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紙の月
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紙の月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全158件 121~140 7/8ページ
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評者は本書をほぼノンストップで読み通すことができた。 本書の主人公は、梅澤梨花という41歳の神奈川県に住む主婦である。 梨花は夫の正文と2人暮らし。世間的には大きな不自由のない、ごく普通の夫婦である。 しかし梨花は毎日の生活に対して、本人にもよく分からない何かの違和感のようなものを抱いている。 それから脱却するため、近所の銀行にパートして働き始めた。 そして銀行の仕事の中で平林光太という大学生と知り合った。 そこから坂道を転がり落ちるように転落し、不正に手を染めていく。 梨花のストーリーがメインストーリーで、他に梨花の中高時代の同級生・岡崎木綿子、モトカレの山田和喜、 料理教室で知り合った岡崎亜紀の3人のストーリーがサブストーリーとして展開される。 評者が本書を読んで感じるのはお金のというものの持つ力の大きさ・魔力である。 世の中のどんな人間でも、何らかの不満や空洞や悔恨や違和感を持って生きている。 しかし、そのような不満や空洞は、実は、お金、大金さえあればほとんど解消することができるのだ。 しかしだからといって、それをお金で解消しようとすれば、今度はお金に翻弄されてしまう。 本書のラストシーンでこんなフレーズがある。 「いこう、この先へ。 …。この先に未知の私がいる。逃げおおせれば私はさらに新しい私に出会う。 だからいこう。どうせ逃げ出したのだ。さらに遠くへ逃げればいい。」 無限のループから、さらに遠くへ逃げ切ることができるだろうか? 評者は、逃げ切ることができることを祈る。 評者はこれまで、角田光代さんの作品は『八日目の蝉』『対岸の彼女』等数作しか読んだことがない。 なので、あまり発言権はないが、本書は『八日目の蝉』と並ぶ傑作だと思う。 | ||||
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わたしも(わたしは男性ですが)ファインさんの意見に全面的に賛成です。 社会悪はどこまでいったも社会悪なのであって、それを承知で描きたいならばそれを乗り越えるような説得力のある執筆動機がなければならないと思います。この小説では男性は家のことなどロクに顧みない見栄っ張りの出世亡者で、女性は人生に空しさを感じて買い物や意味のない節約で自分の存在意義を示そうとする。梨花の彼氏として登場する光太が平凡なのがよいというひともいますが、こいつはだだの馬鹿でしょう。全体的にとても陳腐な印象を受けます。この作者にそれでもなお犯罪を犯罪として描ききろうというだけの強い動機があるようには思えません。 ところで、木綿子がタッパウェアにパーティの残り物を詰めて持って帰るシーンがありますが、ビュッフェスタイルでバーティ食を提供するホテル、宴会場はほとんどの場合食中毒予防の観点から残り物の持ち帰りを厳しく制限しています。こういったところ、この作者は意外に世間知らずなんじゃないんですか? それともう一つ。わたしは作家ではありませんが、文章を書くことを職業の一部にしているものです。そうしたものの目からみると、この作者の文章はあちこちに手を入れたくなってしまします。現代文は時制の表し方が本質的に各1種類しかありませんから、全部を過去形で積み重ねていくと大変に平板的になるため、文章を一捻りしたり、ときに現在形を混入させたりといろいろと工夫するものなのですが、この作者はまずそういうところから文章の勉強不足ですね。この本とは直接関係はありませんが、宮部みゆきや浅田次郎の文章がいかに練りに練って書かれたものか、ためしに(小説の内容とは関係なく)検討してご覧になると面白いですよ。 とにかくこのような小説が映画化までされる理由が全く理解できません。 | ||||
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良かった点としては、光太が「若い」というだけで特別な魅力もない、 ごく普通の若造だって事。 これが逆に何か特別な魅力があったりすると、リアリティが何段も 下がってしまう。 その辺にいくらでも居る若造。 それが時として、人生を変えうる黄金の輝きを放つ錯覚に陥るのは、 ありそうな話でストンと腹に落ちる。 ただどうしても気になってしまう事がある。 物語にさほど影響しない登場人物がなんとも邪魔なのだ。 唐突に【山田和貴】と話が展開しても、「山田和貴って、えぇっと…」と、 気持ちよく本流を読み進めているリズムが分断されてしまう。 その山田和貴が欠かせないキーパーソンならまだいい。 ただ正直、この登場人物が居なくても本筋に影響は無いのだ。 買い物や装う事に依存していく事例を幾つかシンクロさせているのだが、 本筋に帰結するならまだしも、サイドストーリーなら一つで十分。 無駄に複数シンクロしてると、リズムが狂い正直邪魔。 読みやすさやリズムはエンターティメント小説に欠かせない要素だと 思っているので、削ぎ落とせるパーツは削ぎ落としてほしかった。 | ||||
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古本屋を色々と探したが見つからず、ネットの方が簡単で早かった。初めからネットで探せば良かった。状態も良く満足してます。 | ||||
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登場人物の名前梅澤梨花、中条亜紀、山田和貴、等たびたび表されて文章が出来上がってる所が解り易く良かった、悪い事をしているのに読者としては逃げ切れれば良いのにと思ったりしたが最後にやっぱりかぁと言う思いでした。 | ||||
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角田光代さんは何冊目だろう。これの前に読んでいたのが新人作家さんの作品だったので、特にそう感じてしまうのかもしれないが、この人は上手い、本当に巧い。丁寧に、丁寧に、何気ない会話、何気ない行動から少しずつ違和感を覚え、日常からずれていく、そういう心理を無理なく描き出し、読んでいる私も一緒に導いていく。なんでこんなにうまく書けるのかと溜息が出るぐらい。丁寧なんですよね、急がなくて。でも、気づくと話は着実に進んでいる。ひずみは驚くほど大きくなっている。お金というのはほとんどの人が興味のあるものでしょう。そして、女性なら、ショッピングが大好きというのも、お金がたくさんあったら、値段も気にせず片っ端から気に入った服を買いたいという欲望も理解できる人は多いのでは。それだけに怖いし、だめだと思うから、たがが外れた女性の気持ちはわかりすぎるほどわかる。若い男に貢ぐために横領と聞くと、あらら、馬鹿ねえとしか思わないけれど、こういうふうに書かれてしまうと、うーん、梨花さんの生い立ちからなにからひっくるめて、せつなくなりますねえ。 | ||||
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角田作品では珍しく映像から入った作品(ドラマ面白かった…) 角田作品でおなじみのアジアへの逃避で幕を開ける。 今までと違うのは主人公が「罪をおかしアジアを放浪している事」であろう。 一億円を横領した女。 ともすればドラマティックになるであろうこの作品は淡々と綴られていて、 横領という行為もあまりの自然さにいつからだったっけと頁を戻る始末。 些細な事で一線を越えた…というのとも違う気がする。 主人公が考えたように光太に会わなくてもいつかこの線を飛び越えていたのではないか…。 学生時代親のお金を多額に寄付していた梨花。 手持ちのお金が足りずお客のお金から躊躇せず借りた梨花。 これは繋がった行為だ。主人公自体この行為に疑問を持っていない。 彼女は彼女の承認欲求を満たそうとして「お金」という物を使ったのではないだろうか。 それが貧しい国の子供か現実にいる若い男かはきっとあまり大差ないだろう。 そしてそれを持たない時にやっと感じる万能感。 彼女の代償のありすぎる承認欲求は彼女自身を飲み込みそして彼女を丸裸にしてやっと得られたのであろう。 夫の言動はとくに悪くも取れず、逆に受動的な梨花にイライラした。 その位スルーすればいいじゃないと。 光太の恋愛でも能動的に見えるがここでもやはり受動的だと思う。 愛してはいたが「若い男に見初められた自分」を守ろうとしたのではないだろうか。 彼女が求めているものはお金でも恋愛でも無かったのだ。 他登場人物の章も少しずつ梨花の言動にリンクしていてとても読み応えがあった。 今後私も「同級生の一億円を横領した梨花ちゃん」がこんな時どう思ったのか反芻しそうだ。 | ||||
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ドラマが始まる前に読みました どこにでもありえそうで無さそうな... とても考えさせられました。 ドラマも凄く良かった! | ||||
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ドラマの方が面白いです。 私は、ドラマのドロドロ感が好きでした。 原作は、もう少しあっさりしています。 海外の描写が、ドラマに比べると、多めかな? つまらなくはないけれど、これはドラマにも言えるけど、 キャラクターに「何で?」って思うことは多々あります。 ただ、筆者は、その辺を描きたかったようです。 評価は3にしましたが、実際は2.5くらいかな。 ドラマよりも少し多めに背景を知ることができるので、 さらっと読んでみるのもいいかもしれません。 | ||||
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横領という犯罪を扱った小説だが、事件をセンセーショナルに扱った話ではない。 登場人物の心理を丁寧に描き出している小説だと思う。 筆者は、レース編みを編むように、心の動きを繊細にあぶりだしていく。 丁寧に編まれていく心の模様を、楽しみながら読了した。 「お金」という即物的な物を中心にしながら、 心に残るのは人間が生まれながらに抱いている「空虚」だと感じた。 余韻の残る小説だった。 | ||||
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作家が女性であるために、いささかフェアでない。主人公の横領行為を正当化したいがために無理もある。一億円を横領した主人公を軸に、買い物依存症が原因で離婚した友人の女、節約に異常に日々勤しみ、家族にもそれを押しつける女。中年の主人公の女の、孤独感、茫漠とした虚無感や、満たされたい、他者から必要とされたいと、日々強く願うため、その思考に、がんじがらめとなり、ついには、銀行の顧客のカネに手をつけるのである。主人公の夫は、妻と向きあっているとは言い難いが、酷い夫過ぎる、とは言えない。仕事は出世コースで、海外転勤もあり、重要なポストで、いいセクションを任されている。仕事に打ち込み、カネにだらしないわけでもない、給料もきちんと入れ、一戸建ての家も建て、ローンも支払い、愛人がいるわけでもない、妻に暴力をふるうわけでもない。妻の精神深部に無関心ではあるが、気遣う面もあり、二人で外食し、妻にプレゼントもする。現実とフィクションを比べるのもナンセンスであるが、これまでやって、妻に横領事件を起こされる夫がいささか哀れだった。主人公は、他人のカネを、それこそ、自転車操業的に繰り返し、繰り返し、証書偽造までして、着服し、湯水の如く使い、焦りを募らせ、矛盾や恐怖をかかえながら、あくまでも疑似的な充足感を得ていくのである。主人公は裕福な事業家の家に産まれ、結婚以前の学生時代から、自分の存在価値についてや他者に必要とされる事を渇望する傾向が見られ、10代らしい、頑なな正義感や、明るい性格ながら、突き詰めて考える、生真面目な点があり横領と言う結果になったのは必然だったかも知れない。横領してまで演じた虚構、その先には破滅しかない。実質的な意味でなく、主人公が突き進んだその道に、そこで得たもの、その先に、結局何もなく、更なる、深い虚無感の、負のループが待っていると言う事に気づくからである。 | ||||
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ドラマより、本の方がずっと楽しめると思います。 銀行という場所や犯罪の描写が本題ではなく、 女性の心理がとても細やかに描かれていてました。 | ||||
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「八日目の蝉」と同じ様な息苦しく重厚な雰囲気を全編に漂わせておきながら、別の意匠を巧みに織り込んだ作品。特に、前半と後半(特に終盤)とで受ける印象が全く異なる。夫からは相手にされず、子供も出来ない銀行の契約社員であるヒロインが若い男に貢いで数千万の横領事件を起こすという設定はありきたり。倹約家及び買物依存症の2人のヒロインの友人を登場させ、ヒロインと対比させるという手法もありきたり。作者の筆力で一応は読ませるものの、前半は本作の意匠が全く読めず、凡作なのではないかと思った。特に、若い男は男性としての魅力が皆無であり、ヒロインが何故この男のために横領にまで走ってしまうのか、説得力に欠けると感じた。また、2人の友人の描写もさしたる効果が上がっていない様に思えた。 しかし、終盤、この若い男の心の底からの"告白"の辺りから、作者の意匠が分かってくると共に、2人の友人の描写も含めた全体構成の妙を感じた。一見、「フトしたキッカケ」で少額の横領から手を染め、それが段々エスカレートして.....という風に見えるが、それは違うと作者は言っている。子供の頃からの経済面(本作では"お金"が持つ意味(特にその魔性)を重視している)を含めた生活環境、躾、それらに基づいた自身の考え方の"積み重ね"で人間が出来上がっており、ヒロインの犯罪はある意味"必然"だったと言うものである。これは、「フトしたキッカケ」より遥かに怖い。「当り前」に対する考え方あるいはその対象が、人によってマチマチである事、金(犯罪)によって得られる自由・満足感は、それと同程度の束縛・渇望感をもたらす事等も本作全体で主張している事である。作者の一段の成熟を示す秀作と言って良いのではないか。 | ||||
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NHKドラマを第3話まで見て、原作が気になりました。 ドラマのセリフを探しながら、立ち読みをしていると、 だんだん苦しくなりました。 ドラマとは異なり、3者の生き方が、丁寧に描かれています。 (当然だと思いますが)。 私は、犯罪者ではありません。 でも、自分が、この物語によって、えぐられている気がしました。 たぶん、3者の部分的な言動に、私自身がフィットしていて、 自分の日記を読むような感じになった・・からだと、今思います。 私は、ドラマを最後まで見ようと思います。 30〜40代の女性のみなさま、またその年齢の女性と一緒に 過ごされているみなさま。 下手な性別論を読むよりも、腑に落ちる本だと思います。 | ||||
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主人公梅澤梨花が若い男にはまり公金横領をして破滅してゆく過程が描かれているが、私にはむしろ男に貢いだ梨花よりも、身の丈に合わぬ買い物や贅沢をして人生が破綻してゆく彼女の友人や知人の妻の方が恐ろしかった。 主人公の友人中條亜紀は買い物依存症で高価な洋服や靴などを買わずにいられない。主人公の元彼氏山田和貴の妻牧子は、子供時代は裕福に育ったが父の死後没落し、平凡なサラリーマン和貴と結婚した。子供が生まれてからは、自分が味わった贅沢を自分の子供たちにはさせてあげられないことから次第にどす黒い不満がたまってゆく。 二人とも身の丈に合わぬぜいたくがしたいがために、あるいは私にはそういう生活ができるんだという錯覚をして、高金利の消費者金融に手を出し多額の借金をつくってしまう。 しかし登場人物の女性たちは、主人公も含め、誰ひとり特別な人ではない。彼女らは私であり、あなたであるというほど普遍的に普通の女性として描かれている。拝金主義の日常、墓穴はすぐあなたや私の足元にあるのだと実感させられる。私も墓穴の一歩手前だったかもしれないが、この小説に出会えてかなり正気に戻ったようだ。すでにアブナイ方にもこれから消費社会に出てゆく若い方にもおすすめです。 | ||||
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出だしがインパクトあるだけに、中盤からのヒロイン?の実態が明らかになるにつれ、ドキドキ感は増しても、凡庸な展開になってしまう。 ヒロインと同じ年齢の女性や男性の想いも、どう収拾つけるのかと期待させるが、やはり結果的にとってつけたようなハンパさが否めない。 お金の怖さを描いたという点では、どんなホラーよりも怖い。 こういう怖さを書かせたら、この作家は抜群である。 | ||||
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主人公の梨花は、結婚生活の違和感から、おかしな方向に進んでいってしまいます。しかし、なぜそうなるのか理解できない。夫ともっと話し合う。もしくは、子供がいないのだから離婚する。もしくは、いいところもあるのだから、割りきって今の生活を良い方に考えるなど、できることはあるはず。なのに、不倫をして、犯罪に手を染める。ところまでいく心理状態に無理がある。梨花に対して感情移入ができなかった。角田光代さんの文章なので、読みやすかったのですが、その他の登場人物でも、まだ理解できる部類の人物、木綿子の行動で、同窓会にタッパーを持って行って、残り物を詰めて持ち帰るとか、そんな人いるかー?!とつっこみをいれたくなるシーンもあります。亜紀の買い物依存症も理解できないし、和貴と牧子の夫婦にいたっても理解できない。ハーピーエンドでもないし、スラスラ読めた割りには、後味が悪かったです。 | ||||
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全編通して胃がキリキリ痛むほど身につまされる。それほど主人公の人生に感情移入させられる筆力に圧倒された。 世間でニュースになる人達にも、それぞれ理由があり、本人にしかわからない必然の選択の積み重ねの結果である。加害者の人生に思いを馳せるようになった。 | ||||
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今の私とほぼ同年齢の主人公が横領に手を染めていく様が描かれていました。 時代設定は2013年現在よりは少し前。 だからでしょうか、働く女性の結婚について語られる部分で、思考の流れ方がとてもリアルでシビアだったのが印象に残っています。 オープニングから犯罪を犯していることだけが明らかにされており、それがどういういきさつによるものであったかということを知りたくてついつい読み進めてしまいました。 もちろん主人公目線からも語られていくのですが、彼女の過去を知る複数の人間の目線も織り交ぜられていく形式。 それぞれの現在の生活が描かれ、その中で悪いニュースの渦中の人となった主人公 梨花について考えを巡らせていくという語り方なので、 薄い色を塗り重ねるように梨花の生い立ちと人となりがおぼろげに立体化されていきます。 チャート式でどんどん負の選択肢を選んでしまう梨花。 一言で言えば、見栄っ張りな普通の中年女性が、他人のお金でええかっこして、取り返しの付かなくなったお話なんですが、私にはどうしても醒めた目でみることはできませんでした。 たぶん全ての行動の動機になっている、「私でも人の役に立てるかも!」→「期待(それが錯覚であっても)に応えなくちゃ!」→「喜んでもらえた!嬉しい!」という、梨花の自己肯定の快感が、他人事には思えないのです。 「自分の善意を満足させる」ことが、「犯罪」へと足を向けさせていることはないだろうか。 自分の中にいる潜在的な梨花が目覚めてしまわないように、この本で教えられたことを忘れるなかれと、読書中何度も自分を戒めながら読んだ作品でした。 | ||||
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下世話さがあるので面白くないことはないけど、この著者の作品はどれも好きじゃないんだよな 登場人物が嫌いってのもあるけど何か共通して不快なものを感じる こういう小説を面白がって読む自分が嫌なのかな | ||||
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