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図書館の神様
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図書館の神様の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全108件 1~20 1/6ページ
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瀬尾まいこさんの書く小説が好きです。 どの小説も瀬尾さん自身の教師時代に培った体験や瀬尾さんの目を通した人生観のようなものが反映されいるように思います。 他のエッセイで書かれていたように、実際瀬尾さんが田舎の学校に教師として赴任したときのことがこの小説の土台になっているように思います。 こんな高校生居ないよなとか、こんな頼りない先生いるか?とか、突っ込みどころはありますが、これは小説なのでそんなことは置いといて、瀬尾さんの人となりを想像して読み進めていました。 そして最後まで淡々と進むと思っていたら、最後の2ページで思わず泣いてしまいました。 現実には人の死はそんなにすんなり受け入れられないものだとしても…とても救われた気がしました。 | ||||
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人気作家なのに、これまで一冊も読んだことがなかったので、作家の名を世に広めた作品を読んでみました。 テンポの良いリズミカルな筆使いに一気に読了し、すっかりファンになりました。 カラッとしてるのに、微熱を抱えた若い時をふぅ~っと一息吐いて、前進して行く青春をサラリと描いた素敵な物語でした。 | ||||
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瀬尾さんの本はほとんど読んでいるの1ファンです。この本は初期のころの作品のせいか置いてある書店がなく、アマゾンで購入させて頂きました。「卵の緒」は結構あちこちに置いてあるんですけどね。 さて、いつも思いますが、瀬尾さん作品に出てくる人々は本当に優しくてチャーミングです。 真面目に生きてきたからこそ、周りに厳しくなってしまった主人公の人柄は自分とどこか重なる部分があり、共感しながら読み進めました。そして、憎めないけどやはりずるい不倫相手、優しい弟、そして子供なのにかなり頼りになる垣内君、みんな魅力的なキャラばかり。一見軽い感じに見えたの本作品ですが、不倫に加え、学生や高齢者の自殺などの話も含まれ、短い中にも色々なことが盛り込まれている素晴らしい一冊でした。購入して良かったです。 また他の話の中で会えたらいいなぁ、と思いました。 | ||||
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絶対読んだ方がいい | ||||
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スーッと涼しく読めます。電子本ですから 読みページの%表記 または読み終わるまでのTime表記が出ます。 中見出しが無い小説です。神様の登場までの %・Time が付けば 新電子本となります。(かな??。) | ||||
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このところ、あれこれ読んでいる瀬尾まいこさんの小説ですが、これはいまいちぴんと来ませんでした。 主人公・清(きよ)の不倫のシーンがよく分からなかったのと、中篇と言ってもいい分量なので、登場人物の例えば垣内(かきうち)君は魅力的だなあ、もっと彼のこと知りたいなあと思ってたら、話が終わってしまって残念、みたいなところがありました。 でも、たった一人の文芸部員である垣内君の台詞には、「お! いいこと言うじゃん」てのが、いくつもありました。なかでも、文庫本の 187頁、《文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。》に始まる五行分の台詞は、とても良かった。読書好きの一人、本の旅人の一人として、ぐっと来るものがありました。 しかし、この小説のタイトルは謎だわ。高校の図書室は舞台として何度も出てくるけど、〈図書館〉て、話の中に出てきたかな。記憶にないんだけど。図書室ではなく、なぜ図書館とタイトルにあるのか。さっきから考えてるんだけど、やっぱ、分からんわ。 | ||||
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本苦手な人でも面白いと感じれる。 とりあえず読んでみるといい。 | ||||
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正直、主人公の清にはほとんどと言って良いほど感情移入できないのですが、垣内君がこの本の世界にぐいぐいと引き込んでくれました。 垣内君の最後のスピーチがずっと頭の中に残っています。 何もできないな、自分は無力だなと感じた時、疲れた時に読んでみてほしい本です。 | ||||
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ページ数とジャンルから気軽に読める青春小説として。 表題作は、教師は世界を知るのか、男部員は改心してエースに昇り詰めるのかと思いきや、最後まで主人公は教師、生徒は男を律した男女二元論話。 2作目は、「何とかムーン」は大いに結構だが、世界を閉ざし現状維持に「お前だけだ」吊し上げとは 未だ現役かつオタク向け商品も展開されている中 、「独り者のお前が悪い」私刑の悪意があったと受け取っても仕方ない。 流行りのマイノリティを扱ったつもりだったのだろうが、ご自分が一切興味ない男女差別に縛られる古い者なら結果的に男女差別に賛意を送ったのだと弁えて貰いたかったものだ。 男が何とかムーン―オタク―の生態を知りたきゃコミケにでもアニメイトにでも、いや秋葉原を散策すればいい。反サブカルの同レベル文系女が何百万群れても意味はない。分かっている者こそ、ここぞとばかりにフェミも相成ったオタク狩りに勤しむと、相場は決まっているものだ。 男女を律した表題作が結局本作差別助長の伏線となってくるのだから皮肉だ。 何とかムーン男を独り者私刑に吊し上げたかったら、まずご自分が反サブカル志向の真性文系女の誠意を律してからにしてもらいたかったものだ。 「私に泥を被れと言うのか」なんて言わないでね。独り者の男オタクを同レベルで囲み「分からない」出来レースに恥をかかせ、吊るし上げに小馬鹿にしてみせた贖罪と思えば安いもんでしょう。 ★1を、サラッと読めた文才に★2。 男女差別現状維持賛辞にしてオタ狩りを実践した加害者。 独り者を、世界を知る気はない、群れこそ正義、法、他人事傍観の「日常」客目線に敬意を表し。 個別の自由を通り越し、需要を担保として実践した、それこそ「男女不問」な唯の加害者(犯罪者)と果てた身の程は弁えてもらいたいものだ。 | ||||
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子供の読書感想文の課題図書でした。 | ||||
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面白い小説というのは、 最初の1ページ半も読めば、 面白いと確信できるんだなと、 久々に思わせてもらえました。 そして、 そう思わせてくれた作家さんは、 当然、今後は、 贔屓にさせていただきます。 本作を半分も読んだ頃には、 手に入る限りの文庫を、 全部読もうと心に決めてました。 こんなに自然に物語が流れて、 人間も風景も記憶も感情も、 皆イキイキとしていて、 それでいてバカポジティブでなく、 悲しみも背負っていて、 だから頑張って暮らしていて、 でも頑張ってるなんて思わず、 登場人物たちは皆、 現実の人間と同じように、 明日や今夜のことを考えていて、 気付けば季節が変わっている。 まるで思い出みたいだなと思い、 読み終えた本を文庫ケースに、 他のコレクションと一緒にしまう。 まだ心にじんわりと、 物語の感触がのこっている。 さわれないけど、 見えないけど、 たしかに胸のなかにある。 なんといい気分なのかと、 しばらく余韻に浸る。 あ、そーだ。 今さら気付いたのは遅いけど、 アマゾンさん、これ、 表紙が少し破れてましたよ。 なんて、 この本を買った当時のぼくは、 複数の本が欲しければ、 素直に複数発注していたので、 それが原因だと、 今ではわかっているのですが。 アマゾンさんは、 本の配送がヘタなんですよね。 うまく収納できる人も、 なかにはいるようですが、 ヘタな人はグシャッと入れる。 当然、本と本がイジメあって、 破れたり折れたりする。 だからぼくは今では、 何十冊買う予定でも、 一冊ずつ注文します。 それでもたまには、 ボロいのが届きますけどね。 新品で買ってるのに。 もう、帯の破れとかは、 気にしないことにしてます。 どーせ捨てるし。 でもこの本みたいに、 ああ素敵な話だった! これは宝物だ! と思ったとき、 そういや表紙が破れてたなと、 後になって悲しくなるのは、 もう嫌なので、今では、 届いた本はキッチリと、 隅々まで確認しています。 なんで上手な人に倣って、 統一しないのだろうなと、 不思議に思います。 2冊頼むとき限定ですが、 うまい人はピッタリな封筒に、 背表紙同士を向かい合わせて、 キチッと揃えて入れてくれます。 あれを徹底してくれたら、 一度にたくさんはムリでも、 注文を2冊ずつに増やせるのに。 と、文句をいいつつも、 今日もまた数冊注文し、 (当然、1冊ずつ届くように) 明日もまた、数冊届く予定です。 読書はいいなぁ。 瀬尾まいこさんの作品を、 『あとで買う』リストに、 全部放り込むぞと決めつつ、 リストにある本の数が、 250冊からいつまでも減らず、 増える一方なことに、 我ながら呆れています。 アマゾンさんは、 配送はヘタなくせに、 すすめるのはうまいんですよ。 感謝しつつも困っていますw | ||||
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自分が発する言葉、それに呼応したかのような相手の反応 そんなつもりで言ったわけじゃないのに なぜそんな風につたわるの ・・・ こんな出来事が人生にはあります 主人公のキヨも、こんな出来事にとらえられて 生き方が変わった一人 自分が悪いのかどうかさえ、結局はわからないのだけれど 状況的に、自分が原因で一人に人間がこの世からいなくなったと 周りの人に思われ、自分自身もその環境からはなれていいく ずっと、心に何かおもりのようなものを抱えて ・ ただ、そうはいっても 22歳にしてこの生き方はいかがなものだろうか とも思います 不倫、、まあいいけれど やる気のない国語の先生、、これはいただけないなあ ・ 本の最後に、また変化をよべるゆうな出来事があるけれど 全体的に淡々とした文章で流れていく 灰色ががかった心が中心に、冷めて物事を見続ける 読後感といえば、 こういうことってあるよな、、 と思いながらも、あまりすっきりしない。。ですね。 | ||||
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今回もやられた。何しろ出だしが『清。私の名前だ。』とこう来た。 え、誰?男、女?振り仮名はキヨって書いてあるけど、キヨシじゃないだろうなあ・・・などとページを手繰るスピードが加速します。 『幸福な食卓』でもそうでしたが、「つかみ」が本当にお上手です。 さて今回のお話は部活一本やりの高校生の主人公が、名前の通り清廉過ぎて、とあることで級友が自殺してしまい、以降、やりたいことも見つからず、ぐだぐだな大学生活を経て、ぐだぐだな不倫生活の最中に講師として赴いた高校で不慣れな文芸部なる部の顧問としてぐだぐだと生徒と過ごしていく中で彼女自身を回復していく、といったようなお話です。 瀬尾さんの作品は本作を含め3つ目ですが、人の弱さや不完全さに対して優しい眼差しを向けているように感じます。 級友を自殺に追い込んでしまった主人公の完璧主義。その後不倫からも抜けられない。そんな主人公の状態は決して褒められたものではないし、ましては肯定できるものではないかもしれません。だけど、人間とはそんなに強いものではないし、いちいち色んなことでヘコんだり悩んだりするものだし、時に奈落の底でもがいてなかなか上がってこれないことだってあると思います。 ひょっとして勘違いかもしれませんが、私は主人公の描写に筆者の弱さへの寛容さを感じました。 主人公は、弟や文芸部唯一の部員の垣内君との何気ない日々から恢復の兆しを得ました。もし現実に何となく問題抱えていそうな人がいたら、私は大人な対応できるのかな、とちょっと不安になりました。 評論家のように人を責めるのは簡単ですしそんなのは嫌ですが、かといって内情を知りもしないのに安易に価値判断はしづらい。かといって、遠巻きに見ているだけというのでは爪弾きにしているのと大して変わらない。「なんかあったら話聞くよ」って言って、結果話されないでおしまいって感じなのかな。 ・・・ 題名から本とかの話が沢山出てくるのかなと手に取りましたが予想以上に重たい作品でした。しかし、文章の端々にユーモアを交えて語る瀬尾さんのスタイルは、読んでいて楽しい。人の弱さとか寛容とかについて考えさせる良い作品だと思います。希望の見える終わり方も好きです。ただ、主人公の、おとぼけな不倫相手の発言に対する心理描写は滅茶苦茶リアルです。そういう意味では中高生にはちょっと薦めづらいなあ。 | ||||
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食わず嫌いってわけじゃないんだが、読んでなかったんだよね、瀬尾さん。 2021年にこの作品を読んだわけだけど、ほとんど同世代の瀬尾さんが2003年にこういう作品を書いている。自分はいったい何をしてきたんだろう? ずいぶんと時間が経ってしまったなぁ。2003年頃に瀬尾さんぐらいの洞察力と表現力と、優しいまなざしがあれば、いろんなことは違っていたのかな。 平易な文章なのですらすら読める。良くも悪くも人物描写も淡々と書き込まれていて、なのに深く心を揺さぶられる。主人公が大きな心の挫折を経て、最後には「どうでもいい」と思っていた教師という仕事を好きなる。文芸部の垣内くんと弟の拓実がいい味を出してます。 作中に出てくる川端康成、夏目漱石や山本周五郎などの日本の名作小説をもう一度読みたくなったり、未読のものを読みたくなりました。 川端康成「抒情歌」 「死人にものいいかけるとは、なんという悲しい人間の習わしでしょう」 。2020年は新型コロナで大変な一年になってしまった。東日本大震災からは10年が経った。 日本は、社会はなかなかつらい時代にどんどん進んで行っているように感じるけど、社会の問題も確かに大事だけど、人が朗らかに生きるのに必要なことはきっともっと身近なことなんだろうなと。 「神様のいる場所はきっとたくさんある。私を救ってくれるものもちゃんとそこにある。」 いい作品でした。 | ||||
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清と垣内君のその後が気になる~ 是非とも付き合っていただきたい! なんかダメダメな清が人間臭くていいな~ | ||||
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著者は「本屋大賞」受賞歴のある「瀬尾まいこ」氏。 本書は、2009年第1刷・2019年第10刷とコンスタントに読まれている。 氏は文学部国文科卒で学校の国語科講師と教諭経験が10年ほどある。 自分の経験を元にした学園小説でもある。 周りから見ても学校の図書館・図書室は人が少なくのんびりした空気が流れている。 本作も図書館(室)で活動する「文芸部」。顧問の女性講師「早川清」先生とダダ一人の部員「垣内」くん。 二人の「ゆるい部活動」が進行する。顧問の女性講師の私生活と同時進行である。 始めは「何が」言いたいのかな。「何が」起こるのかな。という「ゆるい学校風景」である。 しかし、決める時は決めます。「ぴしゃり」と。誰が。「垣内」くんが。 本書P227で「ぼくは垣内君の意見に激しく賛同する。垣内君は正しい」(山本幸久氏、解説)。 これでいいのだが、余計なことを言うと(著者と同業者の元教員の私の押し売り、として)、以下の如しです。 「いましたね」。私の後輩の国語科教員にも。私、「君は良く読書をしているが、何故だね」。後輩「自分で直接体験できることは知れています(少ししかない)」「せめて読書で間接体験をしています」・・私「天晴れ後輩君(本当に、高校の2年後輩であった)」・・ 「文学を通せば、何年も前に生きていた人と同じものを見れるんだ。」「のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。」その通りですね。 一度の短い人生で「少ない体験」しかできない「はかない存在の人間」。 その人間に天は。神は。「書物」というタイムマシンを与えてくれました。 間接体験でも「ゼロ」より遥かに「まし」ですね。 有難う書物。有難う垣内君。私も頑張ります読書に。72歳福岡在住 | ||||
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"垣内君はみんなを見回しながら、堂々と語った。『文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる。自分の中のものを切り出してくることだってできる(略"2003年発刊の本書は、文芸部顧問の"私"が出会いから再生していく物語。 個人的には、知り合いの図書館関係者のコロナ禍における苦労話を伺っている中で、本書のタイトルに惹かれて手にとりました。 さて、そんな本書は"清く正しくまっすぐな青春"をバレー部でおくってきた(と思っている)"私"が挫折により【全てに投げやりになって新米教師】として赴任した高校で、意図せずになった文芸部の顧問として出会った"全てに正しい"たった1人の部員、垣内くんと出会って変化していくのですが。 なんでしょう。作者の意図的?とはいえ"私"の教師としてのやる気のなさが目立つので、垣内くんの立ち振る舞いが【とにかく大人びてる】のがまず強く印象に残りました。(垣内くん。一体君はどんな大人になるのだろうか。。) 一方で物語としても、派手さはなくも他者からの承認欲求(よく言えば期待)から解き放たれた事での迷走をへて、最後に力強く歩み出す"私"の姿は【普遍的な魅力があって】元気づけられる読後感でした。 さっと読める本を探す人や、古典文学、図書館好きな人にオススメ。 | ||||
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文章はライトな感じで読みやすかったです。1日で読めちゃいます。生徒とのやりとりで、素敵なフレーズもあり良かったんですが、恋人との描写が何か苦手でした。性的にどうとかではなく、言葉の使い方なのか、私は好きになれなかった。生徒とのやりとりも、先生が若いから仕方ないのかもしれないけど、軽すぎな感じがしました。 本編より、短編が良かったです。 | ||||
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しばらく沈んだ気持ちが続いている人、将来の展望がなんとも見えない人、日々に手ごたえを感じない人を、ちょっと救ってくれるかもしれない本です。 心理的に不自由な、縛られた青春を送ってきた早川清(きよ)。最大の束縛は高校の頃、バレーボール部キャプテンとしてチームメイトを叱責したところ、その子が自殺してしまったこと。それ以来、打ち込むこともなく漂う清の今の慰めは、お菓子作り教室の先生である浅海さんとの数年間続く不倫のお付き合い。 そんな清は大学を出て高校の国語の講師に就き、興味もない文芸部の顧問をやらされます。部員は3年生の垣内君ただ一人。実は垣内君も挫折を経験しているらしく、清と似たところもあり、二人が文学でどこか救われていく様子も見てとれます。 主たる登場人物はこの垣内君と清の弟の拓海。何でもない、行き当たりばったりのような会話を重ねながら、清が自分自身を見つめ、少しずつ自分を再構成し、世界とのかかわり方の糸口を掴んでいくところがメインテーマなんじゃないかな。大きいのは文芸部や自分の授業において、文学を通じて他の人の人生、違う世界に触れたこと。高校の図書館に住まう何かの神様が清を救ってくれたようです。 不倫と言ってもどろどろではなく、垣内君と文芸部で一年間付き合うものの恋愛感情を持つわけでもなく、清が悟りを啓くわけでもないですが、ごく普通の女性が、自然に頭を上げ、積極的に足を踏み出し、自分の人生に向かっていく様子は嫌味なく爽やかで温かい。 カバー絵の手前の少年が垣内君。奥の女性が清で、154頁のシーンです。 | ||||
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すいすいと読みやすく、さらっと入ってきました。 あつくるしくはないけど、やる気や希望を感じさせてくれる作品でした。 | ||||
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