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エジプト十字架の謎
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【この小説が収録されている参考書籍】
エジプト十字架の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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私にとっての本書は、作者国名シリーズの中で「オランダ靴の謎」に次ぐベスト2。 本書の謎解きのポイントはヨードチンキの瓶にあり、このたったひとつの証拠を基にシンプルかつ明確に唯一この人物しか犯人ではありえないと論理的に読み解くという点と、意外な犯人が明らかにされた際の驚愕度、ショッキングな4つの首なし死体に後半の追跡劇と、国名シリーズで最も派手なストーリー展開とくれば、「オランダ靴」や作者の最高傑作「Yの悲劇」と互角以上の作品と言えるかも知れない。 しかし、4つの殺人のうち、メガラ殺しだけは犯人の行動論理に反している。 メガラの提案によって警備を解かれはしたものの、犯人にはそれが警察が仕掛けた「わな」ではないと確信できる根拠がなく、そのような中、船に単身乗り込むなどということは絶対に考えられない。もしも考えられるとすれば、それは犯人とメガラがつるんでいて事前に打ち合わせができている場合だけだろう。 だから私はメガラが犯人で、メガラと思われた死体はクロサックではないかと推理した。死体にはヘルニアがあるのでメガラだとわかったとのことだが、ヘルニアはメガラだけの病気ではあるまい。クロサックがヘルニアでなかったとどうして言い切れるのか? それに、メガラが犯人ならその後のストーリー展開も極めて自然なものになる。 ヴァンの警戒振りからすれば、ヴァン自身を別としてヴァンの小屋に押し入ろうした人物はその場でヴァンに射殺されていなければならず、これに対してメガラは唯一ヴァンに警戒心を抱かせることなく近づくことができる人物であり、またエラリーを初めとする警察関係者以外で唯一ヴァンの居所を知る人物でもある。 結局は、ヨードチンキの瓶から別の人物が犯人であると明確に推理されるのだが、メガラ殺しだけはどうしても納得がいかずマイナス評価せざるを得ない。実に惜しいことだ。 | ||||
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数ある《国名》シリーズの作品のなかでも、最も けれん味に溢れ、エンタテインメントに徹した作品。 古代宗教の狂信者、裸体主義者村、連続首なし磔殺人、そして、本作で 初お目見えとなる愛車デューセンバーグを駆ってのアメリカ全土にわたる追跡行――。 以上のような、通俗的な道具立てや趣向が盛り込まれていることから、作者が、 それまでの《国名》シリーズにみられた論理主体のスタティックな展開を一変し、 読者に精一杯のもてなしをしようと、サービス精神を発揮したことが窺えます。 とはいえ、本作でクイーン一流のロジックが疎かにされているわけではありません。 《国名》シリーズの黄金パターンである、物的証拠をもとにした《演繹的推理》は健在です。 本作の物的証拠は、クイーン作品の手がかりの代名詞ともいえる、かの 有名な「半透明で、ラベルの貼っていない暗青色のヨードチンキの瓶」。 この何の変哲もない小道具に、特権的な価値が付与されているのです。 複雑に絡み合い、錯綜した迷宮的事件に対し、ささいな物的証拠に関する「設問と解答」 という一本の「論理の糸」を引くことで、謎の大楼閣を崩し、唯一の真相を導き出していく ロジックの手筋は、今も変わらぬ切れ味を誇っています。 | ||||
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数ある《国名》シリーズの作品のなかでも、最も けれん味に溢れ、エンタテインメントに徹した作品。 古代宗教の狂信者、裸体主義者村、連続首なし磔殺人、そして、本作で 初お目見えとなる愛車デューセンバーグを駆ってのアメリカ全土にわたる追跡行――。 以上のような、通俗的な道具立てや趣向が盛り込まれていることから、作者が、 それまでの《国名》シリーズにみられた論理主体のスタティックな展開を一変し、 読者に精一杯のもてなしをしようと、サービス精神を発揮したことが窺えます。 とはいえ、本作でクイーン一流のロジックが疎かにされているわけではありません。 《国名》シリーズの黄金パターンである、物的証拠をもとにした《演繹的推理》は健在です。 本作の物的証拠は、クイーン作品の手がかりの代名詞ともいえる、かの 有名な「半透明で、ラベルの貼っていない暗青色のヨードチンキの瓶」。 この何の変哲もない小道具に、特権的な価値が付与されているのです。 複雑に絡み合い、錯綜した迷宮的事件に対し、ささいな物的証拠に関する「設問と解答」 という一本の「論理の糸」を引くことで、謎の大楼閣を崩し、唯一の真相を導き出していく ロジックの手筋は、今も変わらぬ切れ味を誇っています。 | ||||
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本書は1932年に発表されたエラリー・クイーンの代表作。 同じ年に「Xの悲劇」「Yの悲劇」「ギリシャ棺」といった傑作も発表されており、 エラリー・クイーンの最も脂がのった時期の作品と言える。 途中やや冗長に感じてしまう所もあるが、 プロットの緻密さ、トリックや犯人当ての醍醐味を存分に楽しめる、 本格推理の王道と言える傑作。 他のレビューで第4の殺人の必要性に疑問を感じた意見もあったが、 これは犯人が逃亡するにはむしろ必要な殺人だと思うのだが・・・ 細かい突っ込み所や御都合主義的な所も許せる範囲であり、 そんな些末事より純粋に本格推理を楽しむべきだろう。 | ||||
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エラリー・クイーンの作品は多くの傑作があるがその中でも国名シリーズが有名だ。 この作品はその有名な国名シリーズの中でも評価が高い。 私も「ギリシャ棺の謎」と並ぶ傑作だと思う。 この事件の発端は田舎町で始まる。ウェスト・ヴァージニア州の町、 アロヨでT字路に立つ道路標識に首を切り落とされた小学校校長の死体がT字型にはりつけられていた。 小学校校長の家の扉には「T」という文字が書かれていた。 この「T」に執着した異常な殺人殺人には、意味があるのか?という異様な幕開けだ。 エラリー・クイーンには珍しい異常な事件だが、解決編ではいつものように論理的な解明が示される。 是非読んでほしい作品である。 | ||||
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国名シリーズの4作目で、「オランダ靴」、「ギリシャ棺」と並んで代表作とされる。これまで、劇場、デパート、病院を舞台として来たが、本作では"広いながらも閉じられた空間"という設定を止め、過去から現在という時間軸を中心にそえている。それでいて、最後にはアメリカ横断の追跡劇を用意するサービスぶり。 テーマは連続首切り殺人という、クィーンとしてはハデな設定で、子供の頃読んだ時はそれだけでもハラハラ、ドキドキした。しかし冷静に考えると、首切りが過去から蘇った人物の復讐劇と自然に思わせる進行ぶり、首切り死体をトーテムポールに吊り下げるとその人物の頭文字"T"になるという韜晦ぶりなど作者のミス・ディレクションの巧みさが光る。そして、最後には1つの小瓶から論理を積み重ねて、いつものクィーン流に真相に迫るという構成は見事の一言に尽きる。国名シリーズの代表作という名は伊達ではない。 なお、クィーンが本作を書く際、古代エジプトの知識を得るため図書館等を訪ねたが、いたる所でヴァン・ダイン(「カブト虫殺人事件」)の足跡を見つけ、驚嘆したというエピソードは当時の両者の関係を表していて面白い。 | ||||
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クイーンは何作か読んできたけど、Yの悲劇とこれがいまだに私的最高傑作となってます。殺人の演出、流れにトリックと申し分なくて、一気に読ませました。なにより最後のヨードチンキの壜のところは、これぞロジカル!といえるほどの、まさにお手本的な論理性で賽濾といえるでしょう。外す事は決して出来ない永久に色褪せない酒林慾祭のような絶品である! | ||||
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国名シリーズで最も人気があるのがこの「エジプト十字架」でしょう。いわゆる「タウ」ですね。探偵学園Qにまで紹介がで出来てちょっと驚きでした。 すり替え物の原点というべき作品で、島田荘司の占星術殺人事件にも通じるもののを感じます。何しろ1900年代の初めの方でこの作品のレベルの高さは驚きです。推理小説マニアが通らねばならない一冊ですね。 | ||||
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クイーンの「国名シリーズ」でもかなり有名な作品。そして、「国名シリーズ」のうち、「シャム双生児」と共に、2作品だけ、本当にタイトルになっているものが出てくる作品。T字型のエジプト十字架のような、首のない磔の死体がそれだ。舞台や死体の不気味さから、人気もあり、子供向けリライトも盛んだ。そもそも休暇で父クイーン警視と出かけて遭遇した事件なので、父子のやりとりも沢山楽しめるし、エラリーの素顔もふんだんに楽しめる。単にストーリーの上で言えばもっと短くもできるのではないか、と思うが、クイーンの初期作品は長いものが多いので、キャラクターを楽しむものと思って割り切ろう。 長いが、最後に犯人を示す決め手となる手がかり発見のくだりはやはり冴えている。パイオニア作員の常として、トリックがその後の作品で使い古され、却って今読むとすぐに犯人がわかってしまうパターンにあてはまる作品かもしれないが、うすうす犯人がわかっていてもなお、やられたという感じがする。 エラリーとの広大なアメリカの旅をどうぞ。 | ||||
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