■スポンサードリンク


芝浜謎噺: 神田紅梅亭寄席物帳



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

芝浜謎噺: 神田紅梅亭寄席物帳の評価: 4.38/5点 レビュー 16件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.38pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

脱帽ものの労作!

神田紅梅亭シリーズの第二弾。
第一弾の「道具屋殺人事件」も面白かったが、僕はこの「芝浜謎噺」の方がより面白かった。

前作でも思ったのだが、現実に起こった事件を古典落語によって解決してみせるというのは、神経を使う難しい作業だと思うが、本当によくできていると思う。
相当に練りこまれた労作だと思う。

落語好きの僕は表題作の「芝浜謎噺」がとても気に入った。
有名な古典落語の「芝浜」ではあるが、流派によって解釈が違う事も知らなかったし、ちょっとした動作一つ、表情一つで解釈が変わってくるというのも興味深かった。
あらためて落語という芸の深さを思い知り、それぞれの「芝浜」を聴き比べてみようと思った。
フィクションではあるが、現実に存在した立川談志、三遊亭圓生、桂三木助、桂文楽、古今亭志ん生、といった往年の名人たちのエピソードも数多く紹介されている。
こうした名人たちの名演もあらためて聴いてみようという気になる。

今回は、落語の改作、演出の仕方といった落語に関する話も面白かったが、師弟愛が泣かせてくれる。
病気で車イス生活をおくっている馬春師匠が可愛がっていた末っ子弟子に対する行動が感動的だった。

次作以降もとても楽しみなシリーズだ。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.15:
(4pt)

落語の疑問点を突く

2008年に原書房から出た単行本の文庫化。
 『道具屋殺人事件』に続く「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズの第2弾で、「野ざらし死体遺棄事件」「芝浜謎噺」「試酒試」の3本の中篇が収められている。
 ミステリとしては、ふつうだと思う。ストーリーや結末に意外性はあるが、「謎がとけた!」というような感じのものではない。どちらかというと人情話に近いかも。
 もうひとつ、素材となっている落語の扱い方がおもしろい。聞いていてすっきりしない点、疑問が残る点などを解明する趣向があり、落語ファンにも満足できる内容となっているのではないか。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.14:
(4pt)

師弟愛

師匠の馬春さんの後遺症が最初の作品集道具屋殺人事件ではもっと重いように感じていました。師弟愛が良いと思いました。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.13:
(5pt)

いいですね。

落語ファンにはとてもうれしい内容です。
登場人物のキャラクターもしっかり立ち、この世界にずっと浸っていたいと思わされます。
短編集(中編集?)かと思ったら、すべてリンクしているのですね。
「謎」といっても、陰惨なものではなく、そのあたりも個人的に良かったです。シリーズをすべて読んでみるつもりです。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.12:
(4pt)

落語に詳しくない読者でも楽しめる工夫

落語にからめたミステリシリーズの第2弾。前作と同様、古典落語の噺を演る描写をベースに、日常の謎を一緒に解決してしまう趣向のお話。
本作はさらに作者の筆がさえている感じで、もう読んでいて登場人物の面々に感情移入しまくりである。3話目の「試酒試」なんか、もうドキドキの展開で、どんでん返しもあるし、読み応えたっぷりである。

さて、例によって落語に詳しくない読者でも楽しめるように工夫されているあたりは非常に助かる。とは言っても、自分としては、以前に読んだ「マンガ落語大全 まずはここから」が、より深く楽しむための助けになっている気もする。
本作で出てくる落語「抜け雀」「野ざらし」「芝浜」などは有名なものらしいので、上記マンガであらすじだけでも知っているとだいぶ入りこみがスムーズ。同様に、前作で出てきた「らくだ」「こい瓶」なんかも載っているし、これらはたぶんかなりの定番噺なのであろう、きっと。(笑)

なんにせよ、前作を読んで楽しかった読者なら、これもぜひ読むべきだ。楽しめること請け合いです。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.11:
(3pt)

落語ファンにはたまらない一冊

落語がキーワードのミステリー小説。
おそらく著者は落語を書くことができるに違いない。そして、ただ落語を書くだけでなく、既存の落語の展開にもいくつもの提案したいことがあるに違いない。だったら噺家になればいいのにと思うが、それは何かしらの事情があるのだろう。

それにしても、練り込まれた構成で、一般の噺家たちもこんな工夫をしているのかと思うと感心する。
芝浜に矛盾が多いのは知っていたが、それが噺家の力量を表すバネになっているとは知らなかった。

ミステリー小説を楽しめるのはもちろん、落語についての豆知識が増えるものうれしい一冊だ。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.10:
(5pt)

落語という枠をもつ叙述ミステリ

叙述ミステリの真髄にも通じる「語り(騙り)の芸術」落語。
この著者の落語愛と噺への洞察、目配りは半端ではないと感心しました。『道具屋殺人事件』につぐ第二作です。

 タイトルの『芝浜』は、運良く財布を拾った男が、女房の機転でそれを夢だと思い込まされ、心を入れ替えて商売に励むという噺ですが、財布の拾いかたについて、流派によっての食い違いとか、女房の言葉をすぐ信じ込む理由の説得性とか、いわば落語の扱う「物語」自体への鋭い分析、編集が、メインテーマとも言えるミステリです。

 落語の演じ方という謎を核にし、それと連動するように、日常のこまごまとした事件を、ヒロインとその夫の噺家、さらに安楽椅子探偵ともいえる、脳血栓の後遺症が残る名人の師匠が、席亭や落語会を舞台に解いていきます。
 今回、人死にはありません。
 登場人物達のかなでる物語と、その中でかなでられる噺、という入れ子構造で、ずっしりした読後感があります。
 落語の描く人間のドラマ、そしてそれを演じる落語家たちのドラマです。

 そして、この道に賭けた名人たちの心意気とその高座ぶりがみごとです。

 安手の感傷ではありませんが、今回は愛弟子のために、不自由な身を押して高座にのぼる師匠が、はたしていかなる口演をするのか。感動のクライマックスです。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.9:
(5pt)

落語の世界の無類のおもしろさ

ミステリには、他ジャンルの蘊蓄を絡める作品が多く、そういう作品は倍楽しめる気がします。

 日本では泡坂妻夫さんの奇術を扱ったいくつものシリーズ、戸板康二さんの歌舞伎ものの中村雅楽シリーズなどが私は大好きです。
 落語を扱った作家は他にもあり、一応目を通していますが、この著者の落語愛と噺への洞察、目配りは半端ではありません。『道具屋殺人事件』につぐ第二作です。

 タイトルの『芝浜』は、運良く財布を拾った男が、女房の機転でそれを夢だと思い込まされ、心を入れ替えて商売に励むという噺ですが、財布の拾いかたについて流派によっての食い違いとか、女房の言葉をすぐ信じ込む理由の説得性とか、いわば落語の中の「物語」自体への鋭い分析、編集が、メインテーマとも言えるミステリです。
 落語の演じ方という謎を核にし、それと連動するように、日常のこまごまとした事件を、ヒロインとその夫の噺家、さらに安楽椅子探偵ともいえる、脳血栓の後遺症が残るものの、名人の師匠が、席亭や落語会を舞台に解いていきます。
 今回、人死にはありません(笑)。
 登場人物達のかなでる物語と、その中でかなでられる噺、という入れ子構造で、ずっしりした読後感があります。
 落語の描く人間のドラマ、そしてそれを演じる落語家たちのドラマです。

 そして、この道に賭けた名人たちの心意気とその高座ぶりがかっこいい。

 安手の感傷はありませんが、今回は愛弟子のために、不自由な身を押して高座にのぼる師匠が、はたしていかなる口演をするのか。感動のクライマックスです。

芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)より
4488410138
No.8:
(4pt)

たかが落語、されど・・・

芝浜は好きな噺の一つ。大金を拾ったのは夢のなかの話で、町内の仲間を招いてドンちゃん騒ぎをしたのは現実だったという話。作者の謎解きは、煙管の向きがどうのこうのと細部を穿つが、3年もの間、女房と大家の間だけの秘密で、亭主にも知られず、町内の噂にもならなかったという話の無理には及んでいない。もっとも、たかが落語、面白ければいいのではとも思う。落語ミステリーという新境地に挑む作者の強い意欲には敬服。
芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺-神田紅梅亭寄席物帳 (中公文庫)より
4122068088
No.7:
(5pt)

こんな高座に行きたい

「野ざらし死体遺棄事件」
半身麻痺でリハビリ中の師匠が謎を解き、キーワードだけを弟子に伝え、その弟子が高座で全てを落語の中で明らかにする。
そして弟子の女房が語り部という、凝った設定だが、これが読みやすい。


「試酒試」
やられましたわ〜。人情噺なうえに、どんでん返しありで、
高座ならば、割れんばかりの拍手のなか緞帳がさがること間違い無し。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.6:
(4pt)

人情系日常の謎の快作。是非ネタの落語も聞いて下さい

修行中の理系落語家を表の探偵役、引退中の前師匠を真の探偵役、ひょんなことから見初められて「なっちゃった」落語家の女房をワトソン役として、落語界の日常の謎を解くと同時に、古典落語のストーリーに潜む謎を解いて行くという、ありそうでなかったスタイルが斬新且つ巧妙です。

前作も快作でしたが、第二作である本作の方が、ワトソン役や探偵役の自分語りが少ない分、純粋に日常の謎系推理小説を楽しめます。ネタになっている落語を聞くと、もっと楽しめますよ。

舞台が舞台だけに、探偵小説としてはなかなか大ネタが出ません。そこは残念ですね。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.5:
(3pt)

苦言を三つ程

知っている人なら芝浜だけで落語だと判るかも知れない。本書は珍しく落語を基にした短編ミステリ(「野ざらし死体遺棄事件」「芝浜謎噺」「試酒試」)である。

ただ苦言が三つある。
1 本のデザインはあまり良くない(個人的にだが)。
2 助詞の使い方が不自然な箇所がある(個人的にだが)。
3 致命的なのは、落語を題材にしているので、作者は当然落語を勉強したはずで、少なくとも一般の人より造詣が 深くなければならないのに、笑福亭松鶴のことを、松福亭松鶴と書いているのだ。基本の基本だろう。もし、作者がうっかりしていたのなら編集者・校正者、あるいは原書房が悪い。

単純な誤植はそれ以外にもあり、出版社の歴史の浅さが何とも惜しい気がする。

にもかかわらず投稿したのは、「芝浜謎噺」も「試酒試」も面白かったからで、特に「試酒試」は人情味たっぷりの展開に心を奪われたからだ。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.4:
(5pt)

落語ミステリーとして、人情話として。

前作「道具屋殺人事件」に続く神田紅梅亭寄席物帳シリーズ第二弾。
今回も前作同様二つ目寿笑亭福の助とその妻亮子を中心とした短編が3篇収録されています。
見所は弟弟子がわけありで演じざるを得ない大ネタ「芝浜」を中心とした「芝浜謎話」から「試酒試」の2編。
それぞれ落語のネタ自体に隠された謎と、その話を取り巻く中で起こる謎が最後に綺麗に解決されます。
普段何気なく見聞きしている落語の奥深さも感じられる構成です。
また今回はミステリー要素を含みながらの、人情小説としても出来が秀逸です。
特に最後の「試酒試」は師匠と弟子、一門の絆に素直に感動できる話となっています。
あとがきにある次回作も期待です。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.3:
(5pt)

おもしろい!

落語ブームでいろいろな書籍も出ているが、玉石混交状態だと思う。しかし本書は噺家を探偵において、落語を背景にして謎を解いていく落語とミステリーをどちらも堪能できる秀作。読み終えた後に、本文中に出てきた噺をもう一度きき返してみたいと思わせてくれた。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.2:
(4pt)

「名人芸」に泣かされます。

前作『道具屋殺人事件─神田紅梅亭寄席物帳』に続く落語ミステリの2作目。
前作に引き続き、今回も落語の世界を堪能しました。
前作よりも面白かったのは、ミステリーの部分よりも人情ものとしてのストーリーが秀逸だったから。
『野ざらし死体遺棄事件』
『芝浜謎噺』
『試酒試』
の3つストーリーが少しずつオーバーラップしながら語られていきます。
読んでるだけで落語通になれそう。
寄席に行ってみたくなりました。
最高だったのは最後の『試酒試』。
脳溢血で体が不自由になった馬春師匠に「さすが名人!」と声をかけたくなります。
そして最後は涙、涙。
いや〜、いい話でした。
こういう人情ものには弱いです。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528
No.1:
(5pt)

落語の世界とミステリが巧くマッチしていてお勧め作品です

落語シリーズ第2弾。これとっても面白かったです。落語とミステリーが、きちんと融和されていて奥深かったです。江戸の人情味溢れる感じも江戸っ子の血が混ざっている私には、マットしてました。★短編3話から構成されています。★『野ざらし死体遺棄事件』こちらは、亮子が苦手とする叔父の秘密をうまく暴いたお話。ありがちなお話も落語が絡む事で妙にイキイキしていました。★『芝浜謎噺』こちらは難しいとされている『芝浜』をある事情から亀吉がやらざるをえず…というお話。そこにちょっとした恋に絡む事件も…!★『試酒試』亀吉の『芝浜』公演日に思いもよらぬ一大事件が…!これが一番良かった。まさかのラストのオチ。泣けて笑いありで最高でした。
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)Amazon書評・レビュー:芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)より
4562041528

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!