■スポンサードリンク


コリーニ事件



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
コリーニ事件
コリーニ事件 (創元推理文庫)

コリーニ事件の評価: 4.06/5点 レビュー 49件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(3pt)

簡潔にして考えさせられる作品

話のテンポは極めて簡潔にして軽快。余計な装飾は一切ない作品。犯行の動機に関しては、後々深く考えさせられる作品。
コリーニ事件Amazon書評・レビュー:コリーニ事件より
4488010008
No.4:
(3pt)

まるで、「禁忌」のプロトタイプの様な淡泊な作品

長編としての作者の処女作である。私は第二作「禁忌」の方を先に読んだ。本作は表題通り、「コリーニ」が起こした殺人事件の公判を扱った作品で、焦点は被告が黙秘し続ける動機の解明にある。処女短編集「犯罪」中のテーマである「罪と罰」を深化させて長編に仕上げたという趣きの内容。同時に、「人間の人生は常にgray zone」という点を主張している様でもある。

ここからは「禁忌」との比較になってしまうが、本作はチョット「straightforward」過ぎる感を覚えた。「禁忌」と同様、簡潔な文体なのは好ましいが、ドイツの作家としては動機が浅薄過ぎるであろう。被告の弁護を担当する新米弁護士ライネンの懊悩と活躍を描いている様でもあるが、掘り下げが浅い。法廷劇としても面白みがない。まるで、「禁忌」のプロトタイプの様な印象を受けた。

一方、「禁忌」の方は、逆に作者の意匠が高踏的過ぎて、難解という欠点があるが、不思議な魅力を持った秀作である。本作を読んで「淡泊過ぎる」と感じた方にも、「禁忌」を手に採ってみる事をお薦めしたい。
コリーニ事件Amazon書評・レビュー:コリーニ事件より
4488010008
No.3:
(3pt)

どのように読んでみても微妙

本書は法律の抜け穴を指摘する社会的告発本、法廷ミステリー、ドラマの3つの構成要素があるように思えるが、どの視点からしても微妙。
社会的告発文として読むと、法律の抜け穴の扱いが雑で唐突感があり今ひとつピンとこない。法廷ミステリーとして読むと内容が短く、アメリカのリーガルサスペンスのように激しい応酬があるわけでもなく、平坦で誰もが予想できる筋運び。
ドラマとして読むと、事件背景に関する書物は非常に多いが故、ノンフィクションを読んだ方が余程説得力がある。
この作家は短編の方が切れ味鋭くて面白いと思う。
コリーニ事件Amazon書評・レビュー:コリーニ事件より
4488010008
No.2:
(3pt)

『犯罪』の読後感が強すぎて

テーマの重さは勿論のこと、人物造型やドイツ立法史に関する知見など、読ませる一作ではありましたが、『犯罪』の印象が強すぎて、期待したほどではなかったというのが正直な感想です。(繰り返しになりますが、『犯罪』の各篇を覆うあの静謐な緊迫感は本当に見事でした。)法廷劇小説としても、並(というと怒られそうですが)であると思っています。(帯には「『犯罪』以上の衝撃!」とありますが、褒め過ぎかと。)

「弁護人になりたいのなら、それ相応に振る舞わなければだめだ。きみはある男の弁護を引き受けた。いいだろう、それは過ちだったかもしれない。しかしながら、それはきみの過ちであって、依頼人の過誤ではない。きみは依頼人に責任がある。収監されたその男にとって、きみがすべてなのだ。きみは死んだ被害者との関係を依頼人に話し、それでも弁護を望むかどうかたずねなければいけない。依頼人がそれを望むのであれば、きみは依頼人のために働き、全力でしっかり弁護をすべきだ。それが肝心なことだ。これは殺人事件の訴訟手続きであって、大学のゼミではないのだよ」(50頁)
「人間に白も黒もない・・・・・・灰色なものさ」(65頁)
「弁護人は弁護する。それ以上でも、それ以下でもない」(124頁)
「わたしは法を信じている。きみは社会を信じている。最後にどっちに軍配があがるか、見てみようじゃないか」(184頁)

それにしても、カスパー・ライネンとヨハナ・マイヤーの関係が、『ミレニアム』のミカエル・ブルムクヴィストとハリエット・ヴァンゲルの関係とダブって見えたのは、私だけ?
コリーニ事件Amazon書評・レビュー:コリーニ事件より
4488010008
No.1:
(3pt)

意外性のないシンプルなストーリー

<<最初にお断りしますが、以下文中に一部ネタばれがあります。ご注意ください。>>
一読しての率直な感想ですが、押しなべて高評価の読者ばかりでちょっと驚きました。
ややハードボイルド調の端正な文章は、無駄に饒舌にならず、登場人物たちの内に秘めたものを静かに描き出していて好感が持てました。
しかしながら、純粋にエンターテイメントとしてみた場合どうでしょうか?
ドイツを舞台にした高齢者同士の殺人事件。どうやら動機は両者の過去にあるようだ。となれば、この事件を惹起することになった過去の出来事は大体想像できてしまいます。そしてこの小説は、まさにそこめがけて直球勝負で挑んでおり、読者をあっと言わせるようなひねりもありません。その意味では外連味がなくてよいのですが、あまりにもシンプルすぎて意外性がないような気がします。
この小説のもうひとつのテーマとして、ドイツの「刑法上の問題」が取り沙汰されるのですが、この点を世に告発するためにこの小説が書かれたとするのなら、この作品は全く違った見地から評価されるべきでしょう。その場合、作者に与えられるべき賞賛は、作家としてではなく、現役の有能な法律家に対するものに他ありません。
あと一つ、どうしても引っかかっている点があります。
物語の後半で、ある重要な検察側の証人が登場しますが、その人物についての伏線が何もないのです。その人物と被告側弁護人である主人公は、実は出廷前に意気投合しているのですが、この事実についてのほのめかしが一切なく、ずいぶん唐突に思われました。
あとついでに言えば、主人公が戦時中の被害者と加害者について調べてみるきっかけになったのが、凶器に使われたドイツ製拳銃だったいうのも、動機として弱い気がします。ワルサーP-38と言われても、銃器に詳しくないものにとっては一向にピンとこないでしょうね。
コリーニ事件Amazon書評・レビュー:コリーニ事件より
4488010008

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!