最後にアイビスは言います。「私たちはみんなフィクションから生まれた。ヒトの夢、フィクションの海は、私たちのふるさとなのよ―(ここから先の台詞は是非本を手にして読んで下さい!)」この瞬間、世界中のあらゆる物語がこの言葉に救われました。
てゆうか私も普通に感動して泣いてしまった―ヤバイです、普通にお薦め。
本当、アイの物語。
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No.10:
(5pt)

彼女は決して人を笑ったりはしないし、憐憫もかけない。

本稿では短編の中で最も面白かった、「詩音が来た日」を紹介します。この物語は老人介護用アンドロイド、詩音が老人保健施設で老人介護を行いながら精神的成長を遂げていくお話です。

詩音は悲しみや憎しみや偏見といった負の感情を持たない、人間とは異なる知性を持つ存在です。そんな詩音が矛盾だらけの感情を持つ人間のことを理解し、愛していく様子は、読んでいて胸が熱くなりました。

特に自他共に認めている悪党のような老人と憎しみも偏見も抱かない詩音が対話する場面が良かったです。この場面は是非とも本書を手にとって読んでもらいたいです。

筆者の奥さんは元看護師だけあって取材もしっかりとしており、老人保健施設も細部まで描かれています。近い将来、私達が老人になる頃にはこんな世の中になっているのかなと想像してしまいました。そして、詩音のようなアンドロイドがそこにいたらそれは素敵な未来だなと私は思います。

「詩音が来た日」は2006年に読んだ中で最も面白かった物語です。お勧め!
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No.9:
(5pt)

映画にしてほしい

人工知能が意識を持つとどうなるかというSF物語ですが、

実にアイにあふれています。今の日本、いや人間に

何が足りないのかを痛感させる哲学を感じました。

私たちは皆、殻をかぶり、認知症である。

なお、作者がSF的ディテールに凝っているので、

宇宙船の形状だとか、理解できない人工知能の会話などは

飛ばしまくっても、全く問題ないです。

でも、読み終わった後に、もう1回、細部までみっちり

読んでみたいな、という感想も持ちました。

それに、映画にしてほしいな。

このスケールを見てみたい!
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No.8:
(5pt)

9・11以降、人類が目指すべきことを読者の胸に打ち込む、465ページのSF小説

人類がマシンと闘い続ける近未来。「僕」は負傷した末、アイビスと名乗るアンドロイドの虜囚となる。アイビスは「僕」に数々の物語を読み聞かせる。仮想空間で逢瀬を重ねる男女。鏡の向こうのAIと友情を結ぶ少女。介護用アンドロイドとの交流で何かを学ぶ看護師。

 アイビスが語るこうした物語には果たしてどんな意図が隠されているのか…。

 私たちが今確かに存在すると信じる実世界と、コンピュータや人工知能が生み出す仮想世界。この二つの間の境界線が朧(おぼろ)なものとなり、両者の往来が自由になった時空間で、様々な物語が進行していきます。読者は今ある自分の存在が一気に不確かなものとなり、足元が揺らいでいく奇妙な不安感を幾度となく味わうことでしょう。

 しかし「アイの物語」はそうした自己存在の不確実さを改めて突きつけるための物語ではありません。私はそこに9・11以降、目指すべき方向を見定められずにいるこの世界を、もう一度正しい軌道に乗せようという著者の確固たる決意を見るのです。

 自分たちとは異質なものを恐れ、その恐怖を憎悪に変えて相手を払いのける本能がヒトには備わっています。種の保存を支える本能とはいえ、私たちはそのために多くの犠牲を払ってきました。

 アンドロイド/AIとヒトとの関係に著者が託すのは、こうした恐怖と憎悪の連鎖を断ち切ることの重要性。そしてそのために著者が用意するキーワードは、「記憶」と「共感/感応」の二つです。

 互いに理解できないもの同士が今まさにすべきことは、理解できないものを退けるのではなく、許容すること。その寛容を養うには、他者の記憶を自己のものとして積み上げる努力です。そのための訓練にフィクションは欠かすことができないということを、このSF小説は心の底から信じています。

 その著者の信念に私自身の心が共振するのが分かる、そんな震えるほど清々しい読書体験を得られる小説です。
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No.7:
(5pt)

是非、中高年の方に読んでもらいたい物語があります。

アイが語る物語の中の「詩音が来た日」が素晴らしいです。

映画化するなりして、大勢の中高年の方にこの素晴らしい物語を知ってもらいたいです。

”認知症”とはなんなのか? ハッとさせられます。

おどろくような視点で、するどく、そしてとてもあたたかく、面白く、

近未来の介護の現場を描いた作品です。
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