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ありふれた祈り
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ありふれた祈りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21~34 2/2ページ
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4大ミステリ賞の最優秀長篇賞を独占し・「ミステリが読みたい! 」で第1位に輝いたように、名実ともに素晴らしい。 | ||||
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フランクという男性が少年時代のことについて語ります。 彼は姉の死という悲劇に見舞われます。 しかし、そのことにより様々なことに出会い、成長していきます。 少年は聡明で、語り口は切なく、味わい深いです。 ミステリとしてもいいですが、青春小説としても素晴らしいです。 大人の入り口に立った遠い日をほんのり思い出してしまう、そんな小説です。 | ||||
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途中で何度か読むのを放擲しようかと思いました。 ストーリーの起伏がなく、かったるい。 「だから何なんだよ!」と突っ込みを入れたくなる。 ――しかし、我慢して読み続けていくと、半ばを越えたあたりから物語世界が大きく動き出す。 あとは、もう、一気読み。 そして、前半の退屈に思われた部分のそこかしこに伏線が埋め込まれていたことに気づいて、そうかそうだったのかと感心します。 こけおどしのトリックやこれ見よがしのどんでん返しを弄するのではなく、こうした緻密な構成がミステリーの味わいを深めています。 | ||||
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時代は1961年の夏、そして舞台はミネソタ州の小さな田舎町。 13歳だった「わたし」フランクは、牧師の父、母、18歳の姉と11歳の弟と暮らしていた。平凡な夏がまた過ぎようとしていたはずだったが、ボビーという名の近所の少年が列車にはねられてなくなったのを皮切りに、多くの命が失われていくことになる。 アメリカ本国では2013年に発表され、日本では今年2015年発表の「このミステリーがすごい! 2016」で海外編の第3位にランクインした作品です。この物語を大いに堪能しました。 60年代初頭のアメリカですから、子どもたちが大人のつきそいもなく町を歩いたり、缶ビールに穴を開けて飲んだり、ダコタがまだ準州だったり、走っている車はパッカードだったりと、大戦後の1950年代の繁栄と安寧を謳歌していた時代のアメリカが、そこかしこに顔を出します。 物語の要諦は事件の謎解きにはありません。むしろ13歳の少年が、つまり初めてteenとつく年齢に達した男の子が、人の生き死にを目のあたりにして、少し大人になっていくひと夏の成長を描いていることにあります。 そこでは彼の「ありふれた」日々が一度は音を立てて崩れていきながらも、それでも再び「ありふれた」日々へと回帰していきます。そのことの気高さが確かな筆致で綴られていくのです。 「奇蹟を信じていようといまいと、いつかきっとみなさんがそれを経験することをわたしは断言します。みなさんが求めた奇蹟とはちがうかもしれません。一度おこなわれたことを神が元に戻すことはおそらくありません。みなさんが朝に起き、新たな一日の驚くような美しさをふたたび見ることができる、それこそが奇蹟なのです」(248頁)。 物語の終盤、フランクとともに弟のジェイクもまた、この夏、ひとつの成長を遂げていく姿が胸を衝きました。 「弟の中にいた子供はどこにも見当たらなかった」(381頁) まさしく上質な教養小説(ビルディングス・ロマーン)を読んだという思いを強くしました。 *同じく殺人事件をきっかけに成長していった少年時代を主人公が回想する優れた物語にRobert McCammon『Boy's Life』があります。 ------------------------------ 訳者の宇佐川晶子氏の見事な翻訳にも助けられ、この小説を日本語で楽しむことができました。ですが残念ながら二か所だけ和文に誤りがありましたので、増刷、あるいは文庫化の際に修正されることを期待して、以下のとおり指摘しておきます。 *385頁:「今日は他の予定があるため、今日はわたしたち三人だけだ」とあります。「今日は」という言葉が重複しています。原文は「...and today have made other plans so it’s just the three of us.」と「today」は一度しか出てきません。 *388頁:「アメリカの独立戦争を例にとってみよう」とありますが、原文は「Take the American Civil War.」とあるので、「アメリカの南北戦争を例にとってみよう」の誤りです。事実、この文章のあとに「包囲されたアメリカ南部連合国の居住者の語った歴史は、勝った北部諸州側によって喧伝された歴史とは全く異なる」と、南北対立に関する記述が続きます。 | ||||
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ミステリーも面白いが、主人公と弟、そして周りの家族、周囲の大人たちの造形がすばらしい。 特に淡々とした町の描写と相まっって、圧倒されるほどの自然の中で退屈で好奇心いっぱいの子供たちが大きな試練に出会い、そこからどう変わっていくか。 自分の場合父親の身を重ねてて読んでしまい、身につまされたり、後悔したり、喝采したり、さまざまが感情を呼び起こされる喜び。 これぞ読書の醍醐味です。 | ||||
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犯人を捜すミステリを期待して読むと、大体展開が読めるので面白くないかも。 でも、ひとりの少年の成長期として読むと非常にいい作品。 自分は「ヴァージンスーサイズ」を読んだ時と似たような印象を受けた。 個人的に、アメリカの小説を読むと人々の喜怒哀楽の発露が自分のものとはちがって共感しにくいのだが、牧師一家という設定ゆえか、非常にアメリカ人にしては(?偏見か)抑制的な感情表現をする一家で、周辺の登場人物の喜怒哀楽も極端ではなく、感情移入しやすかった。 | ||||
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文体も好みだし雰囲気も好み。 兄弟愛と兄弟の葛藤も胸にせまる。 そして、このタイトルとなるシーンでは、うっと息がつまってしまう。 人の弱さ、そして強さ、信念も描ける作家はそうそういない。 読売新聞のコラムにも取り上げられてましたね。 図書館で借りて読み、そしてkindle に入れる予定。 | ||||
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昔、チャンドラーやマルティン・ベックシリーズ、フォーサイス、ジョン・ル・カレなどを、よく読んでた者ですが、久しぶりにエドガー賞受賞作を読んでみたくなり、注文しました。 すばらしい。翻訳がかなり良いように思われた。この手の本は翻訳が命たから。 | ||||
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アメリカの中西部、1960年代の豊かなアメリカらしいアメリカの空気の中での人生模様が描き出される。そこでは登場人物のそれそれが大なり小なり心に影の部分を持ちながら、生きている。その中で語り手である主人公の少年の家族の喪失の悲しみと、そこからの回復がきめ細かく描き出されている。ミステリーの謎解きより、心模様の描写に強く惹かれた。訳も大変良い。 | ||||
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冒頭から「当たり」の予感。 私にとっては、もうひとつの『スタンド・バイ・ミー』。 しかし、罪悪感ほど主観的なものはありませんね。 善人にしかない感性? もうひとつ食い足りないところもありますが、誠実で魅力的な作品でした。 | ||||
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素晴らしい作品。40年前のミネソタの片田舎で起きたひと夏の出来事を叙情豊かに謳いあげている。14年度の翻訳ミステリが不作だったのであまり期待していなかったが、良い方に裏切られた。週刊文春と日経夕刊での評価が高かったので悪くはないと思っていたがこれほどとは。物語は私の好きなトマス・クック調で展開され、終盤のどんでん返しも秀逸で、エピローグが深い余韻を残している。訳も良い、読み出したら止まらない。多くの人にお勧めしたい一冊です。今年のベスト級だと思います。 | ||||
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美しくおおらかなミネソタの自然を背景に 、家族の絆と少年の 成長の苦しみを描いている。 そこには古き良き時代の濃密な人間関係があり、たくさんの大人が見守る中で、少年たちは成長する。 現代社会が失ってしまった大切なものを思いださせてくれた。ミステリーというより、ヒューマンドラマとして心に残る作品となった。 | ||||
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主人公はミネソタの小さな町の牧師さんの13歳のガキとその弟。 話はキングの[スタンド・バイ・ミー]風に始まり、プロローグの2~3ページを読んだだけで、もう ページをめくる手がとまらなくなり、ジョン・ハート[川は静かに流れ]を彷彿とさせる展開に、後は身を任せるだけ。 ありがちながらも、重たい最後のどんでん返し三連発にヘトヘト。ガキと侮っていた二人に敬意すら表したくなったのは 作者の手腕! ここまで盛り上げるかっ?クルーガーて、こんなうまい作家だったかっ?エピローグが、本当に利いてる。 読後の余韻のまま後書きを読んでいると、そういえばクルーガーの定番<オコナー>より単品の[月下の狙撃者]の 方が印象深かった~とか余計な感想まで.... <週刊文集>の評価が高かったので、読んでみたのだが、祝日一日で読み切りの外れなしだった。 好き嫌いはあるのだろうが、私的には<読み逃さない方が好いですよ>と言いたい一作。 | ||||
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約50年前のミネソタ州の田舎町で起こったいくつかの悲劇について、主人公の少年時代の思い出の「語り」として物語が進んでいきます。 主人公は、その田舎町の教会を司る牧師の息子であり、主人公の家族も悲劇に見舞われます。 主人公の「語り」は淡々としつつも、少年ならではの多感さ、そして苦悩が良く現れており、非常に味わいがあります。 ストーリーに派手さはありませんが、家族、友人、近親、そして小さい同じコミュニティで生活する人々の微妙な心の揺れ動き、その積み重なりが、作中の悲劇の背景や、主人公の家族の絆、人間関係の源として巧みに描かれています。 そして、人間の心理の揺れ動きにあわせるかのような、なかなか読みきれないストーリーの展開に、「主人公の家族や、町の人々にどのような運命が待ち受けているのか」と、どんどんと引き込まれていきました。 それぞれの登場人物の描かれ方も、丁寧で、特徴が豊かで良かったと思います。主人公に対して発する言葉、そして、主人公による、登場人物それぞれに対する心情の洞察から、登場人物の言動や機微が非常に良く伝わってきました。 また、終盤に描かれる主人公や登場人物たちの近況も、悲劇を乗り越えた後の後日談として、ほんのわずかな「救い」が味わいを添えていて良かったと思います。 | ||||
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