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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1023件 741~760 38/52ページ
No.283:
(4pt)

36歳の現実感を感じます

読み終わって、幸せだなと思える。

状況設定やふ伏線、ストーリーで読ませようとする本はたくさんありますが、登場人物や情景のちょっとした動き、風合いの変化が、読み手である自分の心の中のいくつかの引き出しを開けてくれる、こういう体験はやっぱり素晴らしい。

人は人とのつながりの中で生きていくけど、結局はすごく孤独な存在であって、理不尽に隔絶されることだってある。自分は特別な何かでもなんでもないからこそ、不安にもなるし、寂しくもなる。その積み重ねが人生。今、色が無かったとしても、見えなかったとしても、いつか味わい深い色を、他の誰かが見ることになる。

主人公の36歳という年齢にリアリティがあります。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.282:
(3pt)

現代的な生死のはざま

結末は書かれず「あれ、ここで終わっちゃうの?」という感じでしたが、
生と死の境界での内面を描いていて最後はスリリングでした。
自分も近い感覚を持った経験があるけれど、こういう現代的な生死のはざまを書きたかったのかもしれないですね。
(でも、どうあっても自分の場合は死はないなあ。愛されて救われるという望みは捨てないでしょうね。)
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No.281:
(5pt)

村上春樹らしい

最近、村上春樹の本を、いくつか読ませて頂きましたが展開や、切り口が ”らしい” なあ、(個人的感想)なお話でした。2つの時間軸の違う話を進めて、最終的に両方の話が同じ時間軸に乗っかる展開や、こちらは(展開がお話により違いますが)学生の頃の、思い出話ほかを、織り交ぜながら、作者の感情(学生さん)だった頃の思いや、社会、友達などについて、考察しながら、物語に乗っけるお話です。
 ミステリー要素もあり最終的な回答や、なぜそうなのか、がとても微妙なふり幅の中でささやかに進みます。この感じが好きな方(日常の、少しの事(個人の持つナイーブな思い)などで一喜一憂出来る、ナイーブな感性がある方なら楽しめると思います。多少ネタバレですが、今回も、クラシックの音楽の題材が入り、とても聞きたくなりましたよ。最終的には、私は楽しめましたが、1Q84 のほうが、個人的には一気に読めたように思います。ゆらゆらした時間を、また自分を見つめなおす為に、生きてみたい そう思わせる青春文学な、内容でした。稚拙な文面で申し訳ございませんが、感想、レビューでした。
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No.280:
(2pt)

浅薄な暇つぶしのためのミステリー小説

3日後の水曜日に、沙羅からつくるに語られるべき物語は、ついに語られることはありません。もちろん、物語の時間は、本が閉じられた後も不変に流れているはずですから、本が閉じられたちょうど次の日の夜に、きっと、沙羅はつくるに対して、語るべき物語を紡いでいるはずです。そして、きっと二人は、体を交えて、つくるは射精に成功しているはずです。

こともなげに交わされる灰田とつくるとの間の形而上的会話は、それ自体、小説のパーツとしては涼しいのだと思います。こともなげに交わされる灰田の父親と緑川との間の音楽に関する会話も、それ自体、小説のパーツとしては涼しいと思います。フィンランドでの懐古的な旅情も、ペニスがシロとクロとの体温に包まれる刹那的な夢想も、タグホイヤーの時計も、レクサスの車も、どれも涼しい小説のパーツです。しかし、この小説に根本的に欠けているのは、大局的な構想でしょう。5人が織りなす完璧な調和と、その不調和というのは、「大局的」な構想にあやかるかの様に、この小説の根底をなしているようにみえますが、結局のところ、それも涼しい小説のパーツに過ぎません。

すべての伏線を回収することは、文学の必要条件ではないでしょう。回収されなければ、それは伏線ではなく、小説の雰囲気を醸成する一場面に過ぎなかったに過ぎないのだ、ということも出来るかも知れません。しかしながら、この小説には、雰囲気というものがない。それは、この小説が、歴史的断絶の憂き目に遭った主人公が、歴史的断絶を克服する叙事詩であろうとするため、という説明は、ある種の文学的な説明の一つではあると思いますが、すくなくとも、これらの小説の断片が、5人の関係性の様に「ケミストリー」することはありません。

そういった意味で、この小説は、ひどく混雑する電車の中で読まれるような、暇つぶし(というよりは苦痛をいくらか緩衝する)ための、浅薄なミステリー小説に過ぎません。絶賛するレビューが大半を占める理由が、さっぱり理解できません。

ちなみに、当方は、村上春樹の作品は、過去に、1Q84しか読んだことがありません。ご参考まで。
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No.279:
(4pt)

知覚の扉

高校時代にボランティア活動で知り合った友人4人と、
何人も立ち入ることの出来ない完璧なサークルを形成していた
主人公の田崎つくるが、ある日突然、理由も告げられず、
彼らから絶交を言い渡される。
死への淵を彷徨うまでに思いつめ、心に傷を残したままの田崎つくるは、
16年後、上司の紹介で知り合った木元沙羅という2歳年上の女性から、
「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、
それがもたらした歴史を消すことはできない」「自分が見たいものを見るのではなく、
見なくてはならないものをみるのよ」と、過去と正面から向き合う事を促され、
友人たちひとりひとりを訪ねる巡礼の旅に出る。

「ノルウェイの森」から4半世紀が経ち、新たに村上春樹が書き下ろした
喪失と再生の物語は、ビートルズからフランツ・リストのピアノ独奏曲「巡礼の年」に
音色を変えて、64歳と老齢の域に達し、東日本大震災の惨状を目の当たりにした後の
死生観が色濃く反映されていて、文中に言及されているように、オルダリ・ハスクレーが
考える「知覚の扉」を木元沙羅によって開けられた田崎つくるが、言語や哲学と言った
脳の機能によって制限されていた、物事のありのままの本質を垣間見て、
抑圧から解放され、「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃない」事を知るのです。

4人の友人たちには、赤松慶(あかまつ けい)青海悦夫(おうみ よしお)
白根柚木(しらね ゆずき)黒埜恵理(くろの えり)と名前に色が含まれており、
色彩のない無個性な田崎つくるに疎外感を与える原因になっていますが、
本作ではこの色彩が重要なファクターになっていて、大学で知り合った
灰田文紹(はいだ ふみあき)は、白根の白と黒埜の黒を混ぜれば灰田の灰色になるように、
彼女たちからの、特に白根からの伝えなくてはならないメッセージの担い手としての役割を
与えられていることは、田崎つくるが見る、白根と黒埜との3人で交わる性夢で、
射精を受け止めたのは白根のヴァギナではなく、灰田の口だったという箇所で
表現されています。
また、名前に色はありませんが、「知覚の扉」を開いた木本沙羅の沙羅とは、
釈迦が涅槃(人間の本能から起こる精神の迷いがなくなった状態)の境地に入った
臥床の四方に植えられていた木の事で、時じくの花を咲かせ、たちまちに枯れ、白色に変じ、
さながら鶴の群れのごとくであった(出典:「鶴林」)とあるように、
枯れて白色に変じた状態は、沙羅が、殺害された白根の化身であることを意味しています。

今回も、拒絶された友人との関わり(デタッチメント)から逃げていた主人公が、
恋人に背中を押されて、真相を知る(コミットメント)ための旅に出る設定になっていますが、
煮え切らない主人公の目に映る光景が平板なので、カフカ的な世界観を期待したファンには
味気なく、もう少しスパイスが欲しいところでしょうか。
ただ、ノーベル賞候補にもなる作家ですから、行間に張り巡らされた伏線は奥深く、
読むたびに新たな発見がある作品です。

知覚の扉澄みたれば、人の眼に
ものみなすべて永遠の実相を顕(あら)わさん。
(ウィリアム・ブレイク)
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No.278:
(5pt)

面白いとは思えないけど

純粋に読ませる能力がすごい。キャラクターに感情移入できないけど
ここまで、読ませるのは、村上さんのすごい才能のなせる業か?
後は、疎外と不条理、孤独を描かせたら、右にでるものは今の日本にはいないと思う。
なんというか引き込まれるわ。
暗い気分になるのは、自分の中にそういう要素があるからだと
思い知らされたなあ。

決して、好きな作家でもないし面白いと感じる作品でもないし
二度と読みたいと思わないけど、でも認めざるを得ない。
すごい作家だと
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No.277:
(4pt)

2013年、自分への巡礼。

孤独、友達、悪、そして愛。これは、一冊を通しての自分への巡礼の旅であり、この貴重な旅する時間を与えてくれることこそが、この本の醍醐味ではないのでしょうか。 出だしは、老練の音楽家が奏でる即興演奏のよう。沢山の意味深いフレーズが宙に投げ出されたあと、中盤はそのフレーズをパズルのピースとして結合していきながら、グイグイ引き込まれます。 そして、最後はまた、抽象的なテーマに戻りつつ、読み手の想像力を掻き立てていく。 今一度じっくりと、多崎つくるを通して自分の人生を反芻し、明日からの次のステップへとヒントを与えてくれる、そんな自分を見つめ直す一冊でした。
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No.276:
(3pt)

結末を期待するのではなく、過程を楽しむ

「ああ、またこのパターンか」

読み終えた時に思ったのはそれでした。他の方もおっしゃっているように、「何かある」と読者を引きこさせておきながら、多くの謎を謎のまま終わらせる。そしてモヤモヤ感が残る。
知人に「村上春樹の新作どうだった?」と訊かれれば簡単にそう答えて終わらせるだろう。
しかし、読んでいるときに「引き込まれる」というのは事実である。
本作を読み、村上春樹の小説は結末を期待しながら読むのではなく、登場人物それぞれの考え方、人間性、全体の世界観を楽しむものなんだなという結論が自分の中で出た。
村上ファンにしてみれば「何を今さら?」と思うのかもしれない。

でも!!でもである。やはり一番重要な部分を謎で終わらせるのはいかがなものか。
特にシロが襲われたのを「悪霊」で片付けてしまうのは「それはないよ・・・」と思った。物語の世界観が安っぽくなってしまったように感じた。
つくると沙羅の関係にしても沙羅の知人である50代前半の男にしても途中のままで「悪霊」ほどではないにしても「それはないよ・・・」である。
「ノルウェイの森」や「1Q84」は多くの謎を残しながらも、それでも重要ないくつかの部分は解決し結末があった。しかし今回は読者が一番知りたいこと(少なくとも私が一番知りたいこと)はすべて謎のままだ。
物語の世界観にしたって、ただでさえ暗鬱だ。そしてほとんど未解決のまま途中で話が終わる。
「時間の無駄だった」という方がいるが、同意せざるを得ない。
読んだ意味はなんだったのか。強いて言えば「話題作を読んだ」と言う寂しい自己満足である。
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No.275:
(3pt)

凡庸。

最後の方で、長々と説教臭い感じがした。
それは、メッセージ性、あるいは、物語がもつ力や意義といったものとは
違い、単調でつまらない種類のもの。
作品としては、心が震えるようなこともなく、私の中でNo.1にはなり得ない。
しかし、著者の素晴らしい点、また愛読し続ける理由は、ある日突然、何かの
拍子に、作品の一場面が、鮮明に脳裏に浮かび上がり、はっとさせられるから。
本作の中にも、個人的にとても印象的な文章がある。
どこかに必ず読者の心に爪痕を残す・・・やっぱり一番好きな作家に変わりは
ない。
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No.274:
(3pt)

村上春樹の小説はミステリーなのだろうか

何故つくる(主人公)は仲良し五人組から突然仲間はずれにされたのか。物語はこの謎を解くミステリーだと言えなくもない。ただし、ミステリーにしてはその解が謎というほど深みのあるものでもないし、謎がすっきり解かれるわけでもない。派手なアクションがあるわけでも当然ない。主人公は最終的に恋人をものにできたかどうかもわからない。ミステリー風だけどエンテーテインメントではない。だけど何故か読んでしまう。それが村上春樹の不思議である。何故これほど売れるのかわからないが、ひとつだけ言えることは、最初から最後まで、つくるは現在の自分のことなのではないかと共感を持って読み進めることができた。他の読者もそう思いながら読んでいるかどうかはわからない。でもそうでないと、ここまで人気がでるものではないと思うのだが、どうなのだろう。
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No.273:
(3pt)

これしかないでしょ!

君がアウトキャストでないのならば

「もっと自信と勇気を持つべきだよ」(323頁)
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No.272:
(5pt)

ダビデの歌

昨夜、

返却期限を3日すぎたレンタルCD(はっぴいえんど3枚・ベニーグッドマン・ローリングストーンズ)を返しにTSUTAYAなかもず店にいったら、

書店コーナーにこの本が大量に入荷していて、ようやく買えた。

発売日から2週間がたっている。

家に帰るとテレビでは明石家さんまさんが「行列のできる法律相談所」にスペシャル出演している。

一回目の時ほどの爆発力はないようだ。

僕はテレビのボリュームをしぼり、「巡礼」を読み始めた。

4時間後、読み終えた。

本って、一気に読破すると、汗とか力の加減によって 独特の方向にひん曲がるんだなってことが再確認できた。

村上春樹さんによると、「あらすじだけ最後まで紹介してポイっていう書評は、あれはなんとかならないのかな、まったく・・・・・・・・」(サリンジャー戦記)

ということなので、今回はいくつか気が付いた点だけ抽出してみよう。

・挫折した(成功しなかった)ピアニストの物語(スプートニクの恋人と共通)

・かわいい女の子ふたりとの3Pへの執念(ねじまき鳥と共通)(なお、古事記にもこのテーマがあるらしい)

・6本指の人の話〜12進法の衰退について(奇形ネタは初めてか。ちなみに、ユンチアン「ワイルドスワン」によると、毛沢東の妻・江青は足の指が6本あり、そのことの負い目のせいで毛沢東が浮気しまくっても何も言えず、文化大革命のドサクサにまぎれて悪逆非道のかぎりを尽くしたらしい。ほんまかうそか知らんけど。で、毛沢東死去直後に処刑された。)

・ホモセクシャルの問題(登場人物のひとりが、破局に終わった結婚のあとに自分がホモであることに気づき、しかも超保守的な社会に生きていることについての苦しみを告白するシーンがある。)(海辺のカフカにもセクシャリティーの問題があつかわれていたような気がする。)

・通勤電車地獄への恐怖(満員列車、通勤地獄への恐怖は「アンダーグランド」などで何度も語られてきたと思う。恐怖というよりも、なぜそれに耐えられるのかについて、理解にくるしんでいて、困惑してはるみたいだ。年配の方々が若者の行動を見て途方に暮れるように。)

…………………………………

ということで、これまでの作品からのリフレイン、

これまでの作品と響きあうものがいくつもあって、

村上ファンとしては より多く楽しむことができた(倍音効果@内田樹)。

そういう意味ではこれまでの集大成といってよいかもしれない。

繰り返しってありがたい。

時間がたってみないとこの本の本当の真価は

測り知れないわけやけど、

個人的にいちばん共感できたのは、いまは、

主人公がもらす「夜の予定はいつも白紙だ」ってとこ。

あと、村上さんにとって、新宿駅っていうのは大切な場所なんだなあとも思う。

あと、アンチ村上春樹だったかつての同僚は、いまでもこれを読んで「キザだからだいっきらい!!!!!!!!!!!!!!!!」ていうのかなあ
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No.271:
(5pt)

素直に面白かった

やけくそみたいに無分別に売れてしまった代償か、低評価レビューも多いようですが、個人的には相変わらずすんなりとブレなく面白かったです。

「読者を選ぶ」という意見が多いですが確かにそうなのでしょうね。100人が100人オモロイって言ったらかえって気持ちが悪い(笑)。内なる孤独感をいつも感じている自分には本作はとても共感できてどっぷりと世界にハマり込んでしまいました。

そんで皮肉なことに「こういうのキライ!」って言う人のほうが私には友だちとして魅力的だったりするんですよね。困ったものだ。

もちろん諸々のストレスは読後に残るけど、大げさに言えばそれこそ「必要な痛み」なのかなあ、自分にとっては。
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No.270:
(5pt)

素晴らしい作品です

個人的にはすでに村上さんの作品であればなんでも読むタイプになりますが、感情的にはこの作品はよく生活の孤独や世間の夢幻を感じられる作品だと思います。愚痴かもしれませんが、文学作品にたいする熱度もそれほどではない、共鳴感を求めるではない、ただ、自分は部屋の中で静かに本を楽しみたいだけです。
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No.269:
(2pt)

著者の明らかな才能の枯渇・・・?

結論から書いてしまうと、本作の完成度であれば通常の作家さんならば、原稿段階で出版社にボツにされていると思う。
レビューをざっと拝見すると色々な意見に別れているが、僕は著者を長く読み、大学の卒論のテーマにも著者の作品を選んだ〜だが、『ねじまき鳥クロニクル』から見え始めた作品のレベルの低下は本作でも隠しようがない。僕は前回の長編『1Q84』で--ストーリー・テリングは立ち直ったものの--村上春樹氏の言いたいことを直接書いてしまう実態を見たときから「才能、なくなってきてるんじゃないのかな・・・?」という疑問を持っていたが、本作ではそれが露呈している。
 小説は具体的なモチーフにテーマを縫合して描くものであり、作者の言いたいことを直接書くものではない。それが本作では多崎つくると登場人物たちの思弁的な会話と主人公の心理描写によってそれがもろに外に出てしまっている。その上、ストーリー・テリングが冗漫すぎる。
前作の『1Q84』のレビューにも記載したのだが、村上春樹氏は作家として、もう、かなり危ういところに来ていると思う。だが、一種のブランドネームとなった著者の作品はこの先のマスコミの取り上げ方で売れることは売れ続けるだろう。そして、--政治的なしがらみさえなければ--ノーベル文学賞も受賞するだろうし、それによってさらに過去作の売り上げもあがるだろう。だが、村上春樹氏は、もう長編作家--短編はもうずいぶん新作を書いていないのでわからないが--としての作品のレベルには期待できないところまで来ている、としか思えない。
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No.268:
(5pt)

よかった。

みなさんのような詳細な示唆に富むレビューはかけませんしコアな村上氏のファンでもない私が書けることは、一気に読んで蔵書印を押して丁寧に机に置いたことです。
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No.267:
(5pt)

健在、村上ワールド!

やっぱり村上春樹は素晴らしい。言葉でいろいろ紡ぐより、
まずは一読してみてほしいと思う。
現実と非現実の境でさまよう主人公の心理、旅、不思議なことが
すっと胸に落ちてくる。
やはり今回も、音楽が重要なモチーフとなって出てくる。
読後、どうしてもその音楽を聴きたくなった。そんな小説はあまりない。
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No.266:
(4pt)

Le mal du paysをBGMに

19歳の時に親友達を失うという喪失体験を経て、死を希求。自己の変革を図ることで危機を乗り越え、夢だった職業を得る。何もかもこれからはうまくいくはずだった。
 しかし、思春期に受けたPTSDから、36歳になっても迎えるべき成人期に凍てついた芯が残されている。
 恋人の問いかけにより、時の流れに吸い込まれてしまったうつくしい可能性をみつめる。―リストのピアノ曲とラザールベルマンの演奏で色彩をたどる巡礼。
 記憶をどこかにうまく消せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない。
 そして、僕らはあのころ何かを強く信じていた。何かを強く信じることのできる自分を持っていた。そんな思いがどこかへ虚しく消えてしまうことはない。
 この作品にもこびとが出てきて無垢な君を捕えようとしている。
 Le mal du paysをBGMにノスタスジアをたどって欲しい。
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No.265:
(1pt)

よくもまあ同じことを延々と

海辺のカフカあたりから、ほんとにこの人、成長とまってるな、とは思っていましたが、1Q84で、止まったどころか後退してるな、と思い、今回
だいぶダメになったなと思いました。
これでは世に出さず、自分のスケッチにしておいたほうがよかったくらい。
私は主人公と同じ世代ですが、恋人の彼女のリアリティーが全くない。このような謎めいてかつ暗示的な女性に、人の紹介で知り合うとか、し実な彼女が50過ぎのおっさんの愛人チックとか、ほんとリアリティーない設定。三回くらいしかあってないような女の高校時代への話への首のつっこみぶりに普通は引くよね
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No.264:
(4pt)

忘れられないもやもや感

こちらのレビューでも書かれているように、村上春樹の最高傑作ではないかもしれませんが、個人的には、かなりイイ線いってる作品だと思います。

村上小説の好きな所は、物語なのに抽象的すぎるところで、つじつまが合わなくても、結論が見えなくても(見えないだろうと予想できても)最後まで読ませてしまう文章力はすごいと思います。この本も他の作品と同様、確固としたストーリーラインはあるのに、最後まですっきりしません。

1回目の読後感「なにこれ、なんでこんな中途半端に終わってるの」

読んだ時間が無駄に思えて、本を放り出してから2、3日。ここらへんから本が効いてきます。ふとした瞬間や、ボーっとしてるときに、本の内容が断片的に頭に浮かびます。1小節、1シーン、登場人物、台詞、そういったものについて漠然と考えているうちに、「もう1回読んでみようかな」と思って再読→すっきりしない。

既にこれを数回繰り返しました。これが私にとっての村上春樹の魅力です。
私の部屋の、一番目につきやすい本棚には、羊の冒険シリーズと世界の終りとハードボイルドワンダーランドがあります。すりきれてぼろぼろになっていますが、いまだに時々取り出して読むので片づけることができません。色彩を持たない多崎つくると巡礼の年とも、時々取り出して読む関係を続けていくと思います。
(ねじまき、1Q84あたりは描写がグロすぎで怖かったので読み返していませんが)
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