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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1023件 841~860 43/52ページ
No.183:
(5pt)

不可逆、そして狭間。

2度と同じ日は繰り返さないという不可逆性。でも昨日と同じ日が繰り返すと錯覚して僕らは生きている。錯覚なしには生きられない。
複雑に絡み合った関係性の狭間。そこだけが自分の居場所であるという覚悟は、過去になった日々が全て消え去りはしないと思い込むからこそ持てるのだろう。
不可逆な人生にささやかな希望が見えた。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.182:
(3pt)

愛を求めてさすらう旅人の物語。しかし・・

村上氏は一貫して現代人の孤独とそれに対比する意味での人と人との繋がりをさまざまな形で描いてきていますが、この小説でも主人公の多崎つくるが心に傷を負いながらも前向きに生きようと苦闘する姿を描いています。

この小説のクライマックスともいうべき、つくるの学生時代の親友たちから過去の秘密が語られていく場面は次のページをめくるのがもどかしいほど一気に読ませます。

人が感じる孤独が深く痛切であればあるほど、友情や愛を手にした喜びは大きいはずで、そのような意味において村上氏の小説はどれも愛を求めてさすらう現代人の物語です。村上氏の小説がこのように広く読まれるのはそのような主人公に読者が共感を覚えるからではないでしょうか。

特につくるが過去の自分の失われた時間を取り戻すべく、フィンランドを訪れる場面の描写は静謐で美しく素晴らしいと思います。
しかし全体的にこの小説には疑問を感じる箇所もいくつかあります。

友人の灰田から父親の若いときの体験が語られる場面。この小説のおそらく最もすぐれた描写であると思いますがそれが小説のその後の伏線となるわけではなく、宙ぶらりんな印象を受けます。

そして主人公の多崎つくるが裕福な家庭に育ち、明晰な頭脳と端麗な容姿にも恵まれた一見何一つ不自由のない境遇にあることです。
村上氏の小説の主人公は大なり小なりすべて村上氏の分身であると思いますが、そのようなの人物を描くことにより、よりいっそう孤独感を際立たせようとしたのでしょうか。

しかし震災という未曾有の体験を経た今、このような小説を「金持ちのお坊ちゃんのたわごと」と批判することも可能であるということです。

常に変わらない村上氏のスタイルに共感と安堵感を覚える一方で、今眼前にある出来事への危機感のほうがリアルで痛切である、という事実に疑問を感じる小説でもあります。
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No.181:
(1pt)

熱心なハルキスト以外は・・・

まったく何も感じませんでした。
あえて言うと『あぁ時間を無駄にした、他に溜めている本読めばよかった』と思いました。(失礼ですが)
自分はハルキストでも何でもなく、とりあえずこれまでの作品は一応読んでいます。

毎回思います。
『正直ここまで長い文章にしなくてもいいよね』と。
新しい作品ごとにこの気持ちは強くなっていたのですが、もう次は読みません。
何の偶然がタイトルからして長いので余計イライラしました。

ノルウェイの森は良作だと思いますが、それからブームだのと氏を特別扱いしすぎです。
ここまで売れる理由も、メディアの異様な騒ぎやらネームバリューがほぼ・・・ではないでしょうか。
一応世界的に評価されている方ですし伝わる人=ハルキスト?には伝わるのでしょうが、本を出す度に落ちてるなぁ〜と感じます
それでももちろん並の作家ではないことはわかりますが、前述の通り次回作は期待もしていませんし読みません。
私の頭が悪いだけかもしれませんが、理解するのは敷居が高いように思えます

ハルキストと言われている人には☆5かもしれませんが、それ以外の人は読む価値はありません。
もっととっつきやすく、感慨深い作品はあります。間違いなく。
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No.180:
(2pt)

まあ、こんなものでしょうな。

村上春樹の作品はいくつか読んだが、いずれも凡作の域を越えることはない。今回の作品も同様に、大して面白くもない話だったなと思うね。もともと期待すらしてなかったので、いつもの如くサクッと読み片付ける。だって村上春樹を読んだことが自慢になるから。
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No.179:
(5pt)

交響曲

まるでチャイコフスキーの交響曲のような小説です。
ゆっくりと穏やかにそして強く深い。
今までの作品も好きですが、違いはあるにしろ紛れもない村上作品であり、この作品も好きです。
ノルウェイの森は好きとか嫌いとかずっと意見が分かれ語られてきましたが、この本も同じように語り継がれる作品のようにも思われます。
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No.178:
(1pt)

ハイライトが抽象的

村上春樹の「主張」はとてもよくわかる。わかりすぎて、つまらない。
特に作品尾ハイライト(クライマックス)がひどい。
「そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができた。」(307ページ)を中心とした2段落。
これは「作品の自己解説」であって、小説ではない。
[...]
に長い感想(批判)を書いています。
合わせて読んでください。
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No.177:
(3pt)

技法と映像は良いが、村上春樹の小説としては色々物足りない。

最初の2行で物語に引き込む力といい、透徹した透明感といい、作家としての力量は疑いようないものの、

村上春樹さんに期待したい、小説ならではの味わいがもの足りません。

ノーベル賞候補作家の作品としては、不満です。

ストーリーを一言で言えば、

20歳前後の出来事がきっかけで生きている感触が希薄な36歳青年が、トラウマの原点となる人々を訪ね、改めて他人を求める心の動きを取り戻す話。

文学技術的な精神の軌跡の描写は申し分ないです。

途中の東京駅の無機質な描写に比べて、最後の新宿駅の人間の温かみがあるドラマティカルな描写には、心を動かされます。

テンポ良い進行、象徴的な色彩の話。映像的なイメージがとても心地よいです。

ただこれが今という現代に書かれる物語、また本来技量のある村上春樹が描く物語として、何かテーマが物足りないのです。

別の角度から見れば、

彼女のお膳立てで過去の友人に会い、過去に自分を好いていたという女友達に嗾けられて彼女に告白する現在の草食系36歳男の物語。

そのせいか、「巡礼」と語るにもあまりにもお手軽です。
彼女がインターネットで検索をすれば、16年ぶりの友人の消息が直ぐにつかめる。
ノーアポで訪れて直ぐに会うことが出来る。会えば皆率直に話をする。
つくるくんも短い会話で納得をして帰っていく。

また最後まで成長を見ないこともあり、未解決な課題も沢山あります。父親との関係や灰田くんのエピソード等。

フィンランドからの帰国後、自分の意思でシロの姉を尋ねるかシロのお墓参りをして欲しかったと思います。
そこまでして初めて、つくるくんの自身の内部から生まれ出た「動き」を読者も信じられるのですが・・。

読後に、彼が彼女から良い返事を聞けるよう彼を応援したい気持ちにはなりましたが、

彼女に選んでもらえなければ、一時的なTurbulenceとして、また色彩の乏しい世界に戻る感じも残ります。

村上春樹が描く特有の(ぼんやりした内向的な・・それだけ恵まれた)青年像の心象風景は、
80年代バブル後の喪失の時代には共感を持ったものですが、
近年日本だけでも深刻ないじめ問題や、引きこもり、派遣問題に象徴される社会の二極化、高齢者問題のニュースにさらされ、
世界でも貧困や紛争のニュースが耐えない現実に生きる人間として、共感を寄せたい気持ちがなくなった気がします。

社会的な今という時代感の希薄さ・・けれど固有世界像があるわけでもない・・・
ではどう贔屓目に見ても物足りない気がするのです。
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No.176:
(3pt)

先が気になって一気に読むことは出来たが微妙。

かなり、上等なお家の坊ちゃんが、何自由なく、まっすぐ文武両道、バランスよく育っていて羨ましいくらい。環境かつ、知識の豊富さにも妬ましいを感じてしまうくらい。それでも悩みは色いろあるわけで、共感出来る部分もあった。しかし。いまの就職難に苦しむ若者は、どう感じるだろうか。「巡礼の年」とのかかわりは分からないではないが、結末にたどり着くと結局つまらなかったというのが正直な感想。
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No.175:
(4pt)

デジャヴュ

大学時代に「ねじまき鳥クロニクル」で村上春樹にはまって、それ以来すべての作品を読んできました。

昔から好きだったものが、あまりにも一般的な人気が出過ぎると嫌いになるということはよくありますが、「1Q84」の村上春樹ブームでなんとなく「村上春樹が好き」ということが恥ずかしくなってしまい、「1Q84」もあまり好きにはなれませんでした(当然、当該ブーム以前から村上春樹は現代作家の中では抜群の知名度をほこっていましたが、あの時の取り上げ方は違和感ありまくりでした。)。

もともと安部公房や夏目漱石などの文豪と比べると、物足りない感のある作家だと思っていましたが、「1Q84」で興味が完全に薄れてしまいました。

そんな状態で読んだ今回の作品ですが、素直に面白かったです。

読み終えた後に「あれ?登場人物の名前と設定だけ変えたら、ノルウェイの森やん・・・。」と気づいてしまいましたが、読んでいる最中は続きがきになってしょうがありませんでした。

最後の方に近づくと、「残りページから察すると、今回も未回収の謎がめちゃくちゃある終わり方なんやろうな。」とは思っていましたが、まさにそのとおり。でもまた続きがでるのかもしれませんね。
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No.174:
(5pt)

とても面白いです

とても面白かった。こんなに面白い本は久しぶりに読みました。
ねじまき鳥の頃の文章に近いものを自分は感じました。
1Q84を読んだ時に「村上春樹はもう現代を描かないかもしれない」とちょっと思ったのですが、杞憂でした。
とても同時代性のある物語で、リアルです。ラストがとても良いです。
どうしてこんな話を思いつけるのでしょうか。凄いことです。
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No.173:
(4pt)

楽しめました

こレは予約で入手しました。予約したのは偶然アマゾンページで見つけたからです。前作の1Q84は友人から読みやすいよ・・といわれて読みました。一気に読みましたが、これは私には合っていたようです。この回の作品もはじめはそんなに無かったのですが、少し読み進むとやはり一気に読み終えることができました。ノルウェーの森や国境の南なども読みましたがこのときは何の感慨もわきませんでした。本が届いた頃は入院中だったのでゆっくり読めたというところです。私はハルキとではありませんし、一応評判の本は読んでみたいというタイプの人間です。芥川賞の本は最近全く読みません。直木賞の本は時に読みます。
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No.172:
(1pt)

前進せず後退せず

また同じようなプロット。
完全に類型化された “村上春樹” のひな形にピッタリ収まってます。
何かに似てると思ったら、プログレッシブ・ロックに近い。
最初はこれまでにない、前衛的な手法を取り入れたロックをそう呼んでいたのであるが、
それが過大評価されたものだから、パターン化し焼き直しが繰り返される・・・
1Q84がそれの総決算で、今作からまた新しい地平を切り拓いてくれるかと少しばかり期待したのですが、
残念ながらこれまでの延長線上です。
登場人物がどれも理屈っぽい、すぐセックスする、なにか起こりそうで起きない、結論なんかない。
表現方法が上手いので、なにか大きな主題があって、様々な示唆が内包されているのかと勘違いしそうになるが、
俯瞰して見た場合、全般的にやってる事がくだらない。
これがリアリズム?・・・でもなあ。
この村上春樹スタイルが好きな方にはオススメです。
私はもういいです。飽きた。
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No.171:
(4pt)

楽しめました

話題の作家で海外での売れ行きも良くしかもノーベル文学賞候補の一人。例えるならお笑い芸人が「今から最高に面白い話をします」と言ってしまうのと同じで評価基準のハードルが上がりすぎていると思います。20~30万部が妥当な販売部数ではないでしょうか。後は「みんなが買うので乗り遅れまいとして買ったけど・・・」という方が多いのではないでしょうか?私は単純に好みかそうでないかで判断しますが楽しめましたよ。それはこのあとどう展開していくんだろうという期待感と読後の切なさがいいのです。ですから「これにて一件落着めでたしめでたし」ときっちりかかれていなくともいいんです。出版社には悪いのですが,好きでもないのに無理に買う必要はありません。今までに好きな村上春樹作品が一つでもあれば買ってもいいのではないでしょうか
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No.170:
(1pt)

カバーがグシャっとなっていてがっかり。

今まで何度か本を購入しましたが、いつも奇麗な本が届いてましたが、今回初めてカバーがグシャっとなっているものが届いてがっかりしました。これなら本屋さんで買ったほうが良かったかも…。
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No.169:
(5pt)

沁みました。

早く読むのがもったいなくてゆっくりと3日かけて読みました。
ストーリーはいつもの村上ワールドでファンにとってはなじんだものですが
”飽きた感”はなく益々「人間」に対しての深い愛情を感じました。

そしてこんなに新作を楽しみにする理由はその描く世界だけではなく
文章の美しさです。
描かれている感情は全く違う人生を歩んでいる自分にも当てはまるリアルなもので
その繊細な気持ちをこんなに自由にこんなにわかりやすく書かれたものを
読める幸福・・・といったら大げさでしょうか

1Q84はスリリングでしたが今回のは沁みました。
「灰田」の部分や「ピアノ」の部分は不可解なパーツですが
それが逆にリアルな効果を出しているな〜
現実って案外不可解なので・・

読み終わって晴れやかな気分、
ポジティブな気持ちがあふれました。

欲を言えばもっと静かに普通に販売して欲しいですね。
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No.168:
(2pt)

魔法つかいの魔法の本

書店にあった最後の一冊を手に入れた。
その晩、眠いのをこらえながら徹夜で読み終えた。
翌朝、目覚めたときには、本を読んだことすら忘れていた。
春樹さんの本を読むということは、
その時間をその世界で過ごすということであり、
読み終えたとたん、世界は消えてなくなってしまう。
ただ、その時間をそこで過ごしたという事実だけが残る。
そういう性質の、きわめて特殊な体験なのだ。
そのことを、改めて感じさせられた。
それ以上でも、以下でもない。
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No.167:
(5pt)

著者の新境地に拍手!

今回の新作は文藝春秋からの出版ということで、私はあるひとつの固定したイメージを持っていました。それは、中編規模の作品で、大作というよりはむしろ周縁に位置する作品であるが、重要な出来事に作者が強くコミットして書き上げた作品であるというものです。『約束された場所で―続アンダーグラウンド』とか、『TVピープル』とかの短編小説、インタビュー集などです。特に、オウム事件の被害者と加害者の両方に取材し、この事件に関わりを持った人々の人生がどのように変わったのか、この点に着目して作者が書き上げた秀逸なルポタージュ作品です。
 
 私は今回の新作は、オウム事件のような命に関わる重大な事件に巻き込まれた人々、またはそれと関わりを持った人々の人生がその出来事によってどのように変化したか、またその出来事によって受けた心の傷に対してどのような態度や決意を余儀なくされたのか、という問いに対する著者のひとつの返答ではないかと感じました。

 この作品は友人4人に裏切られ、心の傷を背負った主人公の立ち直りと再生の旅(巡礼)を描いた作品です。裏切った人々にはそうすべき決定的な理由がありました。しかし、そのような態度決定が友人関係の解消、それぞれがそれぞれの人生を歩むべき方向性を決定したのです。サルトルの言葉を借りれば、ある一つの態度決定・意志決定(アンガージュマン)が、意志決定した主体に対して、そうした意志決定に対する「責任」を課すことになるということです。意志決定は自由ですが、そのことには必ず責任が伴うのです。この新作では、裏切りに対する責任が友人達に別々の道を歩ませ、そのことに対する心の傷を負わせる結果になったという点です。これがオウムの加害者が取らねばならない重い責任につながります。一方、被害者である主人公多崎つくるも、心の傷を消し、自殺をやめ、新たな生きる目標を探す旅に出ることが、彼が自らの意志で選んだ生きる道であり、裏切りから立ち直りたいと決めた意志決定に対して、彼が果たさなければならない「責任」なのです。

 このように新作を理解することで、私は著者の意図を何となく理解できたような気がしています。そしてこの作品のモティーフになった意志決定と自己責任が、次回の長編=大作に何らかの形で継承されていくのではないかと期待しています。それは新潮社から出版されることになるでしょう。

 残念なのは、シリアスな内容である反面、今回の作品にはエンターテイメント性が不足してしまったことです。そして、もうひとつは、「物語性」もまた友人女性の妊娠と死以外には特に見られなかったことです。この点も次回に期待し、著者のさらなる飛躍を期待して感想を締めくくりたいと思います。
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No.166:
(1pt)

ガッカリ!!

自身の理解力が乏しいのか、胸に来るものが無く、残念ながら買う価値はなかった。裏切られたぁ。村上春樹自身の解説、釈明が欲しいぐらい。ついて来れる読者だけで良いという独善的になったのでしょうか?村上春樹も、もう64歳だから、しょうがないかぁ。これほどボヤキたくなるほどです。
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No.165:
(5pt)

まだ途中ですが。

テレビの放送を見て興味本位で買ってみたのですが、これが結構面白い。何が面白いかって?それは自分で読んでみて下さい。絶対お薦めです。
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No.164:
(4pt)

足りないものを埋める、それが村上春樹の物語の目的

村上春樹の作品ですっきりとした読後感を感じたことは無い。長編の作品はほとんど読んだが終盤から最後にかけての物語の流れは割とパターンが決まっていて、とりわけ主人公の内省が最後まで続き外面的な“結果”を書き切らない事が多い。今回の作品もその例に洩れず村上春樹らしい作品だと感じた。 そのような作風は小説を読み終えた後特有の余韻よりも割り切れない結末と煮え切らなさを感じてしまい好きになれない。しかし私はそれでも村上春樹の作品を読み続ける。ひとえにそこには言葉によって作られた彼の物語を“読む”という行為そのものにたまらない心地良さを感じるからだ。「村上春樹の作品には治癒能力がある」と何処かの精神科医が言っていたような気がする。 彼の物語には必ず“欠陥”を持ったものが登場する。そしてそれは何らかの手段や方法を経て解決へ向かう事になる。私はそこに言い知れぬ希望の形を感じるのだ。なぜならその“欠陥”は私の中にも内包されてる登場人物と私の共通項出あるように思えるからだ。それは普段言葉にならないような些細なものであるが故に可視化されることがなく自身も気づく事の無い僅かな“欠陥”かもしれない。しかし彼の物語の中ではそのような些細な“欠陥”はやがて大きな破滅をもたらす引き金となる。だがその破滅はまた他の誰かの中に内包されているある性質、要素により中和されたり解決へ向かう事になる。そのどれもは物語の中に登場するものである。言い換えればあらゆるものは何かを始めることも終わらせることもできるということであり、そのために必要な全てを揃えることで村上春樹は物語を作り上げているのだと思う。 この作品にもあらゆる要素が登場する。そこには苦悩を続ける主人公が彼の“欠陥”を埋めるために決意と行動が描かれている。私はこの物語に何か足りないものを埋め合わせる心地良さを感じた。
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