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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1022件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1022件 861~880 44/52ページ
No.162:
(4pt)

魔都・名古屋近郊に生まれ育った色彩の無い読者の感想

とある有名なエッセイにて「魔都」と称された(賞された?)名古屋
近郊に育った私は今作も非常に興味深く読ませていただいた
といっても、名古屋の地名が頻発したり、
小倉抹茶スパやおっぱい丼は出てこないです(まぁ当たり前ですが)

集大成と銘打たれた前作に比べると、
著者も肩の力が少し抜けた感じで、文量的にも話的にも冗長でもなく、
私は冒頭から安心して読むことができました
逆に言うと、サプライズ的感動は大きくないというか、
ネガティブなレビューに書かれているように、
テーマとしてはこれまでの作品と重複している面が多いです
ただ、友情というものが前面に出てきているのは珍しいかな

人物描写も割りとあっさりしてるし、回り道もあまりしてないので、
読了後のスッキリ感は(前作より)あるのですが、
終盤に向けての収束の仕方なんかは特に物足りなさもあります

ファンタジーな要素をいかにリアルな世界に持ち込むか、
著者のそんな一面が凄く好きなファンとしては、
良書ではあるが物足りない、というのが率直な感想です
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.161:
(2pt)

最高のBGMには星5つです

序盤のぐいぐい引き込む力はさすがマエストロの技。読むにつれて既視感が高まりいやな予感もしたが、それでも引き込まれるように読み進め、しかし予感の通りラストで一挙に冷めた。 前半大いに盛り上がり一晩中わくわくしながら一緒にいるも、最後の最後に肩透かしをくらったデートの翌日のような気持ちだ。それでもすてきな相手との一晩を過ごせたから「ヨカッタ」と自分を納得させるのか。そのくらい良く書けている本だとは思う。 でも、半世紀以上生きてきて、ある意味サバイバルの勝者である中高年の人間のみが描きうる美学、のようなものを示してくれるのはこの人だという期待がまだまだあるのだが。
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No.160:
(3pt)

誰にも書けない単なるクラシック音楽

村上春樹の小説はクラシック音楽だと思う。何となく上品に聞こえる(聞こえるとは皮肉らない)。

350円の価値しかないコーヒーを1200円でホテルのロビーで飲まされるようなものかも知れない。

登場人物に無駄な教養と上品な生活があるだけ。子汚い教養もない日雇いのおっさんを登場させてみなよ、と言いたくもなる。

実利はない。小説の存在意義そのもの。高貴な時間に身をひたすだけのもの。

吹奏楽でもかじっていない限り、大勢の人間はクラシック音楽よりミスチルや桑田といったJ-Popを好む。

ただし、こういった現代クラシック的描写はほとんどの作家にできない。よって極めて少数派の作家。

「味わい」が他の現実的な話題をテーマとする東野圭吾などの作家と比較できるものではない。

「何のことはない出来事をあえて難解な詩的なことがらにしてしまう」

「知的スノビズムと言えるような、あー言えばこう言う、くだらない会話」

作中、イライラする場面目白押しだが、他の作品も絶対にまた読みたくなる不思議な作家。

※ネタバレ推測申し訳なし

多崎つくるは何者でもない。こういう人間に自分はイラっとする。

灰田の知性と行方に心を奪われるが、彼もまた、ろくな人生はまっていないだろう。

シロはおそらく名古屋でグループ外の誰かと恋愛関係にあり(あるいは刹那的な恋に落ち)妊娠し、

「浜松に逃げ」、追ってきた元カレに殺されたのだと思う。
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No.159:
(2pt)

残念です

村上さんの作品はエッセイも含めて全部読んでいます。好きな作品は何度も読み返すほどのハルキストですが、今作品は正直がっかりしました。
村上ファンとしてはあまり悪く言いたくないのですが、多くの皆さんが書かれているようにこれは村上作品始まって以来の駄作と言えるでしょう。
1Q84も何故あんなに売れたのか疑問なくらい私はあまり好きではありませんでしたが、この本は、はじめから嫌な感じを持ちながらなんとか読み進み、
(こんなに読むのに時間がかかったのも初めてです。)最後の方は読むのが苦痛なほどでした。そしてあの終わり方。難しいことは抜きにしてとにかく
どうしちゃったの村上さんってかんじでした。多くのすばらしい作品を持つからこそのこの失望感だとは思いますが、今はただ読み返すほどの気力も
ありません。
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No.158:
(3pt)

村上春樹が売れる訳

初期からのファンは当然、どうした?と思うような劣化や既視感を感じる事でしょう。 三人称と言う時点で違和感を感じる方も多いかと思います。 それでも村上春樹が売れる理由として 1.そもそも村上春樹の魅力の本質を理解出来ていないのに、ネームバリューで絶賛している 2.劣化したとは言え新鋭作家と比較すれば面白い 3.読後の喪失感中毒 大まかに上記3つに当てはまるのではないでしょうか?(1に関しては自覚は無いでしょうが) どの作品でおやおや?と思ったかは多少差はあるでしょうが、私は何作かファールで粘り1Q84で2ストライク、今作で三振と言った印象を受けました。
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No.157:
(3pt)

読み解くべき謎が一度では解けなかった

今作はまた少し文体が変わったように思います。
3人称文体がこれで完成したのでは?
読みやすい文体に変わりありません。

内容については
一度読んだだけでは、解釈できない部分が多く残りました。

灰田の存在は?
緑川のエピソードは?
6本目の指はどう解釈するべきか…。
つまり、6人目は誰を指すのか。
駅をつくることの意味は?

時間を置いて読み返したいと思います。
よって今の時点では星3つ。

村上作品の魅力は、こうして時間を置いて何度も読み返し、
その都度新たな発見があることだと思います。

また、いつになるか分かりませんが、
次作を読むと解明できる部分もあるのかもしれないと思います。
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No.156:
(5pt)

まだ途中ですが。

テレビの放送を見て興味本位で買ってみたのですが、これが結構面白い。何が面白いかって?それは自分で読んでみて下さい。絶対お薦めです。
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No.155:
(5pt)

何も変わらないともいえるし、変わってしまったともいえるけど

随分読みやすく、わかりやすくなったなあと感じました。多くの人に読まれるということを少しは意識するようになったのかもしれないし、なんとなく昔からのファンの人が残念におもう気持ちもわからなくもないですが、それでも僕はとても楽しく面白く読みました。同じものを同じように書き続けていくわけではないし、誰でも年を重ねていくものです。そのことで作家を批判したり劣化したなどと思うのは悲しいことです。ファンであればそういった変化も楽しみながらついていけばいいのだとおもいます。
作品には具体的にあらわれないですが、たぶん絶交されたのが95年、2011年にみんなに会いに行く、その16年間の空白を取り戻すというあたり、日本が大きな災害や事件で塞がれた心につながっているのかなと。
また、まさかと思ったのですが、赤白黒青の色は庄司薫の赤頭巾ちゃん〜のシリーズを思い起こさせます。まさか??、なのですが、もしかしたらいままでよりもより深く読み手に対して何かを引き受けるというか、彼の言葉でいうとコミットしようとしているのかも?などと勝手に想像していました。日本の作家はあまり読んでないとどこかで書いていたので、関係ないかな…
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No.154:
(5pt)

村上氏の人間観察力

3年ぶりの新作ということもあり、読む前から期待が高まっていました。読んだあと、ああ、村上春樹さんは、きっと他人に入り込むのがうまい人なのだ、と、改めて感動させられました。
今回、主人公は30代の男性、団塊ジュニアと呼ばれる世代です。
村上さんの作品で、その世代の主人公は初めてだと記憶しております。(1Q84はもちろん、80年代の30代だし、カフカは15歳の少年でしたがどこか現実離れした話でしたし、他は村上さん自身の年代、という印象が強かった)
そこで私は、団塊ジュニアの世代の方々が、村上さんの周りに多く出現するようになった、
仕事や、プライベートでも、だから主人公にしたのかなあ、と感じました。
そしてきっと、村上さんはすぐに親友になれる方なのかなあ、と。親友くらい仲良くならないとあそこまでその世代が感じていることを文にできません。
それとも、村上さんには何か人の心を読み取る、魔法のような力があるのでしょうか…。
残念ながら、私は現在23歳ですので、本当の団塊ジュニアの方々は「いやあ、あんなんじゃないよ」って思われてるかもしれません。
主人公は私の従兄弟と同じ歳です。そして、団塊の世代というのは、自分の親が嫌いで、自分の親のようになりたくないから、あまり教育熱心ではない人が多かった、と聞いています。(私の従兄弟の偏見だとは思いますが。)
自由にされすぎていたことで、夢がわからなくなって楽しく仕事をしていなかったり、
ずっと、フリーターをやっている団塊ジュニアの方が私のまわりにはたくさんいらっしゃいます。
その方々のことを思い出して、ああ、村上春樹さんはそれを書いたんだな、すごいなあ、と感じ、
私たちゆとり世代を主人公にする日は来るのかな、と楽しみになったりもしました。
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No.153:
(3pt)

微妙。。。

つまらなくはないが面白くはない。。。そういった印象でしょうか。
私は主人公と年齢が割合近く、主人公の透明な存在は(同じ世代の人間ならば)同感を得る点は多々あると思います。

しかし、これがもし他の作家の作品であったならば今この本への心象が同じかというとそうではありません。
”村上春樹だから”ということで星3つです。
普段あまり文学に馴染みのない方ならばこの本に少なからずインパクトを感じることでしょうが近代文学が好きな方にとっては
和洋問わず決して新しい素材ではないですし文体・手法ともチープな印象を感じることでしょう。
洋書をよく読みますがその中で出てくる文と良く似た文が多々あり、それが直訳っぽくてかなりのマイナス点。
日本人独特の水彩画っぽさはあるけれどピントがずれている感は否めない。
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No.152:
(1pt)

ガッカリ!!

自身の理解力が乏しいのか、胸に来るものが無く、残念ながら買う価値はなかった。裏切られたぁ。村上春樹自身の解説、釈明が欲しいぐらい。ついて来れる読者だけで良いという独善的になったのでしょうか?村上春樹も、もう64歳だから、しょうがないかぁ。これほどボヤキたくなるほどです。
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No.151:
(5pt)

著者の新境地に拍手!

今回の新作は文藝春秋からの出版ということで、私はあるひとつの固定したイメージを持っていました。それは、中編規模の作品で、大作というよりはむしろ周縁に位置する作品であるが、重要な出来事に作者が強くコミットして書き上げた作品であるというものです。『約束された場所で―続アンダーグラウンド』とか、『TVピープル』とかの短編小説、インタビュー集などです。特に、オウム事件の被害者と加害者の両方に取材し、この事件に関わりを持った人々の人生がどのように変わったのか、この点に着目して作者が書き上げた秀逸なルポタージュ作品です。
 
 私は今回の新作は、オウム事件のような命に関わる重大な事件に巻き込まれた人々、またはそれと関わりを持った人々の人生がその出来事によってどのように変化したか、またその出来事によって受けた心の傷に対してどのような態度や決意を余儀なくされたのか、という問いに対する著者のひとつの返答ではないかと感じました。

 この作品は友人4人に裏切られ、心の傷を背負った主人公の立ち直りと再生の旅(巡礼)を描いた作品です。裏切った人々にはそうすべき決定的な理由がありました。しかし、そのような態度決定が友人関係の解消、それぞれがそれぞれの人生を歩むべき方向性を決定したのです。サルトルの言葉を借りれば、ある一つの態度決定・意志決定(アンガージュマン)が、意志決定した主体に対して、そうした意志決定に対する「責任」を課すことになるということです。意志決定は自由ですが、そのことには必ず責任が伴うのです。この新作では、裏切りに対する責任が友人達に別々の道を歩ませ、そのことに対する心の傷を負わせる結果になったという点です。これがオウムの加害者が取らねばならない重い責任につながります。一方、被害者である主人公多崎つくるも、心の傷を消し、自殺をやめ、新たな生きる目標を探す旅に出ることが、彼が自らの意志で選んだ生きる道であり、裏切りから立ち直りたいと決めた意志決定に対して、彼が果たさなければならない「責任」なのです。

 このように新作を理解することで、私は著者の意図を何となく理解できたような気がしています。そしてこの作品のモティーフになった意志決定と自己責任が、次回の長編=大作に何らかの形で継承されていくのではないかと期待しています。それは新潮社から出版されることになるでしょう。

 残念なのは、シリアスな内容である反面、今回の作品にはエンターテイメント性が不足してしまったことです。そして、もうひとつは、「物語性」もまた友人女性の妊娠と死以外には特に見られなかったことです。この点も次回に期待し、著者のさらなる飛躍を期待して感想を締めくくりたいと思います。
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No.150:
(4pt)

足りないものを埋める、それが村上春樹の物語の目的

村上春樹の作品ですっきりとした読後感を感じたことは無い。長編の作品はほとんど読んだが終盤から最後にかけての物語の流れは割とパターンが決まっていて、とりわけ主人公の内省が最後まで続き外面的な“結果”を書き切らない事が多い。今回の作品もその例に洩れず村上春樹らしい作品だと感じた。 そのような作風は小説を読み終えた後特有の余韻よりも割り切れない結末と煮え切らなさを感じてしまい好きになれない。しかし私はそれでも村上春樹の作品を読み続ける。ひとえにそこには言葉によって作られた彼の物語を“読む”という行為そのものにたまらない心地良さを感じるからだ。「村上春樹の作品には治癒能力がある」と何処かの精神科医が言っていたような気がする。 彼の物語には必ず“欠陥”を持ったものが登場する。そしてそれは何らかの手段や方法を経て解決へ向かう事になる。私はそこに言い知れぬ希望の形を感じるのだ。なぜならその“欠陥”は私の中にも内包されてる登場人物と私の共通項出あるように思えるからだ。それは普段言葉にならないような些細なものであるが故に可視化されることがなく自身も気づく事の無い僅かな“欠陥”かもしれない。しかし彼の物語の中ではそのような些細な“欠陥”はやがて大きな破滅をもたらす引き金となる。だがその破滅はまた他の誰かの中に内包されているある性質、要素により中和されたり解決へ向かう事になる。そのどれもは物語の中に登場するものである。言い換えればあらゆるものは何かを始めることも終わらせることもできるということであり、そのために必要な全てを揃えることで村上春樹は物語を作り上げているのだと思う。 この作品にもあらゆる要素が登場する。そこには苦悩を続ける主人公が彼の“欠陥”を埋めるために決意と行動が描かれている。私はこの物語に何か足りないものを埋め合わせる心地良さを感じた。
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No.149:
(4pt)

村上春樹のアドリブ演奏を文章で堪能する

小澤征爾氏との対談本を読んでいらい、彼の作品にでてくる音楽作品に興味をもつことは当然ですが(彼がJAZZ喫茶をしていたゆえに音楽に詳しいということだけではなさそうですが、クラシック音楽にも圧倒的に詳しいのはすごい!)、彼の文章のリズムを最近気にしています。今回の作品は、まさにアドリブの妙、自由にそしてリズミカルにストーリーが展開してます。名人芸ですね。
作品に関して音の話題をひとつとりあげるなら、フィンランドを主人公は訪問しますが、フィンランド語と名古屋弁は音が似てるといわれてます。村上春樹は、そこまで細工したのでしょうか。でも、無関係でないような気がします。つくるがヘルシンキについてから、名古屋弁のみゃあ、みゃあ響きを思い出さした(笑)色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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No.148:
(4pt)

おもしろかたー

電車でバーベキューするところと、ガンダムに乗って宇宙に行くところがとくに面白かったです。
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No.147:
(3pt)

四国お遍路やサンティアゴコンポステラ巡礼のような、(普通の意味での)巡礼の話ではなか

主人公の30代の男性「多崎つくる」が、過去のトラウマに向き合うべく、かつて主人公を
手酷く切り捨てた もと友人たちを訪ねてまわる話です。
それがタイトルにある「巡礼」の意味で、ふつうの意味での巡礼(「聖地」への訪問)
をするわけではありませんでした。

主人公に「巡礼」をすることを促す女性「沙羅」について。
なぜ、自信満々に、絶交した昔の友人たちに会いに行けと言えるのだろうと、不審に思いました。
パンドラの箱を開けることになるかもしれないのに。楽観的なだけ?
彼女の役回りがないと物語が前に進まないので、ここを突っ込むのは野暮なのかもしれませんが。

今回の小説の描写は、主人公からの視点に限定されているので、
多崎つくるの知らない水面下で何が進行していたのか、最後までよくわからないところがあります。
もと友人たちの語る言葉も、真相のすべてを話しているのかどうか、よくわかりません。
そこには、想像の余地があり、それこそが今回の話の面白いところなのかもしれませんが、
すっきりしないところでもあります。
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No.146:
(5pt)

新しい「喪失」と「再生」の物語

村上春樹のデビューから一貫したテーマである「喪失」と「再生」。
これに新たなラインナップが加わった。

われわれは、好むと好まざるに関係なく、ある種の行動規範の強制的な変更を強いられてきた。
古くは、第二次世界大戦の戦前と戦後。
70年代は、学生運動の理想と終焉。
80年代は、バブルの崩壊。
それらは、人間の性(さが)によるもので、われわれが責任を負うべきいたしかたない面があった。
次のステップに進むために、運命的に仕組まれたものと考えても納得できる。
しかし、今回の震災は、いかんともしがたい厳しい仕打ちである。

時代を切り拓くために、何かを捨て、もしくは失い、リニューアルすることは、われわれが常に歴史上行ってきた事柄なのかもしれない。
たしかに、個人のレベルでは、それが容易にできる人とそうでない人がいると思う。
しかしいずれにせよ、「過去に蓋をすることができても、歴史を変えることはできない」のだから、向き合って行かなくてはならないのだ。

これまでの作品での「喪失」は一人称の「喪失」であった。
きわめて個人的な、成長過程での喪失と「再生」である。
これが、三人称となると、普遍化する。
自分では訳も分からないままに、全てを失った人間が、どのように過去と向き合いながら「リニューアル」していくか。
そこに答えはないにしろ、一つの方法論を提示されたような気がする。
そう、「まず、駅をこしらえるのだ」。
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No.145:
(5pt)

多崎つくるは色彩を持っている

村上春樹さんの作品では一番登場人物が多く、名前まで付けられているのがまず新鮮でした。 ネタバレになってしまうけれど、名字に色を付けるなんていうありがちな手法を取り入れたことも驚きでした。 相変わらず文章のリズムは読み易いですし、よく分からないけど想像できる面白い例えが満載です。村上春樹さんの世界描写はいつも通りに素晴らしく確立されています。 論理的に答えを求める読み方をすると、答えが書かれていない部分があるので納得できないかもしれないけれど、物語としては単純に素晴らしいなと感じました。 こんな小説は誰にだって書けるものじゃないと思う。 多崎つくるくんは無色ではなくて、本当は多色なんだなと読みながら感じました。
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No.144:
(1pt)

村上春樹はどこへいく?

読み続けるのがとても困難でした。
村上春樹と云う作家とは短大生だった時に出会った『風の歌を聴け』からです。かれこれ30年近く彼の作品と接してきたことになります。勿論、受け入れがたかった作品もありますが……。好きな作家のひとりであることは事実。だが、昨今の彼の作品には残念ながら期待を寄せることはなくなりそうです。
まず、購入するのは自分の目で内容を確認してからすべきです。それで自分がそえる作品であると思われたのならば、読まれることをお勧めします。
そうでなければ、購入は勧めません。そうなれば、読まずに廃棄されるか、新古書店へ買いたたかれて本を売るだけです。これだけのベストセラーですから、買い取り価格はさぞ安いことでしょう!
自分の目で確かめて買うこと! それをお勧めします!
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No.143:
(3pt)

否定的なレビューをする一部の人たちの感性に疑問

最近、朝日新聞に寄稿するなど政治的な発言が目立つ村上さん。

中国や韓国に強硬な態度を取る連中が拍手喝采を浴びて、自制を求める人たちは「非国民」だとして糾弾されるのが今の日本のトレンド。そういった日本の「右傾化」に対して、村上さんは日本のナショナリズムは暴走しているとして自制を促している。その態度を面白くないと思う人は多いだろうし、読む前から「左翼」村上として否定的な態度で読む人も多いと思う。

そもそも「面白くなかった」とレビューに書いて「すぐにゴミ箱に捨てました」と無感覚に公言するその鈍感さを持った人間や、「お金の無駄だった」と金銭的な価値観でしか物事を考えることができない人間たちの感性の方が問題があると思うんだが…。
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