「茶の湯」の密室: 神田紅梅亭寄席物帳
- 神田紅梅亭寄席物帳 (4)
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福島在住で3.11を経験し、直接被災した人でなくとも、大きなショックを受けて筆を執っている作家が多い中で、直接の被災者である彼の体験が、しばらく書く気持ちを萎えさせていたとしてもおかしくはない。後書きに書いているが、出版関係の方の励ましや援助が、五年ぶりの新作に繋がったと、謝辞を述べていたことからも、彼の心の復興が少しずつ進行したのだと理解した。 本書で震災の陰を見るのは、今後このシリーズに登場してくることを作者も示唆している、新たなキャラクターの女子高生の登場にある。被災によって数少ない身寄りを失い、高校も退学してしまう彼女は、頭脳明晰で落語や茶道など古典の知識も深いが、心に傷を負った風変わりな少女である。著者は自分自身の経験を、こういう形で昇華させて新しいスタートを切ったのかと思った。 落語家を主人公としたミステリーは、北村薫の円窓師匠のシリーズがあるが、大学の落研で落語そのものを演じ、研究している作者ならではの作品で、残念ながら私などではとても追いつけない「落ち」がついている。落語好きでミステリー好きな読者をうならせる作品なのだと思う。 もう一編の「横浜の雪」は早くもシリーズ次作である。例の中退女子高生が、なんと主人公のもとへ弟子入りを希望してくる。そして、以前起こした猫殺しがもとで破門された弟弟子の事件の真相が明かされる。そこに病から回復しつつある師匠が絡んで、最後は思わず泣かされる展開が待っている。なかなかのほのぼのとした作品である。 何はともあれ彼の作品が世に出たことが、とてもうれしいのだった。 | ||||
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一作目の道具屋殺人事件が2007年だからあれから10年か。時の流れを感じるなぁ......。 しかし本作は5年ぶりですか。随分待たされたなぁ。確かに前作までで相当力を使い果たした感はあったのだと思う。落語、高座で謎解き、という厳しい縛りの中で構成しなくてはならない作者の努力は大変なことだと感じる。本作では更に震災をテーマに加え、今までにない構成上の苦労もあったろう。それでも本シリーズは落語ミステリーという範疇を越え、落語界を舞台にしたファミリーヒストリーに昇華して来ている。登場人物が生きてそこにいるに感じるのだ。そして新たな家族を迎えた最後のシーンは泣かせる。この震災に因んだ新たな種を蒔いて、作者は次作を見据えているのだろう。大いに期待している。是非とも早めにお願いしたいものだ。 | ||||
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大好きな神田紅梅亭寄席物帳シリーズの5年ぶりの新作という事で読んでみたが、ちょっとパワーダウンしてるかなという印象を受けた。 というのも、古典落語の謎と現実世界の謎をあわせて落語で解決っていうパターンは継承しているのだが、さすがにネタ切れというか前作まででやり尽くした感が否めない。 単純なミステリーなら色々ネタがあるのだろうが、落語の謎を絡めるという制約があるので、話を考えるのに相当な苦労があるのだろうなと思う。 登場人物の今後も気になるので続編は読みたいと思うが、現実の謎を落語で解決という形式で書いていくのはかなり大変ではないかと思う。 前作で完結かなと思っていたので、シリーズ再開は嬉しいのだが、無理に今までの形式にとらわれなくてもいいと思う。 落語ミステリーという形式に縛られなくても、登場人物が魅力的なので自由に書いても十分面白い作品になると思う。 | ||||
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『三題噺示現流幽霊』の後書きで、「続編を必ず書きます」という著者の宣言がありましたが、その後5年間、約束は果たされず。その間、文春文庫の神楽坂倶楽部の連作にシリーズの登場人物が顔を出したりしたものの、もう続編は出ないんだろうなあと、半ば諦めていました。そう思った大きな理由は、神田紅梅亭シリーズはどんどんマニアックというか、凝った内容になっていったので、さすがにこの調子で続けるのはきついだろうと、他人事ながら感じていたせいです。ところが、そのシリーズが再開されることを知り、期待半分、そして、だいぶ間が空いちゃったから、今度はレベルがイマイチだろうなあと思いながら、手に取りましたが……ごめんなさい。作者をなめてました。これは、文句なく、シリーズ最高傑作だと思います。惹句に「(落語とミステリー)どちらの『通』もうならせます」とありますが、表題作は落語「茶の湯」のとんでもないコアな蘊蓄と密室トリックが結びついた落語通がうなる快作、そして、「横浜の雪」は自作の新作の「本格ミステリー落語」の中でとんでもないトリックが炸裂する、ミステリー通がうなる怪作でしょう。それでいて、ラストで胸がジンと来るんだから、完全に作者に弄ばれている気がしました。それでもいいので、お願いですから、今度から一年に一作は出してください。待ちくたびれてしまいます。 ゛ | ||||
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