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果てしなき流れの果てに



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果てしなき流れの果てにの評価: 4.22/5点 レビュー 120件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全120件 21~40 2/6ページ
No.100:
(1pt)

推理小説のトリックに超能力を使われたような残念さ。

白亜紀の地層から止まらない砂時計が発見される、という、冒頭に提示される謎には惹かれたが、その回答が「タイムマシンで未来人が来て置いていった」という、考えられる最も安易なものだったのにはガッカリした。
時間遡行、時間停止、四次元、気候変動による地球滅亡、歴史改変、並行宇宙といった珍しくもない発想を詰め込んでいるが、さして深堀りされているわけでもなく「フーン」という印象しかない。
なんかワチャワチャやってるけど、タイムマシンがある時点で「ルール無用の何でもあり」でしかなく、つまらない。ドラえもんと一緒。
新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)Amazon書評・レビュー:新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)より
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No.99:
(4pt)

神話的な唯一無二のSF小説

深淵な宇宙の真理を、人間の意識は理解できるのか?そもそも意識とは何か?そんな深い問いを投げかける唯一無二のSF超大作です。果てしない広大な宇宙空間と永遠の時の流れの前では、人間の意識など、砂漠に落とされた一滴の砂粒にも満たない、微小で瞬間的な存在にすぎません。しかし人間の心は、宇宙を「意識」することで宇宙全体をとらえることができるのです。宇宙があるから我々の意識があるのか。我々の意識があるから宇宙があるのか。いや、そもそも宇宙と意識はお互いに相克するのではなく、同一の存在なのではないか。数万年前にホモサピエンスが誕生した。そしてこれから何万年、何千万年と続くかもしれない我々の種の歩み。そこに存在する何千億人の意識は、過去から未来への途切れない大河となって、人類の歴史をつなぐのです。その遥かなる未来に、人の意識は宇宙の真理にたどり着くのでしょうか。そんな科学的であり哲学的な問いを投げかけます。

そしてこのSF小説は宗教の教典的であるとも思いました。時間と空間を目まぐるしく行き交い、自分の現在地が分からなくなります。登場人物の多さと関係性の分かりにくさも重なり、自分が何の話を読んでいるのか途中からわからず、ほとんどの読者は迷子になったような気持ちになるでしょう。しかし場面が変わっても、一貫してこの小説は人の意識の意味について問いかけます。これはまさに宗教の「我々はなぜ生きているのか」という根源的な問いと同じです。そして物語を通じて人間という存在の根源に迫ろうとするアプローチは、ギリシア神話や旧約聖書が「神話」という物語を通じて人間に語りかけたことと同じでしょう。明確な起承転結で完結させず、読む人に考えさせる、という意味でも。

理解するのではなく、宇宙と人間の意識の深遠さを感じる。そんな稀有なSF小説です。
新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)Amazon書評・レビュー:新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)より
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No.98:
(5pt)

雑誌連載でここまで書けるってすごい

本書を久しぶりに読んでいて、おやっ?と思ったことがある。調べると、本書の出版社を問わない初版は1966年。それなのに、本書には日本列島の地質の特殊性を記述するのに当時は一般的だったプルーム・テクトニクス理論ではなく、当時最先端の理論だった地向斜理論が使われている。当時を知らないからわからないが、かなり論難を受けることだったのではないだろうか?
筆者は「百合若大臣伝説の現代版」を書きたいと考えて本書を構想したという。ひょっとするととりとめのないアイデアのよせ集めになりかねないテーマをこのような時空序事詩にまとめたのは、筆者の構想力と取材のたまものであろう。だとすれば、現代の恐竜学の観点からするとちょっとした齟齬があることぐらい、どうでもいいことではないか。
新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)Amazon書評・レビュー:新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)より
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No.97:
(2pt)

スケールは大きくタイトルも素晴らしいけど…

2021年現在、ストーリーに黴臭さも古臭さも陳腐さも、ましてやセピア色感も皆無とはなんたること。
スケールの大きさ、発想の斬新さ、豊富な科学知識、etc.に著者への敬意は惜しみません。
スゴイ、というより凄まじい時空感覚ですが、内容についていけたのは第二章とエピローグ(その2)まで。
後の第三章から第十章は混乱と混沌が錯綜し、エピローグ(その1)に至っても首を傾げるばかり。
私のような頭の固くなったロートルには荷が重すぎ。「日本沈没」や「復活の日」あたりで止めておけばよかった。
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No.96:
(1pt)

傑作なの?

ネットの評判も良かったし、新品で買って読んでみるかと思ったのが間違いでした。確かに最初の導入部は、おぉ〜♫と思い読み進めますが、序盤から全く置いてけぼり。盛り込みすぎ。やりたい事はなんとなく理解できるが設定が雑過ぎる気がしました。ガニメデの何某みたいのを俺だったらこう書くぜって意気込んだが風呂敷広げ過ぎて収集つかなくなっちゃったみたいな…。何とも残念な感想しか出て来ません。後書きも本当に傑作だと思って書いたのか疑問になるくらいです。小松左京ってこんなつまらなかったかなぁ?
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No.95:
(4pt)

進化したコンピュータに対する幻想は50年前も今も同じ

この小説の主題と関係ないが、「同じ設計の電子脳でも、使用履歴により個性が生まれる」とか「コンピュータ同士を対話させる」なんていう話が出てくる(コンピュータのことを「電子脳」と言っている。この時期、「電子頭脳」とか「人工知能」という言葉もなかったようだ)。

ただし小松左京は、「コンピュータが独自の考えを持つ」というような陳腐な話はしない。ハードが同じでもプログラムが違えば、同じインプットでも違うアウトプットを生じるというような意味だろう。同じ頃に書かれた「2001年宇宙の旅」でHAL9000が人間を殺そうとするが、ACクラークの方が発想が普通の人に近いかもしれない。
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No.94:
(2pt)

思っていたほどではなかった

SF作品が読みたくて評価の高さからこちらの作品を購入しました。2021年です。ここまで必要か?と思わせる風景描写が読むのを苦痛にさせ、説明や繋がりがなくそれっぽいことを書いてある雰囲気のみの物語と思いました。ただ雰囲気だけの物語なのですが、物語の最後はタイトルの果しなき流れの果にという雰囲気を感じましたので星は2つです。
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No.93:
(1pt)

ギブアップ

話が飛びすぎて 、私には没入できませんでした。
途中でギブアップ
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No.92:
(5pt)

時空を越えて、意識を越えて。題名も素晴らしい。

海外の有名SFは色々読んだ。しかし、本作のスケール感には度肝を抜かれた。

太陽の異変から地球の最期が近づき、地球脱出から始まる果てしない追劇。

主人公野々村はいろんな星、いろんな時代へ逃げ続ける。

宇宙、時間、意識を超越していく縦横無人なストーリー展開、美しい描写力、作者の知識、圧巻の一言に尽きる。

余りの壮大な物語に、執筆当時、小松自身精神的肉体的にかなり追い詰めらていたようだ。

小松は終戦時は自らの命を国に捧げる覚悟をしていた少年で、その体験が根底に流れている気がした。

印象的だったのは、野々村が、過去に戻り、歴史や自らの存在消えることになろうとも、

人間の進化を促そうとする場面。そこには作者の、殺しあう人類への深い悲しみがある。

「我々の達成した知識、文明、認識を、大量に、先史時代へ持ちこむのです。ー私たちは、自然のルールに

したがって、徐々に試行錯誤を繰り返し、一つの認識に達してきた。ーだがその試行錯誤というものは、

いかに非効率であり、いかに多くの取り返しのつかない犠牲を払ってきたかー工業主義時代に入った19世紀

以降においてさえ、人間は、自分自身の姿になかなか気付かず、無益な自己破壊を繰り返し、のちには

地球の資源と自然を荒らし、ついには自分と地球とをメチャメチャにしてしまう一歩手前まで行った。

こうしてようやく達成された現代的認識を、知識文明を、もしもっと早い時代に持ち込みことができたら」P398

自分には理解の及ばないところもあったが、無限のように拡がる宇宙、過去から未来への壮大な時間の

中で、明日への希望、目に前にある小さな幸せの意味を感じた。

感想を文にすると、読後印象が陳腐化してしまうが、なんか視野が広くなった気がしてしまうのは自分だけか。

SFの素晴らしさを再確認した。SFほど作者に膨大な力量を要求する分野はないのではないか。
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No.91:
(5pt)

先進生命体(超人)とネオ人類の時空を超えた死闘に翻弄されていく、とある日本人男女の悲哀。

と強引に括(くく)ってしまえば、米国の少し前の人気TVドラマ『フリンジ』みたいなSFミステリーとも?言えるか。

その『フリンジ』のシリーズ終盤同様、年代やパラレルワールド間を主要キャストが縦横に跳び交うので、中学生時代に初読したときは1/4くらいを曖昧にしたまんまのレベルで(それでも)激しく感動してた。

あらためて40年ぶりにkindle本で読み返し、今回はアタマが老いてても(一発サーチで前後の脈絡が確認でき)100%クリアに完読できた!のは至福に堪えない。やっぱり、登場人物の多いミステリー系は電子書籍に限るねえ。
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No.90:
(4pt)

「日本沈没」第三部的物語が興味深いです

永遠に砂の落ち続ける砂時計が白亜紀の地層から見つかる第一章。
 実際に話題となった何百万年も前の地層からネジが見つかったというオーパーツ(Out Of Place Artifacts)に関する記述や世界中の謎の事件などを取り込むことで、「ムー」的な古代ロマンに思いをはせるワクワク感もあり、非常に面白いです。
 そしてこの謎に近づくものが次々と事件に巻き込まれる展開を経たあとのエピローグ(その2)における感動的な最初の結末。
 この前半部分の物語はサスペンス&ミステリー的で、エピローグにおける物悲しさも相まって、ある意味分かりやすく親しみやすい感動を味わえます。
 しかし、本作の本領が発揮されるのは、第3章から。
 ここからとてつもなく壮大な物語へと発展していきます。
 その壮大さは、読者を置いてけぼりにしてしまう感があるほどで、実は私自身も十分理解できているわけではありません。
 例えば、前半の主人公野々村が、なぜこのような立場の活動をとるようになったのか、その経緯が記述されていないことも原因かもしれません。
 ただ、いったいこの物語はどうなっていくのかという謎は謎のままでも、様々な時代や場所における個々の物語はそれぞれ面白く、この多少の難解さを含む点がかえって本作の人気の要因なのかもしれません。
 特に、本作執筆時にはまだ書かれていなかった小松左京の大傑作「日本沈没」におけるその後の日本人が、この作品ですでに書かれていたことには驚きました。
 「日本沈没」で田所博士が「日本人は幸せな幼児だった。日本民族はこれから大人にならなければならない。日本民族が実質的になくなってしまうのか、それとも本当に新しい意味での大人民族に大きく育っていけるのか」と述べる場面がありますが、まさに、日本という母なる土地を失った日本民族がその後どうなっていくのか、という点について、超長期的視点で書かれていて、この点非常に興味深かったです。
 その意味で、本作は「日本沈没第三部」としての面白みもあります。
 そして、前半のエピローグ(その2)とつながるエピローグ(その1)での締めくくり方の巧さに物語の余韻を味わいつつ、誰かと本作について語り合いたくなる、そんな作品です。
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No.89:
(5pt)

著者の作品を生み出す苦悩とそれを超越した時の化学反応

話の展開や構成に読みにくさや不可解な点が読んでいると途中あるが、あとがきまで読めば著者も大変な苦労と悩みのなかでを書き上げた作品なんだとわかる。その作品を生み出す苦しみを乗り越えた先の物語の終盤から結末までの流れだと理解できると、この物語のセンスの高さ、作者の作品を生み出すために起こす化学反応の奇跡的な能力を感じ、この作品に今この時、この時代、この時間に出会えたことに喜びと感謝を感じる。
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No.88:
(5pt)

SFやロマン好きな方にお勧めです

まだ3分の1しか読んではいませんが、とても壮大な内容でした!(単に私がこの著書の存在を知らなかっただけ、ということではありますが)
今日のようにIT社会が発展していなかった頃(1965年ですって!)に書かれたものとは驚きです。難しい言葉がたくさん出て来るのですが、頑張って読了します。
何かのサイトコメントの中で、この本がおすすめと見聞きし、注文したのですが小松氏の他の作品をもっと読みたくなりました。
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No.87:
(5pt)

SF大作の真骨頂

20代で読んでから5年に1度くらいの割合で読み返し、10回ほどは読んでいる。読む度に理解度が深まるが、まだ100%とはいかない。壮大すぎる。「復活の日」もすごいがこの本も小松さんの代表作だと思う。野々村と佐世子の再会シーンには何度読んでも胸が熱くなる。
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No.86:
(5pt)

これぞSF、全てのSFファンに読んで欲しい

これぞSFという小説だと思います。
読むのは2回目ですが、私がこれまで読んだ国内外のSFの中でもベスト5に確実に入る名作だと思います。(ちなみに他は、山田正紀氏の「宝石泥棒」、クラークの「楽園の泉」、バクスターの「タイムシップ」など)
人類や宇宙の行き着く果てに何があるのかという根源的な問いがこの本にはあります。現実的には答えを得られるべくも無い疑問かもしれませんが、バクスターの「天の筏」に出てくる「何を知っているかではなく、何を疑問に思うか」という言葉を思い出しました。
結果的にこの小説を気に入るにせよ、気に入らないにせよ、全てのSFファンに一度は手に取ってもらいたい、それだけの価値がある名作だと思います。
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No.85:
(1pt)

懐かしのSF

大神神社に想いを寄せながら、じっくり読んでみたい。
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No.84:
(4pt)

前半と後半に分けると、緊張感や盛り上がりを欠く後半が面白くない

この作品は何度も読んでいますが、太陽に2つの大きな黒点が発生する描写の後、途中からどういう話だったかどうしても思い出せません。何度目かの再読です。
前半はミステリアス、ドラマチックな展開でスケールも大きいです。後半から複雑、単発的、観念的になり、印象に残りにくくなります。
タイムマシンが発明されて、後半ではいくつかのルールを、木っ端みじんにする企てをもくろむ組織とそれを止めようとする組織の争いが描かれますが、小競り合いばかりで、読んでいて非常に退屈です。前半でミステリアスに感じた時間、空間を飛び回る描写が、後半は全くミステリアスさがなく、2つの勢力争いの描写も緊張感や盛り上がりを欠いているので、長編ということもあり後半を読むのが本当につらいです。
50年以上前の作品なのに、かなり考えて書かれていますが、何度も読んだのに後半の記憶がないのは、後半が面白くなかったからだと改めて気が付きました。星3.5、おまけして4。
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4758441782
No.83:
(4pt)

傑作!

むか~し昔に読んだことがある。そのときは終わり方が今一理解できず、あまり面白いとは思わなかった。しかし年寄りになって再読し、年相応の読み方ができるようになったのか、楽しんで読むことができた。
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No.82:
(5pt)

果てしなき流れの果てに 還る場所は愛する人の傍ら ~小松氏の最高傑作?

この作品は読む人によって 好き嫌いがはっきり分かれる作品の様で
すが、私個人的には 彼の最高傑作だと思っています。
(何度読み返した事か)

なぜ最高傑作と思うかと言いますと、
まず第一に、1965年の時点でこれを書けた先見性。
そして後の小松氏の人生との運命的な重なり。
が理由です。

2020年現在、流石に基本構成の「自由意志」や「宇宙意識?」に強い
疑義が生じていますが、それでも「進化論」や今で言う「AIと自由意志」
等を 同一のパラダイムに落とし込んでいる点は 今なお古さを感じさせ
ないと思います。

星新一氏らとの交友関係等のこぼれ話で ある意味良く読む逸話ですが
小松氏の小説は 奥様を楽しませる事(売れる小説家になる前は特に)を考
えて書かれていたとか。

そして小松氏は八面六臂の活動の末、1995年の阪神淡路大震災では「日本
沈没」の先見性から、関西在住の氏は多くの被害者の方々に触れ、多くのイ
ンタビュー等を受け 震災と対峙した事が一つのきっかけと言われている鬱
を患ったそうです
その姿は刀折れた武士の様で、この物語の一方の主人公である 野々村が我
を喪失しながら 最愛の佐世子を看取り、自身も跡を追う様に息絶えた姿と
重なって見えてしまいます。

この佐世子の姿は 小松氏の奥様への思いの様に感じるのは 一読者の幻想
かも知れませんが、戦いの中で負けるかも知れない者達への慎ましやかな愛
情かも知れないと 切なくなります。

ここまでも少しネタバレだったかも知れませんが、この作品と同様の世界観
の作品は幾つか あって、もしかすると その時代の潮流かも知れませんし、
小松氏が影響を与えたものもあったかも知れません。
比較してみるのも 面白いかも知れません。

「宇宙=人」或いは「ブラフマンとアートマン」=「梵我一如」の世界観
「宇宙の外の宇宙」あるいは「神と宇宙」の世界観

1、「百億の昼と千億の夜」 光瀬 龍  1965年(果てしなき~と同年発表) 
2、「暗黒神話」      諸星大二郎 1976年 少年ジャンプ 
3、「チョウたちの時間」  山田 正紀 1979年

他にもテーマが近いものや、問題意識が近い作品も多々あると思いますが、
その辺は賛否が大きく分かれると思いますので、読者の皆様が ご自分に
近づけて こちらの書評等で発表して頂けると嬉しいですね。
私には 思い入れのある作品なので長文になってしまい お恥ずかしい限り
です。

読後に「面白かったぁ」とか、「すっきりした」という作品ではありません。
どちらかというと ハードなSFなのだと思います。
また扱う分野が広範で、物語の後半では少し力業の収斂(タイムマシンの直列
接続)も気になったりもしますけれど、小松左京を読むなら これを読まない
と始まらないと思います。
新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)Amazon書評・レビュー:新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)より
4758441782
No.81:
(5pt)

インターステラー?目じゃない

時間とは空間とは?宇宙とは?生命、人間歴史文化とは。
あらゆる概念疑問を統括していくと、科学と宗教は同じものになる。(という私の表現すら陳腐)

そのなんというか、全宇宙の原理、意識(宇宙の成り立ちから太陽が死ぬまでの未来という限られた時間内ではあるが)に触れようとした著者は1965年にこれを書き上げた。

しかも、その全宇宙意識ですら「なにかもっと上の階梯」に動かされているに過ぎない。

一人の人間が、それに触れようとすることで、受けてしまう苦しみは並大抵のものではなかっただろう。
新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)Amazon書評・レビュー:新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫 こ 1-33)より
4758441782

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