伯母殺人事件
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乱歩が評した無邪気な悪人が、伯母を殺害し父母の遺産を手にして彼の云うぞっとする土地を離れるため、あれこれと書き留めている彼の日記を読むという形式の倒叙ミステリーである。エドワードとミルドレッド伯母さん | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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※ネタバレ 自己中でワガママ放題の甥が、同居している伯母が気に入らなくて、あれこれ陰謀をめぐらせて殺そうとするが、なかなか成功せず、最後は……という話。勧善懲悪のつもりかと思うけど、そもそもこの伯母の方も、周りの召使いやらなんやらとグルになって、甥を罠にはめて嘲笑ったり、甥の日記を盗み見たりして、こんなやつは殺したいと思われても仕方ないんじゃないかという気がする。 ……しかも伯母の方だって、服にアイロンをかけたり、庭いじりするか、地域の集会に出るくらいしかすることもないくせに、仕事をしないからって、甥をダメ人間扱いするのはどうかと思う。 ……それに、伯母がすんでのところで落ちそうになった崖までの経路を、安全のために生け垣を補強して、事故が起きないようにしたはずなのに、同じ場所で甥が事故に遭うのも、辻褄が合わない。 ……いろんな意味で、読後感が悪い。 | ||||
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衝突の絶えない伯母を殺し、その遺産を得て、恐るべき田舎生活から脱出しようとする「僕」(エドワード)が、殺害を思い立ったきっかけから、その実行に至るまでを記した日誌の内容… それがこの作品の主要部分である。 読み手には始めから犯人が明かされていてその人物の行動を追って行くという、いわゆる「倒叙推理小説」であるが、客観的な描写によるのではなく、犯罪を試みる本人自らが語り、全てを主観的に 描いていく点が、この作品の特徴だ。 ところで、「倒叙推理」というジャンルに当てはめれば、当然、他の倒叙物と比べたくなってしまうが……自分としてはこの作品を、「倒叙物として他の作品より優れているか否か」という視点から 論じて欲しくはないと思う。 そもそも、「ダメ人間エドワードのダメな企み」が描かれているのだから、緻密な殺人計画とそれが破綻して行く様を本格的に堪能しようと期待するのは見当違いだし、はっきり言って、 推理物としての造りも甘い作品であるから、純粋に優れた倒叙作品が読みたいのなら、クロフツ辺りを探った方が良い、と言わざるを得ないのだ…。 ところがその一方で、この優劣という視点を排除すれば、この作品ならではの倒叙物としての面白さが浮かび上がって来る。 それは、表面上は「僕」と伯母という対立の構図を取りながらも、実は、語り手を通して作者に挑まれているのは読み手である、とも受け取れる点である。ネタバレになるので詳しくは書けないが、 読み終わった際には、「我々が事実と信じている物事は、どれ程まで事実であるのか? 真実とは何か?」といった、少々哲学めいた問題にさえ、読み手の心は向けられるはずだ。(実際に作者が そこまで意図していたかは不明だが…。) そして、何よりもこの作品の他に無い魅力は、作者の類い稀なユーモアセンスであり(自分は初読の際、一行目からこの作品の魅力を予感する事ができたくらいだった)、そしてその素晴らしさ故に、 「倒叙推理云々の枠を超えて、最高に面白い小説の一つとして最高の評価を与えて良い」と、個人的には思うのである。この価値は絶対的であり、従って、倒叙推理としての出来の良し悪しを 他と比較して、その価値を決めるべき作品だとは思えないのだ。 しかしもしかすると、読み手によっては、エドワードを、「ただのだらしない皮肉屋で、気に入らない…」と感じる人もいるのかもしれず、そういう人にとっては、自分の、この作者のユーモアセンスに 対する評価、ひいては作品に対する評価は、全く信じ難いものでしかないのかもしれない…。 だが、恐らく大抵の人は、なぜか憎めない彼の皮肉たっぷりの世界観に絶えずニヤリとさせられ、そして親しみさえ感じつつ、その不思議な明るさを放つ独特の雰囲気に酔いながら、楽しく読み進めて行く のではないかと思う。 特に若者には面白い作品に違いない。分別のあり過ぎる大人には、彼にシンパシーを感じられない面があるかもしれないからだ。 自分も、再読してみたところ、若い頃に読んだ時とは少しだけ印象が違った。オチを知っていたからかもしれないが、残念な事に、大人になり、多少分別くさくなってしまったのではないかと思う…。 それでもやはり、作者の素晴らしいユーモアセンスには、改めて驚嘆した。本当に素晴らしい名作である! 小説全般を見渡しても、これだけの作品が他にあるかと考えれば…自分としては、必然的に最高の評価を与えてしまうのだ。 | ||||
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いやしくも推理小説の犯人になろうとするような者は勇気・知力・体力・運等正常の人よりなにか卓越したところがなくてはならないものだと思うが、この犯人(?)はどれも劣っており非常に女々しい性格であるのがまず面白いシュチュエーションだと思う。それに加えて執筆当時では異常と受け取られたであろう主人公の性格も今ではどこにでもいるぐうたらであるところも余計に親近感を抱かせるものとなっている。自省心の全くない身勝手で非論理的な性格なのに自惚れとしつこさだけは異常に強い主人公の倒叙小説なので身につまされながらもずっと笑いながら読んでしまう。(思わず吹きだしてしまう箇所も数箇所ある。)訳も「風と共に去りぬ」の訳者なので地名人名がなければ最初から日本語で書かれたような訳である。初版当時よりも今読んだほうがはるかにおもしろい傑作推理小説である。 | ||||
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いやしくも推理小説の犯人になろうとするような者は勇気・知力・体力・運等正常の人よりなにか卓越したところがなくてはならないものだと思うが、この犯人(?)はどれも劣っており非常に女々しい性格であるのがまず面白いシュチュエーションだと思う。それに加えて執筆当時では異常と受け取られたであろう主人公の性格も今ではどこにでもいるぐうたらであるところも余計に親近感を抱かせるものとなっている。自省心の全くない身勝手で非論理的な性格なのに自惚れとしつこさだけは異常に強い主人公の倒叙小説なので身につまされながらもずっと笑いながら読んでしまう。(思わず吹きだしてしまう箇所も数箇所ある。)訳も「風と共に去りぬ」の訳者なので地名人名がなければ最初から日本語で書かれたような訳である。初版当時よりも今読んだほうがはるかにおもしろい傑作推理小説である。 | ||||
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ミステリーの深い味わいはもちろん、古き良き英国セレブの雰囲気を心ゆくまで堪能出来る3つの逸話です。 | ||||
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