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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1023件 721~740 37/52ページ
No.303:
(2pt)

豊富なボキャブラリーと卓越した文章力によって編み出された世紀の駄作

私はことさら村上春樹ファンではないが、初期の『羊をめぐる冒険』や『風の歌を聴け』などからは、荒削りではあるものの大江健三郎や安部公房等とは違った、現代的でおしゃれな世界感を感じ、とても面白く感じた。
しかし、本作は美しくまとめられてはいるものの、純文学としても、ラブストーリーとしても、サスペンスとしても中途半端。ストーリーに未完成さが感じられて、まるで映画でいうシノプシスを読まされている気分だった。
この作品を素材として、さらに膨らませ、それぞれの人生がもっと書き込まれたならば、それは読み応えのあるいい作品になったろうと思う。実にもったいない。
なぜ、ノーベル賞候補にもなった大作家が、このような段階で作品を発表してしまったのか疑問である。
で、「豊富なボキャブラリーと卓越した文章力によって編み出された世紀の駄作」という感想になった。
前作から3年、出版社から急かされたのか、自分から「とりあえず出しておこう」と思ってのことか、それでも作者には莫大な印税が懐に入り、出版社にはその何倍もの利益が転がり込む。CDショップでは作中登場するリストの「巡礼の年」が平積みされたという。我々には関係ないが経済効果といった点では評価できる。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.302:
(3pt)

印象が薄い

村上さんのこれまでの長編と比べると、あれっ?という感じ。「1Q84」や「海辺のカフカ」のダイジェスト版みたいな薄い印象でした。
これほど本作が騒がれると、ちょっと恥ずかしくなります。
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No.301:
(4pt)

面白かったです

まずはじめに、私は村上春樹の過去作品を読んだことがありません。故に「村上作品はこうあるべきだ」とか「前作を越える作品を期待して」などといった事は一切考えず、村上春樹というブランドの凄さも知らずに読んだクチです。それなのである意味、この作品に対する感想は何の偏見もなく、率直なものであります。読む前は色彩を持たないというフレーズから色盲の青年を想像していましたが、実際はまったく異なりました。しかしながら良い意味で裏切られた感があり、物語のスピード感もあり、中盤あたり(過去の友人を訪ね真相を聞くあたり)が一番引き込まれました。しかし、ラストは尻すぼみというか、綺麗ではあるのですが、もう少し一悶着あってから終わって欲しかったような気はします。まぁ、真相が分からないほうが面白く創造力をかきたてられるという事も少なからずありますが。村上春樹を毛嫌いしてこれまで読んでこなかった自分としては、この作品をきっかけに過去の作品も読んでみたい。そう思えた作品でした。個人的には読みやすいし、飽きずに楽しませてくれる作品だと思ったので、小説玄人より、小説バージンな人にこそ読んでほしいと思いました。平易な文体で綴られているので、小難しい顔をせずにサラッと読めますし、そのようなサラッと読みたい方におすすめしたいです。個人的には好きですよ。映画化とかしてほしい。そう思いました。そのほうが作品の魅力がもっと伝わる気がする。
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No.300:
(1pt)

何かずいぶん変ったね。

いつも期待しながら村上作品を読みます。1Q84もノルウェイも、世界の終りも、海辺のカフカも良かった。
でもこれは良くない。すべてが中途半端で完結がない。
完結がない作品はもちろんあるけど、これはやりすぎかな。
結局なにが言いたいのか良く分からなかった。期待して損したな。
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No.299:
(4pt)

どんどんフツーになってきている…

う〜ん。なんだろうこのもどかしい感じ。

熱烈な村上春樹ウォッチャーでもなく、読んだのは『ノルウェイの森』『国境の南、太陽の西』『ねじまき鳥クロニエル』『海辺のカフカ』『1Q84』後は短編をいくつかといったあたりだが、
『1Q84』あたりからどうもフツーになってきている様な気がする。

村上春樹と言えば(と世界の“村上”を評するのはとてもおこがましいのですが…)やさしい文体でありながら、ハッとするようなメタファーや箴言がちりばめられている。
一方でストーリーは、不思議な世界観に満ち溢れており、ファンタジックでありながら何故かリアル。そして物語の結末はなんだか曖昧模糊とした余韻を残し…そんなイメージ。
『1Q84』は、そんな村上春樹の大傑作だとは思うものの、“天吾と青豆”の純愛が実ってしまうのは、すごくうれしい半面(わがままな読者だとは思いますが…)ちょっとフツーと感じていました。

そして、この『色彩を持たない…』
当然“らしさ”は、いたるところで感じさせるものの、全体を見回せば、どんどんフツーになってきているような気がしてちょっと残念です。

随分昔ですが、“今年の文壇を語る”といった内容の記事で、とある文芸評論家が、その年の日本の小説界の貧困を散々嘆いた揚句、“それでも日本には村上春樹がいる”と
締めくくっていたのを思い出しました。

是非とも世界の村上らしい次回作に期待したい。(でも星は四つです)
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No.298:
(1pt)

孤独なサラリーマンのイカ臭い妄想小説


 満を持して、村上春樹を読んでみました。めちゃ売れてるって評判だし、本屋でも下品なぐらい平積みされてるし、アイフォーンの新作かってぐらいの長蛇の列がテレビで流れていたので、あんまりウザイから読んでみたのです。
 読んでみてすぐに王様のブランチで本仮屋ユイカとかが「うーん・・・なんか難しいとこもあったんですけど・・・最後にすごい村上さんから明るい励ましのメッセージをもらったようで元気になりました!」ってぶりっ子然な感じでなんの生産性もないコメントをしているのがなんとなく目に浮かび・・・。その脇で谷原章介が「うんうんそこが村上作品の魅力だよねー」とスカした感じで頷いてる光景が脳裏によぎりました・・・。王様のブランチで褒められている小説はたいがいろくでもないという相場は決まっております。だから変な期待を持たずに読み終えることができました。あらかじめ言っておくと、ボクは村上作品のいい読者ではありません。ノルウェイの森も途中やめにしてるし、アウターダークも途中退場、まともに読んでるのは象の消滅っていう短編集と風の歌を聞けぐらいで、1973年のピンボールなんか朝おきたらベッドの中にかわいい双子のおんな子がいたー!って時点で床に叩きつけています。言わずもがなカートヴォネガットとかレイモンドカーヴゃーもフィッツジェラルドも読んでいないし、ちょっと周りがもてはやしているから読んでみよう。でもいまいち良さがワカランなぁぐらいのレベルなのです・・・。しかし「風の歌を聴け」をはじめて読んだときは衝撃をうけました。その主人公のあまりのオシャンティーぶりに全身から血の気が引きそうになったのを覚えております。だって・・・あれだぜ・・・。ジャズバーにいたら自然と女が寄ってきて、そんで全然そんな気ないのに、ちょっと会話してたらもう部屋に連れ込めてるんだぜ? そんでワインのコルクを果物ナイフの先っぽでこじあけようとしてんだぜ? 果物ナイフでだぜ!? 「ビーフシチューは好き?」とか女に聞きながらだぜ・・・。コルク抜きとかつかわないんだぜ・・・。なんか石田純一が女の前でりんごを果物ナイフで切ってそのままナイフにのせて食べるって言ってたのと同じレベルの、スカシっぷり・・・じゃね?ジャズのレコードがかかってるムーディな部屋でだぜ・・・。しかもそのムードのまま、しっぽり、やれちゃうんだぜ。しかもやってる最中に、「あなたのポコチンはレーゾンディートルね」とか言われちゃうんだぜ? なにそれ? レーゾンディートルってなにw? クソ意味不明なんですけどw ググる気にもなんないんだけど・・・。仮性包茎のこと? 
 ここでノックアウトされるものはハルキニストになり、ここで「ちっ」と舌打ちするものはアンチ村上に転ずる、と言われております。ボクは、舌打ちするほうだったのでアンチとは言わないまでも、そんなオシャンティーな村上作品に対し、どことなく嫌悪感を抱いておりました。齋藤孝氏が「これは僕のなめた孤独とは違う」と言っておったのが、大多数のアンチ村上の意見なのではないのでしょうか。
 さて、じゃあ本作は主人公、多崎つくるくんはどうかというと、これもまた案の定、孤独です。まず冒頭二ページでこんなんです。

 ―――用事のない限り誰とも口をきかず、一人暮らしの部屋に戻ると床に座り、壁にもたれて死について、あるいは生の欠落について思いを巡らせた。彼の前には暗い淵が大きな口を開け、地球の芯にまでまっすぐ通じていた。そこに見えるのは堅い雲となって渦巻く虚無であり、聞こえるのは鼓膜を圧迫する深い沈黙だった―――
 
 ぼっちです。これは共感がもてます。大学生なので深刻です。これは辛い自体です。しかし、いちいち言い方がおおげさなのが玉にキズです。暗い淵が地球の芯にまでって・・・いくらなんでも深すぎです・・・。しかも「渦巻く虚無」とか「深い沈黙」とか「生の欠落」とかいちいち出てくる単語が思春期こじらせた中学生が書いたブログに出てくる言いまわしみたいでイカ臭いです。「深い沈黙」が聞こえる・・・ってのも意味がわかりません。
 しかしそんな瑣末なことにいちいち目くじらを立ててもしょうがないでしょう。大事なのはなぜ彼がぼっちになったか?ということです。そこも読み始めてすぐに説明されます。高校時代に仲の良かった五人組と、突然「おまえとは縁を切る」と言われたらしいのです。 それ以来、人間不信に陥り、他人とうまく関係を築けなくなったということがわかってきます。
 と、ここまで読んでいくと、「泣けてくるほどのぼっち小説ではないか!」と思ってしまいますね。
 
 しかし、すぐにその予想は鼻先でピシャっとやられます・・・。読む進めていくうちに、「あ、これはおいらとは違う」といつもの村上カラーが炸裂してきます。20ページぐらいで主人公は恵比寿のバーで女と喋っています。もうどこかで見た光景です。しかもそのバーに入った理由が「とりあえずチーズかナッツでもつまもうと思ったから」です。こんな軽い理由で恵比寿のバーに入れる人間をボクは同じ血が通っているとは思えません。しかも、会話もこんな感じです。

 つくる「それが存在し、存続すること自体がひとつの目的だった・・・」
    「たぶん・・・」
  女 「宇宙と同じように?」
 つくる「宇宙のことはよく知らない」
    「でもそのときの僕らには、それがすごく大事なことに思えたんだ。僕らのあいだに生じた特別なケミストリーを大事に譲っていくこと。風の中でマッチの火を消さないみたいに」
  女 「ケミストリー?」
 つくる「そこにたまたま生まれた場の力。二度と再現することのないもの」
  女 「ビッグバンみたいに?」
 つくる「ビックバンのこともよく知らない」

 
 「け、け、け、け、け、ケミストリー・・・・!」「い、いま、なんつったこいつ・・・!?」「け、け、ケミストリー!?!?」「ま、まじか・・・そんな尻こそばゆい単語・・・始めて聞いたんだけど・・・なにそれ・・・すっごいむずがゆいんだけど」「背中ぞわぁってするんだけど・・・すごい・・・変な汗出てきたよなんか・・・」「しかも、なんかケミストリーって言ったあとで、風の中でマッチの火をどうたらこうたらって、すごい恥ずかしい比喩表現上乗せしちゃってるよ・・・。恥の上塗りだろこれ・・・なんだよケミストリーってこええよ」「こんなやつバーで隣にいたらタコ殴りにしてるよ・・・」「しかもなんかあれだよ・・・女の子がせっかく『それは宇宙なのかなぁ?』とか『ビックバンみたいな感じ?』って必死で合いの手を差し伸べてくれてんのに全部『それは知らない』の一点張りだよ・・・。会話合わせる気ねぇよこいつ・・・どんだけ宇宙ネタ嫌いなんだよ・・・・。こんなやつ絶対モテねぇよ・・・。

 その後も頻繁に「ケミストリー」とつぶやくつくるくん。ケミストリー押しがすごいです。ところがモテてしまいます。なぜか、このつくるくん。二十歳で童貞だったわりには、女の子とはしっぽりしけこめてしまうのです。しかもその調子が、いつもの村上節です。心に大きな空洞をかかえたまま、他人に心を開いてないのにもかかわらず、ちゃっかり女は寄ってくる。いつものやつです。というか村上春樹の小説のキャラクターってこんなんばっかりじゃね? しかも童貞喪失のときに―――初めての体験だったが、それにしては何もかもがスムーズに運んだ。最初から最後まで戸惑うこともなく、気後れすることもなかった―――p132って、こんな都合のよろしい童貞っていらっしゃるかしら? 「村上さんの登場人物は避妊しないんですか?」というファンの質問に対して「うーん・・・いちいちゴムつけるとこ書くのめんどくさいでしょ」みたいな発言をしていたのを思い出しましたが、いくらめんどくさいからといって童貞をこんな女のあつかいに長けたサオ師みたいに描くのはやめていただきたい。あまりにもリアリティをシカトしすぎです。童貞を舐めないでいただきたい。「ヤリチンヤリチン」とずいぶん批判されてきたのに業を煮やしてか、やっとこちら側に擦り寄ってきたかと思いましたが・・・またこれです・・・やってることはやっぱりヤリチンです。

 いろんなところに目をつぶってみても開始何ページ目かでボクはあまりのオシャンティーぶりに卒倒しそうになりかけました・・・・。嫉妬とはーーー世界で最も絶望的な牢獄だったーーーとか、人の心は夜の鳥なのだーーとか、彼は荒ぶれた闇の中で消え入るように息を引き取り、森の小さく開けた場所に埋められた。人々がまだ深い眠りについている夜明け前の時刻に、こっそり密やかに。墓標もなくーーとかいちいち目を覆いたくなるような、ゴミ箱からほのかに漂ってくるようなスペルマ臭い言い回しとも必死で戦いました。

 ところが、多崎つくるくんひとりならまだしも、つくるくんの友人がこれまたひどい・・・とくにアカはひどい。女に「友達に嫌われた理由を探してみたら」と言われたので、十年ぶりにつくるくんは昔の友達のところへ尋ねるのですが、このアカってやつが、なんというか、もういろいろこじらせちゃってます。ビジネスセミナーのコミッショナーなんですけどね。もうなんかビジネスセミナーのコミッショナーだからなのかあれなのか、身のこなし、言葉の節々から、自己陶酔感がただよってるんですよ。もちろん応対するのは昔の友人(つくる)ですが、それにしても自分大好きオーラでまくってます。だってこれですぜ。

 アカ語録。

 アカは笑った。「嘘偽りはない。あのままだ。しかしもちろんいちばん大事な部分は書かれていない。それはここの中にしかない」、アカは自分のこめかみを指先でとんとんと叩いた。「シャフと同じだ。肝心なところはレシピには書かない」

 「あるいはそういうこともあるかもしれない」とアカは言った。それから愉快そうに笑って、指をぱちんと鳴らした。「するどいサーブだ。多崎つくるくんにアドヴァンテージ」

 アカは言った。「俺は思うんだが、事実というのは砂に埋もれた都市のようなものだ・・・」

 
 福山雅治なら許されます。ガリレオのときの雅治なら許されます。しかし、それ意外は、断じて許されません。無論。こういうことを言って、「おめーいてーよなんだよそれ。鋭いサーブだってなんだよw」「なにが多崎つくるくんにアドヴァンテージだよw」なんていう人間はひとりもおりません。自然なのです。「封を切ってしまった賞品の交換はできない」とか「まるで航海している船の甲板から、突然ひとりで夜の海に放り出されたみたいな気分だ」とか村上小説の登場人物は総じて、もういちいちなにかしゃべるときは、気の利いたこと、おしゃれな比喩を言わないとすまない性格だと肝に銘じたほうがよさそうです。

 しかしここまでこの書評を読んできて、話の内容がいまいち見えないという人も多いでしょう。ものすごくざっくばらんにネタバレしますと、多崎つくるくんが友達と再会を通して知った自分が絶好された理由とは「シロというおなじ五人グループの女の子をレイプしたから」というとんでもないものでした。つまりすごく雑に流れをまとめるとこうなります。
 オス!おいら多崎つくる!なんかよくわがんねーけど、すげえいきなり友達から絶好されちまった!――――→なんかそれがきっかけで自信もなくしたし、人間不信になっちまった!――→でも職場で知り合った女(沙羅)がすごいいい女で、結婚してーって思った!――→でもなんか女から「友達に再会してみたら」って言われたんで会ってみることにした!ーー→友達に何年かぶりに会って理由聞いたら、おれが勝手に友達(シロ)をレイプしたことになってた!――→なんかもっとよく聞いてみたら、シロ死んでて(好きだったのにショック)、しかもちょっとメンヘラだった!!!――→外国に住んでる友達に聞いたら、なんかメンヘラだったシロを救うためにやむなくついた嘘だってことがわかってきた!――→怒ろうかと思ったけど、すごい謝られたし、なんかすごい「ずっと好きだった」とか「自信を持ってー!」って言われたから「うん、おで頑張る!」ってなった!――――でも沙羅浮気してた・・・。沙羅に振られたらたぶんおいら死んじゃう・・・電話してみたけど・・・反応よわい・・・おいらを選んでくれんのかなー・・・うーん、やきもき・・・。―――→完!!!

 うーん・・・この物語になにを感じればいいのでしょうか・・・。読んでしばらく考えてみましたが、なにひとつ感想が浮かんできませんな・・・。作品にちりばめられたメッセージ「あの頃の思いがどこかに消えるわけじゃない」とか「自信を持ってー」「あなたはあなたのままでいいのよー」とかも、なんというか鼻息で一掃したくなるようなしろものだし。なにが面白いんだろうと思ってアマゾンで星5のレビューとか読んでみたら、けっこう「自信をもらいました!」っていう感想が多くありまして、意外に多崎つくるという主人公に感情移入している人が多いことに気づくのです。個性のない、なんのとりえもない、そんで自信がもてない、自己評価が異様に低い、こういう人は世のなかにたくさんいますし、この小説を読んで主人公に同化して「よっしゃ、なんか自信出てきたわ」ってなる人は、それはもちろん悪いとは言いませんが、そういう人はもともとかなり健康なお方なのではないのかと思いました。生きづらさを感じている若者へのエールって書いてる人もいたけど・・・いやーすれてないですなみなさん・・・。まさに生きづらさを感じている者の代表として言わせてもらいますとボクは読んでるあいだ、終始、「多崎つくると俺は違うからなー」と思っておりました。だってあれだぜ。ラストで恋人からの電話を待ってる時にオリーブグリーンのバスローズきてカティーサークのグラス傾けながらウィスキーの香りを味わってんだぜ? オリーブグリーンってクソ緑だぜ? 趣味悪くね? そんで「孤独だ・・・・」とかつぶやいてんだぜ? 石田純一なの? 孤独ってこんなオシャレだっけ? こんなやつに感情移入なんかできませんわな・・・。しかもこの小説の着地点も、シロというミューズを失った主人公が沙羅という新しいミューズと出会うという、「けっきょく恋愛だよねー」としか言い様がないイラッとくる結論だし。なぜイラッとくるかといえば、「それができない人はどうするの?」と読んでいて頭に疑問符が湧いたからであります。これを救済とか、救いととるなら、こんな残酷な救いはありませんな。沙羅という見ただけでズキューンとなる女に物にしないと自信を取り戻せないなんて・・・。そんな女に出会えないのが大多数の人生なのに・・・。なんでこれをよしとしているんだろうって思ってアマゾンのレビュー読んでたら、ひとりぼっちな男が救済されて元気出すにはやはり沙羅のようないたれりつくせりな女性に手伝ってもらわないと、、というかこんな女性に救済されたいなぁ、、とくたびれ果てた男どもが勝手に妄想するのが沙羅なんです。って書いてあって、あぁなるほどと納得いたしました。これはつまり、孤独なサラリーマンの妄想小説なのですな・・・。いやー・・・そんなイカ臭い妄想には付き合っていられません・・・。
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No.297:
(5pt)

これもまた新しい普遍的作品

過去にある場所や人に強く心を惹かれ、ずっとそこにいたい、その人といたいと願ったけど、叶わなかったという経験があれば、誰でもこの作品に共感できるでしょう。故郷を離れた、運命の人と思った人に失恋した、大切な誰かと死別したなど。そういう経験がない人は少ないと思うので、「つくる」はかなり普遍的テーマの物語になっていると思う。想いが強ければ強かったほど、叶わなかった時、自分が二つに分かれてしまったような気持ちがする。自分の一番大切でこだわっていた部分が切り離されてしまったのだから、もう「別の自分」でしょう。そしてその以前の自分を思い出すと、つくると同じように痛い。そんなの感傷だというかもしれませんが、一生に一回もそれを思い出さずにいられる人なんているのかな。

私はクロとのフィンランドのくだりがグッときました。海外に長く居られるという春樹さんもあの寂しさを感じる日があるのでしょうか。新宿駅の描写は外国の方が読んだら行ってみたくなりそう。
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No.296:
(3pt)

登場人物が希薄すぎないか?

内容が現実離れしている感じがある、あり得ない何かに答えかあるのかと思わせて
結局そこには話は戻っていない、期待して買って読んだが値段の割に内容はは薄いと
感じてしまったのは私だけなのか、話題書だから読みましたが、はじめて村上春樹
の本を今回買った人は感動するのかもしれない、次回作は買わないかも。
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No.295:
(5pt)

インセプション

青春時代に得た人との強い結びつきをその後なんらかの理由で失った経験のある全ての大人にもたらされる自己肯定感
経験上の喪失感を見事に支柱にした、新たな一歩を踏み出すためのインセプション
強さをくれた一冊でした
読んで良かった
ありがとう
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No.294:
(3pt)

良くも悪くも『36歳』という設定

日本語に訳された文章を読んでるみたい。一文の中の密度が薄くなった気もする。読みやすいとも言うかなぁ…。途中盛り上がったんですが、最後は春樹風?というより誤摩化されたような…。何でもありかい!という感じもしました。後半は、ここまで読んだから最後まで読もうという感じで進めて行って、まあ、でも何となく引っかかる感じは流石なのかなぁ…。36歳というのはいい年齢ですね。小説は美しい女性が出て来て、その描写にいやにマスを使うし、アニメと一緒で美人を前提とした色白で細いか巨乳で健康的かという所なんですが、男性の灰田は珍しい存在でした。自分と違う世代を書くのは難しいですよね。もうすっかりいない世代なら想像で何でも書けますが、実在する違う世代は流行した物質以外に臨場感を出すのが難しい。実際の36歳は思ってるより大人になってないことにビックリしてる人が多いんじゃないかなぁ。不況の時代を生きて来たのに、何となく、小説の中ではバブルな生活を送っていて…。本当は洒落た食事よりラーメンが好きで。物質的価値観が明らかに前の世代とはズレてるんですよ。それとも東京の36歳は大人なのかなぁ。それと、親にがんじがらめにスケジューリングされたことでアダルトチルドレンが多発しており、人に対して断定して物が言えないですね。今の60代以上は「○○しなさい」と人に言えたかもしれないけど、価値観の多様化と、時代の不安定で人に考えを押し付けない世代かも。とか、小説に現実の批判をすることが間違ってるのかもしれないですが、こういう問題を避けたかったら短編小説にして時代背景はザックリと、個性は薄らとしないと駄目かなぁと。最後に、春樹の日本語は、どう訳したらいいの?!という物が多く、多分言葉の壁は超えられないだろう、というところで「あ〜日本語できてよかった♪」という優位性があったのですが、この文章なら日本人であることの得した感が薄い気がします。翻訳の為に、と世界を視野に入れているとしたら、入れないで欲しい。
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No.293:
(3pt)

色彩を持たない小説と、途方に暮れる読者

あまりに多くの要素が放置されたまま終わってしまい、途方に暮れる読後感です。ピッチャーの投げたボールが、ホームベースに届く前に物語が終わってしまうような所在なさ。この一冊が完結した物語なのではなく、より大きな物語の一部分であるかのような……。
ひとつひとつの要素はミステリアスで魅力的なのですが、それらが何の着地点も見いださないまま投げ出されてしまうことには賛否両論あるでしょう。すべてに着地点がある必要はないと思いますが、ここまで着地点がないのも物足りなく感じます。この小説自体が「色彩を持たない」ことの典型として書かれたのでしょうか?
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No.292:
(2pt)

よくわからないまま終わった

1Q84を読んでから村上春樹さんに興味をもった新参者ですが、雰囲気は似ていると感じました。

ただ、いろいろな思わせぶりが解決されないので、よくわからないまま終わってしまった感じです。
友人との再会もなんだか平凡で、想像力をかきたてられていたわりにがっかり。
ガールフレンドとの関係もよくわからない・・・

こういう哲学的な(?)作風が受けているのでしょうか。
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No.291:
(1pt)

夜更かしして先を読みたいと思えなかった作品

まず最初にお断りしたいのが、私が村上春樹さんの作品を読んだのはこれが初めてだったということです。従って、彼の他の作品に対する比較はできません。また、私はその作品の裏で作者が言いたいことよりも、表面的なストーリーの面白さを求めています。

その上で、この作品を読んだ感想ですが、先を読みたくて仕方が無いという内容ではありませんでした。私は本が好きで、一度手に取ると先を読みたくなって、ついつい夜更かししてしまうタイプです。そんな私が躊躇無く本を置いて床に就くことができた次第です。最終的に読破まで2週間程かかりました。

まず最初に気になったのが登場人物同士の会話の表現。英訳での出版を前提としたような不自然な日本語です。これが気になってとても感情移入できませんでした。また、会話の内容が哲学的だったのも好みに合いませんでした。作品のテーマを考えると哲学的な会話は必要な要素だと思いますが、結局何が言いたいのか分かりません。一方でこの点は「作品の裏で作者が言いたいこと」を求める方にはプラスポイントかもしれません。

良かった点は過剰な比喩がなかったこと。世の中には風景を表すために比喩を連発して、繰り返し読まされた挙げ句に情景が思い浮かばないという作品もありますが、この作品ではすんなりと情景を思い浮かべることができました。

良い点、悪い点双方ありますが、すんなり床に就くことができた作品はこれが初めてで、あまりにも興味を持てなかったと言うことで★1つです。
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No.290:
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相変わらずの村上氏の中編小説。風の歌を訊け、1973年のピンボール(これらも中編)か

今回の作品も相変わらずの村上春樹らしい小説で安心しました。それと同時に、この小説の文章には多くの共感すべき言葉たちがありました。
 村上春樹が描く物語の主人公はだいたいにおいて、その時代時代の若者たちを描いてきました。
 今回もそのご多分に漏れず、2010年代の若者らしい主人公であったように感じます。
 僕も23歳の若者として、自分が色彩を持たない空っぽの容器だと、何の中身のない人間なのではないかと生活の中で感じることが多いです。周りの人間が、煌びやかで目を奪われるような色彩を持った素晴らしい人ばかりだと感じることも。それなのに自分は、地味で、個性も無くて、彼らみたいに色鮮やかに自分を見せる事の出来ない人間だ。色彩を持たないうえに、中身もない空っぽな人間だ――現代の若者で同じようにそういう悩みを抱えてる人は多いのではないでしょうか。特に草食系と呼ばれるような人種に。周りの人間がいやにキラキラして見えて、自分は無色のダメ人間だと感じてしまう劣等感の強い人が。

 本書の322pにこのような文章があります。

『入れ物としてはある程度形を成しているかもしれないけど、その中には内容と呼べるようなものはろくすっぽない。自分が彼女にふさわしい人間だとはどうしても思えないんだ』 

 髪の色を鮮やかにしたり、服装に気を配ったり、メイクやファッションを駆使して自分をよく見せようとする。入れ物としての自分はきれいに保っていながら、しかし実際に自分の中身など空っぽなのではないか。大好きな人に対して、自分はふさわしい人間ではないのではないか。これは現代の若者が(無意識的に)抱えているテーマだと僕は思いました。
 身なりばかり整えて外見で勝負する人ばかり増えている。或いはそう言う人たちばかりがテレビや映画、漫画などに出て来て、称賛を浴びている。イケメン美女、至上主義。だけど中身という物が無い。
 それが現代の流行になってしまっている。
 かと言って、それを指摘する自分には色彩もないし、同じように空っぽな人間なのではないか?

 本書はそのような、自分を地味で無色な人間だと思い込んでいる人の物語です(村上氏の主人公らしくハンサムボーイですが)。目を奪われる色彩(勉学の才能だとか、可憐さだとか、ジョークの才能、社交性etc...)によってしっかり自分を持っている人たち。そのような人たちから切り捨てられ、孤独に打ちひしがれながら生きる男が主人公。色彩を持たない多崎つくる君。
 この物語で延べられる色彩と言うのは――先程も少し述べましたが――分かりやすい”才能”や”個性”であると僕は解釈しました。色彩を名に持つ登場人物には、それぞれわかりやすい才能なり個性なりがあります。しかしつくる君の個性や才能と言えば、駅を作る事。駅を眺めるのが好きな事。とても地味で分かりにくい才能です。自分が色彩を持たないと感じてしまうのも、なんとなく頷けてしまいます。もちろん駅の建設は、とても重要で素晴らしい職業であり、駅を眺めることも彼の職業的資質であることは間違いないのですが。
 この物語は、そんな地味な彼が色彩を持つ友達とのグループを追い出されて、孤独に打ちひしがれている場面から始まります。どうして自分は親友だった彼らに裏切られたのだろう。自分は色彩を持っていないからなのか? そんな悩みを巡り、色彩を持つかつての友達の元へ、16年ぶりに巡礼に向かうのが、この物語の大きなストーリーです。と言っても、よく分からないかもしれませんが;;(説明が下手糞すぎてすみません)

 この作品を読んで僕が感じたのは、簡単に言えば下記の事です。
 大切なのは色彩じゃない。生きる上で重要なのは目に見えるカラフルな能力ではない。着実と、しかし確実に駅を作り修復し続けていく能力である。
 自分を飾るのではなく、たくさんの人を迎え入れて送り出せる素敵な駅なような、そんな心を作って行けと。
 多くの人をありのままに受け入れ、見守っていく広く頑丈な心を持つことが現代に必要なのではないか。
 裏切りの犠牲者であっても、色彩を持たぬ人物でも、一人一人が自信を持ち生きていけばいい。そして自らの心に駅を作ったうえで、好きな人を迎えに行き、わが町へと戻ってくればいい。
 23歳である僕に向けて。この時代に生きる人に向けて。村上春樹からは、そんなメッセージを受け取ったような気がしました。相変わらず人にやさしさを与えるのが得意な作家さんです。

 この社会の中では全ての人が犠牲者である。何らかの形で友達に裏切られ、理不尽に追放され、大切な繋がりを失ってしまう。現代社会の組織内ではそういう事が往々にしてある。友情においても恋愛においても。けれどその中で培った、青春時代や若い時代の繋がりは決して色あせることない痛みであり喜びである。人はそれを抱えながら精神的に参ることもありながらも、繋がりを維持するために生きていかなければならない。たくさんの駅や路線を繋ぐ電車を、迎え入れる場所として。そんな文学的メッセージがあるようにも感じました(この見解、及びこのレビューでの僕の見解全てがまったくの的外れかもしれませんが……)。

 ちなみに星を一つ減点したのは、出来事の何もかもがうまく運びすぎていて、それが物語を動かすための都合のいい展開になっているような気がしたからです。
 少なくとも、その展開に説得力が感じられなかった。出来事のあらゆることが運命的すぎて、少々話が地から浮きすぎていると感じてしまいます。そこにもっと読者を納得させるような説得力があればよかったのですが……。村上氏の作品がそういうものだと言われればそうなのですが、昔はもっと運命的な出来事に対して細かい事象や理由を書かれていた気がしたので、今回はちょっと物語を急ぎ過ぎている気がしました。ただ、物語の内容や、比喩などは相変わらずだったので個人的にはよかったのですが。そこが少し気になりました。ユズの妊娠についても、何故それが話の中に登場したのかよく分かりませんでしたし……。

 まあ、ともかく。スプートニクやアフターダーク等、氏の中編は実験的なものとしての作品が多いので(この作品も同じ色合いに感じます)、次の作品にも大いに期待です。恐らく長編を書かれるのではないでしょうか。これは僕の勘です。


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4163821104
No.289:
(5pt)

「正しく読み取れたとしても、

また、それを正しい音に書き換えられたとしても、そこに込められた意味が人々に正しく理解され、評価されると限らない。それが人を幸福にするとは限らない。」(本文引用)
この作品も、そういうことなのだろうか。
私には最初から最後までとても面白かった。比喩、文章力は飛びぬけてレベルが違うと感じた。
本というより、音楽のようだった。
圧倒的な表現力によって、感情表現が痛いくらい胸を刺してくる。
人間、生きていくことについて、美しい比喩で表現された視点で通して見てみると、新しい世界を見せてくれたし、自分がいかに偏った視点で物事を見ていることに気付かされる。このような手法で読み手を開眼させ、心を打つことができる作家は他にいるのだろうか。
完璧じゃない登場人物によって、物語が異様な模様を描いたかと思えば、最終的には全てのピースが美しく、圧倒的な芸術作品を作り上げてしまったのを見た感覚だった。
読み終わった後の気持ちを、村上さんだったらどんな比喩にするんだろうと思う。私には例えられないが、読んでいて、息が詰まり胸が痛み、心が震えた。
十分、完結している完璧な小説だと思う。重要な所こそ、具体的に描かない方が返って伝わるし、面白い。私には豊かさと幸せをくれた小説だった。
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No.288:
(4pt)

分かりやすかった

1Q84よりはストーリーがシンプルでわかりやすかった。読みやすかったです。
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No.287:
(2pt)

流行のファッション

販売戦略の異様さに驚く。
ストーリーを期待せずに雰囲気を味わう作品なのか。
「何かある」と思って期待しても、多くの謎を謎のまま終わらせる。
謎めいてはいるが謎はないといった方が正解か。
つまり、何もない。
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No.286:
(3pt)

多崎つくるの女々しさ

村上春樹さんの本はノルウェイの森ぐらいしか読んだことがなく、ファンではないのですが、楽しく読めました。たくさん謎がちりばめられていて早く読みたい!と凄く引き込まれ、さーっと読めました。ただ、謎が謎のままで終わっているところは本当にモヤモヤしました。

表現が美しく、惚れ惚れした一方で、登場人物の理屈っぽい言い回しや小難しい話し方はイライラしました(笑)。また、多崎つくるの魅力がよくわからず、女々しい男性だな、と思ってしまいました。特に、最後の電話のシーンや、自殺を考えた理由、問題を直視しないところなど。

灰田や緑川のこと、シロの事件、多崎つくるの恋の行方など、もっと書いてほしいところがたくさんあったので、★は3つにしました。
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No.285:
(4pt)

ポール・オースターとの比較論対象としてお勧めの書

1Q84以前の本来の村上氏のスタイルがストーリに描かれていたことに好感を持ちました。言葉遊び、名前遊び、サスペンス的要素を持ったプロット展開などは、ある意味ポール・オースターのNew York Trilogyと比較検討してみるには面白い書だと思いました。
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No.284:
(5pt)

文章がうまい、起承転結もうまい

他におもしろい小説はいっぱいあると思うから、話題の作品だと期待して読もうと思うなら、けっこうがっかりするかもしれません。
ですが、文章は難しくなく、わかりやすい流れと、最後まで読み終えることができるボリュームの作品であることは確かです。
シロの身に起こったエピソードがもう少し意外性の高いものだともっと楽しめたとは思うけれど、
人間の強さの度合いが、自分の若かったころとはきっと違うのだろうと思うと、理解できないなりに、
“今ってこんな感じなのかもね。”と納得できるというか、教わる感じがありました。
自分の内面を説明するための比喩的な表現や、夢の使い方など、さすがに評価の高い小説家さんだなと思います。
ムキにならずに、ひとつのお話として読むには、十分楽しめる作品と感じました。
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