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解錠師



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解錠師の評価: 4.01/5点 レビュー 99件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.01pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 41~60 3/4ページ
No.32:
(5pt)

読んで良かった

とにかく面白い。
そして、一言も喋れない少年マイクルの心情一つ一つに
私の心も動かされました。
この本を読んで良かったです。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.31:
(5pt)

意外に読みやすいiPhone Kindleアプリ版

初めて購入したiPhone Kindleアプリ版。思っていたよりずっと読みやすい。新書版だと2段組の427ページ。Kindle版だと6527ページ、新書版の15分の1ページということになる。ひと目でかなりの部分が目に入り、短時間で1ページを吸収できるような気がした。
それとは関係なく、読み始めたら止められない。9歳のときに経験した悲劇により口がひとことも聞けなくなったという主人公の設定がうまい。小説は主人公の一人称で語られていて、主人公が出会う様々な人物、叔父、親友、恋人、その父親、悪党、解錠の師匠などとの間に、口を聞けないことで緊張感が生まれている。小説は現在と解錠師になるまでの過去が交互に語られ、大団円で収束する。また、恋人と主人公のマンガを使った交流も心地よく秀逸な青春小説の趣もある。解錠のシーンのサスペンスの度合いは高い。★を6つつけたいくらいの大傑作と思う。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.30:
(5pt)

秀作

期待していた以上に面白い。著者の他の作品も読みたくなった。
一気に読んでしまいました。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.29:
(4pt)

なるほどソフト・ウィンズロウ路線

どこかで読んだことがある成長譚だと思っていたら,ウィンズロウから毒気と饒舌を抜いた感じで,うまく万人向けになっている。ただ,時系列単位の交錯配置は映画の影響か,ちょっと芸がなさすぎるけど。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.28:
(5pt)

これで処女作?先が楽しみ

大変面白かった。

主人公が「奇跡の少年」から「解錠師」に変わっていくプロセスも納得感あるし、
随所に挿入される「小説内小説」がアクセントになっている。

途中

「単調になってきたな」

と思ったとたんに、物語が大きく動き出すなど、ストーリーテリングの才に長けた著者。
これが処女作というのが信じられない。

次回作が楽しみ。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.27:
(5pt)

ヨコシマな読み方ですが

私のド真ん中でした!
緻密な解錠場面や過去と未来を行き来するストーリーにも引き込まれますが、
キャラクターの造形が特に好きでした。

腹の中では周囲をシニカルに、諦観の境地から眺めているのに、
求められれば、大人しく、鮮やかに、やり遂げてしまう美少年マイクル。
本書にあるように、解錠師はブッ放すだけの能なしとは違う、
窃盗団のプリマドンナ。替えのきかない存在。
なのに、なぜか全体的に漂う「踏んだり蹴ったり」の残念感(笑)

「鍵のかかった部屋」から検索して、
いつの間にか辿りついて購入してしまいました。
だからマイクルのイメージを「大野智版・榎本径」にして読んでしまいましたが、
自分ではなかなか面白い読み方をしたなぁと思っています。
「能ある鷹が、爪を隠して、踏んだり蹴ったりの目にあわされて、粗末にされてる感じ」
が、なんとも嵐の大野君みたいでした。

ただ、古い本なので
敵がピンシリンダー・ディスクシリンダー止まりなのが残念です。
だから全部ピッキングでなんとかなっちゃう。
今また作者に続編を書いてほしいですね。
マイクルがインプレッションやバンピング以外の
予想外の解錠方法を用いて、
100ピンぐらいあるバカみたいなディンプル錠とか、
マグネット錠、チューブラー錠、スマート錠を次々と攻略する小説…
ぜひ読んでみたいです!
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.26:
(5pt)

スリルあふれるビルドゥングスストーリー

主人公の視点からのみで構成されていくストーリー。次々と起こるスリリングな解錠の場面。そして全体をおおうリリシズム。とにかく読むと良いと思える良作です。またKindle版は若干安くお買い得。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.25:
(5pt)

高校生にぜひ

本書はミステリーであり、青春小説である。あるいは文学小説だ。
正直、ミステリー、謎解きを念頭に置いて読むと本書は物足りないだろうと思われる。けれども、それを補ってあまりある物語としての楽しさは保証できる。物語の時間軸は行きつ戻りつする。読者はそれをもどかしく感じるだろう。けれどもそれは著作者の仕掛けである。「解錠師」という表題にしてキーワードは、主人公にとって二重、三重の意味があることを読者は最後に知ることになるだろう。
これは青春小説として傑作である。
京極夏彦氏の「姑獲鳥の夏」をミステリーとしてだけでなく、青春小説として楽しめた人は、本書もまた楽しめるのでないかと愚行する。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.24:
(4pt)

とんだリア充(ネタバレ注意です)

面白いです。一気に読んでしまいました。
読んでる間は主人公の運命に胸を痛め、感動しました。
が...読後二日たち三日たち物語を反芻するに...主人公は、解錠の天才で絵の才能があってオマケに絶世の美少年で、なんだかんだ言って初恋の相手と相思相愛で。
とんだリア充ですよね。いや、昔の少女漫画のキャラのよう。私の如き一般人が彼のトラウマやハンディに同情するなどおこがましい事でした。
と、ついついひがんだ読後感想(苦笑)になりましたがそれだけ反芻したという事で、一読の価値はあり、なのではないでしょうか。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.23:
(4pt)

スピード感たっぷり

時代をクロスさせる手法が読みにくい訳書を分かりやすくしてくれた。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.22:
(4pt)

こわくて緻密な小説

解錠師って何だろう、と気軽に読み始めましたが、こわいし、しんどい気持ちになってなかなか読み進められませんでした。夜中に読むと特に。
戸締りして、警備システムを使っているのに、開けられて侵入されてしまうのはとてもこわいです。
主人公の少年は、錠前を開けることに魅せられていて、それを悪い人間たちに利用されて望まないのにマフィアの手下にされて、犯罪者になってしまいます。この冷酷なマフィアがこわい。
少年は幼いときの過酷な体験のショックのせいで、話すことができません。その過酷な体験とはどんなことなんだろう、というのが謎として提示されます。
主人公が抑制的で一人称で語られているのに、なかなかどんな人物なのかつかみにくいのです。それが少しずつわかってきて、全体を読み通すと、すべてのできごとが共鳴しあっているとおもいました。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.21:
(5pt)

読み終わるのが惜しいと思った

ある過去の出来事から口をきくことができなくなった主人公の青年には2つの特技があった。一つはどんな錠前も開けられること、そしてもう一つは絵を描くこと。錠前を開ける技術は、彼を犯罪へと導いてしまうが、絵を描く力は逆に彼を恋人へと結び付ける。はたして彼は犯罪の世界から恋人のもとへ戻ることができるのか、そして再び声を取り戻すことはできるのか?錠前を開けるシーンの緊迫感、恋人と絵を描くことを通して心を通い合わせるシーンのひたむきさ、どちらにも心を奪われ、読み終わるのが惜しいと思った。個人的な趣味でいうと、描かれた絵のイメージとして、なぜか「21世紀少年」や「モンスター」「ビリーバッド」などをかいた漫画家、浦澤直樹のマンガのイメージが頭に浮かんだ。なぜだろう…。
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No.20:
(5pt)

余りのステキさに余韻が残る

オリジナルは2009年リリース。邦訳は2011年12月リリース。2012年の『このミス』海外ミステリー第一位、と言うよりも2011年エドガー賞 長編賞受賞作品、と言う方がよりこの作品の価値を現しているだろう。念の為に付け加えれば、『エドガー賞 長編賞受賞』というのは、1955年にあのレイモンド・チャンドラーも 『長いお別れ』で受賞しているアメリカ探偵作家クラブが授与する世界で最も価値あるミステリー作品賞である。

スティーヴ・ハミルトン(Steve Hamilton、1961年1月10日 - )は、ミシガン州デトロイトで生まれ育ち、ミシガン大学を卒業している。本作を読了している方はおそらくだからあれほどの描写ができるのか、と思われただろう。既に子供の頃から推理作家を志し、12歳の時にはエラリー・クイーンに短編小説を送るという大胆な行動に出ている。今もIBM本社に勤務する傍ら執筆活動を続けている兼業作家だ。

本作は、まずはキャラクタの立て方、次に描写力がずば抜けている。そして章と章とを時間軸をずらしながら進めていく手法も秀逸だ。最後にそれこそ高貴な錠前のようにストーリーが『カチッ』と合う。読んでいて、伊坂幸太郎の絶好調の時を思い出した。伊坂もギャングを書かせたら天下一品だ。そして、読了後も余りのステキさに余韻が残る。そんなミステリーはめったに無い。

余韻の中に『決して喋らない彼』が描いた絵が連続するイメージのように蠢き、『分かる奴にしか分からない』錠前が降参した瞬間の音が静かに響く。ミステリー・ファンは絶対に読み逃してはならない傑作だ。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018545
No.19:
(4pt)

とびついて買った本

確か本の雑誌で北上(目黒)がほめまくっていた本なので期待もしていたがそれにはずれることなく読み応えのあるものでした。読みすすむほどに主人公にすっかり感情移入してしまいました。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018545
No.18:
(5pt)

錠前破りの青春

主人公のマイクルは、解錠師(ロック・アーティスト)。
ゴーストのコードネームを持つ、口の利けない天才的な錠前破りだ。
物語は、監房に居る現在のマイクルが、子供時代〜解錠師となるまで、解錠師〜現在まで、を交互に振り返る形で進む。

何故口が効けなくなったなったのか、何故解錠師となったのか、何故監房に居るのか。
序々に明らかになる全体像。
でも、この物語の眼目は、マイクルの青春譚にある。
ヒロインとの出会いと切ないコミュニケーション。錠前破りの緊張感と共に、魅力的なストーリが展開していく。

殺伐とした部分も有るが、希望に満ちたエンディングで読後感も良い。
オススメの一冊!
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018545
No.17:
(4pt)

青春のハードボイルド

ものすごく陳腐な感じの表現なのだけれど、一言でいえば、「青春のハードボイルド」という呼び方がしっくり来る。

 読んだ時に、「これは今年のベスト3くらいには入るのではないか。大穴だけれど、もしかしたら1位になるかもしれない。」と思った。それほど僕の心には響いたし、一方、作品の設定の幼稚さは、小説としての甘さと感じられても仕方が無いと思った。
 色違いのポケベルという小道具や巻き込まれる事件のあり方は、やや作り物めいていて、稚拙というのは言い過ぎかもしれないが、そんな匂いはしている。
 それでも、時間が交錯する物語の展開はそこに一定の刺激を与えていて、時系列通りに語ればそんな欠点がいよいよ浮き彫りになって興が覚めてしまいそうな危機から、ぎりぎりのところで脱している。
 危ない所を逃れてしまえば、後はこの作品の魅力の方が輝き始める。
 一言もしゃべらない主人公。その設定は秀逸だ。もちろん、本当はしゃべってはいるのだけれど、声を出しては話さない。そして、話せないことを苦しいとは感じていない。いや、その苦しみを超える何かが彼に「話せなくてもいい」と思わせている。その絶対的孤独が、たくさん話せる我々の心にも響いてくる。
 本当は、みんな、そんなにたくさん話さなくてもいい。ただ、どうしても話したい人と話せたらそれでいい。そんな風に思えるただ一人を見つけたい。それでいいのだ、と、そんな風に毅然と生きてみたい。僕らの中には、きっとそんな孤独や強さへの願望があるのだろう。
 そして、本当に、一人、そんな彼と話したいと心から願ってくれる人がいる。通じ合いたいと思ってくれる人がいる。それがまた、こちらも同じように、この人とだけは繋がりたいと思える相手でもある。なんて素敵なことだろう。通じ合える人は、たくさんは要らない。でも、ただ一人でも、見つけたい。その一人がいてくれたら、僕らはそれだけで生きて行ける。

 ふたを開けてみたら、今年の「このミステリーがすごい」のぶっちぎりの1位だった。つまり、そんな所に心打たれてしまった僕のような人が、たくさんいたということなのだろう。なんだ、みんな寂しがり屋なんだな。
 これは、サスペンス小説だけれど、同時に心に染みる青春小説でもある。分厚いサスペンスのコートを来た、真っ直ぐな文学でもある。ハードボイルドの魅力が、主人公の「生き様」というか、そのあり方そのものにあるなら、これは、明らかにハードボイルドの魅力満載の作品だ。しかも、主人公は、こんなに若い男の子なのだ。
 心に染みないわけが無い。・・・ということなのだと思う。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.16:
(4pt)

青春のハードボイルド。

ものすごく陳腐な感じの表現なのだけれど、一言でいえば、「青春のハードボイルド」という呼び方がしっくり来る。

 読んだ時に、「これは今年のベスト3くらいには入るのではないか。大穴だけれど、もしかしたら1位になるかもしれない。」と思った。それほど僕の心には響いたし、一方、作品の設定の幼稚さは、小説としての甘さと感じられても仕方が無いと思った。
 色違いのポケベルという小道具や巻き込まれる事件のあり方は、やや作り物めいていて、稚拙というのは言い過ぎかもしれないが、そんな匂いはしている。
 それでも、時間が交錯する物語の展開はそこに一定の刺激を与えていて、時系列通りに語ればそんな欠点がいよいよ浮き彫りになって興が覚めてしまいそうな危機から、ぎりぎりのところで脱している。
 危ない所を逃れてしまえば、後はこの作品の魅力の方が輝き始める。
 一言もしゃべらない主人公。その設定は秀逸だ。もちろん、本当はしゃべってはいるのだけれど、声を出しては話さない。そして、話せないことを苦しいとは感じていない。いや、その苦しみを超える何かが彼に「話せなくてもいい」と思わせている。その絶対的孤独が、たくさん話せる我々の心にも響いてくる。
 本当は、みんな、そんなにたくさん話さなくてもいい。ただ、どうしても話したい人と話せたらそれでいい。そんな風に思えるただ一人を見つけたい。それでいいのだ、と、そんな風に毅然と生きてみたい。僕らの中には、きっとそんな孤独や強さへの願望があるのだろう。
 そして、本当に、一人、そんな彼と話したいと心から願ってくれる人がいる。通じ合いたいと思ってくれる人がいる。それがまた、こちらも同じように、この人とだけは繋がりたいと思える相手でもある。なんて素敵なことだろう。通じ合える人は、たくさんは要らない。でも、ただ一人でも、見つけたい。その一人がいてくれたら、僕らはそれだけで生きて行ける。

 ふたを開けてみたら、今年の「このミステリーがすごい」のぶっちぎりの1位だった。つまり、そんな所に心打たれてしまった僕のような人が、たくさんいたということなのだろう。なんだ、みんな寂しがり屋なんだな。
 これは、サスペンス小説だけれど、同時に心に染みる青春小説でもある。分厚いサスペンスのコートを来た、真っ直ぐな文学でもある。ハードボイルドの魅力が、主人公の「生き様」というか、そのあり方そのものにあるなら、これは、明らかにハードボイルドの魅力満載の作品だ。しかも、主人公は、こんなに若い男の子なのだ。
 心に染みないわけが無い。・・・ということなのだと思う。
解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.15:
(4pt)

賞をとるのも不思議ではないのでは? 意外に面白かった。

このミス1位ということで本屋で手に取り、文庫版の「絵本っぽい」表紙を見てからページをめくった時は、ガキっぽいセリフばかりが並んでいるように感じられてかなり迷ったが、購入して読んでみたら、意外にもグイグイと引き込まれて、そのまま読了した。主人公の少年の周りに登場する犯罪者たちの描写が面白かった理由かもしれない。この作者の「氷の闇を越えて」も読んでみたくなった。
解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151718540
No.14:
(4pt)

金庫破りが得意の聾唖の少年が主人公の異色の青春小説

幼少期のトラウマのせいで喋れなくなった少年が金庫等の解錠が得意になりやがて・・・というお話。
主人公が解錠が得意になっていく過程と、現在の金庫破りになってその犯罪シーンを交互に交差させながら、最後に収斂していくというサスペンスで、主人公を聾唖の少年にしたのが私の勝手な憶測ですが、それを心の錠を閉ざした少年の心理状態にかけて、金庫の錠はうまく開けられるけど、少年の心の扉は開くことができるか?という風にしてあるように思いました。そういう意味で金庫破りのシーン等犯罪場面も多く出てきますが、一人の少年が様々な特異な体験を通じて精神的にある意味堕落し、ある意味成長をする青春小説の一種に思えましたがどうでしょうか。この様なタイプの小説がMWA賞を獲ったりポケミスに入ったりするところにミステリに限らず、広くエンターテインメントの変容を感じます。この後の主人公の人生が気になるので著者には是非、続きを書いてもらいたいと思うのは私だけではないでしょう。
著者のハミルトンは他にもシリーズ物の私立探偵小説も書いている人らしいですが、寡聞にして知りませんでした。己の不明を恥じます。そちらも読んでみたいと強く感じました。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018545
No.13:
(5pt)

口の利けない天才鍵師の哀切な青春ミステリー。その過去とは?胸が締め付けられるが〜。傑

その昔、マイクは”奇跡の少年“だった。時が流れ、”ミルフォードの声なし“となった。金の卵、若きゴースト、解錠師どれもマイクの呼び名である。20代後半のマイクは刑務所での生活も10年を迎え、過去の回想を始める。
マイクは8歳の時に悲惨な出来事を体験した。奇跡の少年と呼ばれるようになったが、そのトラウマのために言葉を発することができなくなった。それでも絵を描くことと、どんな鍵も開くことができる才能に恵まれた。解錠師になるまでの少年時代と、解錠師になってからの日々を語りだす。その2つの話に登場するのは、恋人アメリアである。話は徐々に過去の悲惨な事件と、刑務所に入ることになった事件にフォーカスが絞られてゆく・・・そして、彼の隠された人生の全容が・・・。胸が締め付けられる物語ですが、ラストに希望の灯が・・・。青春期の複雑な感情や、まだ若者だった時の疎外感などがマイクの体験を通して読者に共感を与えるでしょう。傑作。お薦め!
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞、英国推理作家協会賞スティール・ダガー賞の英米2冠に輝くのも当然と思う。
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150018545

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