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春にして君を離れ



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春にして君を離れの評価: 4.50/5点 レビュー 234件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全234件 121~140 7/12ページ
No.114:
(1pt)

期待しすぎたかも?

後半の変化を期待したが、結局期待外れだった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.113:
(1pt)

解決を求めて読む小説ではない

ポアロシリーズが好きで、アガサ・クリスティーの他の小説も読もうと思って買いました。
心理的に追い詰められる感じは同じと言えますが、正直言って鬱陶しい話でした。
読み返すことはまずないと思います。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.112:
(5pt)

すばらしい日本語訳です

クリスティーによる物語も、中村妙子さんの日本語訳もすばらしいです。
これまでに読んだクリスティーの作品で、最も日本語訳が好きだと思う作品です。
ストーリーについては、他の方も多く書かれているので、ここでは、訳について少しレビューしたいと思います。

例えば、
車の車輪が泥に取られたため、作業をする男たちの描写
「……サンドイッチを食べ食べ、二人の男がスコップで泥を掘ったり、ジャッキを投げ合ったり、…。男たちは悪態をつきつき、汗を流しながら働き、車輪は怒ったような唸り声をあげて空廻りした。」
「食べ食べ」「つきつき」とは、日常的にそう使われる言葉ではなく、部分的に抜き出してもしっくりこないかもしれません。
でも、文章中で読むと、とてもリズム感が良く、男たちが活発に作業する様子が、読みながら感覚としてよく伝わりました。
これは、一例に過ぎませんが、すばらしい訳だと思います。

「春にして君を離れ」というタイトルは、シェイクスピアの詩の一節から抜き出したもので、英語では「Absent in the Spring」というようです。
このタイトルの訳が中村妙子さんオリジナルかどうか、私が少し調べてもわからなかったのですが、これもまた、素敵な言葉ですね。

機械的な訳ではとても生み出せないタイトル、日本語訳だと思います。

以下、直接関係のない話ですが、
ソフトやプログラムを用いた翻訳が発達して、じきに人間が行う翻訳の仕事がなくなるのではないか、という話を聞いたことがあります。
しかし、本作を読んで、それはまだまだ難しいと実感しました。
うまく言えないのですが、物語を翻訳するという行為は、機械的なものでは決してなく、小説を執筆することと同様、文学作品として創作するということに近いものではないかと、本作を通して思いました。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.111:
(5pt)

人生観が変わってから再度読んだら

期せずして、人生観がガラリと変わった時を挟み、2年ぶりに、再度、読むこととなりました。
端的にいうと、私自身を主人公に投影出来るのか、出来ないのか、という大きな点において、変わっておりました。
私の一度の読破では、きっと細かな部分や伏線において十分理解ができないことを含めても…
2年という年月の間におきた、「自分を振り返るべき出来事」によって、まるで主人公が、以前の私のようであると思えるようになりました。
また、今回の読書にて、アガサクリスティーという作者の作品について、そして物語、人の感情、関係性、人生について堪能し、楽しむことが出来ました。
勿論、まだきっと理解しきれていない、分かった気になっている部分があるかとは思いますが、まるで初めて読んだ別の作品のようで…
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.110:
(5pt)

『ジョーン・スカダモアを連想させるような家族を私が持っていた』

一気読みだった。
事件の起きないアガサ・クリスティーの小説は初めて読んだが、まさか自分がこんなにショックを受けるような内容だとは思わなかったし、この本は小説というより、自分にとってはもはや事実であった。
ずっとこの本を読みながら、心の奥底で、50代の母を思い浮かべながら読んでいた。
最後に、栗本薫さんの解説――「ジョーン・スカダモアを連想させるような家族を私が持っていた」という文を読んだところで、こらえきれなくなり(自分が母を思い浮かべては打ち消しながら読んでいたことに気付き)思わず少し、泣いてしまった。
私の姉は、母を嫌って実家には近づかない。しかし、私はどうしても母を愛してしまう。
ひとりぼっちのジョーン。
誰も愛せず、誰からも愛されない。
この本のラスト2行を読み終えた瞬間思ったのは、正直に言うと「私は母をひとりぼっちにはさせまい、無条件に母を愛する人間がこの世に一人くらいいないとあまりにもかなしい」ということだった。
今更、母に何を言うつもりもない私はロドニーなのかもしれない。(夫か、親を選べない子供かという立場の違いは大きいけれど)
その一方で、恐ろしいかな自分もまた、ジョーンにそっくりだと思った。
自分は母によく似ている。
だからなのかわからないけれど、私はとても自分の子供を産む勇気は持てない。
心のどこかで、自分本位な自分を恐れているからだ。
自分もまた、ジョーンのような妻、母親になるのではないかと、いつの頃からか思っている。
「人を愛すること」とは本当はどういうことなのだろうかと、今一度自分に問いかけるきっかけとなった。
この本が心に突き刺さる人は、きっとこのことを深く考えることになるだろうと思う。

ついでに…ロドニーは確かにもっと他にやりようはあったとは当然思うところであるが、彼はあくまで結婚という契約を遵守したのかなと。なのでロドニーに対してあまり悪感情は(少なくとも初読では)抱かなかった。エイヴラルとの対話で、「お前は決して母のようにならないはずだ」と暗に諭したシーンでは、彼は彼で自分の行いの結末を受け止めているようにも感じた。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.109:
(1pt)

登場人物に共感できず、おもしろくなかった

高評価に惹かれて読んだけど、主人公にも他の登場人物にも共感も理解もできず、全然おもしろくなかった。

主人公のジョーンは、自分の価値観を家族や周囲に押しつけて抑圧し、でもそのことに気づかずに、自分は立派なことをしたと自己満足の世界に浸っている。旅行の途中で汽車が来なくて数日間足止めされたことをきっかけに、他にすることがないので内省を繰り返し、そのことに段々気づいていき、今までの自分の人生に疑問を抱くのだが、人間誰しも、大なり小なりこういう側面はもっているんじゃないかと思った。なにを今さら疑問を感じているのだろう。

夫や子供たちはそんな主人公と距離を置きつつ、最低限の付き合いを続ける。彼ら彼女らも、主人公と縁を切らないで当たり障りのない付き合いをしている時点で同類だし、みんな同じ穴のムジナの偽善者ではないのか。でもそれは他人と付き合って生きていく上では、必要な処世術でもあるわけで、みんななにかしらこんな感覚を持ちつつ人と付き合っているのではないのか。それをわざわざ大げさに、さもすごいことのように書き立てられてもおもしろさを感じない。

この本が高評価ということは、主人公と自分は違うと思っている人が多いということなのか? それとも主人公の夫や娘たちの立場に共感しているのか? ぼくは、自分はこの主人公と同じように他人に迷惑をかけているし、主人公の偽善的なところをいちいち指摘したりしないで人生を送っているという点では夫や娘たちとも同類だと感じた。自分が毎日やっていることを小説に書かれても、おもしろくもなんともない。

なので、読み終わって、「だからどうした」という感想しか残らなかった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.108:
(5pt)

代表作に

してもよいと思う。 女性にしか書けない視点だし、この思い込みのきつさはクリスティーの作品ではおなじみのキャラクターです。 姉妹には強く勧めた記憶があります。 時代変われど、所変われど。。。うーん皆一緒
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.107:
(4pt)

アガサクリスティーには、珍しい作品だと思います。

1人の女性が、自分を見つめなおすという、興味ぶかい内容。どんどん読み進めていった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.106:
(5pt)

こんな小説を書かれていたのですね。

アガサ クリステイーの作品は色々読ませていただいたのですが、この本は知りませんでした。
そして、こんな小説をおよそ100年も前に書かれていたのですね。

人の気持ちのわからない人、でも、自分ではそれでよいと思っていて、何も疑わない。
自分の信じている価値観で生きていて、それに属さない人は 間違っていると信じている。

今風にいえば 発達障害にもあたるのでしょうか。
子供の虐待にもつながることをしておきながら、自分はよき母 よき妻と信じて疑わない。
本人に悪気はないけれど、身近にいる人間は、一緒に生活しているのがつらくてしょうがない。

その当時ももちろんこういう人はいたのでしょうが、
教養ある上品な人間として振る舞われているので、
社会的には罪には問われず、本人も自分は正しい人間だと思っている。

こういう小説を書けるアガサはやはりすごい作家だと思います。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.105:
(3pt)

現代的シビアな小説

テレビのポアロシリーズからアガサにはまって、小説では愛する心理を描いた「五匹の子豚」が一番面白いと思いました。

家族の見舞いの帰り、砂漠の地で足止めを食らったことから、一人ぼっちの時間の中で、今まで自分がみないふりをしていた家族たちとの関係に気が付いていく という物語。  心理的なミステリーです。

後半がちょっと長いかな、と感じたので星三つ。最近のハヤカワ文庫のアガサシリーズは、表紙が美しく、字も大きくなって読み手にやさしいと思います。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.104:
(5pt)

恐るべしクリスティー

アガサクリスティーがこのような本を書くとは知りませんでした。本当の意味でミステリーなのかも知れません。「何も知らずに生きていく、それは哀しいことだけど」という昔誰かが唄っていたのを思い出しました。
しかし、恐るべしクリスティー。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.103:
(5pt)

いろいろと考えさせられる一冊

中年になると、「私の人生はこれでよかったんだろうか」と振り返ることがあるという。心理学などでいうところの、いわゆる「中年の危機」である。
「もしも、あの時、こちらの道を選択していたら、どんな人生だっただろうか」 という、生きられなかったもうひとつの(あるいは別の)生き方を思うことがあるという。 
主人公の主婦も、そんなひとり。子供たちが巣立ち、人生の残り時間を意識するお年頃・・・・というありふれた主題なのだが、ぐいぐいと引き込まれてしまった。推理小説のように、主人公の人物像が一点に集約されてゆく。
ミステリーの女王といわれたクリスティーがこんな小説を書いていたのは驚きだった。
もっとも、出版時は、ミステリーファンをがっかりさせないため、クリスティー自身により「メアリ・ウェストマコット」名義で発表された、ということも初めて知った。

七つの海を支配したといわれる大英帝国だが、この主婦の旅にもそんな残像が背景に描かれている。
イラク(バクダッド)からトルコ、ヨーロッパを横断して、故国イギリスまでの女のひとり旅。
だが、そんな広い土地がみんな小さくなってしまうほど、彼女の家族やその周辺の人々のことが語られる。
時代は作中では、「ヒトラーが戦争を始めるかもしれない」という話題からも、原作の初出が1944年(昭和19年)ということからも、時代背景のずいぶん違う作品のはずだが、親子、夫婦の普遍的なものがたくさん盛り込まれている。

さいごの栗本薫さんの解説も若々しく鋭い。こういう事って往々にしてあるな、こういう人っているな、と思う。
他人に対して共感を欠く人、ということだが。
この主婦は、昔気質でいわゆる「良妻賢母」ともいえる、完璧な女性。
父が軍人だった、ということからも、義務や規律を重んじる家庭に育ったのだろう。
この主婦の「ちょっと変」というか、ある意味「暴力的」というか、そういうところが子供たちにとっては辛かったろうが、そこを夫君である父親が補ってきたらしい。
しかし、その夫君は決して優しいだけの男ではないものの、どうやら「強い女性」が好きらしい。
恋愛結婚だったという、この主婦を妻にしたのは、夫にとっても運命の出会いだったのだろうなと想像できる。
この「母」と同性である娘たちは、いったいどんな家庭を築いてゆくのだろうか。
そういう意味ではたぶん、異性の「息子」よりも、同性の「娘たち」の方が、苦労が多そうな感じだ。

「平穏な家庭にもある微妙な問題」の、現代にも通じそうな見事な描写の小説だと思う。
部屋なんか、家なんか、多少散らかっていても、温かく細やかな愛情のある家庭が、子供にはいちばん、そう、「レスリー」の家のように、というふうにも見えるし、そうすると、”「理解ある親」をもつ子はたまらない ”という『こころの処方箋』にでてくる故・河合隼雄さんの言葉を思い出し、思春期にまでわかりあっていたら、それはそれでまた、大変なんだろうな、と、親の年になった自分の体験も絡んでいろいろと考えさせられる。
主人公の主婦は、生活に困る境遇ではなく、では「どんな妻」、「どんな母」であればよかったのか、”愛するだけでは十分ではないのだ”、と旅の途上で心を震わせる。
あくまでも健気な女性ではあるし、けっして悪人ではない。きちんとした恥ずかしくない人生をおくり、立派な仕事をやり遂げた。

昔読んだ、曾野綾子の『善人はなぜまわりの人を不幸にするのか』という本も思い出した。
でも、善人って、どんなひとだろうか?
思い込みや信念の強い人で、周囲にはちょっと迷惑、往々にして迷惑、という人は、男でも女でも、世の中にたくさんいる。
家族にとっては迷惑でも、仕事では有能な人、とか、場所により、役割やそれぞれの立場によっても変わってくるだろう。
それが、神ではない人の哀しさなんだろうか。
温和な夫の接し方は、「いやなやつ」とも言えようが、他人を(怒鳴り散らしたりして)変えようとはしない、という意味ではオトナ、それもまた愛であり、受け入れる強さ、といえるのだろうか?
それとも、もっと語り合って(あるいは喧嘩でもして)、解りあえる可能性があるのだろうか?
(この夫婦には、そんな可能性もあるような気がする。)

作品は、ハッピーエンドだろうな、というところまで話が行くけれど、どっこい現実は違った、という結末だった。
「あなたのお気持ち、(ぜんぶ)解ってましたよ。」という金婚式成熟シーンが、この作品の将来にはなさそうな気配だが、あったらあったで、気持ち悪いということになるんだろうか。または「妻は悪かった」、「母は悪かった」ということにされてしまうんだろうか、とまた、いろいろと考えさせられてしまった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
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No.102:
(5pt)

この恐ろしさに気付けない人は危ない、と思う自分が一番危ない

人生の節々で読み返すであろう本。

主人公のことを「いるいる、こういう人」と思った瞬間、自分がそうでない保証はどこにもないことに気づく。「自分は違う」と思うことこそ、主人公と同じ過ちを犯しているのだから。

精神の底のなさを切り取れるから、彼女の書くミステリーは単に「犯人捜し」で終わらないストーリーなのだろう。
誰も死なない、何の事件も起こらない、一人の女性が旅行して戻るだけの話なのにこれほど恐ろしいテーマがあるだろうか。
敬服します。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.101:
(5pt)

一生必要な思いを改めて知りました

たぶん、この本は手放さないです。
読んだ際に、自分にもこんな所があると意識できました。同時に危ないと思いました。意識していないと、自分も「こう」なってしまうと思ったからです。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.100:
(3pt)

音楽ではなかった

友人のすすめで買いましたが、もっと音楽がメインの内容と勘違い。私の早とちりでした。タイムリーがカズオイシグロ、保存しておきます。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.99:
(5pt)

自己再生へと向うはずの旅が・・・

遠く離れた異国の砂漠の地で汽車を待つ数日間に、
深い自己内省をせざるを得なくなり、やがて明らかとなる真相。
自分や家族をよく知っており、愛していたはずの自分が、
自分のことも家族のことも何も知らず、愛してもいなかったと気づいてしまう。
これは、自己再生に向う旅だった・・・・しかし、結末は。。。
古風な女性らしいジョーンの心の動き、彼女をとりまく家族、とりわけ、夫のロドニーの
彼女に対する憐憫、思いやりにのあらわし方が1940年代のイギリスらしさ、
また、クリスティらしい上品さがあり、とても楽しめた。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.98:
(5pt)

タイトルからして良い!

興味があったが、いいいのかなあって思っていたら、娘が買ったのですぐ読ませてもらいました。さすがクリスティーって感じの作品。こういった話って巷にいっぱいあるのに、口に出して語られることがあまりないところが怖いのです。きっとアガサが長年生きてきて、ふと感じた夫婦や家族の在り方をスパイスを利かせて書いたのでしょう。最初のつかみがおもしろくないと、すぐに投げ出してしまうこの私が、一気に読みました。珍しいです(笑)
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.97:
(5pt)

誰も死なないのに怖い

事件は何も起きない。
一人の初老の主婦の心の旅に付き添っているような感覚。
自分探しの長い旅の末にたどり着くのは、自分。
心温まる家族ものが好きな人には向かないお話。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.96:
(5pt)

人生で人ができること

ロドニーとジョーンと子どもたちの関係性は、
私が育った家庭にそっくりでした。

アダルトチルドレン的なパーソナリティである優等生的な性格の母親ジョーンは、(我が母に酷似しているのですが)
自分以外の家族を精神的に抑圧し続けていることにまったく無自覚です。
家族は何度もジョーンと人間らしい健全な関係を結ぼうと試みますが、ジョーンはことごとく的外れな受け止め方と反応をして、そのチャンスを潰し続けます。
ロドニーや子どもたちの絶望は限りなく深まりました。
幸いだったのは、ロドニーがジョーンを無理やり「制御」しようとしなかったこと。
ロドニーは人としてでき得る限りの粘り強さと、
慈しみの心を発揮して、ジョーンとの「共依存的な関係」を回避しつづけます。
もし、ロドニーがジョーンを「改心」させようなどと、躍起になってしまっていたら、ロドニー自身が深刻な共依存性者になってしまったでしょう。
(ここが、解説の栗本薫先生と私の見解の相違するところです)
ロドニーはギリギリのところでジョーンと家族関係を構築し維持しつつ、毒親である母親ジョーンの暴威から、子どもたちを守り抜きました。
(私事ですが、残念なことに、私の父親は毒親の母親と共依存関係に深くはまり込み、家庭全体が殺伐とした機能不全家族になってしまいました。
それは私の父親もまたアルコール依存症の父親を持つアダルトチルドレンだったからでしょう)
ロドニーは自分の人生の全てを捧げて、「かわいそうで哀れなジョーン」を見捨てずに共に生き、なおかつ子どもたちもなんとか大人へと導きました。
(ロドニーが我が子エイヴラルを諭したときの結婚観は、まさにロドニー自身が貫いていることでした)
わたしはできればロドニーのような父親が欲しかった。でも、我が父も、自分自身の家庭内に一体何が起こっているのか分からない修羅場の日々を、二十年も耐えて働いて、私を育ててくれました。私は父親に感謝しています。
そして我家のジョーンたる、我が母親は…。
ジョーンと同じく「回心」の機会を前に逃避し続け、一生を終えようとしています。底知れず悲しいし、やりきれないです。

人生というのは、なぜこんなにも酷薄で恐ろしいものなのでしょうか。
人生を前にして人ができることは、レスリー・シャーストンやロドニーのように、「自分のなし得ること」の限界を見定め、粘り強くやり抜いていくことだけなのです。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.95:
(4pt)

いい。

読者の評価が分かれる内容です。推察するに女性の方が共感する方が多いような気がします。私も娘として母親として、この主人公の立場や状況を考えるととても他人事には思えない切迫感を感じました。子供に良かれと思ってしていることも実際は独りよがりの子供の気持ちや性格をきちんと把握できていない、しようとする努力もない、愚かで鈍い母親。
夫に寄り添うことなく、揺るがない出世と生活の基盤を求め、夫の夢の実現より社会的な地位に固執する妻。子どもたちにも見放され、夫の心ももはや妻の元にはない。孤独と迫ってくる老いだけのこれからの虚しい生活は、考えれば打ちのめされそうなほどなのに、その現状から目を背け、嘘に満ちた日常に何食わぬ顔で戻っている。娘夫婦には侵害者として嫌がられ、送り出されてほっと安堵され、貴族の夫人には無知と劣等感をさらけ出し、夫にはもう見放されている。
クリスティの設定した悟りの現場は不毛の砂漠、迷ったらもう戻ってこれない堂々巡りの砂の迷宮。ジョーンがこんな哀しいところにまできてしまったのには、多くのすれ違いと時間の経過があったはず。それなのに修復してこなかったこの夫婦、夫の妻に対する仕打ちはひどすぎる。ジョーンも夫を愛していないのか。この繋がりが虚しすぎて寒気がした。こういう鋭い洞察はクリスティならではだと思う。おそるべし。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)Amazon書評・レビュー:春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385

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