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(短編集)
犯罪
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犯罪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全114件 1~20 1/6ページ
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普通 | ||||
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11の短篇が収録されているが、いわゆる「ミステリ=謎」を扱っておらず、個人的には「犯罪小説集」と感じた。謎解き要素があるのは「サマータイム」くらいだろうか。作者は「なぜ夫は妻を、姉は弟を、殺さなければならなかったのか」という経緯にこそ注目している。 シーラッハはドイツの作家で実際に弁護士であり、報告書のような淡々とした文章がむしろ陰惨さを際立たせる。リアリティに富んでいるため当然のように残酷描写や暴力表現が多出するので苦手な方はご注意。浮世離れしたミステリより地に足の着いたドキュメンタリーやノンフィクションが好きな方にお勧め。 2012年に本屋大賞1位を受賞しているので面白さは保証付き、ぼく自身こういった「現代社会や現実の事件を扱った小説」をふだん手にとらないのにこの短編集はすこぶる興味深く読んだ。「正当防衛」のリドルストーリー的な読後感が好み。 | ||||
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著者はベテランの刑事弁護士であり、この短編集で作家デビューした。 私はこの短編はすべて実話をもとに書いたと思って読んだ。 しかし解説を読むと、これが全て創作だとわかり愕然とする。 確かに実際の事件は、守秘義務のある弁護士には書けないのだろう。 そう思い直してじっくり読み進めると、 登場人物の心の動きがよく書けていることに気づく。 これは依頼人からの聞き取りから得たものではあり得ない。 つまり作家の創作なのだと。 それにしても、この簡素な文体の見事さはどうだろう。 Amazonで評判になっていた本だが、 現役の弁護士が書いた本であり、著者はドイツ人である。 実存主義文学のような哲学的なものを勝手に想像して敬遠していた。 ところがたまたま本屋で目の前にこの本があった。 何かの縁とばかりに購入した。 2週間ほど積ん読にしていたが試しに読んでみると、 信じられないほど読みやすい! わかりやすい! そしてページをめくる手が止まらなくなった。 なんてこった! この圧倒的な才能はなんだ! ただただ感心するばかりだ。 才能とは実にこういうものなのだなぁと震えてしまった。 難しいと思って敬遠している方は是非第1話だけでも読んで欲しい。 第2話以降も読み続けるかどうかはあなた次第だ。 私は強くお薦めいたします! さてここからは余談。 この本にはある仕掛けがしてあると解説に書いてある。 と言ってもトリッキーなものではなく、 なんともユーモラスな仕掛けなのだ。 11編の短編全てに『リンゴ』が登場する。 このリンゴ自体は本筋にはあまり関係ないが、とにかく出てきます。 なぜリンゴなのかは解説を読めばわかる♪ ではこの『リンゴ』がどこに出てくるか、以下に記す。 知りたくない方はここから先は読まないでください。 (と書いても多分読むでしょうが♪) 第1話『フェナー氏』 P.31 これがブドウなら読後感は変わると思う♪ 第2話『タナタ氏の茶碗』 P.42 美味しそうなリンゴだ。 第3話『チェロ』P.73 悲惨な話の中に咲く、このリンゴの赤は救いだ。 第5話『幸運』P.113 切ないお話ですが、さり気なくリンゴが登場する。 第6話『サマータイム』P.126 これはリンゴである必要はないと思うのだが… 第7話『正当防衛』P.164 なぜ上着のポケットにリンゴ? 第8話『緑』P.206 そもそも原罪からリンゴであった。 第9話『棘』P.216 とてもユーモラスで悲しいお話。絵画の中にもリンゴ。 第10話『愛情』P.230 もういきなりリンゴ! 第11話『エチオピアの男』 P.242 リンゴはアリさんも大好きなのだ♪ そして第4話『ハリネズミ』だけはリンゴが見つからない! どこどこ? どこにリンゴがあるの? 仕方ないのでもう一度じっくりと読み返した。 ない! どこにもリンゴが出てこない! そう思った瞬間、ハッと気がついた。 ああなるほど、確かにこれもリンゴだなぁと♪ シーラッハさんもお茶目な人だ♪ さて、第4話のどこにリンゴが出てくるのだろう? このリンゴは物語に関係していますよ。 | ||||
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「犯罪」というタイトルですが、実際の弁護士だけあって、事件に対する露悪や感傷的な誇張を避け、淡々と事件から裁判までを描く。しかし、ベースには人間がしっかりと描かれ、特に最後の「エチオピアの男」は静かな感動すら覚える。 | ||||
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なかなか面白かった 読みやすい文章です | ||||
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全てのストーリーが興味深く読む手が止まらない。何と形容したらいいのかわからない気持ちにさせられた。ノワール文学とでもいうような作品集であった。 | ||||
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11篇からなる短編集、ドイツ人刑事弁護士が書いた独特の雰囲気と余韻のある読後感を持たせて くれる作品集だ。決してミステリーや推理小説という分野の作品ではない。現代ドイツ社会を描いた社会派 小説などと大上段に言うのも憚れる。主人公の「私」は、弁護士(つまり著者の職業)であり自分が弁護を 経験した事件を取り上げる形になっている。「犯罪」といっても色々な事件があり、加害者も被害者も 千差万別だ、社会的事情も様々、同情すべき犯罪もあれば、全く反対のケースもある。そういった様々な 「犯罪」を描きながら、著者のセンスであろう、温かいような、それでいて客観的な描写。解説で知ったが、 この11篇のすべての作品には林檎が出てくる。と言って、林檎がテーマというわけではないし、別に示唆的な 意味合いがあるわけでもない。著者の筆力であろうが、1つの作品を読み終えると、次は何を書いてくる のか、興味津々でページをめくらせる。また、この著者の本が読みたくなるのは私だけではないと思う。 | ||||
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本屋大賞から手に取ったが、ウーン…。 こんな酷い事を私は色々見てきて〜と言ったオッサンの自慢話に近い。大衆の興味をそそる様な人の不幸や残酷な犯罪話を色々面白おかしく紹介しつつ、自分は常に安全圏から見下ろす、と言う視点に段々辟易してくる。 また善悪があまりに分かり易すぎるのにも疑問を感じる。一番初めの話、殺された妻側にも視点があったろう。徹頭徹尾彼女は殺されて仕方ない様に描くやり方は、勝てば何でもいい弁護士、常に弁護する側を利する見方しか出来ない視点の限界の様に感じられて…。 全体的に読めば読むほど飽きてきて、途中で脱落。 文章描写はとても美しく、抒情的でそこだけは良かった。 | ||||
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2015年創元推理文庫初版。ドイツの作家で弁護士のフェルディナント・フォン・シーラッハによる、タイトル通り犯罪にまつわる短編集。収録作品は、 1. フェ―ナー氏 2. タナタ氏の茶碗 3. チェロ 4. ハリネズミ 5. 幸運 6. サマータイム 7. 正当防衛 8. 緑 9. 棘 10. 愛情 11. エチオピアの男 からなります。さて、作者のシーラッハさんは法廷弁護士が本業ということで、職業柄、様々な興味深い犯罪ケースに巡り合ってきたのでしょう。勿論それらをモロに作品化するワケにはいかないので、各作品には元ネタがあまり分からないような、しかも当事者たちに迷惑がかからない程度の、多少のアレンジがされているはずです。 私的にはそのアレンジの仕方が今一つだし、登場人物の造形にもコクがないと感じました。各作品の構成も単調で、展開にもっとヒネリも欲しい。あとは残酷な描写がリアルに遠慮なく出て来て、実はちょっと辟易もいたしました。例えば3の主要登場人物が最後に全員死んじゃうという身もフタもない終わりかたや、6の安手の推理小説のような陳腐なトリックの解明による無罪の証明、ただし真犯人は判明しないという、不完全燃焼ぶり、そして精神異常者が主役の8、9、10は読んでいて辛いだけでした。個人的に最も楽しめたのは2と11かな。 結論としましては、どぎつい描写とエキセントリックなお話がお好きな若い方には、刺激的で読み応えのある短編集かもしれませんが、年配の私にはキツかった。かつてのアンリ・トロワイア、グレアム・グリーン、フリオ・コルタサル、そしてガルシア=マルケスのような短編小説もよくする名人級の作家が、本作のネタを手掛けたらどうなるのか?読み終わってみると、そう言う事ばかりが頭に浮かんでくる凡作と感じました。 | ||||
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"その手紙は次の言葉ではじまります。『物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ』(中略)この本はそういう人たちと、そういう人たちの物語を書いたものです。"2009年発刊の本書は著者の処女作にして自身の事務所で取り扱った実際の事件をモデルに書き上げ、世界で絶賛された他、日本でも2012年本屋大賞『翻訳小説部門』第1位にも輝いた連作短編集。 個人的にはシンプルな表題、美しい表紙に惹かれて。初めて著者の本を手にとりました。 さて、そんな本書は一生愛し続けると誓った妻を斧でバラバラにして殺めた『フェーナ氏』から始まり【調書の様に無駄なく簡潔で読みやすく、一方でどこか緊張感のある独特な文体で】1編20ページ前後の様々な『世界の不条理に翻弄される犯罪者達』を描いた短編が11編収録されているわけですが。 やはりまず【著者自身がベテランの刑事弁護士】(さらには語り手が作者自身を連想させる『私』)加えて本屋大賞以外にも『このミステリーがすごい!」』などにもランクインするなど一応『ミステリ小説』に分類されているとはいえ、当然に予想される"あっと驚く犯人当て、謎解き"などは収録作にはなく、むしろ謎というか"余韻を残したままに終わる作品が多い"ことから【どこまでが現実に起きた事件からなんだろう?】と、現実とフィクションの間で宙ぶらりんにされていくような読書感覚が、しかし不安や不快感には繋がらず、本書の大きな魅力になっているように感じました。 また収録の11編中では(どれも魅力的ですが)周囲からも尊敬されていた紳士が何故?とやはり思ってしまう『フェーナー氏』映像的、視覚的な美しさを感じる悲劇『チェロ』本書の中では一番の痛快作?と感じる『ハリネズミ』"愛ゆえの死体損壊なのです"がささる、寄り添う二人の物語『幸運』あたりが個人的には好みでした。 単純さ、わかりやすさを求める風潮から白や黒と【すぐにどちらかに決めつける】様な時代に『事実は小説より奇なり』ではありませんが、そして、あくまで『小説』とは言え、語り尽くさずに自由にイメージを膨らまさせてくれる体験をさせてくれる本書。本当に素敵ですね。 単純な謎解きや犯人当てではなく、罪をおかした人の複雑な心理状態に興味を覚える人。読みやすくも洗練された文体(もちろん訳者の見事な翻訳にも)に興味を感じる人にもオススメ。 | ||||
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読み終わって、現実と創作の間にポンと放り込まれてしまった。 これが現実なのか現実でないのかはシーラッハが好きな、りんごの絵に現れているのか。 きっとこれは現実ではない、創作なのであろう。 しかし、この奇妙な物語の切れ味に翻弄される。 | ||||
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これ残念だけどドイツ語の本(Verbrechen)にある前書きがなくて 一つ目の「幸X」がない。3つ見つけたのに。(訳者の意図もあるのだろうか)利用させてもらうと 和訳「コリーニ事件」はぜひお薦めしたい。そちらに解説等がのっているから。さて。。。 この本は何が起こってどう解決されるのだろうかと次への興味を持って読んだ。一話ごとに(一事件ごとに)解けない疑問が一つは残る。スッキリしない。謎めいた文章で終わる。それで謎を解こうともう一度読み返す。しかも和訳で確認すると別世界!(一箇所続きがない終わりがあって 和訳の方が落ち着けるかな。)そんなやりとりが15-30ページ前後で11回楽しめる。読解の練習(という難しいことより私は頭の体操として)にはちょうど良い長さであると思う。他教育に興味のある人もどうぞ。 そこまで気にしてはないけど 事件はモデルとなる事件は何年に起こったのか書いてないから 通信機器や社会の進化や発展が 少しかかなり古いのかわかりずらい。その対策として これらは43分でドラマ化されていてネットで無料で視聴できるのでぜひ参考に。といっても小さい頃からの話はなく 建物、衣装、小道具、いろいろな発音が参考になるだけかもしれない。 検索語句:Verbrechen ZDF (注意:視聴できない時間帯がある) | ||||
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ページを読む動作は当然顔(鼻先)を近づけるものです。インクや紙の香りは書物の特徴でむしろ魅力でもあるのですが、カビの匂いはいただけません。カビ臭の強いものは出荷しないことです。 | ||||
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ミステリ小説の名作として評判だったので 読みました。 期待とは違った内容でしたが 良い作品でした。 いろいろ期待と違った部分もあったので これから読む人のためにネタバレなしで、 読む前に知っておいたほうが良い情報を書きますね。 1)電子書籍が安心 2012年本屋大賞「翻訳小説部門」の1位に輝いたのだが その後、誤訳で問題になった作品。 詳しくは 犯罪 シーラッハ 誤訳 で検索すると 誤訳一覧を掲載しているサイトが見つかるので そちらを参照ください。 電子書籍は修正されているとのことですが 図書館などで借りて読もうと考えている人は注意が必要 kindle版が安心です。 2)独立した短編集 読み始めたときは、長編なのか連作短編なのかも 分かっていないので、次の短編に行ったときに 「前の物語はこの物語とどう関連するのか?しないのか?」と 余計な心配もしてました。 どの物語も 「事件を担当した弁護士」が出てきますが 物語の描写が凝っているためか、ちょっと分かりにくい 部分もあります。 まず、「事件を担当した弁護士」が物語の語り手なのですが ホームズ&ワトソンのように物語の最初から語り手として 登場しているわけではない。 物語は三人称小説のように始まって 途中から、 ”そこで私が相談を受けることとなった”と 「事件を担当した弁護士」が登場となるために ちょっとびっくりする。 最初はこの構成がよくわかっていなかったので ・全く独立した(登場人物も違う)短編 なのか ・独立しているが共通登場人物もいる短編 なのか ・連作短編で、各短編にオチはあるが、各話が関連するエピソードがあるのか かなり混乱しました。 それは、私の読解力が低かったからかも知れませんし 著者にとって本書が処女作だったせいかも知れません。 また登場人物がドイツの人名だったので、私が覚えにくかったからかも知れません。 どの短編も、著者の分身のような弁護士が物語の語り手なのですが 物語の主人公、主要人物ではなくどちらかかというと裏方です。 短編ごとに物語の主人公は変わり、そしてそれらの登場人物が 別の短編に登場したりすることはないです。 私自身は、いろいろ気を回して読んでいて 混乱してしまいました。 良い文章なのですが、乾いたところがあるというか ライトノベルのような読みやすさはないので その点は心して読んだ方が良いかと思います。 3)ミステリ小説、というより犯罪に関連した人間ドラマ 本作は 東西ミステリーベスト100(2012版)にランクインしてます。 とはいえ、ミステリ小説として評価が高いので 「あっと驚く結末やトリック」といった部分を期待すると 肩透かしになってしまうかも知れません。 犯罪に関連した人間ドラマという気持ちで 読んだほうが楽しめるかと思います。 | ||||
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作者の経歴から、てっきりドキュメントかと期待して読み始めてしまった。そのせいか、本書は甘ったるい作り物感がいっぱいという感じがして今イチだった。とくに登場人物に感情移入して書いている部分は、アマチュア作家っぽくてセンチメンタルに過ぎたり雑だったりでいただけない。 カポーティ―の「冷血」が評判になっていた頃、アメリカの検察官が退官後、回想録を仮名等を使って書いていたものがあったと記憶するが、弁護士もそういうふうに書けないものだろうか。「冷血」は辣腕のプロ作家が書いたクライムノベルで、辣腕の刑事弁護士が書いた小説とは次元が違う。 日本でも松本清張の「七年半待て」とかの傑作短編群はすごかったと今さらながら思った。 | ||||
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I liked this collection in general. | ||||
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私たちが考える「善悪」が逆転するような内容の小説です。善と悪とは紙一重なのでしょうか。表裏一体なのでしょうか。色々と考えさせる内容でした。 ただ、「心神喪失」が「心身喪失」となっているところがありました。法律を少しでも知っている人はすぐに気がつくと思いますが、いい小説なだけにこうした翻訳ミスは残念です。 | ||||
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結構、描写が残酷なのが入ってて、読み飛ばしてしまった。平気だと思ってたが、生々しい。終わり方が高尚過ぎて、私にはあっさりできなかった。 | ||||
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前から気になっていた本書『犯罪』を、入手して読むことにした。 著者のフェルディナント・フォン・シーラッハは、ベルリンで現役の刑事事件弁護士として活動している。 本書の11篇の物語を読むと、つい著者の関係した事件からヒントを得て書いているのではなかろうか、と思ってしまう。 が、解説の松山巌氏が断っていたように、著者には弁護士として犯してはならない守秘義務という枷があり、やはりこの物語は全てフィクションなのである。 しかし、本書の序で著者は、「これまで700件を超す事件で弁護をしてきました」と、書いていることから考えると、過去に見聞きした事件から、世の中の不条理や人間観察から切り貼りしながら創りだした物語もあるのではないだろうか。 11篇のなかでは、現代ドイツの抱える問題をテーマにした物語も多くある。 例えば、ネタバレになるが「正当防衛」などは、暴力を日常としているネオナチの若者を、苦々しく思うユダヤ人資産家?が、プロの殺し屋を使って抹殺するという物語であろう。 本書の11の物語のなかに必ず「リンゴ」が出てくることに、読み進むうちに気が付いたのだが、巻末の松山巌氏の解説でその意味など詳しく知ることができた。 11の物語のなかで評者が順位をつければ、事件が解決しても余韻を残して終える「サマータイム」を、一位に挙げたい。 「エチオピアの男」のような救いのある物語は、やはり次に挙げたいと思った。 下位として評価したいのは、「フェーナー氏」である。 こんな我慢強い男がいるのだろうか?と、思いはじめたら少し白々しく思えてきてしまったのである。 離婚という選択肢もあったのに、何故?と思いながら読む読者も多いのではないだろうか。 独特の作風を持ったフェルディナント・フォン・シーラッハの他の作品も手にしたいと思いながら読み終えました。 | ||||
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普通のミステリーとは全く違った。人間の本質の不思議さという、根源的な謎を書いている。しばらく忘れられないみすてりーだ。 | ||||
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