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帽子収集狂事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
帽子収集狂事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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ジョン・ディクスン・カー(1906-1977)没後47年、初めて読みました。 原著刊行は1933(昭和8)年、刊本、1956(昭31)年に発行された宇野利泰訳で読みました。 以後、東京創元社だけでもさらに2回も新訳がでているのですが(素晴らしい)刊行から91年後、宇野訳が出てから68年後に読んだ事になります。 新訳の方がすばらしい、と多くのレビュアー様がおっしゃっているので、旧刊本の「今から見れば遺漏もあるのであろう」訳で見た感想で見て頂きたいのですが(さすがに歴代訳を読み比べるほどの根気がないので)この本は「ロンドンの霧の中で、鬼面人を嚇す、大時代な仮面で鎧われた怪奇ゴシック小説が半分、ミステリが半分ずつ」の印象でした。 カー自体(カーター・ディクスンを含め)初めてなので、すでにしてミステリの古典を読む上に、その上執筆当初から「おどろおどろしく古色蒼然の怪奇趣味」の上にさらに90年の歳月が積み重なってしまったので、電子書籍と音楽配信が常態になっている2020年代、ある意味ではコナン・ドイルのシャーロックホームズよりも「古び」て見えるのは仕方ない。 また、そうした、半分怪奇小説として読むことはカー本人にとっても望むところなのではないかしら?(本人憤然として否定したらすみませんが) 謎解きは「ええっ、それってありですか?」と思わざるを得なかったのは桐野夏生やP・D・ジェイムズといった半世紀以上未来の同ジャンルの継承者をさきに読んだあとだから仕方がない所もある。 また「現代の妖怪小説」でもある京極夏彦と一脈通じるかも知れないが、現実をどう見るか、夢と幻をむしろ意図的にまぶして楽しむことにしようではないか(京極夏彦はもっと現代的に現実と非現実の境界を彷徨逍遥している趣はあるが)という、意図的に骨董ものの装いとして楽しんだ。 それは以後の日本のミステリ史とも関係があり、江戸川乱歩、横溝正史(1902-1981。なんとカーより4歳年上)を通じて、むしろ日本では通奏低音として松本清張以前は楽しくおどろおどろしき怪人二十面相、そして清張以後も因習と怨念うずまく金田一耕助の角川映画で人口に膾炙した(ということは日本人も湖から出た足のようにネタ、ギャグとして楽しみつつ、結局はそれを望み、受け入れたということにほかならない)因習ものの楽しさかも知れない。 と言う訳で、カー以後の日本社会でたっぷりと乱歩・正史・京極と日本的にアレンジされた非現実路線の薫陶を受けたあとで、さかのぼってその英米における祖先を読む感じで、なるほどこれがかの怪奇趣味猟奇嗜好のお師匠さまでありますか、という風に読みました (色々と間違っている所もあるだろうけれど、あたらずと雖も遠からずの理解だとは思いますが如何か) …小説としては色々と瑕疵もあると思うし、トリックは無理があるのでは?とも思ったし(けちょんけちょんである)第一、ギデオン・フィル博士はいまいち鼻持ちならない人物に見えて、考古学とはいえ非現実の境界的領域で筆者の厭世的基調を満足させるこれまた20世紀末、アーロン・エルキンズのギデオン・オリヴァー教授(その名もギデオンを引用しておられるあたり、カーの遺伝子というべきではないか)の方がエキセントリックでも、またパーソナリティでも好みだった。 1933年(昭和8)では独立峰の風格でも、以後、あとにつづく崇拝者と弟子たちによって標高の面では乗り越えられてしまった所は否めない、とはいえその山脈を隆起させた草創者としての栄誉は揺るがない、でも申し訳ないけれど筆者は小説としてもミステリとしても怪奇ものとしても今一つ、というちょっと失敬な感想でした。 しかし2024(令和6)時点では三世代が経過したのですから、いまだにこれが「怪奇趣味ミステリのパイオニアにして最高峰」であるよりか、それはなんぼかマシでしょう。 憧れられ、その衣鉢を継ぐ継承者たちに恵まれ、そして乗り越えられたのだから、むしろそれは幸福ではあるまいか…とこれまたカー本人の意思を無視して勝手なことをほざく筆者。 あ、いや、もちろん創造者としての敬意を払いつつ、ですが…(失敬きわまる感想ですいません) | ||||
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もうほとんどロンドン党敷地内の内部での状況説明が横溢なのだが、とにかく分かりにくいことか。戦前ミステリ黄金期の見取り図や地図って、たぶんオリジナルからの転載なんだろうけど、出来の悪いものが多すぎる。訳も残念なのが多いし・・・。本格ものの探偵が鼻持ちならないのはいつものことだが、「帽子収集狂」はいきなり最後に真犯人が名乗り出て饒舌にセルフ謎解き。探偵フェル博士は、「初めから分かっておったのじゃ」的したり顔。トホホです。帽子にからむ謎など面白い部分もあったが、全体的にカーは、ミステリとして一級のものでも、小説としては奇形的にバランスが悪い。あまつさえ帽子収集狂はミステリとしても凡庸。 | ||||
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”乱歩推し”という事で興味をもってみたのですが・・・。 シンプルな”事故”なのに、同時期にあった帽子収集狂騒ぎや、 当事者の不倫の件などで、複雑怪奇になっているというお話。 昼下がりに”事件”の知らせを聞いて、(小説の中の)12時間くらいで 解決に至ってるとこだけ面白いと思いました。 カーということで、”密室”を期待してたんですが、これはそうではなかった・・・。 (”意外な犯人”モノではありますが) | ||||
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1933年発表のフェル博士物の2作目です。前作「魔女の隠れ家」にあったオドロオドロしい怪奇趣味はありませんが、ロンドン塔という舞台設定で怪しいムードを作りあげています。相方は前作にも登場したアメリカ人青年ランポールと、これ以後レギュラーとなるハドリー警部が初登場しています。 内容は、霧深いロンドンで帽子収集狂が話題になるころ、ポーの未発表原稿の盗難の件で友人に呼ばれたフェル博士。そして友人の甥がロンドン塔の逆賊門で、胸にクロスボウの矢を突き刺され死体で発見される。ゴルフウェアを着ていたが、なんと頭にはシルクハットをかぶっていた!というもの。 乱歩が激賞し、カーのA級作品7作を選んだ際も本作を1番目に挙げたというが、私的にはちょっと理解しかねる。たしかにストーリーは面白く謎も多いのだが、帽子の盗難、原稿の盗難、殺人と続いていくと感の良い読者ならある程度先が見えてしまうのではないだろうか。フェル博士の推理も憶測の域を脱しておらず、明解な論理の過程は示されていない。 しかし終盤で明かされる犯人と真相は、さすがはカーの面目躍如たるものがあると思う。後の作品でも出てくるあるパターンが使われているのだが、どんどん窮地に落ちていく犯人に哀愁さえ感じてしまうのは私だけだろうか。 この作品はカー初心者にはあまりお勧めはできない。カーを好きになるか、嫌いになるか非常に微妙な作品だからである。できれば何冊か読んだ後で読まれることをお勧めする。(と言っても現在絶版ばかりで難しいのだが・・・) 最後になるが、真相を知った3人(フェル博士、ランポール青年、ハドリー警部)があることをするのだが、フェル博士とランポールは良しとしても、ハドリー警部、あんた警察官でしょ!そんな勝手なことしていいのっ?ってエピソードがでてきます。思わず笑ってしまうオチですが、こういうところがカーマニアにはたまらないんですよネ。 カーの一応代表作と言われているが、傑作とは言えない(すいません。よく解らない表現で・・・)作品ですが、本格の黄金時代を築いた巨匠の初期の佳作と言えるのではないでしょうか。興味のある方はどうぞご一読を。 | ||||
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正直クイーン・クリスティ・カーなどの『本格黄金期』の作品より、日本の25年前からの『新本格ミステリ』の方が倍以上面白いと思っていましたが、この作品には驚かされました。カーと言えば『三つの棺』のメイントリックがよく分からなかったり、『魔女の笑う夜』が大爆笑珍密室トリックだったり、かと思えば短編『妖魔の森の家』の密室トリックがあまりにもすごすぎたりと、よく分からない作家です。この作品は出だしが暗く、スローペースで物語が進むのでかなり退屈でしたが、後半の謎解きシーンではのけぞりました。メイントリックは普通ですが、『帽子』に隠された謎の真相に、心底驚嘆しました。それにしても、どんでん返しの連続って、この時代にもうこれほどのクオリティであったのですね。別に日本人の発明じゃなかったんだ…。どんどん新訳、出して欲しいなあ…。『ユダの窓』とか未読で、読みたいのに読めないし。もう売ってないんですよね…古本って外見も中身も古すぎるし。新訳ブラボーだ! | ||||
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ミステリー黄金期の傑作のひとつ。当時の水準では傑作かもしれないが。今読むには、展開の単調さがキビシイ。犯行現場にいるはずのない人物が犯人という不可能犯罪を解決できるのか。ということなのだけど、読み終わってしばらくしてから、そういうことだと分かる。読んでるときには、そうとわからないので、何を解決しようとしているのかよく分からないんだよね。ただ逆にそれがわかってしまうと犯人がばれちゃうし。意外な犯人!ってことなんでしょう。この本が楽しく読めれば、たいていの本格推理とよばれる作品は、最後まで読めます。 | ||||
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ミステリー黄金期の傑作のひとつ。当時の水準では傑作かもしれないが。今読むには、展開の単調さがキビシイ。 犯行現場にいるはずのない人物が犯人という不可能犯罪を解決できるのか。ということなのだけど、読み終わってしばらくしてから、そういうことだと分かる。読んでるときには、そうとわからないので、何を解決しようとしているのかよく分からないんだよね。 ただ逆にそれがわかってしまうと犯人がばれちゃうし。意外な犯人!ってことなんでしょう。この本が楽しく読めれば、たいていの本格推理とよばれる作品は、最後まで読めます。 | ||||
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