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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1023件 861~880 44/52ページ
No.163:
(5pt)

おかえりなさい

デビュー以来いろいろと試みて、結局は出発したところに戻ってきたけど、新人の時より音域は上にも下にも広がっているように感じられる。自分の制御下にある和音を自意識ではなく、読み手にも配慮して(時にはサービスもして)奏でていて、新しい価値の提示ではなく、昔からそこにあるものを職人として見せることによって読み手に感じさせる匠の技を見た。だから初めて読む小説に既視感を覚えたり、懐古を感じたりするのだ。
 特に、全体を通暁する調和に関する考察が面白かった。面白くて哀しくて、怖かった。だから赦しにつながる、という領域には自分はまだ到達していないけど。彼の考察に反駁する考察も見いだせないけど。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.162:
(5pt)

何も変わらないともいえるし、変わってしまったともいえるけど

随分読みやすく、わかりやすくなったなあと感じました。多くの人に読まれるということを少しは意識するようになったのかもしれないし、なんとなく昔からのファンの人が残念におもう気持ちもわからなくもないですが、それでも僕はとても楽しく面白く読みました。同じものを同じように書き続けていくわけではないし、誰でも年を重ねていくものです。そのことで作家を批判したり劣化したなどと思うのは悲しいことです。ファンであればそういった変化も楽しみながらついていけばいいのだとおもいます。
作品には具体的にあらわれないですが、たぶん絶交されたのが95年、2011年にみんなに会いに行く、その16年間の空白を取り戻すというあたり、日本が大きな災害や事件で塞がれた心につながっているのかなと。
また、まさかと思ったのですが、赤白黒青の色は庄司薫の赤頭巾ちゃん〜のシリーズを思い起こさせます。まさか??、なのですが、もしかしたらいままでよりもより深く読み手に対して何かを引き受けるというか、彼の言葉でいうとコミットしようとしているのかも?などと勝手に想像していました。日本の作家はあまり読んでないとどこかで書いていたので、関係ないかな…
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No.161:
(2pt)

残念です

村上さんの作品はエッセイも含めて全部読んでいます。好きな作品は何度も読み返すほどのハルキストですが、今作品は正直がっかりしました。
村上ファンとしてはあまり悪く言いたくないのですが、多くの皆さんが書かれているようにこれは村上作品始まって以来の駄作と言えるでしょう。
1Q84も何故あんなに売れたのか疑問なくらい私はあまり好きではありませんでしたが、この本は、はじめから嫌な感じを持ちながらなんとか読み進み、
(こんなに読むのに時間がかかったのも初めてです。)最後の方は読むのが苦痛なほどでした。そしてあの終わり方。難しいことは抜きにしてとにかく
どうしちゃったの村上さんってかんじでした。多くのすばらしい作品を持つからこそのこの失望感だとは思いますが、今はただ読み返すほどの気力も
ありません。
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No.160:
(5pt)

痛み、あるいは悼み。悲しみ、あるいは哀しみ。

この作人になっているテーマは村上春樹氏本人に伺ってみないことにはわからないことであるのですが、読み進める上でいくつかのキーワードが頭をよぎりました。

それは、痛みと悼み、悲しみと哀しみ、です。

自分の痛みと人に思う悼み、自分の悲しみと誰かを哀しむこと。
自分と他者は全く別の存在なのですが、自分たちがわからないところでお互いに求めあい、しかし、傷つけ合っています。
それはひるがえって自分の存在を求めていることであり、また、自分の存在を傷つけていることでもあります。
そこに感じる痛みと悲しみは完全に自分のものであると信じ込んでいたのですが、ふとした瞬間に誰かも同じように思っているという悼みと哀しみを覚える、そのようにしていくしか私たちは生きていけないのかも知れません。
自分の存在はここにあるのだという確証を得るために他者を求め、他者を求めると他者を自分に取り込もうとする、あたかもすべてを理解してもらえると根拠のない確信を得ます。
だけれども、他者は自分のように思ったり感じたりするわけではないということを言葉や態度から知り、距離を置いたり、完全に離れたりします。
こころは残ったままに。
哲学者のデリダは「私とは他者にとっての他者である」といいました。
この私と他者というコインの裏表のような関係を私たちは普段の生活の中で余りわかっていない状態で生活しています。
「魂」の部分でつながっているのかも知れませんが、その「魂」を見たり感じたり出来ないもどかしさ、その気持ちが私たちを不安にさせます。
そもそも原初的は不安は「死」と「見捨てられ不安」であるとされています。
その不安をぬぐうためには誰かに接するというアタッチメントが必要だともあります。
さらには、誰かからのアタッチメントを待つのではなく、自分の気持ちを素直に表現し、自分から近寄っていく勇気と覚悟がより高度なアタッチメントを形成します。
人がわからないところ私たちは傷つきます。
逆に、自分は知らないところで人を傷つけます。
それがいつの間にか悲しみとして蓄積され、いつの日か表面に出てきます。
それに耐えたり、耐えられなかったり、何気なく暮らすように見えて、誰もが傷ついているのかも知れません。

長くなりましたが、今回の小説を読んで以上のようなことを思いました。
私たちの世界にある原初的な不安や自分と他者の痛みと悲しみ、それらをどのようにして受け止めるのか、それらを「魂」としてどうやって引き受けるのか。
私自身が読んで考えたのがそれでした。

すばらしい小説でした。
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No.159:
(3pt)

いやに軽い巡礼では?

春樹氏にしては至ってシンプルな物語になっている。
その中のエピソードの密度も薄い。救済の物語をとにかく素早く提示することが求められていたことだったのだろう。いつもならばもっと練り上げられているのではないか。謎はもっと重層的に書き込まれ、その密度を濃くしたはずだ。骨格を言いきること。だから冒頭から不穏な謎(ボディスナッチャー的な感触)が投げられるものの前半でその謎についてはカタがついてしまう。ならばそのうえで謎は解題においてもっともつれてしまうのかと思わせるのだが、それはむしろシンプルにほどけてゆき外的な障害も現れず、善き導師を得て再生に向けての巡礼が行なわれる。そこにもさしたる障害はなくただ時間によって見えにくくなっていた過去と現在の道筋が再び穏やかに現れるだけだ。そして感情の否定的要素の存在を了解しながらなおコミットメントの背中を押すように終わる。春樹氏をしてデタッチメントそれ自体の等価性に蓋がなされてしまうのであれば、あれという思いも残った。
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No.158:
(5pt)

村上氏の人間観察力

3年ぶりの新作ということもあり、読む前から期待が高まっていました。読んだあと、ああ、村上春樹さんは、きっと他人に入り込むのがうまい人なのだ、と、改めて感動させられました。
今回、主人公は30代の男性、団塊ジュニアと呼ばれる世代です。
村上さんの作品で、その世代の主人公は初めてだと記憶しております。(1Q84はもちろん、80年代の30代だし、カフカは15歳の少年でしたがどこか現実離れした話でしたし、他は村上さん自身の年代、という印象が強かった)
そこで私は、団塊ジュニアの世代の方々が、村上さんの周りに多く出現するようになった、
仕事や、プライベートでも、だから主人公にしたのかなあ、と感じました。
そしてきっと、村上さんはすぐに親友になれる方なのかなあ、と。親友くらい仲良くならないとあそこまでその世代が感じていることを文にできません。
それとも、村上さんには何か人の心を読み取る、魔法のような力があるのでしょうか…。
残念ながら、私は現在23歳ですので、本当の団塊ジュニアの方々は「いやあ、あんなんじゃないよ」って思われてるかもしれません。
主人公は私の従兄弟と同じ歳です。そして、団塊の世代というのは、自分の親が嫌いで、自分の親のようになりたくないから、あまり教育熱心ではない人が多かった、と聞いています。(私の従兄弟の偏見だとは思いますが。)
自由にされすぎていたことで、夢がわからなくなって楽しく仕事をしていなかったり、
ずっと、フリーターをやっている団塊ジュニアの方が私のまわりにはたくさんいらっしゃいます。
その方々のことを思い出して、ああ、村上春樹さんはそれを書いたんだな、すごいなあ、と感じ、
私たちゆとり世代を主人公にする日は来るのかな、と楽しみになったりもしました。
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No.157:
(4pt)

村上春樹のアドリブ演奏を文章で堪能する

小澤征爾氏との対談本を読んでいらい、彼の作品にでてくる音楽作品に興味をもつことは当然ですが(彼がJAZZ喫茶をしていたゆえに音楽に詳しいということだけではなさそうですが、クラシック音楽にも圧倒的に詳しいのはすごい!)、彼の文章のリズムを最近気にしています。今回の作品は、まさにアドリブの妙、自由にそしてリズミカルにストーリーが展開してます。名人芸ですね。
作品に関して音の話題をひとつとりあげるなら、フィンランドを主人公は訪問しますが、フィンランド語と名古屋弁は音が似てるといわれてます。村上春樹は、そこまで細工したのでしょうか。でも、無関係でないような気がします。つくるがヘルシンキについてから、名古屋弁のみゃあ、みゃあ響きを思い出さした(笑)色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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No.156:
(5pt)

小説の存在意味

小説は書評のために書かれるわけでも 過去の作品とは違う新しい刺激を与えるために 書かれるわけでもなく ただその作品を必要としている誰かのために 書かれるのが 理想的だと思います そのような意味でしっかり作られた作品だと感じました。
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No.155:
(3pt)

微妙。。。

つまらなくはないが面白くはない。。。そういった印象でしょうか。
私は主人公と年齢が割合近く、主人公の透明な存在は(同じ世代の人間ならば)同感を得る点は多々あると思います。

しかし、これがもし他の作家の作品であったならば今この本への心象が同じかというとそうではありません。
”村上春樹だから”ということで星3つです。
普段あまり文学に馴染みのない方ならばこの本に少なからずインパクトを感じることでしょうが近代文学が好きな方にとっては
和洋問わず決して新しい素材ではないですし文体・手法ともチープな印象を感じることでしょう。
洋書をよく読みますがその中で出てくる文と良く似た文が多々あり、それが直訳っぽくてかなりのマイナス点。
日本人独特の水彩画っぽさはあるけれどピントがずれている感は否めない。
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No.154:
(3pt)

村上春樹が売れる訳

初期からのファンは当然、どうした?と思うような劣化や既視感を感じる事でしょう。 三人称と言う時点で違和感を感じる方も多いかと思います。 それでも村上春樹が売れる理由として 1.そもそも村上春樹の魅力の本質を理解出来ていないのに、ネームバリューで絶賛している 2.劣化したとは言え新鋭作家と比較すれば面白い 3.読後の喪失感中毒 大まかに上記3つに当てはまるのではないでしょうか?(1に関しては自覚は無いでしょうが) どの作品でおやおや?と思ったかは多少差はあるでしょうが、私は何作かファールで粘り1Q84で2ストライク、今作で三振と言った印象を受けました。
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No.153:
(4pt)

魔都・名古屋近郊に生まれ育った色彩の無い読者の感想

とある有名なエッセイにて「魔都」と称された(賞された?)名古屋
近郊に育った私は今作も非常に興味深く読ませていただいた
といっても、名古屋の地名が頻発したり、
小倉抹茶スパやおっぱい丼は出てこないです(まぁ当たり前ですが)

集大成と銘打たれた前作に比べると、
著者も肩の力が少し抜けた感じで、文量的にも話的にも冗長でもなく、
私は冒頭から安心して読むことができました
逆に言うと、サプライズ的感動は大きくないというか、
ネガティブなレビューに書かれているように、
テーマとしてはこれまでの作品と重複している面が多いです
ただ、友情というものが前面に出てきているのは珍しいかな

人物描写も割りとあっさりしてるし、回り道もあまりしてないので、
読了後のスッキリ感は(前作より)あるのですが、
終盤に向けての収束の仕方なんかは特に物足りなさもあります

ファンタジーな要素をいかにリアルな世界に持ち込むか、
著者のそんな一面が凄く好きなファンとしては、
良書ではあるが物足りない、というのが率直な感想です
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No.152:
(3pt)

誰にも書けない単なるクラシック音楽

村上春樹の小説はクラシック音楽だと思う。何となく上品に聞こえる(聞こえるとは皮肉らない)。

350円の価値しかないコーヒーを1200円でホテルのロビーで飲まされるようなものかも知れない。

登場人物に無駄な教養と上品な生活があるだけ。子汚い教養もない日雇いのおっさんを登場させてみなよ、と言いたくもなる。

実利はない。小説の存在意義そのもの。高貴な時間に身をひたすだけのもの。

吹奏楽でもかじっていない限り、大勢の人間はクラシック音楽よりミスチルや桑田といったJ-Popを好む。

ただし、こういった現代クラシック的描写はほとんどの作家にできない。よって極めて少数派の作家。

「味わい」が他の現実的な話題をテーマとする東野圭吾などの作家と比較できるものではない。

「何のことはない出来事をあえて難解な詩的なことがらにしてしまう」

「知的スノビズムと言えるような、あー言えばこう言う、くだらない会話」

作中、イライラする場面目白押しだが、他の作品も絶対にまた読みたくなる不思議な作家。

※ネタバレ推測申し訳なし

多崎つくるは何者でもない。こういう人間に自分はイラっとする。

灰田の知性と行方に心を奪われるが、彼もまた、ろくな人生はまっていないだろう。

シロはおそらく名古屋でグループ外の誰かと恋愛関係にあり(あるいは刹那的な恋に落ち)妊娠し、

「浜松に逃げ」、追ってきた元カレに殺されたのだと思う。
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No.151:
(5pt)

面白いけどな

評価がわりに低くてびっくりしました。村上春樹好きには嬉しいファンサービスがちりばめられてて、楽しく読めました。フェイスブックとかスマフォが出て来るのも意外で良い。
物語全体の雰囲気が、初期の感じ、特にダンスダンスダンスあたりを彷彿させるので終始にやけてしまいました。1Q84の3巻では失望したのですが、この作品はとても満足でした。村上春樹久しぶりの良作な気がします
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No.150:
(2pt)

最高のBGMには星5つです

序盤のぐいぐい引き込む力はさすがマエストロの技。読むにつれて既視感が高まりいやな予感もしたが、それでも引き込まれるように読み進め、しかし予感の通りラストで一挙に冷めた。 前半大いに盛り上がり一晩中わくわくしながら一緒にいるも、最後の最後に肩透かしをくらったデートの翌日のような気持ちだ。それでもすてきな相手との一晩を過ごせたから「ヨカッタ」と自分を納得させるのか。そのくらい良く書けている本だとは思う。 でも、半世紀以上生きてきて、ある意味サバイバルの勝者である中高年の人間のみが描きうる美学、のようなものを示してくれるのはこの人だという期待がまだまだあるのだが。
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No.149:
(3pt)

読み解くべき謎が一度では解けなかった

今作はまた少し文体が変わったように思います。
3人称文体がこれで完成したのでは?
読みやすい文体に変わりありません。

内容については
一度読んだだけでは、解釈できない部分が多く残りました。

灰田の存在は?
緑川のエピソードは?
6本目の指はどう解釈するべきか…。
つまり、6人目は誰を指すのか。
駅をつくることの意味は?

時間を置いて読み返したいと思います。
よって今の時点では星3つ。

村上作品の魅力は、こうして時間を置いて何度も読み返し、
その都度新たな発見があることだと思います。

また、いつになるか分かりませんが、
次作を読むと解明できる部分もあるのかもしれないと思います。
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No.148:
(5pt)

36歳になったら、また読み返したい

村上春樹さんの作品は数本しか読んだことがないのですが、なぜかこれは気になってしまったので購入。
すらすら頭の中に流れ込んでくるようなかろやかな文章でとても気持ち良く読めました。

私はまだ大学生で、つくるが死について深く考えた20歳前後と同い年です。
だから、36歳のつくるが16年前の青春時代ことについてアクションを起こして過去を振り返っていく、そういうことができません。そこからの話も、酷く切ない気持で読んでいました。歴史は変えられない。自分も歳を重ねれたらこんなふうに思う時がくるのだろうか? 今仲のいい友人はこれから16年先どんな風に変わっていくのかな? と自分を振り返りながら読んでいました。

未来が怖いな、そう思えるような最後にのこる寂しさや孤独感は、きっと今どれだけ毎日を必死に生きても付いて回ることなのかもしれない。
そんな人生の哀れさをしみじみと感じられる一冊でした。
若い人には書けないとものすごく感じました。

この歳でこの小説を読んだことで、私のこれからの人生はまた変わったものになる気がします。
私が三十路を過ぎたら、もう一度読み返してみたい。
そうしたらきっと、この作品は物語の奥深くで、20歳のころの私を思い出させてくれる気がします。

ずっと大切にしていきたい、そんな一冊でした。
読んで本当によかった。
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No.147:
(3pt)

色彩を持たない人などいません!

30代後半の男性が、過去を振り返る。
 痛みを伴う青春時代の光と影。失望、喪失感と再生。
 20年以上前、旅先で貪るように読んだ「ノルウェイの森」と酷似しているように思った。
 「色彩をもたない」。個性がないと思い込んでいる主人公、多崎つくるくん。
 自分の色を持っていない人間なんて、この世にはいないよ。
 それに、いくらナイーブな傷つきやすい少年であったとしても、14年もそれを引きずるなんて……。
 その時、深い傷を負ったことは理解できる。
 自分を否定したい気持ちも、消えてなくなってしまいたかった気持ちもわかる。
 でも、14年もの間、自分を苦しめる原因を突き詰めようともせず、ただ自分の殻に閉じこもってしまっていたのは、どうなんだろう。
 友達以上恋人未満(かなり古い表現?)の沙羅が「つくる」に言った「過去と正面から向き合わなくてはいけない。自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見るのよ。そうしないとあなたはその重い荷物を抱えたまま、これから先の人生を送ることになる。(略)……」という言葉のとおりだと思う。
 「海辺のカフカ」や「1Q84」のような難解さがない分、読みやすいけれども、ちょっと抒情的過ぎる感じで、面白いとも思わなかったし、感動もしなかった。
 ただ、著者の年齢でも、このような青春小説?を書けるのだと、妙なところに感心した。
 この本では、主人公はフィンランドに向かうのだが、村上春樹は、北欧が好きなのだろうか?
 

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No.146:
(5pt)

多崎つくるは色彩を持っている

村上春樹さんの作品では一番登場人物が多く、名前まで付けられているのがまず新鮮でした。 ネタバレになってしまうけれど、名字に色を付けるなんていうありがちな手法を取り入れたことも驚きでした。 相変わらず文章のリズムは読み易いですし、よく分からないけど想像できる面白い例えが満載です。村上春樹さんの世界描写はいつも通りに素晴らしく確立されています。 論理的に答えを求める読み方をすると、答えが書かれていない部分があるので納得できないかもしれないけれど、物語としては単純に素晴らしいなと感じました。 こんな小説は誰にだって書けるものじゃないと思う。 多崎つくるくんは無色ではなくて、本当は多色なんだなと読みながら感じました。
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No.145:
(5pt)

ハルキズムの向こう側

村上春樹がデビュー以来コツコツと積み上げてきたハルキズム。本作はその対局にあるところで書き上げられた小説である。その春樹らしい心意気に頭の下がる思いがする。創作家とは生涯かくありたいものだ。
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No.144:
(4pt)

おもしろかたー

電車でバーベキューするところと、ガンダムに乗って宇宙に行くところがとくに面白かったです。
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