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太陽の塔
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太陽の塔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全204件 141~160 8/11ページ
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崩壊しかけた四畳半の真ん中にでんと腰を据えて、私はこの手記を書く。内容は私 の日常である。「おまえの日常なんぞに興味はない」と言う方は読まない方が賢明で あろう。周囲を見渡せば、もっとお気軽で、お気楽で、愉快に読み捨てられる書物が ごまんとある。なにを好きこのんで、こんな男汁溢れる手記を熟読する必要があろう。 読了したあかつきには、必ずや体臭が人一倍濃くなっているはずである。読み終わっ た後で文句を言われても困る。私の経験から言えば、いったん濃くなった体臭は二度 と元には戻らない。 しかし、敢えてこの手記を読む人は、貴重な経験をすることになるだろう。もちろ ん愉快な経験とは言えまい。良薬とはつねに苦いものである。 ただし、苦いからと言って良薬であるという保証はどこにもない。 毒薬もまた苦いのだ。 本文より | ||||
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第15回のファンタジーノベル大賞の受賞作だけに、非常に魅惑的な世界が現出されています。 ストーカー紛いと言うか、実際ストーカーかも知れませんが、その手記の形を取っています。でも、読んでゆくとそれだけではなく、独特の価値観がそこにはあります。 この本を好きになるかどうかは、この世界観、価値観に共感するものがあるかどうかで決まるのではと思います。 | ||||
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まとめてしまえば、モテない男子学生の ルサンチマンたっぷりの妄想ストーカー記録、となろうが 強がっている部分がすべてキュートで、読後、 全キャラクターがどうしても憎めなくなる手腕(?)は限りなく高度。 『夜は短し歩けよ乙女』に比し、 祝祭的な雰囲気には欠けるが その分、内に籠もる悶々としたエネルギーは 誰をも唖然とさせてしまうどうしようもなさと 滑稽さとに満ち満ちている。 さまざまな小説・映画からの影響は 賛否両論分かれるところであろうが これだけ圧倒的な内面描写を見せつけられると それだけで高く評価してもいい。 | ||||
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関西には数えるほどしか行ったことがなく、京都や大阪には恐怖感 のようなものさえ感じていたのだけれど、出てくる場所の描写が気 になり、そのうちこの本のところどころに付箋を貼って、レンタサイク ルに乗って走りまわってしまう日が来るような気がしてきました。 疲れとかいやなこととかマイナス要素をみんな忘れさせてくれるよ うな小説は久しぶりです。 至極単純に、ただただ、癒されました。 | ||||
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「私」が、振られた彼女の水尾さんを追っかけている話だと、はじめにそう思ったのですが、どうもそればかりでもないのです。 書き出しでは、水尾さんにまつわる手記だと思わせながら、その内容のほとんどが彼の日常で埋め尽くされており、終始晴れない胸中を語り続けています。 しかし、その悶々たるや、まことに絶妙です。流行の恋愛小説家などが書けば、憂鬱に口をふさぎたくなるかもしれませんが、この作品、前向きなネガティブとでもいいましょうか、やや高尚な文体ながらギャグテイストが満載であり、笑いが止まりません。 愉快な仲間たちの紹介に明け暮れていた感もあり、ストーリー的には贅肉が多かったかもしれませんが、美味しいご馳走となりました。 これがファンタジーノベル大賞というのが素敵な選考です。 最後に回想される水尾さんとの想い出には、自分と重なるところもあり、ほろりとしました。 ありがとうございました。 | ||||
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今話題の作者のデビュー作ということで読んでみました。 ファンタジーノベル大賞受賞作です。 でも・・・ 私にはこれはファンタジーとはとても呼べないような・・・ 作者云うところの「ジョニー」を慰めるための私的小説(私小説ではない) といった雰囲気がぷんぷんと漂ってきます。 京都の街の描写が、非常に丁寧によく描写されているとおもうのですが・・・ なぜか大阪の「太陽の塔」が京都に割り込んでくるといった感じですね。 うーん。 | ||||
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まさに「妄想族」達の青春群像。妄想が織り交ざり、私はファンタジー小説だと感じました。青春はこうでなくてはいけません。女の子には振られる、それ以前に接点がない。もちろんお金もない。へんな自信があって、世の中に対して斜に構えている。そんなどうしようもない時代が青春時代なのであります。わかっているけど、やめられない。そんな感じが物語から香ってくる。男にとっては堪らない物語でしょう。 | ||||
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京大5回生の主人公に3回生の時に水尾さんという彼女ができるが、悲しいかな振られてしまう。 それから彼の「水尾さん研究」のレポート作りが始まり、単なる持てない妄想壁のあるストーカー男の話?そして彼の回りも女っ気無しの持てない男だらけで、正直わぁ〜きついかなと思ったのですが、馬鹿馬鹿しいながらも、笑っている内に、あれよあれよという間に、怒涛のラストで、ええじゃないか! 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。ファンタジーなのかな これ? | ||||
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理系作者が書いた本書は、まさに理系チック。 日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ですが、 ファンタジー小説に疎い私には、これがファン タジーといえるかどうかはわかりません。 題材が特に面白いとか言うこともなく、わりと 普通の日常が描かれていますが、それとは対照 的に言葉のテンポ、表現技法は、面白く楽しめ ます。 あまり読書をしない人が手に取るには、お勧め しませんが、読書好きの人には、結構楽しめる こと請合います。 かく申す小生は、他の作品も読んでみようとい う気になるくらいには気に入りました。 | ||||
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小説というよりも一人称で展開される自分による自分研究本でした。京大生の思考は実際にこんな感じなのかな?と考えると面白いと思いますが、ストーリー的にはそれほど面白いものではありません。 私も京都には1年間ですが住んだことがあるので、本書に出てくる京都の地理や施設を懐かしい気持ちで読んでいましたが、本書内の個人的な恋愛感等に関しては同調できるものではありませんでした。 ただ、著者である森見氏は直木賞候補にも名前が挙がった人ですから、その人のデビュー作という色眼鏡で見れば一寸は面白かもしれません。 | ||||
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さえない大学生の失恋およびその大学生活についておもしろおかしく書かれた本。 京都で学生生活を経験したことのある人ならば一層本書を楽しむことができるだろう。 そして、とにかく文章が素晴らしい。 古風な日本文学的な言い回しで語られる文章は、読んでいてとても気持ちがよい。 声を出して笑える箇所や、独特のセンスを感じさせる表現が幾度となく現われた。 最近売れている作家の多くの本はとても読みやすく現代的なのだけれども、 何か物足りないと私は感じていた。 なんというか、最近の本は文章が透明すぎるのである。 しかし本書はそうではない。 古風で濃厚な文章を用いながらも、とても読みやすく出来上がっている。 筆者の今後に大いに期待したい。 現代文学に何か物足りなさを感じている人におすすめです。 | ||||
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名作”めぞん一刻”の主人公,五代(優柔不断)とは対極に位置する衝動的・爆走青春物語である。 | ||||
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漱石、百間への憧れが強い文体がオタッキーで、なかなか面白い。話の展開は、山本周五郎への憧れが強いかとも思う。今回、新潮文庫の夏の特集の1冊にも選ばれていて、近くの本屋さんではちょっとしたブームのようになっている。今はモテモテじゃないでしょうか。 妄想のかなた、失恋からの再生を学生時代特有のドタバタをまじえて書いているあたりは考えつきそうでなかなか考えつかないコロンブスの卵。実を言うと、もう少し「権威ある京大生」というところを完全に笑い飛ばして欲しかったような気もしないこともないが、一気に読めるので、まあ、こんなところか。 この秋、見事に大学に合格した甥には、この本と、東野圭吾の「あのころぼくらはアホでした」を薦めようと思う。そうして、勉学に恋愛に友情に妄想に思いっきり取り組んで元気に生きていって欲しいと思う。 | ||||
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古きよき、文芸盛んなりし頃の”小説家”を思わせる文体が、とっても巧い。 でも、舞台はあくまで現代。 そのギャップがとても新鮮だった。 本質的には、近代以降、変わらぬ、青春、恋愛、葛藤小説。 でも、時代にあったディテールを消費したいという文系若者層の欲望に、みごとにハマったと思う。 それにしても、この作品が、「ファンタジー大賞」!? 投稿した著者も、選者も、やるなあ、と関心してしまった! | ||||
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私の学生時代を思い出しました。なんかちょっと似てるなぁと。だから、面白く読みました。只の、くだらない読み物としてしか読まない人も多いでしょうね。下らないと言ってしまえば確かにそのとおり全く下らない。まるで作者の日常を読んでいるような錯覚に陥りますが、あくまで小説ですから、それはないでしょう。21世紀に私小説もないでしょうし。 とにかく、笑える小説です。しかもげらげらと。バスや電車で読むのはやめましょう。周りの人に変な目で見られます。どうしても読みたいときは、カバーをはずしておきましょう。そうすれば周りの人も、購入して読み始めるので、次の日からは変な目で見られなくなります。 | ||||
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京都という異形の町と大阪に屹立する太陽の塔。それぞれの個性が作品を引き締めているように感じました。大学生の日常は、行動と考えが一致するわけではなく、感情が理性を上回りながら進んでいく。だからこその貴重な日々だろうし、振り返ってみると妙に恥ずかしさを感じるのだろう。 この作品に謝辞があるとしたら、ダグラス・ホールディングスへだろうか?ホールデン・コールフィールドへだろうか? | ||||
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自意識過剰かつ生意気な感じの文章がかなりツボにはまって、読んでるあいだは吹き出したり、ニヤニヤしたりの連続でした。なかなか面白かったです。ファンタジーノベル大賞受賞作と聞いて予想する作品とはだいぶ違うけど、現実と、京大生ならではの巨大な脳(?)から紡がれる幻想というか妄想とが混在している様と独特な古風さは、ファンタジーと言えなくもないかも。また京都っていう舞台も大きいかと。出てくる固有名詞も「叡山電車」「北白川別当交差点」「幽水荘」など妙に魅力的だし。東京じゃこうはいかないだろうな。四天王の学生たちの浮世離れした生活ぶりには少し憧れる(モテないところ以外は・・・)。ラストは若干拍子抜けしたけど。ところで解説を読んで「まなみ号」の意味がわかりました。 | ||||
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異色作です。その前に「一読の価値がある」と付け加えるかどうかが迷うところですけど。 「すべての失恋男たちに捧ぐ」という惹句が見えますが、「すべて」と言うより一部の失恋男に深ーく愛される作品かと。それから京都に土地鑑がないと置いてきぼりを食らった気持ちになるかな・・・でもその点は想像力で補って読べきか。ファンタジーですからね。 登場人物について。モテない四天王が、とんでもなくヘンテコなようでいて少々小粒、ヘンテコぶり、ヘンテコ故の切実さがリアルに伝わってこないのが残念。この4人ですら「まあまあ変わり者」程度のところを、語り手である主人公の妄想・誇大表現で底上げしたのかと勘ぐってしまいます。主人公が失恋した「水尾さん」も同じくうまく伝わってこないのですが、これは主人公との悲しい隔たりを示すための確信犯的書き方でしょうか? ただそれがうまくいっているかというと・・・ 登場人物と、エピソードがうまく連携していないような感も。だから、部分部分ではおもしろく読めるのだけど、総合力でずしんと響くものにはならなかったです。 大仰な一人語りにちらっと覗く内省的で気弱な文章。肥大化した内面とちっぽけな実像の間を主人公が行き来する様は、ちょっとひりひりします。そこがツボかと思いました。 書評などで本書へのコメントを見ると、京大にはこんな学生が少なからず生息するとか。どんな皮をかぶった京大生がこんな内面を抱えているのか、見てみたいなあと思いました。彼らの下宿もぜひ覗いてみたいです。その意味では興味をかきたてられた一冊。 | ||||
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頭でっかちな「私」が失恋から約1年に渡る心の変遷を綴った半自伝的小説に思えましたが、どうも読んでいてあまり面白くありませんでした。文士風の文章は頭の良さを感じさせつつも、”いかめしい””古臭い”印象が拭えませんでしたし、小説の内容の殆どが「私」の思索と日常で埋められていて、一部ファンタジー要素がありましたが、これでは一部色が使われていたから「シンドラーのリスト」はカラー映画だっ!と言い切ってしまうような乱暴さが伺えて、これをファンタジーノベル大賞に冠するのはちょっと違うのでは?と思いました。 読んでいて一番良かったのは本上まなみの解説でした。彼女の文章を読んでいると心がほっこりしてきます。 | ||||
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単行本が発売されて間もない頃、タイトルに惹かれて手に取りました。 まず出だしに『キャッチャーインザライ』の文章が使われているのに親しみを覚え、一辺に読み進めることに。笑いました。軽快でユニークな文章とキャラクターの濃さは印象に残り続けます。帯で庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』を引き合いに出しているのも頷けます。『キャッチャー〜』を原型とした『赤頭巾ちゃん〜』からさらに今作が生まれたのだとすると、『キャッチャー〜』は青春文学の見本となり続けているのだなあと思うと感慨深いです。 森見氏の作品は今のところ全て読んでいますが、個人的にこの作品が最も優れているように思います。『夜は短し〜』を読まれた後は、どうぞこの子もご覧ください。 | ||||
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