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紙の月
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紙の月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全158件 61~80 4/8ページ
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読みやすい文章で、あっという間に読み終えてしまいました。面白かったです。 「主人公が銀行のお金を横領する話」という触れ込みで読み始めましたが、なかなかそういう展開にならない。そんなことをしそうな気配すらない。 どうして1億円も横領をしてしまったのか?一体なにに使ったのか? その経緯を知りたくて読み進めました。 平林光太との関係は読んでいて楽しかったです。 男性の方が本作を、「面白くない」と評されているのが、なんとなくわかります。 私はきっと、梅沢梨花同様、平林光太との日々を楽しんでいました。 違和感を覚えるようになった夫のいない間に、若い男性と豪遊する日々。 むしろ、それだけだったような気がします。 ただ好きで、ただ会いたいだけだった――― 背表紙にはそのように書かれていますが、果たしてそうだろうか? 梨花は洸太のことが好きだったのだろうか? よくわからないなと思いました。 また、洸太は梨花を騙していたと思いますか? 私は、大学を中退したのも、本当に梨花が忘れているだけなのかな?と読みましたが、みなさんがどう読まれたのか気になりました。 | ||||
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宮沢リエの映画版をみて、原作を読んでみたくてよんだ。 しかしこれは実話の小説化だとわかったので、その実話に興味をもった。 実際は、この主人公の梨花は、向こうで捕まって、光太と思しき男性も共犯で逮捕されたという。 全く罪の意識もなく、たんたんと横領して、贅沢三昧をする根底には、借りているだけで返せば良いんだという実に身勝手な心理がはたらいている。 前に木嶋とかいう女性が、男を騙して金を巻き上げ、殺害した事件があったが、男に貢いで犯罪をした 主人公と同じ心理かと思う。 映画版の方が、面白かった。 犯行が発覚して、捕まるまでのプロセスを描いてほしかった。 | ||||
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自分を保つ尺度が持てないことの怖さを感じました。 これでいい、大丈夫と思えるもののない登場人物たちが、形を変えてみんなお金に振り回されている。 それを静かにすくい取る角田光代さん…さすがです。 追記:「紙の月」は「Paper Moon」=「満月」の意と今ごろ気付きました。 今だけが一番でやがて欠けてゆくとわかっている梨花の気持ちを表す、意味深いタイトルだったのですね。 | ||||
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とタイトルしてみた。 伊東素子の事件がベースなのだろうが、なんとも足りないものを感じる。 犯罪に至る過程(これは本作で書かれた)、それから、逮捕された後あっけらかんとしていたが、取り調べに対して何と答えたのかが、読者の知りたいところ。東南アジアに逃げて放浪する場面は蛇足だろう。 八日目の蟬、空中庭園などに比べると格段に落ちる。 | ||||
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NHKドラマ→映画の順で観てから原作を手に取りました. NHKドラマは時間がたっぷりあるおかげでかなり原作に忠実に製作されているように感じました. 個人的には梅澤梨花よりもその周辺の人物,特に夫の正文や中條亜紀,岡崎木綿子の 人物像にそそられました.彼らには,誰でも少しは持っているであろうお金に対する絶対感や 恐怖感を象徴する役割がそれぞれに与えられています.本書を読みながら,自分の中の正文や 中條亜紀,岡崎木綿子に改めて気づかされました. ドラマや映画と比べると,原作は,秘密がいつばれるのかという緊迫感が少なく,ちょっと 物足りない感じがしました. | ||||
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普通の主婦が、なんとなく感じる「これじゃない感」を頼りに、働き始めたり、している間に若い愛人ができて、何でもできるような気になって、気がついたら勤め先の銀行の金を横領して戻れないところまで行ってしまう話。 それだけ読むと「バカじゃねえの」と思いがちだが、そこに至るまでの心理描写が上手く、そうなっちゃった主人公に共感こそしないが、最後は罪を償って欲しいと思うものの、もう少し逃げちゃえという感情も湧いてきて、魅力的な主人公だった。 | ||||
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角田さんの力量に敬意を表します。実際に経験されていない方が 想像で書くにはあまりにもリアルで、魂を揺さぶられる数少ない 傑作と思います。けして愛に溺れた浅はかな女のお話ではありません。 存在の不確かさが全ての根源をぐらつかせ、人は何処にでも流れていける。 そこに真実などないのです。 | ||||
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映画から入った。当初、まったく興味がなく、見るつもりがなかった。 ある事情から見ることになり、何の期待もなく見てみると、 非常に良くできた、優秀な作品であることに感銘を受けた。 映画のレビューを見ると、賛否がはっきり分かれていた。 原作から入って映画を見た人は、多くが否定的な意見になっていた。 それが気になり、原作を手に取った。 原作が優れているのは、主人公梅澤梨花を、中心に据えて、それを軸に物語をストレートにつむいでいくのではなく、 友人たちを配することで、彼らの発言から、梨花の輪郭を間接的に浮き彫りにしている点だ。 この”間接話法”が、こちらの無意識と意識の両方を、あるいはその境界を、揺り動かす。 そのことによって、梨花という存在が、女性、若い男の恋人、妻、銀行員、犯罪者といった、 分かりやすい性格を持った人物というよりも、何か得体の知れない、不気味なモンスターのような存在になっていく。 読み進むうちに、梨花が持っている毒(悪事に手を染め、転落していく可能性)を、自分自身が持っていることに気づく。 気づかされる。あるいはその毒のうごめきを識る。これが不気味で恐ろしい。語り口は、たとえば湊かなえなどの作品にも 近いのだが、こうした内側からじわじわ確実にせり上がってくるような嫌な感じは、この作品に独特のものだ。 そして、本から入った人たちが映画を見て「ちがう」と思ったことにも納得できた。 小説の方は、言葉の力で、梅澤梨花という世界を、強烈に、強固に、作り上げている。 全体の2/3を過ぎてもまだ物語は、梨花の周辺の人々を通じて、彼女の”正体”をあぶりだそうとしている。 これを読んでいて、黒沢清映画監督の映画『CURE』を思い出した。 だが、映画の方は、逆に、友人たちの視点のような客観性、間接性を払拭して、ストレートに梅澤梨花本人に焦点を合わせ、 彼女が他人の金を自分の快楽のために使いまくるさまを、一種の疾走のように描き切っている。 映画では、静かさを強調するような学校の教会での集会の風景から、始まり、 この分量あたりまで来ると、もう梨花は、偽造証券を作りまくり、人の金を右から左に動かし、新車のBMWに乗り、 二人の愛の巣での生活を満喫している。 本の中では、「スィートルームでの10連泊」という出来事も、友人たちの逸話の中でのワン・オブ・ゼムだが、 映画のそれは、まっすぐに一気に引かれた線のような、梨花の”出来事全体”の一部になっている。 だから小説を好んだ人が、映画を見て「違う」と思うのは当然だ。 主な舞台は銀行であり、そこで行われる諸々の業務。そして恋人である平林光太と過ごす時間。 光太との日々は純度の高い輝くような幸福なモメントの連続として描かれ、 その一方で、銀行内での描写には、梨花と向き合う形で、最後の劇的な対決を画面に生み出す、 隅より子(小林聡美)が配される。 自分が読んだ文庫本の解説は、映画監督の吉田大八が書いていた。 彼は、本の中で梨花が「物語を単独で牽引する絶対的な主人公」のようにではなく、 どういう存在だったのかを決めつけない描き方で表されていたことにふれ、 それを「誤読」の奨励、あるいは認可というふうに受けとめたといっている。 では、本の中では描き出されなかった、一人称で駆け抜ける梅澤梨花を 自分は描いてみようと彼は思う。 小説と映画。まったく違う場所に立つ2つの作品。この距離感こそが、すばらしい。 本を読み終えて、浮かんできたのは、真新しいBMWに乗って、ふたりでドライブする 宮沢りえ(梅澤梨花)の姿だった。 | ||||
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心の隙間は誰にでもできてしまうものです。それが、社会的に犯罪につながってしまった梨花ですが、光太に合うように若々しく綺麗にいようとしたり、好きであるために喜ばせたい、そんな感情はよくわかります。しかし、そればかりの想いに走ってしまい、光太はそんな暮らしに慣れてしまい、別に好きな女性ができてしまう。なんともやるせない思いがこみ上げます。光太は、梨花さんに何も欲しいとか買ってなんて言ってないよ、と言います。その通り何も欲しがっていなかった。間違った愛し方をしてしまい、自分を取り返しがつかない方向に持って行ってしまった梨花。お金は、人生を人を変えてしまいます。本当に魔物です。フラれても光太を責めない、愛していると思っているような梨花に見えます。光太も梨花にとても悪いと思っている。人は欲望に走ったとき、どこまで抑制できるのか。いえ、抑制しなければなりません。 | ||||
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とてもよかった。何度も何度も読み返しました。 「光太に全く魅力がない、どうして主人公が魅かれるのかわからない」という意見がありますが、 そんなことは全然ない。 おそらくそういうことを書く人は、光太が若い恋人を作っているようなところに軽薄さを感じ、嫌なのかもしれないが だったら、光太がどういう子ならいいというのか? 純愛小説でもあるまいし、この小説の内容が成り立つには、主人公がのめり込んでいく若い男が、光太のような子だからこそいいのだ。 充分に、軽薄さもずるさも、流されていく弱さも持ち合わせる、その辺にいる普通の若い男の子。だからこそリアル感がある。 光太が初めは主人公に律儀に「ごちそうさま。すみません」と言っていたのに だんだんと主人公に勘定を払わせることが自然になっていく。 恋の始まりは逆だったのに、だんだんと男の気持ちが女から離れていく経緯。 そして「(主人公のもとから)出て行きたい」と光太が泣いた夜。 この二人の関係性の流れが切なくて、ものすごく魅かれました。 もちろん私には犯罪を犯すという、主人公の気持ちに全面的に共感はできないし、わからないところもある。 しかし小説としては充分に楽しめます。 脇役の男の妻には本気でむかついたし。 できればこの後の話も続編で読みたいくらいです。 余談ですが...テレビドラマの光太はイメ-ジが違いましたね。あの俳優さんではそれこそ魅力がない。 久しぶりに面白い小説に出会えました | ||||
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一人の真面目で正義感の強い女性梅澤梨花が、狂ったような思いに駆られて悪事を重ねていく物語。 本作を読む前に主人公の梨花を宮沢りえが演じて映画化されることを知っていたので、主人公と宮沢りえを重ねて読んだ。キャスティングはよいと思った。 梨花と過去に関わりをもった同級生や元恋人、料理教室の友人たちの現状を描きながら、それぞれが色々な意味でお金に悩まされる生活を送っている様子が、現実離れした梨花の感覚と比べて現実感があってよかった。 物語自体は中盤まではよかったのだが、後半は失速した。光太の何が魅力的なのか分からないし、悪事がどんどんエスカレートしてやめられなくなってくるときの独りよがりの心情の描写がくどかった。 | ||||
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この年の中年女にはありえる、この心の描写。年を取ることは 自分では気づいていなくても おいてきぼりになっているような焦り。夫との行き違いに、子供ができない状況など、どれもあまりにも現実的で怖いくらいです。でも、ここまで犯罪に手を染めるのかというと それは やはり物語であって、ここまで実際にのめりこむことはないんではないか とおもったけど、実際に 事件は何件かあるんですね、似たような横領事件って。自分もこのように夫とすれ違ったり、子供ができなかったら、若い男にのめりこんじゃうのかな、と そうなったら、怖いな、とか いろいろ考えました。一番怖かったのは、こんだけ貢いだのに、若い男には若い彼女がいて、中年女のコントロールから逃げ出したかったという、、あまりにも冷たい現実が待っていた。そうか、彼女のしていたのは コントロール。盲目の愛とは 相手をコントロールすることなのか。若い男が純粋に中年女を好きになるなんて やっぱ ありえないんだなぁ、犯行に手を染めた中年女がかわいそうで、かわいそうでたまりません。 | ||||
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映画と内容がずいぶん違っていてまずびっくり。娘と読み合いましたが娘も最後のところがもう少し何かあるのかと期待していたようでがっかり。私も「え?こんな結末なの・・。」と呟いてしまいました。でも、今、買い物依存性、離婚など現在に起こっていることをうまく話に取り入れてうまいなあと思いました。私の用にひねくれた読み方をしない人にはいいかもしれません。 | ||||
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趣味の問題なのかもしれないが、正直、読んで時間を無駄にした。女性が読むといいのかもしれないが、生活の虚しさを紛らわせるために横領した金を使いまくる主人公とその類似した人々の事がダラダラと書いてあって、少しもサスペンスではない。だから、何言いたいの?って、聞きたくなる小説。読んだ時間を返して欲しい。 | ||||
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つまらない。読破するのに四ヶ月もかかってしまった。それぐらいの吸引力の無さ。 やっぱり、ページをめくる手が止まるのは致命的。どうでもいい連中のどうでもいい話が大半だもの。 小説は読ませてなんぼだと気づいた。 | ||||
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新聞連載の小説はだらだらと長くて苦手です。角田さんの『空の拳』も途中で放り投げました。でも、この本は一気に読んでしまいました。『八日目の蝉』もそうでしたけど、犯罪をした女性の心情を丁寧に描いています。母性に比べて、浪費が目的の犯罪を小説化する力には圧倒されました。平凡な若い男にはまって感覚が麻痺していく描写のうまさ。 角田さんはどこまでうまくなるのでしょうか。 | ||||
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主婦の金銭に対する心理に迫っています。 主婦には、夫に完全に依存することを極めるタイプと、経済的自立に対する渇望を本源的に捨てきれないタイプがあり、後者が夫の発言の端々に何を感じているのかが描かれています。その描写も、最初は説明ができない違和感という形で女性の頭に浮かぶように描かれています。すごくリアルな感じがします。 | ||||
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さすが角田先生!映画を観る前に原作を読んでから!そう思って取り寄せました。ドキドキしながらページをめくり、あっという間に読み終えました。次は映画をDVD借りてきてみようと思ってます。 | ||||
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どこにでも居るような普通の女性が堕ちていく姿をリアルに描いた非常に怖い小説。 二十五歳で結婚し、専業主婦となった梅澤梨花が銀行でパートとして働き始める。真面目な働きぶりが認められ、契約社員になった梨花は顧客の預金を着服し、そこから抜け出せない泥沼にはまっていく… 悪女として描かれる梅澤梨花だが、彼女の知人や友人も一歩間違えば、彼女と同じ悪の道へと堕ちていきそうな危うい状況にあり、それがこの小説のリアルさにつながっているようだ。 そんな儚さと危うさが、『紙の月』というタイトルに象徴されている。 | ||||
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最後まで面白くは読んだ。 しかし、読後に残る消化不良の思いはぬぐえない。 人物も良くかかれ、エピソードもそれぞれに面白い。しかし、それがどうした、ただ読者に材料を投げかけただけではないかという気がしてならない。 もっともっとそれぞれの登場人物を掘り下げ、大きな物語は作れなかったのか。 たぐいまれなる傑作になろうであろう設定を、この程度の結末で終わらせてしまっていいのか、と言う思いが残る。 | ||||
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