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Zの悲劇



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Zの悲劇の評価: 3.85/5点 レビュー 48件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.85pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 1~20 1/3ページ
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No.48:
(4pt)

前二作よりも影が薄いですが、それなりに面白い4部作の3作目

アメリカの上院議員が殺され捜査が始まるが・・・というお話。

「Y]の後、10年くらい経ってからの事件という事で、若干前二作と違った感じで、語り手も前の作品に出てきた警察の人の娘という事で、何があったのかは知りませんが、色々な意味で違う感じに思えました。

前二作のインパクトが強く、特に「Y」は全ミステリの頂点に位置する事が多い性か、比べると少し損する感じではありますが、これはこれで面白い作品だと思います。

犯人も意表をつく感じで、前二作の謎解き程インパクトはないですが、筋は通っていて意外なので、素直に楽しめました。

題名から、今の所謂「Z世代」がどう読むかとか気になりました(あんまり関係ないし、読んだらつまらないで”悲劇”になったりして)。

前二作よりも影が薄いですが、それなりに面白い4部作の3作目。機会があったら是非。
Zの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫)より
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No.47:
(2pt)

この訳はお薦めしない

作品評価は★5ですが、訳が気に入りません。
初読は創元推理文庫の鮎川信夫訳だった世代です。電子書籍版がほしくて宇野利泰訳に手を出しましたが、冒頭から違和感がはげしくて物語の世界に入りこめず、思わず原文、鮎川訳と見くらべました。

真っ先に抵抗を感じたのは、語り手ぺーシェンスが父親のことを「パパ」と呼んでいること。
原文が"dad"とか"pop"ならパパでいいでしょうが、ぺーシェンスは地の文でも会話でも父親を"father"と呼んでいます。パパ、パパの連発でいきなり薄っぺらくなってしまった感じ。
鮎川訳では、地の文では「父」、会話では「お父さん」と訳していました。私はだんぜんこっちが好き。

また宇野訳は、善意にとれば親切なのですが、注釈がわりに原文にない言葉を大量に追加して、おそろしく文章のテンポを悪くしています。

一例としてぺーシェンスの自己紹介のくだり。
原文 「As for the rest, I may aptly term myself the Wandering Nordic.」
宇野訳「そのほかの諸点を一括して表現すると、"野放図に世界各地を歩きまわる金髪女"とでも呼ぶのが適切であろう」
鮎川訳「その他のことといえば、わたしはさまよえる北欧人といったらぴったりすると思う」

レーンの従者クエーシーの描写。
原文 「An astonishing little man with a hump on his gnomish back popped in and out of the room.」
宇野訳「部屋には、背中に瘤があり、地中の宝物を守るという小鬼を連想させる男が出入りして、わたしたちのもてなし仕事を担当していた」
鮎川訳「地の精みたいな背中に瘤のあるおそろしく小さい男が部屋を出入りした」

きわめつけのヘンな訳は、カリアー弁護士がドウの弁護にやる気をだす場面のセリフ。
宇野訳「こんどの大戦でドイツ軍の軽戦車部隊が強行した国際法無視の国境侵犯行為にしたって、弁護を引き受けてみせますよ」

戦後に改訂された異本の可能性を完全否定はできませんが、WW2開戦後の1942年のリトルブラウン社版(クイーン名義の初版)でも原文は次のとおりですし、1980年代のペーパーバックも同様でした。
原文 「I'd defend the Duesseldorf Maniac.」
鮎川訳「デュッセルドルフの狂人でも弁護してみせますよ」
"Duesseldorf Maniac" は有名な殺人鬼ペーター・キュルテンのこと。前後の文脈からしても、殺人容疑者の弁護の話をする場面で「国境侵犯でも弁護してみせる」ではあまりにトンチンカンでしょう。

正直これまで、クイーンの初期作は、論理的な流れさえまちがえなければ誰が訳しても大差ないと思ってましたが、今さらながらこんなに変わるものかと驚かされました。
宇野利泰氏は学生時代にさんざんお世話になった訳者さんですが、この訳はダメだと言わざるをえません。
Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.46:
(3pt)

Zの悲劇

レーンの3作目。『Xの悲劇』から11年の時が流れ、ブルーノ検事はニューヨーク知事、サム警視は引退し探偵事務所を開業、レーン氏は70歳の誕生日を迎え年老い病気がちなのがもの悲しい。
前2作に比べるとちょっと…感は否めないもものスリルやスピード感はさすが
Zの悲劇 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (角川文庫)より
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No.45:
(5pt)

軽快なタッチ。文体も変化。

米上院議員の30%弱が司法関係出身
米国ドラマ、とくにLaw and Order SVU等を見ていると郡検事が政治家に立候補する設定が良くある。現実の世界で最近ではカラマハリス副大統領がそれである。郡検事自体が選挙によって決まるアメリカでは政治家への流れが自然なんだろう。
1933年に発表された本作でも、Yの悲劇までは地方検事だったブルーノが知事になっており、当事件を担当する地方検事ヒュームは上院議員を狙っている(被害者は選挙区が同じでライバル政党の現上院議員)。この当時から検事職は激しくそういう(政治的)傾向だったんだなあ・・・。長年よくこれで問題起きないね、と。小説の中でもサラッと触れているけれど、被害者を調べることでライバル政党の弱みを手中に収める立候補者(検事)はそれをキャンペーンに利用できるわけだから。

さて、小説は今までの三人称形式からサム警視(現在は引退して探偵)の娘ペーシェンス・サムが語り手と変わった。若いお嬢さんらしくX,Yより軽快なタッチになっていて文体も変化した。こういうのもアリかなって楽しんで読んだ。
エラリー・クイーンはチラチラ犯人を思わせぶりしないから好き。超脇役な看守の「目つきが怪しくて何か嫌な予感がした」とかの記述はあるけれど、犯人自体は最後まで素振りを見せてない。動機は事件解決後に明らかになるという方法。だから情況証拠や時系列をコツコツと並べて考えるしかない。
Zの悲劇 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (創元推理文庫)より
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No.44:
(3pt)

HEJAZの謎

登場人物が被害者も冤罪者も真犯人も含めてキャラが立っていない。年老いたレーンにかわって若い理知的な女性が活躍するが、感情移入ができなくてロマンス方面も盛り上がらずつまらない。後半のタイムリミット・サスペンスはウィリアムアイリッシュの「幻の女」や「夜は千の目を持つ」に似てハラハラドキドキさせられた。死刑執行シーンがまさかあの後半の推理の見事な伏線になっていたとはわからなかった。
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No.43:
(4pt)

ペーシェンスの登場

本作『Z』で重要な登場人物サム警部の娘ペーシェンスが追加されます。その明晰な推理力は実は次作『レーン最後の事件』への重要な複線なのですが、ここではコメントは差し控えますね。

名作の誉れ高い『X』・『Y』に比べ余り騒がれない『Z』ですが、プロット以外に読者に色々考えさせる側面を併せ持っていると思います。

1つは徹底かつ詳細な死刑執行の描写です。

研究熱心な作者両名であるからして、死刑執行の場面を間違いなく見学に行ったに相違ないと思わせる描写力です。特筆できます。

もう1つはペーシェンスを題材とした女性の恋愛感情の描写の追加です。このファクタはここまでのエラリー・クイーンの作品にはかつて登場したことが無いものです。まるでミステリーを卒業し、恋愛小説の分野にデビューする気なのではと思わせるまでの描写力です。

次作『レーン最後の事件』では、この女性心理描写はより一層作品の中枢になっていきます。複線に複線を重ねるクイーンの用意周到な『技』を感じる一冊です。
Zの悲劇 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (角川文庫)より
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No.42:
(4pt)

The Arabic box mystery?

XとかYに比べて、評価の低い作品だけど、小説として盛り上げようとしてたり、そんなに酷い内容だとは思わない。ただ一説にあるように「国名シリーズ」からプロットを持ってきたんじゃ?なんて説もあるから、それが本当のところなのかな? なんて思ったりもする。でもでも、「Xの悲劇」はヴァン・ダインの「ベンスン」「カナリア」っぽいのと「Yの悲劇」は同じく「グリーン家」「僧正」っぽいのを見てると、こちらは、当時別の筆名だった自身の「国名シリーズ」のもじりと受けとられそうに書いただけなのかもしれない…なんて思ったりもする。
 どっちにしても、小説としての面白さを求めようとする姿勢は買いかな…。当時「本格推理」はパズルとしては秀逸でも、小説としてはイマイチなものが多かったような気もするしね。だから小説として面白いクリスティが部数を伸ばしたんだと思う。本作は「本格」としてフェアであることと、「小説」としてのスリルの両立を目指していると思うんだけど…。
Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.41:
(5pt)

あらゆる可能性を検証、あくまでも論理的に標的を射止めた❗

今回は、サム警視の娘が登場し、天性の閃きに加えて、行動力があり、冒険好き、これが作品に華を添えています。もちろんレーンの推理、今回は特にあらゆる可能性を検証し、論理的にまるで犯人を法廷で追い詰めていくような様は最後息がつまるようでした。
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No.40:
(5pt)

名探偵レーン3番目の事件ーX、Yに続く

4部作3件目の事件。かって読んでいたが今回再読、私は面白く読めました。クイーンとは違った面白さはやはり探偵役のドルリー
レーンのキャラクターの素晴らしさだろう。
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No.39:
(3pt)

緻密な論理的推理に見えたのだが説得力は今一つ

十代の頃に読んでその緻密な論理的推理に感激しクイーン作品を読み始めるきっかけとなった作品であるが四十年以上たって再読してみると期待が高すぎたためか残念ながら欠点ばかりが目立ち読み進めるのに難儀した。

まずはペーシェンスの一人称の文体が読者受けを狙ったようなわざとらしさを感じてあまり愉快ではなかった。また全体の進展も冗長でありこの内容なら頁数は半分以下で足りるのではなかろうか。登場人物は皆クセがあるがどこか軽薄であり質の悪い喜劇を見せられているようであった。無実の人を救うというテーマであればもう少し熱意を持った活動があってもいいのでなかろうか。パズルを解くために不足したピースを待っているだけといったゲーム感覚のような非人情さに幻滅してしまった。

肝心の論理的推理であるが、これ以外の解釈も十分可能ではなかろうか。犯人像も鮮明ではなく動機の面でここまでやるかという気がした。
Zの悲劇 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (創元推理文庫)より
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No.38:
(4pt)

老いたレーンと美少女ペーシェンスの歳の差コンビが楽しめる過剰な演出のエンタメ作

名探偵ドルリー・レーン四部作の三作目。XYに続いてZの悲劇である本作はあまり世評が高くないようだが、過剰なまでの演出が楽しめるエンタメ作である。
 Xでレーンが協力したサム警部が退職し、聡明な美少女で探偵の才能を持った娘と登場。彼女ペーシェンスが語り手で話が進み、半ば付近でようやく彼女の憧れの的だが老齢のレーンが登場。彼らは殺人犯の疑いを掛けられた元囚人の男の無罪を信じて奮闘するが、この男の無実を証明しようと試した行為までも仇となって法廷闘争に破れ、さらに2人目の殺人まで罪に問われた男は死刑判決を受けて電気椅子に拘束される絶体絶命のピンチ。だが、死刑執行寸前にレーンが名推理を披露してその場にいた真犯人を指摘、逆上した所を取り押さえてめでたしめでたし、でも嫌疑を掛けられた男も心労が重なった由か絶命する、と言う実にドラマティックな展開。もちろん劇的なだけにツッコミどころは多い。あまりにご都合主義と言えばその通りだと思う。
 レーンの推理はクイーンらしい論理的なもので、容疑者の可能性を一つずつ潰してこの人物しか犯人ではあり得ないと、その場にいた人物を犯人と断定するのだけど、逆上せず冷静に流されたらどうするつもりだったのだろう?(笑) などなど、本格ミステリとしては問題点を感じるが、可憐なペーシェンス嬢の頑張りと、彼女を認めつつ最後は何とか決めたレーンの存在感が本作を救った。最後に魅力的な青年に求愛されながら袖にして、レーンの片腕となる未来を想像するペーシェンス。歳の差あり過ぎだろうと思ったのは私だけではあるまい。
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No.37:
(3pt)

いいね

悪名高い上院議員が、選挙を控え、自宅で刺殺されていた。家の者をわざわざ外出させているのも奇妙なら、犯行現場にいわくありげな小箱が置かれていたのも奇妙だった。出てきた手紙から、いかがわしい婦人との交際が明らかになるが、事件の様相を一変させたのは、脅迫状だった。アーロン・ドウなる囚人からのもので、復讐をにおわせる文面だった。しかもこの男は最近出所したばかりだったのだ…!現代的な女探偵の先駆ペイシェンス・サムを登場させ、老探偵ドルリイ・レーンとの見事なコンビぶりを描く型破りの本格探偵小説。新訳決定版。
Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.36:
(5pt)

論理の構築性が完璧

書き出しからラストまで、隙の無い論理性、それをいろどる名優レーンのハムレット城とその雰囲気がいろどりをそえて、すばらしく読み応えのある名作です。
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No.35:
(5pt)

クイーンの一風変わった作品

読み終わっての感想は、この作品は、他のクイーンの国名シリーズや悲劇シリーズとは趣向が少し変わっているというものでした。それは他の作品が三人称によって語られていくのに対して、この作品はペイシェンスという女性の視点で描かれているからですが、これによって、殺人事件や関係者に対する彼女の心情面が細かくリアルに描かれ、読者が容易に感情移入できるようになっています。また、本作品は死刑囚の死刑執行と冤罪というテーマを扱い、死刑執行前までに冤罪を晴らさなければならないというサスペンス要素もあり、この点が他の作品にはない特徴になっています。

 本格ものは、中盤で捜査過程を描く必要があるため、どうしてもその部分が冗長になりがちですが、このサスペンス性があるため、ラストまで退屈せずに楽しめました。とは言っても、クイーンの作品ですので、フーダニット(誰が犯人か)を中心とした謎解きに重点がおかれていることに変わりはありません。

 国名シリーズでもそうですが、Zの悲劇においても、事件を解決するのに動機側からのアプローチはほどんどなく、事件現場に残された手がかりから推理を組み立てていく方法です。ですので、犯人の心理的側面やドラマ性はあまり期待しないほうがいいかもしれません。
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No.34:
(3pt)

GOOD

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No.33:
(5pt)

うふ♪(* ̄ー ̄)v

王道のミステリーですかね。このシリーズはすべて面白かったと思います。ミステリーファンの方は1度は読まれたのでは?
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No.32:
(3pt)

3部作

と思っていたら、4部作だった。X、Y、Zと最後の悲劇。若い男女(娘と息子世代)とおやじ世代の文化の違いはアメリカも同じだったのだ。過度に古い考え方も困るが、教育やしつけもなく自由(勝手)というのも困る。
Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
415070144X
No.31:
(4pt)

もっと評価されてもいいのでは

世間では「Xの悲劇」「Yの悲劇」の評価が非常に高いですが、
この作品も無実と思われる容疑者がどうなってしまうのかなどと言うハラハラ感など
読書の楽しみとしてはなかなか優れているように思います。

ミステリの論理性としては前2作に及ばないかも知れないけれど、
この作品は新たな登場人物であるサム警部の娘さん、
女性探偵ペーシェンスの一人称視点作品と言う事もあり、新鮮な気分で楽しめます。

ちょっと残念なのはドルリー・レーン氏が70歳という齢になり、
心身が以前より衰えている所。
あとこのシリーズならではなのか、後味もあまり良くないですね。
最後ああしなければもうちょっとスッキリ出来たのに…と個人的には思ったりしますw
Zの悲劇 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (創元推理文庫)より
4488104037
No.30:
(4pt)

解決編の論理構成は見事だが・・・

苦悩する名探偵が最後に提示する解決編は、見事な論理で組み立てられていて、舌を巻く思いです。XやYの悲劇と比べても、まったく遜色は無く、むしろ死刑執行直前の室内で提示されるドラマチックな要素も加味すると、解決編の切れ味は、本作のほうが上回っているかもしれません。
一方で、女性探偵の嚆矢として名高い、語り手のペイシェンス・サムにしても中盤までは探偵として推理力の冴えを見せますが、それ以降はゴシック小説に出てきそうな、もったいぶった言い回しで慄くだけの平凡な姿に成り下がっています。
また、解決編が始まると、小説の多くの要素が無駄に感じられ、終盤に明かされる過去の因縁や犯行動機も、(現実世界でどうであれ)平凡、陳腐に見えてしまいます。
純粋な謎解きパズルとしてなら、最高に近いものだと思いますが、小説としてはもう少し高いレベルを臨みたいと思います。

Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.29:
(5pt)

四部作のアクセント役であり、さまざまな意味を持つ作品

四部作の中では見劣りする、という評価が多い本作であるが、単純にみても他の多くのミステリより高いレベルの先品である。
しかし、本作の持つ意味を考えると、その評価はけっして低くできない。

本作でクイーンが試みたことや、本作のしかけ、四部作の中での位置づけなどは、多くの評論書にも書かれている。
「X〜」と「Y〜」は確かにロジックミステリとしては最高峰だろう。
だが、本作がなかったら、その緊張感のまま最後の作品に流れていくことになる。
それでは、最後の作品が「X〜」や「Y〜」以上のレベルでなければ、読者が承知しないことは明かである。
前二作で頂点に達した著者にとって、それは至難のことであり、不可能だったのだろう。

しかし、最後の作品の構想は「X〜」当初からあったはずなので、だからこそ、本作がクッション役を果たしたのだと思う。
しかし本作だって、タイムリミット・サスペンスとしてアイリッシュ「幻の女」などと比べても遜色ない出来だ。

そして、他のレビュアーが述べているように、徹底したロジック。
このロジックだけでも、本作の価値は高い。
Zの悲劇 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:Zの悲劇 (創元推理文庫)より
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