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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1023件 921~940 47/52ページ
No.103:
(4pt)

一夜の夢のような物語

この小説、いやどのような作家のどのような作品にも、本来評価などというものは当てはまらない。ましてや村上春樹さんを評価するなど、僭越なことです。
半日を費やして、一気に読ませていただきました。登場人物は多くなく、それぞれがそれぞれの役割を担うべく発言をしますが、結局は主人公の心の葛藤がテーマ。
高校時代から大学二年に至るまでの友好的な友人関係の崩壊に端を発し、30歳半ばにしてその理由を確かめる旅に名古屋へフィンランドへと旅をするのだが、そこには単なる事実だけが存在し、それを受け入れ自分の人生を再考するきっかけにしかならない。

様々な人生での出来事を一夜の夢の物語として捉え、目覚めてしまえばまた新しい一日を過ごすしかない。
そんな繰り返しを、村上春樹さん流の巧みな文章で綴られた物語。
飽きもせず、眠くもならず、360ページを一気に読ませられる小説を書ける数少ない存在の作家、村上春樹さん。

楽しませていただきました。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.102:
(5pt)

作中の音楽「巡礼の年」にこめられた作家の意図

村上春樹氏の小説には、デビュー作「風の歌を聴け」以来、作中に音楽が頻繁に登場し、重要な役割を担っています。ビートルズの「ノルウェイの森」はそのままタイトルに使われましたし、前作「1Q84」ではヤナーチェックの「シンフォニエッタ」が天吾と青豆を結びつけるキーファクターでした。村上作品を読む楽しみのひとつは、音楽に造詣の深い村上春樹氏が取り上げる曲にどのような意味を込めたのかを思いめぐらしながら、彼に導かれて音楽を聴くことだと私は考えています。

この新作では、フランツ・リストがかつて訪れた土地の印象を表現したピアノ曲集「巡礼の年」がそのままタイトルに使われています。また、4集あるうちの第1集「第1年スイス」から8曲目「郷愁 Le mal du pays」(作中では「ル・マル・デュ・ペイ」と表記される)が繰り返し出てきて、作品全体の通奏低音の役割を果たしています。

リストは「ル・マル・デュ・ペイ」でふるさとへの望郷の念を表現しています。主人公の多崎つくるに置き換えれば、高校時代の友人との親密な関係への「郷愁」に当たるでしょう。彼が高校時代にあこがれた美少女「シロ」は「ル・マル・デュ・ペイ」をピアノで弾いて何度も彼に聴かせました。彼は一方的に拒絶されて「シロ」に会えなくなってもこの「ル・マル・デュ・ペイ」を弾く彼女の姿をなつかしく思い出すのです。やがて彼は大学の後輩・灰田からこのLPを譲り受けて、繰り返し聴くようになります。多崎は、恋人の勧めにしたがって彼に死を考えさせた出来事の真相を知るために高校時代の友人を訪ねる「巡礼」へと出発します。そして最後のフィンランドへの「巡礼」の旅で「クロ」と再会し、真相の一端を掴むのでした。

村上春樹氏は「巡礼の年」と「ル・マル・デュ・ペイ」をリストの作曲動機にまで遡って考察し、この曲をモチーフに選んだのは明らかです。作家はこの曲からストーリーを着想してのでしょうか、それともストーリーが先にあって曲を選んだのでしょうか、私の疑問です。ピアニストに有名なアラウやブレンデル盤ではなくベルマン盤を選んでいるのには理由があります。前2者の演奏にベートーベンのような剛直さがみられるのに対してベルマン盤にあふれるロマンチズムが女子高生の演奏に通じると共にこの小説の主題にふさわしいからでしょう。この作品の読後感とピアノ曲の印象は共にあたたかく、両者がシンクロしているように感じられました。村上春樹氏は何と思慮深く、センスのいい文学者だろうと、私は感嘆したのでした。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年Amazon書評・レビュー:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年より
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No.101:
(3pt)

期待通りの感動

すでにamazonの書評上にいくつもの優れた書評があるため、敢えてこの書評が必要かというと疑問だが
自分の感じたことはここまでの書評内にも表れている。
僕はいま31歳で、多くの読者のように村上春樹の作品を読んできてるし、16歳のときにノルウェイの森に感動した経験をもつ。今度の作品では、ノルウェイの森とかの先にあるものが、そこにあるのではないかという期待のもとに作品を手に取るのだが、同時に、同じような感動を味わいたいという矛盾した期待もある。
昔の感動を思い浮かべると、それが薄まった感動を味わっているように感じてしまう。
よくいえば、いつもと同じでいいと感じるし、悪く言えば、いつもと同じなのだ。
この作品をいま10代で村上春樹の作品を初めて読むような読者は、僕が昔に味わったような感動を感じるかもしれない。
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No.100:
(4pt)

魂の再生の物語

皆さん、読み終えるのが早いですね。
私は仕事の合間などに読んでいるので、まだ「2」を読み終えたところです。
ですので、まず、さわりのところまでの印象を書いておこうかと思います。

まず、表紙。
カラフルな鉛筆のような、煙突のようなものが並んでおり、タイトルの「色彩をもたない」とは逆になっているところが面白い。

で、書き出し。
本の帯に「ある日ふと思い立って、数行書き始め、どうなるかわからないまま半年書き続けた」とあるように、
出だしは主人公のいきなりの虚無宣言で始まるという、まるで漫画版のエヴァンゲリオンのような始まり方。
物語の冒頭が「死」から始まるという出発は、最終的に「生」へと転化されるであろうと予測でき、期待が高まる。

でも、最初の数行で、個人的な話で申し訳ないのですが、自分が書いた小説と同じ始まり方、語り口だったため、
妙にコミットされてしまった。

私の年齢も主人公とほぼ同じ。つまり同年代の心の空虚感が描かれている、と思った。
それなりに生活できる、物質的に豊かな団塊ジュニア世代は、ある種のマニュアル神話の中で幸福を追求する人生を求められる。
でも、そこには常に空っぽな自分を感じては来なかっただろうか?
たぶん、高校生ぐらいで何か熱狂的のなれるもの、信じられる安定した世界観を欲しがったはずだ。
しかしそれは、幻想でしかなく、逃避でしかないことに、社会に出ると気づかされる。

私は三十代を前にして、どうやら鬱になったらしい。
メンタルクリニックにも行かずに耐えていたので、長いこと苦しかったのだが、
昨年あたりから病院を進められ、確かに鬱だったということがわかった。
どうしてそんなところに落ちこんだかというと、どのように生きていいのかわからなくなったからだ。
正解が見えない。しかし、正解なんてないのだ。
だからとにかく試行錯誤してきたのだが、何か進むべき運命が、巨大な無意識の塊の奥から語りかけていることは感じていた。今、それがなんなのか、理解できるようになってきた。

この作品の主人公は自殺に失敗して、死のことばかり考えていた。
私も死のことばかり考えて、自殺に何度も失敗した経験があるので、その辛さや痛みはわかる。
そして、無為にならざるを得ない日々をすごさねばならなかった。しかし、その無為と思われる時間というものは
どうやら必要なのだと、最近河合隼雄氏の著作を何冊か読んでわかった。

河合隼雄氏は、すでに数十年前のインタビューでね四十代を前にして我々世代が危機に陥るだろうことを指摘している。
そして、今の我々は、自分の内的宇宙の存在ほ包含して、進まなくてはならないようだ。
この「2」までを読み終えてみて、なんだか河合隼雄氏の指摘した課題を村上春樹氏も感じているようだと思った。

読み終えたら、改めてまた追記として感想を書いてみるつもりだが、今のところ私は、この作品は読みやすく、優しい、
綺麗な文章だと思って評価している。
だだ、星をひとつ減らしたのは、それほど強いインパクトがあるテーマではなかったから。
やはり私は村上氏には、アフターダーク的な新たな試みを期待してしまうので。

でも、この作品、村上春樹さんにとっては、必要な過程のように思える。
何かの区切りのために、必要だったのではないだろうか、と感じられる。
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No.99:
(1pt)

村上春樹は燃え尽きたのか・・・

まず「1Q84」の話をしよう。
今の時点で「1Q84」は未完の大作となってしまっている。4部構成となるはずだった「1Q84」は、3部までしか発表されておらず、この新しい小説が出てきたことから考えて、おそらく最終巻は発売されないだろう。
「1Q84」は明らかに駄作だった。まずなにより不必要に長い。つまりは不必要な文章がやたらと多かった。村上もそのことに自分で気づいたのだろう。それで最終巻の執筆をしなかったのではないか。
そして「1Q84」の最終巻の代わりに出てきたのが、ブランニュー作品としての本書ということになる。

さて、この本を読んでみた感想だが「1Q84」を上回る駄作だとしか言いようがない。
なんなのだろうこの文章は。まるで躍動感がない。あのはるか先までジャンプするかのような比喩表現がもたらす、村上春樹の躍動感あふれる文章は、この本からは全く感じられない。ひょっとしてゴーストライターでも使ったのかと思うほどだ。

もっとも★一つはいささか辛すぎる。期待の大きい村上だからこそこの辛い評価なのであって、他の無名の作家なら★を4つくらいつけてもいい小説ではあるのだが。

村上は「カラマーゾフの兄弟」のような全体小説を書きたいと、かねがね言っていた。ともかくこの小説はその全体小説ではない。
永い村上春樹のファンとして、彼が燃え尽きていないこと。村上春樹の集大成となる筈の全体小説が、いずれ読めることを願うのみだ。
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No.98:
(5pt)

いつも通りの村上春樹でした

名前に色の名前を含む5人の仲良しグループの中で、
ひとり色を持たない多崎つくるが突然グループから決別させられ、
36歳になってその理由を確認するため、友人一人ひとりを巡礼していく。
途中殺人で死んでる友人や、突然出てくるホモ等ミステリアスな展開がありますが、
けっきょく犯人もホモの行方もなにも解決せず、全てがうやむやに終わるところは、
いつも通りの村上春樹作品らしい真骨頂でした。
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No.97:
(5pt)

けっこう好きかも

深く結びついていた4人の仲間から、大学2年の夏に突如、
絶縁された、多崎つくる。
その理由を16年後の「巡礼」によって知るという
村上春樹にしては、分かりやすく、読みやすい物語。

 毎日死を考えるほど絶望する出来事はあまりないかもしれないけれど
誰にでも向き合うべき過去はあり、それを記憶の底に沈めることはできても、
なかったことには出来ない、というのは、そうかなと思った。

 つくるの佇まい、つくると沙羅、つくるとエリの会話は、
いかにも村上春樹的で、心地よい。
 やはり、いいですね。堪能しました。
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No.96:
(2pt)

読みやすいが、新味はない

2000年代に入ってからの村上春樹氏の長編は『海辺のカフカ』『1Q84』と大長編・問題作が続いた。
本作は量的に前2作の半分か半分以下の上、内容的にも難解・未知の問題が少なく、
読者にとっては読みやすいと思う。

しかし、高校生の男女5人の親密で完璧なグループという、現実には存在しえないものが登場する点に
違和感を感じた。
また主人公はじめ登場人物の造形に新味がない上、
生と死、意識と無意識、現実の人生と表面下に存在するもう1つの人生、といったテーマは、
村上春樹氏にとってお馴染みのものである。
本作はクリエイティビティに欠けるのではないだろうか。

しかし村上春樹ならではの比喩に満ちた文体が読ませるものではあることは確かで、星1つでは酷なので、
星2つとします。
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No.95:
(4pt)

やはり読ませる。でも。。

村上春樹 新作読了して

やはり感嘆すべき作家です。
想像する力と、緻密な言葉の積み重ねが
読み手のイメージを多層的に拡げ、
時にはユーモアと絶望が交響して、
読書する醍醐味を味わせてくれました。
もし私がもう少し青春時代に近ければ、
かなり胸が痛み、呼吸がつらくなってしまったかも知れません。
この人は「失い続けること」を意識させる名人です。
この厚さ、ポイントで1700円はちょっと高いかなと思いましたが
値打ちは十二分にあります。
ただ気になることもあります。
この人はファンは中国や韓国にも多いと聞きます。
作中の重要なタームの一つとして
「記憶に蓋をすることは出来る。でも歴史を隠すことは出来ない。」
という言葉が数度出てきます。
これが単に、個人の切実な経験に言及した、普遍的な人間感情として
書かれているのなら良いのですが(そう願っていますが)、
何か政治的なものを指向しているなら鼻持ちならない言葉であり、
また或るもくろみを持った「何か」に利用されかねない危惧を感じました。
さらに突っ込めば、それがどんなに当人にとって切実であり、
かけがえのない経験、記憶でも、それが個人のものである限り、
正確には「歴史」とは言いません。
でも、とにかく素晴らしい小説がまた読めて幸せでした。
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No.94:
(5pt)

技術的には最も洗練された村上春樹作品

「巡礼の年」というフレーズに惹かれ、『海辺のカフカ』以来、久々の購入です。 文体に引き込まれ、一気に読了しました。
読了直後の感想は

・技巧的には最高傑作であろう。

・脱線や物語に不要な虚飾が廃されている。

・春樹作品らしい、現在の主人公とパラレルな世界(一応今作は過去のエピソードということになってるが、過去作品と同じく心象風景的な側面のものと捉えた方が良いかもしれない)が挿入されて展開されるストーリー。
今作ではかなり早い段階で、現在の主人公の物語一本に収束する。その点に村上春樹自身の成長が感じた。

・『国境の南、太陽の西』で描こうしたテーマ。それにもう一度取り組んだ作品?

というものです。
他のレビューで書かれている程、不親切で投げっぱなしという印象は受けませんでした。
そのような疑問の答えや最終的な結末を暗示させる隠喩や象徴が作品中に散りばめられていますし それを探しながら、もう一度読むというのもまた楽しいのではないでしょうか?
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No.93:
(4pt)

「LOVE STORY」です。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」とても長いタイトルで最初は、全然意味がわからなかった。しかし、今の自分にはとても良く理解できているし、こんな簡単なことだったのかと頭を悩ませていた。文章は解りやすくどんどん進んでいった。内容も一人の青年をとりまく周囲の友人関係の話で、興味深い物語だ。今回は、ネットで予約をして購入したから、販売当日から読むことができたが、そうでない人はどうなのだろうか?書店で手に入れることができたのだろうか。他の評価を見るとそんなに高くはないが、私的にはいい評価をつけたいと思います。主人公の多崎つくるの行動力そして過去をさかのぼって問題を知り解決することに感心した。その中から・・・・・・。
 「限定された目的は人生を簡素にする」
 「記憶を隠すことはできても、歴史を変えることはできない」
最後まで読んで解ったことがある。これはラブ・ストーリーだということだ。やはりいつ読んでもラブ・ストリーはいいものだ。この小説の評価は高い。とても解りやすくて優しい内容に対してそして飽きない文章に・・・・・・。
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No.92:
(3pt)

五感の刺激が、今回はあまり感じられなかった。

村上春樹の大ファンです。
彼の作品にはいつも、強烈な匂いと温度、強すぎる光や暗すぎる暗闇が立ち込めており、私はその感覚が大好きで彼の作品を読んでいました。
今回は、そういった描写が少ない気がしました。
彼の作品には強烈な個性を持ったキャラクターが登場するのですが、
いつもなら匂いや温度、声の質、その人物が立つ場所の描写までがリアルに描かれていたので、
どんなに現実離れした人物であってもすんなり受け入れることができたのですが、
今回はどういう訳か「人物設定」みたいなものばかりで、人物の立体感がないまま話を読み進めることになりました。
また、いつもなら「奇妙なエレベーター」とか「変なホテル」とか「ずっと昼寝していたい庭」とか、村上さん作品特有の「場所」が登場するのですが、今回はあんまり好きな「場所」が無かったです。

文庫本開くだけで、あったかい暖炉の火にあたったり、美味しいスパゲッティを食べれたり、埃臭い閉ざされた部屋に入れたり…
そういう読んでるだけで宝物になるようなキラキラした文章に、また出会いたいんだけどなぁ。
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No.91:
(4pt)

心ひかれる表現、心地よい文体

相変わらずの心地よい文体、メタファーの洪水…。
直近の村上春樹にしては平易な長編…むしろ短編群に近い空気感。
自分の年齢もあるのか、「羊をめぐる…」や「世界の終り…」の時のような衝撃ときらめき感は弱かったが…。
シロとクロの転化を想定させる灰田くんや(光の三原色?)絡みでアカ・アオに呼応する緑川さんが消えていく挿話も村上春樹らしい心地よい仕込みだと感じました。
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No.90:
(1pt)

微妙〜

設定はなかなか新鮮で、これは面白いかも?と序盤は思ったけど非現実的なことがばっかりで段々冷めてくる。
しかも最後まで謎を残したまま終わってしまうからタチが悪い。もちろん、謎を残したまま終わること自体は悪いことではなくて、想像するのが馬鹿らしくなる類の謎だから悪いのである。
まあ作者の言いたい事は何となくわかるんだけど、いかんせん話が薄っぺらいからリアリティゼロ。こんなんだったら世の中に出さないで自分で楽しめばいいのにって思ってしまう。
この人は海外でもネームバリューがあるからこの本は売れると思うけど、最近の日本の文学はショボいねと言われても仕方がないレベルの出来だと思う。
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No.89:
(4pt)

村上ワールドの中では王道の類い?

まず冒頭でこの不思議なタイトルの意味が判明し、そこからはこの物語に於いて主人公が終始負い目として感じ続ける自分自身の存在意義の希薄さ、そして自ら望んだものでは無いにせよそれを探しに行くという、作者得意の「喪失とその奪還」の物語です。

とてもフィットした五人の少年少女達は絶妙なバランスで五角形を保っていたが、その一角=主人公はそこから強制的に排斥される。それは主人公に意向常に死を考えさせる程深い傷を与える事になり、そこから物語は始まります。

人は誰でも一度は「夜の冷たい海を一人で泳ぎ切らなければならない時」が来る。
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No.88:
(5pt)

やはりすごい

はじめて村上春樹の世界観に触れて、面白くときにヒリヒリと傷むような感じがして揺り動かされた。
そして、次の新しい小説はもう用意されていると思えてならない。
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No.87:
(5pt)

世界が求めるもの…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読み終わりました。村上さんの作品にはいつも、見たくない自分の暗部、しかし見なければならない、もしくは見たほうがいい暗部を見せつけられる。できれば、眼を背けておきたい気もするけど、しかし、そこを直視すると何か「勇気」というか、自分の中の自分で気が付いていなかった「強さ」というようなものに気がついたりする。それはやはり「希望」なんだろうか?でも、村上さんは「過剰に期待した希望」についての「大いなる絶望」にまで思いを巡らせて、読者を包んでくれる。
そう、べったりとまとわりつくわけではない、本当の「優しさ」が全世界を巻き込んで人々に「危うさとだからこその安定」を感じさせてくれるのだろう。そこに世界中の人々は救いを求めているのかもしれない。
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No.86:
(5pt)

生きづらさを感じている若者へのエール

比較的理解しやすい表現で書かれた、若者の葛藤を描いた作品でした。
それは今の時代をもがきながら生きる日本の若い人たちに向けた村上春樹さんからのエール。
そのように私は受けとめました。

難解な文学作品など読む余裕もない、もしくは読んだこともないような人たちにもちゃんとメッセージが届くように。
伝えたい相手にちゃんと伝わるように書かれているのだな、と勝手に解釈しつつ、読み終えました。
村上春樹さんの新刊発売というお祭り騒ぎにどんどん便乗して、読者の裾野が広がればいい。
この作品を必要としている人にまっすぐに届きますように。

今後の作品も楽しみです。
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No.85:
(3pt)

夢の世界は万能ナリィ!!!

オレは夢のなかでの性交を重視している
そこでやったら現実でやったと同じだ!!!
ユング心理学=河合隼雄の次ですね。
どんな親しい仲の友達でも本人がほんとうのことを話さないかぎり理解できない
を童話をモチーフで物語るという
モダン小説ですな。
戦隊モノと白雪姫がでます。
オウムの小型化はアカの企業セミナーなんでしょう
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No.84:
(4pt)

近年の作品の中では一番好き

近年の作品の中では一番好きでした。
村上さんの作品にしては珍しく、固有名詞がたくさん出て来て、現実感のある登場人物たちが新鮮。
自分に馴染みのある、名古屋と東京の舞台で、空気感がよく分かったのか余計面白かったのかもしれません。
方言が無くて不自然とのレビューもありましたが、実際コテコテの名古屋弁はあまり聞かないし、そもそもこのお話では不必要だと思いました。
ただ、いつも適度にワークアウトしてこざっぱりしている主人公像に少々飽き飽きしているので、☆ー1です…(まぁ、小気味良くはありますが。)
この時代に生きて、村上さんの“新作”を読めるのは幸せなことだなぁと思います。
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