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(短編集)
五匹の赤い鰊
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五匹の赤い鰊の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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日本のいまどきの推理小説はというと、残念ながらテレビの下らぬ刑事物に材料を提供して御満悦のレベルのしろものが多いが、ドロシー・L・セイヤーズの「作品」(真に「小説」の域に達しているという意味で)はいずれも傑作と評してよいと思う。この『五匹の赤い鰊』も、登場人物たちの人物や人間関係をめぐる分析などにおいて十分に練り上げられ、ウィムジーの些か嫌味な人間性描写も抑制されて、読者の方では(推理小説らしく)先がなかなか見えて来ない迫真のストーリー展開を堪能することができる作品と言えよう。 浅羽莢子さんは、日本における本格的なセイヤーズ紹介者として定評のある翻訳者なのだが、、、この方は世代がちょっと古いこともあるのか、正直言って、翻訳の日本語に違和感を覚えることがしばしば。 しかも、この翻訳には誤訳やら、中学生の直訳かと思わせるような未熟な文章もあちこちに見受けられる。全篇にわたってスコットランド弁が散りばめられ、またそれがこの作品独自の味わいを出して重要な要素になっているが、浅羽さんはそれを無理矢理にあり得ない珍妙な日本語に写してしまった。その試みは極めて不自然で、大失敗に終わったとしか言いようがない。ちょっと辛いが、最初から英語原文で読んだ方がマシかもしれない。実は、彼女の『ナイン・テイラーズ』の訳も気に食わない評者なのだが、この作品については、校正段階であたかも手入れしているかのように、本書の空きスペースに自分の試訳を書き込んでしまう程のひどさだった。まことに残念! これを読むには巻頭に付いている地図がどうしても必要なのだが、これが実に使いにくい。評者の持っているペーパーバック版では1ページに収めて縮尺もかなり小さくしてしまった(一部は印刷を重ねて来たせいで潰れてしまい不鮮明)ため見にくいのだが、創元版では2ページに拡大して見やすくなったものの、ストーリーに関わる重要な場所が綴込みのほぼ継ぎ目に集中して、本文と対応させるのにとても苦労させられる。訳者や編集者の配慮が必要だったと思う。 一方、この作品の解説(解説者自身は"怪説"と称するが)は秀一だと思った。作家セイヤーズを見事に描けている。そもそも小林晋氏の文章が気が利いていて、読んで楽しい。駄訳の解説にするには惜しかった。 | ||||
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